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★PS2ゲームレビュー★
■ まさかこれほどハマるとは思ってませんでした ちょうど1年くらい前か。筆者が仕事でなんとなく始めたものの、気が付いたら寝食を忘れるほどハマっていたゲーム。それが「SOCOM: U.S. NAVY SEALs」だった。当時の加熱っぷりはかなりのもので、一時期は知り合いらとクラン(チーム)を作り、有志が立ち上げたクラン対抗ゲーム大会なんかも出場しちゃったり。またそういったクラン大会で勝つための戦略はどうすればいいか、真剣に仲間と議論したり、仕事の時間を削って連携プレイの練習しまくったりと、これほど真剣にゲームに打ち込んだのは、何年ぶりですか? ってなくらいに遊びまくった。 週末になると多いときで1,000人を超えるプレーヤーがアクセスし、多くのクランが結成され、中には女性プレーヤーや小学生プレーヤーもいたりして、全盛期はなかなかの盛り上がりを見せていたと思う。とにかくゲームを遊びまくって飽きるまで、たっぷり半年以上遊んで、徐々にフェードアウト。まぁこのへんはPCゲームと違って、オンラインでマップや武器がバージョンアップされるわけではない一般的コンシューマーゲームの宿命って事で、続編待ちになったわけである。そう、そんな(筆者待望の)ゲームの続編が、本作「SOCOM II: U.S. NAVY SEALs」なわけである。
本作はアメリカ海軍特殊部隊を操作し、テロリストと戦うシューティングゲームである。画面はサードパーソンビュー=第三者視点、つまり自分を背後から見た視点で、PCゲームで一般的なファーストパーソンビュー(一人称視点)のシューティングとは若干違う。ちなみにシングルプレイとマルチプレイは同じシステムを使った、まったく別ゲームであり、シングルはスニークアクション色が強く、マルチはバリバリの多人数シューティングゲームである。
■ シングルプレイは自由度が前作以上に高く、遊びがいアリ ゲームの基本的な部分、操作やシステムといった部分はほぼ前作のままであり、シングルプレイも前作同様、3人の部下を連れてテロリスト殲滅作戦を繰り広げる。しばらく遊んでみた感想としては、前作よりも明るく画面が見やすくなり、またグラフィックも若干パワーアップした印象。また今作はムービーシーンやイベントも多めで、地味な潜入アクションになりがちの展開に、メリハリを与えている。前作は夜の船上、夜のジャングル、夜の海上油田など真っ暗で見にくいマップが多く、敵が見つけにくいわりに、敵から見つかりやすい、といった潜入アクションとしてはストレスのたまるシーンが多かった。今回は見通しの良い広いマップが多く、また夜の潜入作戦も前作ほど真っ暗でないので、遊びやすい。 広めのマップが多い分、ミッションのクリアルートも多彩で、自由度は前作より高くなっている。本格的にスニークアクションに徹して敵に見つからないように進む事も、中央突破で撃ちまくりの力ずくクリアもできるわけだが、見つからないように進めばそれだけ副次目的や新たなイベントが現れ、達成度のスコアが高くなる。一度クリアしたミッションも、別のパターンで再挑戦できるので、やりごたえは十分ありそうだ。 敵から1発でも食らうとガクっと体力が減るシステムだけに、常に緊張感があり、難易度は“ちゃんと隠密行動でクリアしようとすると”やや高めか。本作から始めた人なら、最初の1、2面はわりとサクサク進むが、3面あたりからちょっと苦戦しだすかも。 FPS系が好きで、こういったミリタリージャンルが遊びたくてシングルプレイを目当てに買う人には、ボリュームもそこそこあって、十分遊べる内容だと思う。PCゲームほどマニアックに遊ばないけど、PS2で軽く特殊部隊系ゲーム遊んでみたい、という人にはピッタリだ。でも、そんな人にこそ、「マルチプレイなんですよ!」とオススメしたいのも事実。
そう、やはりシングルはシングル。“超個人的な感想”を極端に言ってしまうと、「シングルはマルチのための操作練習であり、ネットに接続していない環境での本作はその面白さの半分も味ってない」と言ってもいい。これじゃシングルがつまらんみたいな言い方だけど、実際はそれ以上にマルチプレイが面白すぎるだけなんですけどね。
■ 本作の醍醐味、マルチプレイはどこが変わったのか? 特殊部隊側とテロリスト側、最大8対8に分かれてのチーム戦を戦うマルチプレイ。これこそが、本作最大のウリであり、お楽しみポイントなのである。今回は、マップやゲームバランス、システム面など、前作の不満点がいろいろ解消されていて、さらに完成度が高まっている。ここで、どういった部分が変更されたか記しておこう。 まず大きいのが、各種武器の追加やバランス変更だろう。今回はテロリスト側にもサイレンサー付きの武器が用意されたのは嬉しい限り。また、グレネードやクレイモアといった携行品としてロケットランチャーが選べるようになった。ロケットランチャーは発射までスキが大きいが、絶大な威力を誇る。 前作では凶悪な待ち伏せ戦法などに使われていたクレイモアだが、今回はシールズ側がクレイモア(手動爆破)、テロリスト側が地雷(自動爆破)に変わった。さらにクレイモアや地雷は爆風、弾丸などで誘爆が可能になっている。これは結構大きなバランス変更だ。前作では待ち伏せ戦法はかなり有利で、第三者視点の利点を利用して、壁に隠れてクレイモアでキャンプしたり、ガチガチに守備されるとかなりキツイマップなどもあった。最初のラウンドをとったら、後は全員でクレイモアを仕掛けてずーっと自陣で待ち伏せたり、とか……。 が、この誘爆システムのおかげで、待ち伏せ側が弱体化している。クレイモアを発見したら、手榴弾を投げれば一掃できるし、遠くから狙撃して破壊する事も可能になった。今回はクレイモアや地雷はよほど設置場所を考えないと効果が薄く、逆に薄暗いマップで物陰に隠すようにセットしたり、ジャングルの茂みに目立たないように置いたりしないと、なかなか引っかからないだろう。守備用としてよりも牽制や奇襲で使うパターンが多くなったわけだ。 新しいマップも多数追加され、前作は破壊(相手チームの爆破)、制圧(相手チーム全滅)、脱出(人質救出)の3つしかなかったルールに、護衛(シールズ側がVIPを保護)と、突入(テロリストの基地へシールズが突入)が追加されている。ちなみに前作であったマップは大半がリニューアルされ、固定機銃やゲートが設置されたり、地形がマイナーチェンジして、バランスが若干変わっている。 ルールといえば復活(リスポーン)の要素も新たに加わった。制圧ルールのラウンド数1、時間20分固定になるが、死んだ後に何度でも復活できるようになったのだ。これはよくPCのFPSであるような、チームデスマッチモードそのものである。ゲームバランスは他のモードと明らかに異なり、“死んだらそのラウンドはおしまい”の緊張感は薄まるが、逆に何度倒されても突っ込んでいける爽快感はアップする。 細かなシステム面では、体力メーターが画面右下に表示されるようになり、赤外線スコープが携行品に加わっている。あと忘れちゃいけないのが、敵を倒すとその死体の周囲でダンスが踊れるようになった点。前作では敵を倒したら、左右の“のぞき見”動作を繰り返して、踊ってるように見せて、相手を挑発したり、喜びを体で表現したりした。複数でこれをやるとまるでウェーブしてるみたいにマヌケなダンスで、倒された方も苦笑い、ってな感じで微笑ましいわけだが、それがよほど世界中で横行(?)したのか、本作ではデフォルトで挑発ダンスが選べたりする。もう、気味悪いほど、スムーズに、ヌルヌル動いて踊ります。 ゲーム中で大きな変更点をざっとあげただけでも、これだけある。他にも、ロビーでボイスチャットができるようになったり、ボイスマスキングで音質を変えたり、さらに知り合いやクランメンバーを捜しやすくなったりと、細かい部分で使い勝手がだいぶ向上している。全体的なレスポンス(キーを押してからの反応など)は前作よりはるかに軽快になっているのも、なにげに嬉しい。 唯一、パワーダウンしているというか退化しているのが、部屋名に日本語が使えなくなった事くらいか。前作では部屋名に“初心者のみ”といった漢字表記ができてわかりやすかったが、本作は英字のみになっている。
あと不満点といえば、前作もそうだったが本作はさらにデータの読み込み時間が長くなっているのも気になる。特に起動時からタイトル表示までの読み込みが長く、いったん回線切れなんかでタイトル画面に戻ると、タイトルメニューが出るまでえらく待たされるのだ。こっちは早くオンラインアクセスして戻りたいのにー! とか結構イライラしてしまうかも。せっかくだから、HDD付けてる人にはHDDインストールで高速起動、みたいなのがあると、嬉しかったんですけどね……。
■ ゲーム機なのにパッチが!? 気になるネットパフォーマンス 筆者の場合、一番気になるのはマルチプレイのパフォーマンスだ。前作はラウンドのスタート、終了時などに突然回線が切れたり、ゲーム中にフリーズしたりする事が希にあって、ネット掲示板等でもよく話題になっていたりした。 今回、しばらくプレイしてみたが、回線の安定性については良くも悪くも、前作同様といったところで、安定して何時間も連続稼働してるかと思えば、日によってはいきなりフリーズしたり回線切れたり、3秒ごとに一瞬止まったり(カクつく)、なんて現象もあったりするようだ。 まぁ、前作も不安定でひどかったのは比較的初期の段階で、後半になるとわりと安定してきた、なんて意見もあるので本作も時間が経つと解決される問題かもしれない。このあたり原因はいろいろで、サーバーの混雑状況、ホストプレーヤーや自分の回線状況、回線業者の相性や、HUB、ルーターはもちろん、PS2のコンディションにもよるだろう。これはもう、ある程度はしかたない部分もあるとは思う。
しかし、前作と違い、本作はパッチを自動ダウンロードしてメモリカードに記録しておけるらしいので、もし可能なら、今度ぜひこういったネットコードの安定性向上に期待したい。配布されるパッチがマップ系なのか、単なるフラグなのか、プログラムの修正なのか、どういったものなのかはまだよくわからないが、メモリカードにセーブされるという事で、過度な期待はしない方がいいのだろう。しかしどんなものであれ、ゲーム機でパッチ配布をする、というのはなかなか意義があると思う。
■ 未体験の人へ……やってみると案外簡単なんデスヨ! はっきり言って、この手のゲームは万人向けではなく、好きな人と嫌いな人ではっきり好みが分かれると思う。画面写真を見て、あまり興味がわかない人がマルチプレイを遊んだとしても、“なんだかすぐ死んじゃうし、面白くないなー”で終わってしまうかもしれない。しかし逆にゲームは苦手だけど、銃に興味がある人、エアガン、サバイバルゲームが好きな人、ミリタリーマニアな人だったら絶対楽しく遊べるゲームなので、ぜひぜひ遊んでみて頂きたい。 操作方法やルール、マップ構造など最初は覚えることが多すぎて、手が出しづらいかもしれないが、実際に遊んでしまえば、実は初心者にも結構やさしいゲームだったりするのだ。 例えば、似たようなゲームである「カウンターストライク」は、もはや上級者と初心者の実力差が大きすぎて、また各マップの戦略も出尽くされてしまい、初めてプレイしようとする人にはかなり敷居が高くなっている。比べて本作は、視界が広く取っつきやすい第三者視点であり、ボイスチャットが気軽に行なえて、まだ初心者も多く、さらに頭に1発ラッキーヒットすれば上級者でもアッサリ倒せたりする。どんなにヘタクソでも、強いチームメイトに恵まれると、なんだか嬉しい気分になれるし、ボイスチャットで自分の行動や敵の動向を報告しているだけでもチームに貢献できるので、お手軽に“力を合わせて戦っている”感が味わえたりする。 なにより嬉しいのは、あまりお金がかからずに、しかもわりと全プレーヤー公平な状態で楽しめる、ということ。これがPCゲームだったら、手持ちPCの性能や(操作設定やバインド設定等まで含めた)環境によっては勝敗に大きく影響する。ところが本作なら、ほぼすべてのプレーヤーが回線状況以外は公平な環境(なにせ全員PS2で、同じパッドでの操作だ)で、しかも無料で楽しめるという点がすごく大きいと思う。 だいたい1試合、20~30分で決着が付くため、肩肘張らずに気楽に始められる点も良い。ただ、気軽に遊べる分、ついついもう1試合、もう1試合とプレイしてしまい、気が付けば朝になってたりするのだが……。 はじめは、基本ルールだけざっと読んで、後はネットで遊びながら覚えていくパターンでも十分楽しい(筆者がそうだった)ので、少しでも興味がある人なら、チャレンジしてみてほしい。もちろん、ネットワークアダプタがないなら、一緒に買うのもお忘れなく!
また、もしネットワークアダプタを無駄に遊ばせてる人がいるなら、これを機会にどうです? 実際に筆者の知り合いで某ゲームのためにネットワークアダプタ買ったけど、全然ハマると思ってなかった「SOCOM」ばかりプレイしてました、なんて人もいるくらいデスヨ!
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□プレイステーションのホームページ (2004年8月30日) [Reported by 三須隆弘]
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