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UKゲームショウ現地レポートGame Stars Live EAブースレポート |
そんなEAだが、かつてECTSではブース出展は行わず、その代わりECTS前日にプレスをUK本社に招いてプライベートショウを行なうという、ECTSとは一定の距離を置いたプロモーションを展開していた。ところがGame Stars Liveでは会場の中央を独占するというE3を上回る規模で大々的に出展。まさに全面バックアップ体制だった。
■ 一番人気は「FIFA 2005」、ダークホースは「Need for Speed Underground 2」
今回のEAの出展タイトルは9月から11月にかけて発売される新作16タイトル。Game Stars Liveはエンドユーザー向けのイベントだけあって、すべてレーティングが確定した状態での出展となっていて、「18+(18歳以上)」指定のタイトルの試遊に関しては、IDカードの提示が必要になる。
ただ、深夜の公道ドラッグレースを扱った「Need for Speed Underground 2」のレーティングは「3+(3歳以上)」になっているなど、判断基準は日本とはずいぶん異なる印象を受けた。ちなみに前作は日本では「12歳以上」を推奨しており、日本ではこのぐらいのレーティングになると考えておいた方がいいだろう。
さて、ブース構成は、各新作タイトルの試遊台コーナーに加えて、「FOOTBALL ZONE」、「ON-LINE ZONE」などテーマ別のエリアが複数設けられ、テーマパークさながらのバラエティに富んだ構成だった。
中でも人気を集めていたのが「FOOTBALL ZONE」。このコーナーでは、毎年英国での年間売り上げの1位の座を維持し続けている超人気シリーズの最新作「FIFA FOOTBALL 2005」が試遊できるほか、ネットで囲まれた特設ピッチを使って1on1のフットボールが楽しめるコーナーなどが用意され、常時多くの来場者で賑わっていた。リアルとバーチャルを同時に体験できるというのは、いかにも「Eye Toy」を生み出した国らしい趣向だ。
また今回、EAが出展に力を入れていたのが「Need for Speed Underground 2」。近年、低迷の続くレースゲームジャンルにおいて、際だった人気を誇るレースゲームシリーズの最新作である。ブースには、ゲームに登場するフェアレディZの実車を配置し、もっとも見晴らしのいい位置に試遊台を設置して、新作の仕上がりをアピールしていた。
「Need for Speed Underground 2」は、前作で評価の高かった夜間のドラッグレースという要素を全面的にパワーアップしており、美しくライトアップされた夜景を背景に、フルチューンされたハイブリッドカーによるドラッグレースが展開される。グラフィックスエンジンは前作から変わっていないが、ビルや橋、街路樹などのライトアップがさらに派手になっており、幻想的な雰囲気がさらに増している。
仕様的には、ステージが1本道ではなく、広大なダウンタウン全域が対象になっており、
ショートカットを狙ったり、レース中に車のチューンナップが可能になっていたりなど、ゲームの自由度がまた一段と高まっている。発売プラットフォームはPS2、Xbox、GC、GBA、そしてPCで、発売時期は欧米で11月が予定されている。日本での発売も期待して良さそうだ。
【STADIUM 2005】 | ||
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「STADIUM 2005」はゲームタイトルではなく、EA SPORTSブランドの各シリーズがプレイできるコーナーの名称。客席(!?)では子供達がコントローラを占領し、延々プレイし続ける光景が見られた。奥に見えるのは「FOOTBALL ZONE」の競技場(!?)だ |
【Need for Speed Underground 2】 | ||
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グラフィックスそのものは、前作のグレードと変わらないのだが、夜景のライトアップのさせかたが抜群にうまく、ぐいぐい世界に引き込まれてしまう。レースゲームとしても比較的オーソドックスで、初心者でも遊びやすいところもマル。売れるべくして売れる人気シリーズといっていい |
■ 個人的イチオシはシリーズ最新作「Medal of Honor: Pacific Assault」
コンソール版とPC版の違いは一概には言えないが、まず前提として開発チームが異なり、コンソール版はゲームパッド、PC版はマウスインターフェイスにチューニングされている。舞台設定や、レベルデザインの一部は共有されるが、主人公も異なるなど、あくまで別々のタイトルという扱いだ。
「Medal of Honor: Pacific Assault」が扱っているのは、サブタイトルからも想像できるように米国と日本が3年以上に渡って死闘を繰り広げた太平洋戦争。扱っている時期は'41年から'44年までなので硫黄島や沖縄の上陸戦は含まれないということになる。
メインとなるのはガダルカナル攻防戦に代表される南太平洋の島嶼の支配権を巡っての攻防戦。プレーヤーは米海兵隊第一師団に所属するTommy Conlinとして、銃剣付きの三八式歩兵銃を構えた日本兵を相手に南太平洋の各所で死闘を繰り広げていくことになる。
今回、試遊台でプレイできたのは、ソロモン諸島のガダルカナル島で展開されたヘンダーソン飛行場を巡っての攻防戦。導入部はシンプルなテキストのみとなっているため、前後の状況は不明だが、史実に従えば、日本軍がガダルカナルに設置した飛行場を米軍が奪取し、ヘンダーソン飛行場として米軍が利用し始めた矢先に、日本軍が奪回を目指して攻撃を仕掛けてきたシーンとなる。
ゲームはテントのベッドで寝ているシーンからスタートし、メディックによって起こされ、日本軍が攻めてきたことを知る。テントの外に出てみると、すでに日本軍が侵攻してきており、椰子の木やドラム缶といった遮蔽物を利用しながら、日本軍を撃破し、ヘンダーソン飛行場へと歩を進めていくことになる。
プレイして一瞬でわかるのは、新開発のグラフィックスエンジンの優秀さ。開幕早々、メディックが唇をリップシンクさせて喋るし、アニメーションパターンも格段に細かくなっている。テントの外に出ると、HDRレンダリングによって、南太平洋の太陽の眩しさを余すところなく再現してくれる。
また、Havok物理エンジンを採用したことにより、ドラム缶や木箱といったオブジェクトは、銃撃や衝撃によって可動するようになっており、さらに日本兵の死体が折り崩れて倒れたシーンでは、上に乗っかっている日本兵の腕が振り子のようにぶらぶらするといったラグドール表現も採用しているのには驚かされた。「Medal of Honor」が「Quake III」世代のFPSというのは完全に過去の話になっている。
ゲームは、部隊単位で展開し、プレーヤーはシンプルなコマンド操作で部隊を指揮しながら作戦を進めていくことになる。今回は、HPを回復してくれるメディックキットのようなゲーム的アイテムが存在しないため、英雄的な活躍は難しくなっている。その代わりとなるのがメディックの存在で、銃撃を受けて倒れてしまってもメディックを呼びつけることにより、ゲームオーバーにならずにその場で復活が可能となっている。
また、今回、銃撃や銃剣の突撃等を受けると出血する。出血は一時的なダメージでは済まず、スリップダメージとなり、包帯をしっかり巻ききるまではダメージを受け続ける仕様となっている。ちなみにダメージを受けると、モーションブラーが掛かって画面がぼんやりとし、倒されてしまうとモノトーン調の色に変わる。意識が朦朧とした状態でメディックを呼ぶ、そんなシーンにぴったりの演出といえる。
レーティングは「16+」となっているが、雄叫びを上げながら銃剣突撃してくる日本兵の群れは「18+」の衝撃がある。日本兵の銃剣突撃は、油断していると自分はおろか部隊丸ごと全滅させられるほどの威力があり、こうした一瞬にして攻防が入れ替わる前時代的な格闘戦が非常に斬新。乗り物やマルチプレイなど未体験の要素はまだまだあるが、現時点で十分期待できるFPSといえそうだ。
【Medal of Honor: Pacific Assault】 | ||
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日本兵の銃剣突撃に関しては、日本のユーザーには賛否両論ありそうだが、個人的には許容できるレベル。日本人らしい身のこなしの軽さ、粘りなどといったものが、優れたAIによってよく再現されている |
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□Game Stars Liveのホームページ
http://www.gamestarslive.co.uk/
□Electronic Artsのホームページ
http://www.ea.co.uk/
(2003年9月3日)
[Reported by 中村聖司]
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