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KAMEX2004現地レポート

奇抜なアイデアから産み出されるユニークな韓国アーケードゲーム

会期:11月25日~28日 開催

開催場:韓国総合展示場(COEX)

 KAMEXでの大きな楽しみの方の一つとして、奇抜なアーケードゲームのチェックがある。技術的には日本のAOUショーにはかなわないが、独特のセンスから産み出されるユニークな製品、そしてゲームを全力で楽しむ韓国の人々の姿からは、強いエネルギーを感じる。

 今回はその中からユニークなアイデアによるゲームを紹介、合わせてKAMEX十周年を記念されて開催されていた「ゲームの歴史展」の模様などを紹介していこう。


■展示された4種類の大型可動筐体はどれも大人気

 KAMEX10周年を記念して開設していた「ゲームの歴史展」そのコーナーをアピールする役割を担っていたのが3社が出展していた4種類の大型可動筐体である。セガの「スペースハリアー」から始まった乗り込むことができる可動筐体。ゲーム内の動きと連動してグリグリと体ごとが動くその感覚と、筐体の大きさ自体が人を魅了せずにはいられない。KAMEXでは珍しく、どの筐体にもプレイ待ちの長い列ができていたのが印象的だった。

SEGAの開発した「CYCRAFT」。その完成度の高さは他の追随を許さない
「i・NET-Flight FS」ふたりで乗れると言うことでカップルの人気も高かった
 一番きびきび動き、完成度の高さでも群を抜いていたのが、SEGAが開発し、韓国のSimulineが国内のパブリッシングを行っている「CYCRAFT」である。筐体そのものをつり下げることで、ゲームに連動した傾きを多彩に表現。スマートさでも他の筐体とはひと味違う存在感があった。稼動していたタイトルは「F-ZERO AX」と、「Club kart」で、どちらも日本語版のままだった。

 会場で一番大きな筐体を出展していたのがWOAXだ。ミニシアターのイスが全部稼動するシステムなどを制作しているメーカーである。展示していたのは「i・NET-Flight FS」という飛行機のコクピットをかたどったものと、完全密閉型の「Space Ranger2」である。

   「i・NET-Flight FS」でプレイできたのは「マイクロソフト コンバットシミュレーター2」だった。太平洋戦を描いたゲームと、セスナ機をイメージした筐体、さらにふたりで並んで座っている姿が非常にミスマッチで、独特のおかしさがあった。筐体の挙動も少しのんびりしたもので、本来は空の散歩を楽しむのに向いている機械かもしれない。もっとも、プレーヤーの多くは非常に興奮して敵機を追い、夢中になってトリガーを引いていたので、会場にあったソフトのチョイスだとも言えるだろう。

 宇宙船のコクピットを思わせる「Space Ranger2」は外側のデザインが非常にかっこよく、一番の人気があった筐体だ。この筐体ではゲームをプレイするのではなく、ムービーの内容に合わせて筐体が動く、「バーチャルリアリティシアター」ともいうべきもので、日本でも同様のコンセプトの筐体が開発されたこともある。

 筆者も、一時間近く並んで乗り込んでみた。ムービーは韓国オリジナルの作品。言語はすべてハングルだったので細かい部分は分からないが、悪の帝国の要塞に、奪われた秘宝を取り戻すため小型宇宙船で出発する、というストーリーだった。しかし、宇宙船のはずなのに要塞内に入ったら、すり足移動のような動きはするし、アステロイドベルトでの追撃戦は平板だし、ピンチシーンもイマイチで、展開するストーリー、演出ともかなりチープでがっかりさせられた。筐体のデザインが非常にかっこいいだけに、一層残念だった。「エピソード1」ということなので、次回からは筐体のデザイン並に力を注いでもらいたい。

 DARIMSYSTEMの「3D.O.F Motion Base」はシンプルな筐体だ。アーケード専用ではなく、「i・NET-Flight FS」と同じくPCを内蔵。会場では「Isurf Team Revolution」が楽しめた。他にも、「マイクロソフト フライトシミュレータ」シリーズなどにも対応している。既存のコンピュータを使い、ローコストがウリということなので、仮に一台買うとなるといくらかを聞いたところ、システムのみで10,000US$(1020,000円)、ソフトやPCも含めると18,000US$(1836,000円)とのことだ。

非常にかっこいい筐体の「Space Ranger2」。プレイ待ちの長蛇の列ができていた 筐体内部。ふたりがけのシートになっていて、正面に大型モニタがある PCのゲームがそのまま動く「3D.O.F Motion Base」


■自社開発のロボットをゲームに組み込んだ2社のメーカー

 今回のKAMEXでは、奇しくも自社開発のロボットをゲームに組み込んだメーカーがふたつあらわれた。“CFN”と“J2 DESIGN LAB”というメーカーだが、どちらの会社もゲームそのものよりも、自分たちで開発したロボットを使ってどんな遊びができるか、という点をアピールしているのがユニークだった。ゲームメーカーである前に、ロボット制作会社といった感じなのである。

 スタンスは似ていながらも、両社のロボットそのものへの思想は、非常に対照的なものがある。CFNのロボットはモーターや基盤などの機構がむきだしの無骨さ、キャタピラで移動するその外観は小さなフォークリフトそのままだ。対してJ2 DESIGN LABはソニーのAIBOを思わせる、メタリックでつるつるした、未来的なフォルムになっている。動きの方は、CFNがキャタピラならではのゆっくりした重量感のある作動をするのに比べ、J2 DESIGN LABはラジコンの自動車のようにきびきびと動く。

 外観的にはJ2 DESIGN LABに軍配が上がるが、CFNのロボットは汎用性の高さと、その小ささでさまざまなゲームが楽しめた。J2 DESIGN LABは密閉されたケースの中でチュッパチャップスをはこぶゲームのみだったのに対し、CFNは飴はこびゲーム、カプセル運びゲームに加え、対戦型のバスケットボールゲームまで楽しむことができた。フォークリフトの部分にそれぞれのゲーム用のアタッチメントをつけて、さまざまなゲームのプレイを可能としているのだ。特に、対戦型バスケットゲームは、ロボット同士がぶつかる場合も多く、ロボットが大きく動作が速いJ2 DESIGN LABでは同じ遊びをするのは難しいだろう。

 操作方法も対照的だ。どちらもふたつのスティックを使うのだが、J2 DESIGN LABは左手で前後にすすませ、右のスティックで左右の旋回とクレーンの上げ下げというラジコン操作。対するCFNは左右のレバーがそれぞれのキャタピラに対応した「戦車方式」なのである。CFNのロボットのクレーンは中央のボタンで上げ下げを行う。操作のレスポンスでは断然J2 DESIGN LABに軍配が上がるのだが、筆者の個人的な好みから言わせてもらえれば、キャタピラならではの駆動が楽しめるCFNも捨てがたい。なによりも、そのもっさりした駆動と操作感が、ゲームに活かされているのだ。

 「ROBOCON」や「ROB-OONE」など日本では自作ロボットを使った競技会が市民権を得はじめているが、参加者がまずロボットを自作しなくてはならないという時点で一般的な遊びとはいいがたい。日本のアミューズメントセンターで、実在のロボットを操り、楽しめるゲームを作り出すのは、韓国メーカーの方が先かもしれない。
CFNのロボットゲームは非常に多彩。小ささと、アイデアの多さ、汎用性の高さがウリだ
J2 DESIGN LABはロボットの外見そのままの、完成度の高いゲームを制作


■BB弾をばらまく巨大ガトリングガンを操る「VULCAN-X」

 OLXEKoreaが制作した「VULCAN-X」は電動モーターにより、一秒間に10発という猛烈な勢いでBB弾を発射するシューティングゲーム。標的もセンサーをつけた的をモーターで動かす。実際に弾を発射し、実在する的に当てる感触が楽しいゲームだ。

 本物のバルカン砲さながらにきちんと銃身が高速回転し、ものすごい勢いで弾を発射する。バルカン砲を握る腕にも軽い反動が伝わってきて、かなりの爽快感がある。的に当たると、爆発音が響く。移動する的を追うBB弾は糸のように連なって、ホースから勢いよく出る水のような軌跡を残す。とにかく、これだけの弾をばらまくという体験はなかなかできない、それだけでも人気を得そうなゲームだ。

 しかし、豪快なゲームなだけに、BB弾の処理は少し問題がある。ブースの隙間からBB弾が漏れだしてしまっているのだ。弾の管理が大変なだけではなく、歩いている人が弾にすべって転んでしまう可能性もある。もし日本で展開するならこの問題を解決しなくてはならないだろう。ぜひこの感触は日本にもたらしてもらいたい。
大型武器が生む迫力を本作はうまく表現している ものすごい勢いで打ち出される大量のBB弾


【ゲームの歴史展】
ゲームの歴史展の「過去」のコーナーでは、ゲームの進化を描いた年表や、古いゲームを展示していた。年表にも置いてある筐体にも欧米のゲームはほとんどなく日本のタイトルが多かった。過去のゲーム機として、メガドライブとファミリーコンピュータも展示されていた
こちらは「未来」のコーナー。センサーと連動したヘッドマウントディスプレイ、3D眼鏡をかけることで空間を立体視できるモニタ、影でゲームに干渉できるデバイスなど、デモ要素が強い展示だった
【「鉄拳5」ゲーム大会】
アーケード版「鉄拳5」のパブリッシングを行うMEGA enterpriseのブースで行われていたゲーム大会。非常に混雑していた。韓国では「鉄拳」シリーズの注目度は非常に高かった

□KAMEX2004のページ
http://www.kamex.or.kr/2004/eng/

[Reported by 勝田哲也]


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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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