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UKゲームショウ現地レポートGame Stars Live ATARIブースレポート |
■ ATARIが満を持して放つ次世代遊園地経営SLG「Rollercoaster Tycoon 3」
また、経営シミュレーションゲームとしてしっかり作られているというだけでなく、遊園地を自分の箱庭のようにデザインできるというカスタマイズ性の高さも大いに評価できるポイントである。同シリーズは、いまやMicrosoftの代表作のひとつとなった「Zoo Tycoon」シリーズや、Will Wrightの代表作「The Sims」シリーズにも強い影響を与えている。「Rollercoaster Tycoon」シリーズは、言わば米国産経営シムの原点ともいえるわけである。
同作の革新性は、'99年に発売された初代の時点で確立しており、2002年に発売された2では、2Dベースのグラフィックスエンジンはそのままに、ステージの追加やローラーコースターや景観パーツなどを充実させるなど、言わばアドオンレベル止まりだった。初代の発売から5年、唯一の泣き所だったグラフィックエンジンを一新したフルモデルチェンジバージョンが「Rollercoaster Tycoon 3」(RCT3)というわけである。
RCT3の発売時期は米国で10月26日、ヨーロッパでは11月が予定されており、開発自体はほぼ終了している。今回ブースでは、ほぼ製品版に近いバージョンを、説明員すら付けない完全なフリープレイの状態で出展していた。「遊園地を作る」というGame Star Liveのメインターゲットである子供にも理解しやすいモチーフだけあって、同作のコーナーは常時子供達でいっぱいだった。
その中に混じってたっぷりプレイしたが、想像していた以上に良くできている。経営シムであり、箱庭ゲームであり、鑑賞ゲームであるRCTが、フル3Dエンジンを採用し、全コースター、全アトラクションに一人称視点で乗れるというインタラクティブ要素を追加したことで、爆発的な魅力を備えた経営シムに仕上がっている。
ゲームモードは、ゲームの遊び方を学べるチュートリアル、既成の遊園地をひとつひとつ巡りながら指定の目標を達成していくキャリアモード、無尽蔵の資金を背景に平地から遊園地を作り上げていくサンドボックスモードの3つが用意されている。基本的な仕様は従来と変わらない。
RCT3の強みは、上記に加えて、各モードをより楽しむための各種エディットツールが標準で同梱されているところだ。以下、簡単に紹介していくと家族単位で来場者のエディットが行なえる「Peep Designer」、自由に遊園地を設計できる「Scenario Editor」、遊園地の目玉であるローラーコースターを1から設計できる「Coaster Designer」、各種アトラクションや施設をデザインできる「Building Designer」の4つが用意されている。これらを駆使することにより、たとえば既存の遊園地に自分の家族を入園させたり、すべて自作のローラーコースターが設置された遊園地といったことが簡単に行なえるわけである。
オリジナルの3Dエンジンは、スケーラブルな仕様になっていて、マウスホイールをくるりと回すだけで、来場者がごま塩ほどの大きさから、画面いっぱいにズームインすることができる。言うまでもなくその逆も可能。さらに画面を回転させることも可能なので、掲載スクリーンショットのように、自由な視点から遊園地を眺められるようになっている。鑑賞ゲームとしては必要十分な機能を備えているといって良さそうだ。
なお、プレイ中、もっとも感心したのが、夜間の表現。RCT3は、前作の遊園地ように24時間営業となっているが、天気の概念に加えて、昼夜の概念が新たに取り入れられている。これにより夜になると自然に街灯が点され、アトラクションやローラーコースターが美しくライトアップされる。花火を打ち上げるような演出も可能だというから楽しみだ。
また、目立たない部分だが、来場者の動きには、群れ制御エンジンのようなものが搭載されており、遊園地が楽しくてたまらない子供の動きをうまく再現している。たとえば、メリーゴーラウンドでは、チケット売り場から好みの木馬に駆け出すパターンは常に一定ではなく、降りる際も全力で出口に向かう子供がいたかと思うと、ゆっくり出て行く子供もいるといった具合で、一見、蜘蛛の子を散らすような表現でありながら、実は個々のAIが働いており、見ているだけでも楽しめる。
日本での発売は未定だが、初代はメディアクエスト、2はATARI JAPANがそれぞれ日本語版をリリースしており、日本語版の発売はほぼ確実と見ていい。いずれにしても、受注レベルでミリオン突破は手堅い2004年度を代表する経営シムになるのは間違いなさそうだ。
【Rollercoaster Tycoon 3】 | ||
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オリジナルの3Dエンジンのクオリティは高い。数千人の来場者を一度に表示するようなケースもあるため、かなりヘビーなゲームになるのは間違いない。特にコースター搭乗には、かなりのハイスペックが要求されそうだ |
■ 海洋冒険SLGの本家本元が華麗に復活!! 「Sid Meier's Pirates!」
「Sid Meier's Pirates!」コーナー。大半の操作はマウスだけで行なえるということもあって、来場者の人気は高かった |
略奪成功シーン。甲板に散らばる金貨、持ち出されるお宝。カジノでビッグヒットをひいたかのようなゴージャスな画面がいかにもSid Meier's印らしい |
領主の娘とのダンスシーン。彼女に気に入られるためには正確なダンスを行わなければならない |
「Sid Meier's Pirates!」は、Firaxis Gamesとしては珍しく3Dグラフィックスを多用したタイトルだが、実は完全新作ではなく、18年前の人気作のリバイバルとなっている。現在、映画等の影響でちょっとした海賊ブームになっており、数多くの海賊をモチーフにした海洋冒険SLGがリリースされているが、絶好のタイミングでの本家本元の登場となるわけである。
ゲームの舞台は17世紀のカリブ海。当地では、英国、スペイン、フランス、オランダの4カ国が支配権を巡ってしのぎを削っており、プレーヤーは小さな海賊船のキャプテンとして、カリブ海の荒海に乗り出していくことになる。ゲームジャンルは一応シミュレーションゲームだが、海戦アクション、スニークアクション、パズル的ミニゲームなどさまざまな要素が混在しており、マルチジャンルのタイトルといっていい。
ゲームの基本的な展開は、4カ国のいずれかから仕事を受け、それをこなしつつ財力と武力を蓄え、海賊としての名声を高めていくというもの。カリブ海を支配する大海賊になるか、いずれかの国に仕えて義賊となるかはプレーヤーの判断に任されており、プレーヤーの描いた筋書きによってエンディングも複数用意されているという。
過去のタイトルだとカプコンが発売した「ポートロイヤル」に近い印象だが、「Sid Meier's Pirates!」は、寄港地の領主の娘とダンスをして、彼女に気に入られることによってパトロンになってもらったり、海賊行為による略奪に成功した際は、船を横付けしてお宝をガンガン運び込んだり、はたまたキャプテン同士の決闘でのアクションなどなど、いかにも海賊的な演出と、そのインタラクティブ化が抜きんでてうまい印象だ。
発売が非常に楽しみな「Sid Meier's Pirates!」だが、今回プレイした限りでは、E3の頃よりは幾分進化の過程が見られるものの、イベントシーンはいまだに絵コンテだったり、航海シーンでの衝突判定がおかしかったりなど、まだまだ未完成な印象が強い。発売時期
は欧米で11月としているが果たして間に合うかどうか疑問だ。発売プラットフォームは、PC版に続いて、来年1月にXbox版が予定されている。
【Sid Meier's Pirates!】 | ||
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グラフィックスエンジンはフル3Dになっている。航海シーンと海戦シーンがほぼシームレスに展開されるのが好印象。ただし、現時点ではコリジョン判定がおかしいなど、明かな不具合がいくつか見られた。チューニングにはもうしばらく時間がかかりそうだ |
【Shadow Ops】 | ||
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今年6月に発売されたXbox版をベースに、PC版独自の改良を加えた決定版。高解像度への対応や、高解像度テクスチャの採用、32人同時参加のマルチプレイなど、PC向けの改良はしっかりなされているが、プラスαの要素が足りないため、FPS最激戦区のPCプラットフォームでの成功はやや厳しいか。欧米での発売時期は10月が予定されている |
□Game Stars Liveのホームページ
http://www.gamestarslive.co.uk/
□ATARIのホームページ
http://www.atari.co.uk/
(2003年9月4日)
[Reported by 中村聖司]
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