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★PCゲームファーストインプレッション★
■手軽で誰にでも楽しめるオンラインゴルフゲーム
本作はファンタジー的な世界観を持つオンラインゴルフゲーム。幻想的なゴルフコースと、かわいらしいキャラクタが特徴だ。「パンヤ」とは、幻想世界「パンヤ島」の伝説にちなんだ、ゴルフによく似たゲーム。かつて人間界から訪れた一人の英雄が、生命力を凝縮した玉で、魔法の結界を浄化したという。プレーヤーは人間界からこの平和になった世界を訪れ、かつての伝説を模したパンヤ島のお祭りに参加している、という設定だ。 この世界の独特な雰囲気はチュートリアルの時点からよく現れており、案内役の妖精が土煙を上げてコースを走る姿は、ファンタジーRPGのような光景だ。フィールドも南国の島や、美しい夕暮れ、さらには魔法世界を思わせる荘厳な建物や、風車などがあり、ファンタジー世界でのゴルフゲームという印象を強くしている。 筆者がプレイしてまず驚かされたのは本作の取っつきやすさである。視点や打点の変更はカーソルキー。マウスの左クリックでショット、ホイールでクラブの選択。インターフェイスはそつない感じでまとまっており、直感的にプレイできる。さらにオススメのクラブや、打つ方向、パットの力加減までガイドしてくれる。 本作は成長要素があるのだが、ガイド機能の充実もあり、初期キャラクターでもそこそこの成績を残せる。ゴルフゲームの定番としてショットにはある程度のタイミングが必要となるが、仮にタイミングがずれてしまっても、とんでもない方向に飛んでしまうということは少ない。初心者向けのチューニングがされている作品であるという感想を持った。 先んじてエキサイトがサービスを行なっているオンラインゴルフゲーム「ショットオンライン」と比べると、「ショットオンライン」がシミュレーション性が強く、さらにキャラクタの成長要素を重視しているため難易度が高いのに比べ、「パンヤ」はゲーム性を重視している。プレーヤーは始めてから1日で、パーはもちろん、バーディーも狙えるようになるだろう。現実離れしたコースが多いが、ゲームの難易度は高くない。 反面、「パンヤ」の成長要素はかなりハードルが高い。本作の成長はアイテムで行ない、キャラクタは服装等の装備品を交換することでステータスがアップするのだが、この服装が高いのだ。コースをプレイすることでポイントを貯めていくのだが、ステータス修正がある装備品は数日のプレイでは入手しづらい。このインフレ極まる値段の設定は、韓国のRPGの「伝統」のようなもので、ちょっと苦笑いさせられた部分だった。「プレイの目的」として設定されていると考えて良いだろう。 ステータスアップなどの実利を求めなければ服装は自由度あふれるものが用意されていくようだ。まだオープンβ中のためかアイテムは決して多くないが、ボクシンググローブやセーラー服など見た目が楽しいものも確認できた。しかし「無駄遣い」をするにはちょっと高い値段なため、初期装備そのままというプレーヤーも多かった。 現在、まだテスト中なためだとは思うが、登録したアカウントによってキャラクタも決定されてしまう。男で登録したら「ケン」、女で登録したら「エリカ」がプレイヤーキャラクタになり、髪や服の色は変更できるが、それ以外の自由度はない。他のキャラクタでプレイするにはするには、性別を偽ってアカウントを登録し直すか、高価なポイントを支払って他のキャラクタを購入するしかないのである。 服装などの外見をプレイヤーの好みにカスタマイズするいわゆる「アバター要素」はプレイの大事な欲求であり、高いハードルを掲げてプレーヤーを誘導する要素は決して間違った戦略ではなく、特に韓国では高く評価されている要素だ。ユニークなこだわりの格好をしているキャラクタは、それだけで上級者の証である。 本作の最大の特徴は「間口の広さ」であり、プレイをして誰でもすぐにその快適さを体感できるだろう。快適に進み、良い結果が残せる手軽なゲームはそれだけで人気を集める。現在、無料のβテストであると共に、夏休みでもあるため、サーバーは非常に混雑しており、たくさんのプレイヤーが腕を競い合っている。本作の人気の秘密は、その「手軽さ」にあると言えるだろう。 ■特徴的な「大会」モードを含めたゲームの進行を紹介 「パンヤ」は、MMORPG的な自分のキャラクタを作ることが出来るが、いわゆる「フィールド」や「街」などのキャラクタを自由に歩かせるようなエリアはなく、直接プレーヤー達が集まっているサーバーに赴き、対戦ルームの扉を叩くことでゲームが開始する。シングルプレイは練習モードで、基本的に対戦が中心となる。「対戦モード」と「大会モード」でそれぞれゲームが楽しめる。 「対戦モード」では、ルームを開設しているプレイヤーに声をかけるか、自分がルームを開設、来場者を待ってからゲームが開始されるという展開となる。初対面のプレイヤーといきなりゲームを始めるというのは、最初はちょっととまどうかもしれない。しかし、きちんと挨拶をし、相手のうまいプレイにはちゃんと賞賛をおくる、という最低限のマナーさえ守っていれば、トラブルは少ないだろう。「初心者歓迎!」といったルーム名を設定しているプレイヤーもいるので、胸を借りるつもりでいってみるのが良いだろう。 ルームは、ホールやショット時間、コースなどルールを細かく設定できる。18ホールだと、ちょっと時間がかかってしまうので、6ホールや3ホールをプレイする、という人も多いようだ。ゲーム中は、簡単なコミュニケーションは取れるが、特にショット時間を設定している場合などは、質問もしづらい。聞きたいことがあったら、プレイが終わってからの方が迷惑はかからないだろう。 本作には「コマンドショット」が用意されている。一番簡単なものが、キャラクタの赤いゲージが貯まっているときにAltキーを押して出せるパワーショットで、使うと飛距離を伸ばすことが出来る。さらに条件やコマンドを揃えることで、大きなバックスピンをかけたり、打球をカーブさせたりといったことが可能になる。演出も非常に派手だが、使うには少し慣れが必要になる。 ちょっと疑問に思うのが、この情報が公式ページには載っていないことだ。にもかかわらず、ムービーではこれ見よがしにこれらの技が連発されており、ページを訪れた人達は疑問に思うのではないのだろうか? こういった「隠し要素」はもはや韓国の「慣習」ともいえるものだが、少なくとも日本では「公式ページに情報が載らない」ことに関して、プレーヤーの間で不満があがりつつある。本作を楽しくしてくれる要素であるし、使いこなすにはある程度の練習が必要なのだから、開示しても良いのではないかと思う。もっとも、こういったショットを知らなくても本作は楽しくプレイできる。より極めたい人のための要素であるとも言える。 本作はまだオープンβではあるが、既に多彩なコースがプレイ可能で、これは大きく評価できるところだ。コースはテーマ別に、南海の島々をイメージした「ブルーラグーン」と「ブルーウィンド」。夕焼け空と風車が特徴的な「セピアウィンド」と「ウィンドヒル」。魔法的なオブジェクトがある最もファンタジー色の強い「ウィズウィズ」。という5コースがプレイ可能だ。 プレイ感覚は手軽だが、コースによっては島の間を海が隔てていたり、切り立った崖の上に立っていたりして、OBになる可能性も高く、難易度はそれなりに高い。特に「ウィズウィズ」はカーブショットが必要になるテクニカルなコースだ。また、「ウィズウィズ」は凝ったオブジェクトが多数配置されているためか、プレイヤーの間では「重い」という噂もある。筆者の環境では不具合は感じなかったが、低スペックPCでプレイしている人は注意が必要だろう。 「大会モード」は本作を象徴するモードだ。30人ものプレーヤーが一堂に会し、腕を競うこととなる。「そんなにプレイする人がいたら、待ち時間が膨大なものになるのではないか?」という疑問は杞憂である。プレイ感覚はソロプレイそのまま。他のプレイヤーの打球は「マーク」で表示される。他のプレイヤーの姿をまったく見ずに、ゲームが進行するのである。ひたすら黙々とプレイをしている間、自分を追い抜いてマークが飛んでいくのは非常にユニークな光景である。 大会は、全18ホールを一気にプレイすることとなる。設定時間は35~45分が多いようだ。35分だと、ほとんど休んでいる時間はない。先へ、先へ、一気にプレイしていく感覚はマラソンをやっているようだ。他プレイヤーのマークに対して妙なライバル心がわいてくるのも面白い。 大会モードで行なわれる試合はプレーヤー主導。誰かがルームを作ると、あっと言う間に希望プレーヤーが飛び込んできて、規程人数に達してスタートとなる。優秀な成績を収めたものへのボーナスも大きいため、希望者が多いようで、人気を博している。本作のプレイヤーデータは、サーバーを超えて持ち越せるため、「パンヤ島」がいっぱいだったら、「パンヤビーチ」という新設されたサーバーに行くのも手だろう。 18ホールを短い時間でプレイする大会モードは、上級プレイヤーの驚異的なスコアを初心者が眼にする場所でもある。全ホールバーディーは当たり前、-20を超える成績を持つプレイヤーも出てくる。彼らの姿は、他プレイヤーのあこがれともなるだろう。 繰り返すが、本作の手軽さ、プレイしやすさは特筆に値する。ゴルフシミュレーションではなく、ゲームとして、驚異的なスコアが叩き出せるのは、それだけで楽しい。間口の広い、万人にオススメのゴルフゲームである。 (C) Gamepot Inc, All Rights Reserved.
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(2004年8月31日) [Reported by 勝田哲也]
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