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セガ、AC「アヴァロンの鍵 弐 ~秩序と戒律~」
クリエイターインタビュー
“エキスパンションではない”「弐」のコンセプト


    【アヴァロンの鍵 弐 ~秩序と戒律~】

    稼動中
    プレイ料金:1プレイ300円、2プレイ500円



 株式会社セガがアーケードで展開している「アヴァロンの鍵」。その続編となる「アヴァロンの鍵 弐 ~秩序と戒律~」の開発経緯について、開発スタッフの方々にお話を伺う機会を得た。「弐」は、前作からのファンはもちろん、「弐」から始めてみようと思っている方にも注目していただきたいタイトルに仕上がっている。



チーフデザイナーの田口氏。モンスターデザインやキャラクタ、カードイラストなど、「アヴァロンの鍵」の世界観を統括している
編集部 : 最初に、「トレーディングカードゲーム(TCG)」として、過去のタイトルとは全く新しい切り口でアーケードに展開した「アヴァロンの鍵」ですが、その続編となる「弐」の開発経緯について教えていただけますか?

田口氏 : 前作(便宜上この記事中では『1』とする)の開発初期の段階から、「弐」をやることは決まっていました。「Ver1.20」といったエキスパンションがリリースされる頃には、開発スタッフは「弐」の開発に移っていました。どのゲームでもいわゆる「2」で完成に近づくというケースが多いのですが、「アヴァロン」の場合もそれは当てはまります。TCGはそれ自体が敷居が高いゲームだということも含めて、プレーヤーの皆さんには「1」で慣れてもらって、「弐」ではより深い駆け引きを楽しんでもらえるように、ということも含めてです。デザインも「弐」にいたるまでには相当時間をかけています。かわいいキャラクタはよりかわいらしく、かっこいいキャラクタはよりかっこよく、というところはかなり意識しました。

従来のカードの性能も大幅に変更が加えられた。イラストも描き直されている
藤澤氏 : 仕切りなおし、という意味ではゲームバランスにも注目して欲しいですね。「1」の稼動初期からエキスパンションにかけて、バランスが悪いカード、使用価値が低いカードは開発サイドでも問題視されていたのですが、数値をちょっと変えるだけでもそのために新しくカードを刷り直さなくてはならない、というところがネックでした。それならば細かいところもふくめ、「弐」で全て変更しよう、ということで話が進んでいました。

田口氏 : 今でこそ「quest of D」やプライベートショウで公開されていた「三国志大戦」がありますが、そもそもアーケードでファンタジーの要素が受け入れられるのか? というところは我々だけでなく、社内外からの不安の声も少なくありませんでした。これだけ大きな筐体をリリースして1作で終わりというわけにはいきませんから。なるべく長い間バージョンアップを続けて、しっかりフォローしていかなくてはいけないと常に考えています。



■ 単なる新カード追加の「エキスパンション」ではなく、新しい要素を取り入れた「弐」

ディレクターの小早川氏。主にカードの調整を担当。ゲームの仕様にも深く携わっている
編集部 : 「弐」でのコンセプトはどういったところにあるのでしょうか?

小早川氏 : 大きなコンセプトが2つあるのですが、ひとつは“今まで「アヴァロン」を遊んでいたのに、辞めてしまったお客さんに帰ってきてほしい”、というところです。「弐」において大幅にバランス調整を行なっていますので、「1」のカードもかなりの枚数がリニューアルされていますので。これがまた遊んでもらえるきっかけにならないかな、と。また、マップも大幅に変更しましたので、注目して欲しいですね。

田口氏 : カードのバランスはもちろんですが、「アヴァロン」ってカードとマップ、両方で楽しむゲームじゃないですか。「1」の頃は途中でマップの追加、変更ができず、カード追加やエラッタでしかバランスの調整ができなったことが反省材料だと思っていたので、「弐」では本当の意味でゲームバランスの調整ができたと個人的に思っています。

新キャラクタのひとり「ディアラ」。設定は“CLASS PRESIDENT(学級委員長)”
 大幅な能力の変更をするならばカードを含めた絵柄も変更したい、ということはかなり意識していました。これもユーザーさんのモチベーションアップにつながってくれれば、というところが大きいですね。とはいえ、絵に関しては賛否両論になってもいいと思っているんです。「前の絵のほうがよかったのに……」と思うユーザーさんには、マジック(マジック・ザ・ギャザリング)などでも“好きな絵柄で統一する”といった楽しみがあることを踏まえて、柔軟に受け止めてくれるだろうと考えました。

 あとは新キャラクタですね。開発初期の段階で“新キャラクタは学級委員長と生徒会長しかないだろう”という話はしていました。「弐」では和風にリニューアルしましたというイメージですが、これは「1」の世界があって、その中にディアラのような和風好きの生徒たちがいる、っていうイメージですね。



■ ユーザー待望の「1人用モード」

ディレクターの藤澤氏。「弐」では主にマップの構成やゲームの仕様を担当。カードの調整にも携わっている
藤澤氏 : コンセプトの2つ目としては、1人用モードと課題モードの追加です。

田口氏 : 1人用モードは「1」の頃から搭載したかったものなのですが、ソフト開発面でかなり負担がかかるところで、「弐」でそれが念願かなって搭載されたということになります。やっぱり開発側でも「アヴァロン」というゲームは敷居が高いと考えていますので、初心者や中級者の方々が、構築したばかりのデッキでいきなり対戦しろっていう方が酷だなと。これだとプレイングが悪かったのか、デッキ構築が悪かったのか、それとも相手が強すぎたのか、といういわゆる“負けている理由がわからない”と思うのです。

編集部 : デッキといえば、「弐」ではスターターが大幅に変更されているとお聞きしたのですが、具体的にどのように変化しているのでしょうか?

小早川氏 : そうですね。「1」のスターターに比べると、バランスはさらに、非常に気を使って調整しました。封入されているカードに関しても、皆さんが欲しがる定番カードや「弐」で注目してもらいたいカードまで入れちゃいました(笑)。カードが増えるにつれて、当然、昔のカードは排出されにくくなっています。そこを考慮して、どのデッキを構築するにしても基本となる「ゴースト」、「鬼ブル」、「マーメイド」といった辺りの「1」での当初のレアカードは全てのスターターに封入されています。

新マップのデザインは斜め方向の移動も取り入れられ、従来とはまるで異なる印象を受ける
藤澤氏 : 先ほどのコンセプトの補足になりますが、マップに関してもほこらとほこらの距離を12マスに統一して全て作成しました。マス数の統一と共にルートの確保にも力を入れました。「1」の頃はマップやほこら同士の間によってマス数の差やルートの少なさがあったので、こちらとしても気になっていました。新作ということでビジュアル的な狙いは当然あるのですが、その辺をどうにかしたかった、ということが新マップ作成の第1歩でした。

 また、マップチェンジもどうやって入れていこうかということは悩みましたね。せっかく新要素を取り入れても、それが少なければ意味がないし、逆に多すぎても違和感とゲームバランスの面で弊害が出てくるので。

 カードリストだけを見ると、全体的に移動値が下がっているので移動しづらい印象を受けるかもしれませんが、実際に新マップをプレイしてもらえれば、逆に移動しやすくなっていて、なおかつテンポも良くなっていると実感してもらえるはずです。また、キャラクタの移動速度が「1」に比べて1.5倍に上昇しているので、ゲームスピードも向上しています。代わりにテレポートは遅くなっていますが、全体的なゲームテンポは格段に向上していますね。

田口氏 : 結局のところカードとマップがゲームとしての評価に直結するところなので、最終的には白い紙に能力が書いてあるだけでも納得してもらえる、というところを目標にはしています。

 とはいえ、それだけじゃないことは言うまでもなく、例えば、戦闘のモーションに関しても開発内で議論がありましたね。モーションデザイナー的には、見せようと思えば10秒でも20秒でも足りないくらいなんですが、やはりアーケードという媒体である以上、時間的な問題と、遊びの中で邪魔になる要素は排除したいというトレードオフの関係があったり。



■ 新規ユーザー、上級者を共に意識した「課題モード」



「1人用モード」と「課題モード」が新たに追加された
編集部 : もう1つの追加要素である課題モードについてお教えいただけますか?

田口氏 : ユーザーの方々に「やることがなくなって飽きた」という状況に陥ってほしくないわけです。そういった意味でも受け皿になれば、という考えからこのモードの導入がスタートしました。

藤澤氏 : 課題は2種類用意しています。「表課題」は普通の課題で、指定されたお題をそのとおり達成すると通常よりも“証”が多くもらえる、という初心者のためのものです。それとは別に「裏課題」と呼んでいるものがあるのですが、これは上級者向けに用意されたもので、お題は表示されず、見えない設定された要素を満たすと課題をクリアということになります。クリアして初めてわかるという。

小早川氏 : 最終的な仕様としては変わってしまったのですが、課題モードはもともと「チュートリアル2」的な位置付けでした。「アヴァロン」のチュートリアルをプレイしてもらっても、カードは排出されませんので、初心者の方にもチュートリアルがなかなか遊んでもらえない、という現状がありましたので、それに代わるものが作りたかったんです。



編集部 : それでは最後に、「アヴァロンの鍵 弐」の稼動にあたり、ユーザーさんに一言お願いできますでしょうか?

藤澤氏 : 繰り返しになりますが、新しくなったマップとカードに注目して欲しいですね。特にカードに関しては、ゲームバランス、カードバリエーション共に注目して欲しいところです。「1」のカードを大幅に修正したことで、上位、下位互換のカードが減り、デッキバリエーションがかなり豊富になっていますので、やりこみ要素は「1」と比較にならないと思います。

小早川氏 : 「1」で離れていってしまったユーザーさんだけでなく、「アヴァロン」に興味があっても手が出せなかった方にも、「弐」を遊んで欲しいですね。特に、「弐」からはスターターを購入すれば、初期段階でも充分、「1」からプレイしている方々と勝負になる内容となっているので、あまり怖がらずに気軽にプレイしてみてください。

田口氏 : 「まずは黙って1プレイしてください!」というところでしょうか(笑)。「アヴァロン」のゲーム性や世界観を気に入ってくれてプレイしてくれていた方の中には、「1」の初期にやめてしまった方もいると思います。そういった方にも、食わず嫌いせず、「弐」を一度でもプレイしてもらいたい。それから判断してもらいたいですね。



【スクリーンショット】
和風テイストで格好いいモンスターや、これまでにないユニークなモンスターも多数登場。キャラクタの髪や服の色を変えられる機能も追加され、プレーヤーごとの個性もより際立つようになっている


(C) SEGA, 2004

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「アヴァロンの鍵」のページ
http://www.a-key.jp/
□関連情報
【12月1日】セガ、アーケード用カードゲームの最新作
AC「アヴァロンの鍵 弐 -秩序と戒律-」稼動開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041201/avalon.htm
【9月9日】アヴァロンの鍵プレーヤーズガイド【第16回】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040909/ava.htm

(2004年12月21日)

[Reported by 林 智加良]


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