会場：国際会議場

　韓国NCsoft「リネージュ2」の開発スタッフである企画チーフ長パク・ヒョンギュ氏と、グラフィックチーム長ファン チョル ウン氏、そしてメインイラストレーターであるジョン ジュノ氏にお話をうかがった。

　韓国では日本に先がけて先月より、大規模アップデート「クロニクル2」が実装されている。本稿ではその情報を中心に質問をさせていただいた。

企画チーフ長パク・ヒョンギュ氏

グラフィックチーム長ファン チョル ウン氏

メインイラストレーターのジャン ジュノ氏。「リネージュII」のイラストに関しては、開発から決められたコンセプトの大枠の中で、可能なだけユーザーの“トレンド”を取り入れて制作しているとのこと

■今後のアップデートは、幅広いユーザーを対象に

編：最初に、今回の東京ゲームショウでのブースに訪れた日本のファンに関する感想をお聞かせください。

パク氏：私は、「リネージュII」のスタッフとして東京ゲームショウに来るのは今回で3度目ですが、毎年ファンの姿が増えているのがうれしいですね。今回は特に、ボス討伐イベントの盛り上がりがものすごかった。「リネージュII」の人気を、あらためて実感しました。

ジョン氏：私は、「公式的なサイン会」というのは、韓国内も含めて、初めての体験だったんです。自分の予想をはるかに超えた人達が僕のサインをもらいに来てくれて、すごくうれしかったですね。

編：韓国内での、「クロニクル2」のユーザーの反応を教えてください。

パク氏：非常に好評で、同時接続者数が全体的に1割アップしました。追加されたコンテンツはどれも喜ばれていますが、特に人気が高いのが「武器に特殊能力が付与できる」クエストですね。

編：今回、プレスカンファレンスで、「クロニクル2」のコンセプトを「幅広いユーザーに向けてサービスをすることを目指した」と説明なさっていましたが、そのコンセプトに至った経緯を教えてください。

パク氏：「幅広いユーザーに向けて」というコンセプトは、クロニクル2に限らず、今後のすべてのアップデートで考えていくテーマだと思っています。クロニクル1で、「攻城戦」や、強力なボス「アンタロス」という要素が実装され、強さの上限といった大きな枠組みを作ることができた。今後は、その枠組みの中でさまざまな要素を充実させていきたいと思っているんです。狩りをしても楽しい、狩りをしなくても楽しい。さまざまな要素を持つ作品にしていきたいですね。

編：実装してから1カ月以上が経過したとのことですが、既にストライダーに乗っているプレーヤーはいるのでしょうか? その道のりは非常にキツイのですか？

パク氏：正確なデータは取っていませんが、人の多いギランといった場所では、ちらほらと姿を見かけるようになりました。高レベルの狩り場にも乗っているプレーヤーの姿を見かけます。1サーバーに40～50人ほどのプレーヤーが既に乗りこなしているという感覚はあります。大変さですが、これは個人によっても価値観が違うので、一概には言えないですね。

■「クロニクル2」、開発者オススメの新名所とは？

編：クロニクル2で増える地域を歩くには、最低どのくらいのレベルが必要ですか?

パク氏：新しい地域は強いキャラクタを対象にデザインしています。フィールドは難易度が低くレベル30台の冒険者係を楽しめるようにしています。各場所に行くには、上級レベルの人でないときついですね。

編：新名所で、オススメの場所を教えてください。

パク氏：私は「海賊のトンネルと悪魔島」ですね。おどろおどろしいホラーっぽい雰囲気が好きです。また、島に行くためには水をくぐらなくては行けなかったりと、構造も凝っています。

ファン氏：エヴァの水中庭園ですね。ここは、非常に広大な空間を見回せるようになっていて、今までにない景色が楽しめると思います。グラフィック的にも、プログラム的にもアイデアを詰め込んだ場所ですよ。

編：今回のグラフィック的コンセプトとして「水」を挙げられていましたが、グラフィック的にこだわった部分を教えてください。

ファン氏：「水の中で泳ぐ」というのは、いままでの「リネージュII」では見過ごされていた要素でした。そのため、ユーザーに「本当に水の中にいる感触」を伝えるように苦心しました。水の中という世界を得て、「リネージュII」はより世界を広げていくことになる。その最初の要素のために、非常にこだわって泳ぐ姿や海底などをデザインしていきましたね。

■これからの「リネージュII」とは？

編：「リネージュII」は冒険と共に、「攻城戦」を含めた対人戦がプレーヤーの大きな興味となっていますが、開発スタッフは今後、冒険と対人戦どちらに重点をおいてアプローチをしていくのでしょうか？

パク氏：たまに対戦を楽しむ、という人が多いのですが、対人戦、特に攻城戦に参加するプレーヤーは、高レベルの方が多く、プレーヤー全体割合から見れば“一部”であるという感覚を持っています。よりエキサイティングな対戦を楽しめるようにコンテンツを充実していくのはもちろんですが、どちらかと単純に比べてしまえば、冒険やコミュニケーションを楽しもうというユーザーに対してのサービスにより注力していきたいです。

編：日本では、現在、ラグによってキャラクタが動きにくいと言う問題があります。また、個人商店がギランの街をふさぎ、より動きにくくなってしまっているという問題がありますが韓国の状況はどうでしょうか?　開発側で対策をする計画がありますか？

パク氏：個人商店が道にあふれていて通りにくい、という問題はあまり韓国ではありませんね。商人がいることでデータが重くなって行動に支障が出てくる、という点では、クロニクル2のアップデートで対応しています。データを読み込むバランスを調整しており、ユーザーからは以前より快適になったという評価をもらっています。

ファン氏：レベルデザイン的な問題でも、開発側の予想をはるかに超える負荷がかかってしまった部分など、サービスを始めてから出てくる問題がありました。こちらもアップデートで調整や対応を行なっています。デザイン的な部分からも、運用のデータが蓄積され、ラグの低減を心がけるようになっています。

編：最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

パク氏：クロニクル2は日本では12月にサービスされます。今回のアップデートは、クロニクル1をベースに、もっとたくさんの人に楽しんでもらう、ということをコンセプトに制作しました。その開発の過程で、各国から寄せられた意見をできるだけ反映したつもりです。ぜひ、新しい要素を楽しみにしていてください。

□エヌ・シー・ジャパンのホームページ
http://game.watch.impress.co.jp/
□「リネージュ II」のページ
http://www.lineage2.jp/
□関連情報
【9月25日】TGS2004ブースレポート～エヌ・シー・ジャパン編～
今年も「リネージュII」一色、多くのファンが期待を寄せる
大規模アップデート「クロニクル2」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040925/ncs.htm
【9月26日】NCsoft CEO キム・テクジン氏特別インタビュー
韓国最大手NCsoftの世界戦略と日本展開の今後を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040926/nckim.htm

(2004年9月27日)

[Reported by 勝田哲也]

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