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★PS2ゲームレビュー★

名作STGシリーズ2本をカップリング
「彩京シューティングコレクションVol.1 STRIKERS 1945 I&II」

  • ジャンル:シューティング
  • 発売元:株式会社タイトー
  • 価格:6,090円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(8月5日)



 PS2「彩京シューティングコレクションVol.1 STRIKERS 1945 I&II」は、株式会社 彩京がアーケードでリリースした縦スクロールタイプのシューティングゲーム「STRIKERS 1945('95年)」と「STRIKERS 1945 II('97年)」の2タイトルを収録した作品。タイトルに「Vol.1」と銘打たれているように、本シリーズは「Vol.2 戦国エース 戦国ブレード」、「Vol.3 ソルディバイド&ドラゴンブレイズ(仮称)」のリリースが予定されている。このうち「戦国エース」と「ドラゴンブレイズ」は今回が初のコンシューマ移植となるだけに、ファンにとってはどちらも非常に気になるところだが、その試金石という意味でも「Vol.1」を見逃すことはできない。まずは、基本仕様からチェックしていくことにしよう。


■ シンプルで明快な操作性・豊富な機体バリエーション

 元々がアーケードゲームということもあり、操作系を含めインターフェイスは非常にシンプル。「I」、「II」ともに操作方法は同じで、方向キーと左アナログスティックが自機の移動、□ボタンがメインショット、○ボタンとRボタンがメインショットの連射、×ボタンが援護機ボムにそれぞれ対応している。メインショットは、ボタンを一定時間押し続けてから離す(溜める)ことで、「I」ならフォーメーション攻撃、「II」ならスーパーショットが繰り出せる。ボタン配置はオプション画面で変更可能。

 ゲームモードは、一般的な4:3のTV画面にあわせてゲームバランスを調整した「ORIGINAL 1」、機体の動きにあわせて上下方向に画面をスクロールさせることで、アーケード版と同じゲームバランスを再現したという「ORIGINAL 2」、画面を90度傾けてアーケード版と同様に縦画面で表示する「ARCADE」の3つが用意されている。

「ORIGINAL 1」はもっともスタンダードなモード。コンシューマ向けに調整してあるというが、よほどコアなファンでもなければ違和感はほとんどないはず 「ORIGINAL 2」は機体の動きに比例して画面が上下にスクロール。オリジナルに忠実でも画面スクロールによる違和感が大きくプレイしていて気持ちよくない 「ARCADE」は縦置き可能なモニタ所有者向け。回転軸付き液晶モニタもいいが、液晶特有の残像が気になるところ。STGやACT向け液晶モニタとか、どこかにないものか……


 ゲームは第二次世界大戦直後の世界を舞台にしたIFモノだが、プレーヤーが操作する機体は、当時実戦投入された(あるいは考案された)実在の航空機たち。戦闘能力こそ現実とかけ離れたSFテイスト満載の爽快ブッ飛び系だが、外観だけでも“実在兵器”という点で、ミリタリーファンのココロを微妙にくすぐるものがあったりする。選べる機体は「I」、「II」ともに6種類。一部登場する機体が重複するため、両シリーズをあわせると計10種類ということになる。

 機体ごとに攻撃方法や機動性などが大きく異なるのも、「STRIKERS」シリーズの特徴のひとつ。自分好みの機体を探したり、あるいは苦手な機体をあえて選択したり、はたまた全機種クリアを目指すなど、プレイのバリエーションを増やすのに一役も二役も買っている。同じゲームでありながら、機体を変えることで何度でも楽しめるというスルメ的な味わいがあるのだ。

 攻撃方法は「I」、「II」ともにメインショットで敵を撃ち、状況に応じて一定時間メインショットボタンを押しっぱなしにして離す(溜め撃ち)「フォーメーション攻撃(I)」あるいは「スーパーショット(II)」を使い、堅い敵キャラクタの耐久力を削ったり緊急時に「ボム」を使うといった具合。メインショットは、特定の敵キャラクタを倒すと出現する「パワーアップアイテム」を取るごとに強化される。1段階目から「援護機(サブウェポン)」がひとつずつ追加され、メインショットともども最高4段階までパワーアップできる。「ボム」は、「I」なら6個、「II」なら9個までストック可能。ただし、ミスをしたら初期設定の2個に戻されてしまうため、ハイスコア狙いの人以外は危機を察知したら素直に使ってしまったほうが無難といえる。

 「フォーメーション攻撃(I)」あるいは「スーパーショット(II)」は、操作方法こそ同じだが、細かい部分で大きな違いがある。「フォーメーション攻撃」は、メインショットが1段階以上パワーアップしていればいつでも使用可能だが、「スーパーショット」は画面下にある“パワーゲージ”が一定以上溜まっていないと使えない。“パワーゲージはメインショットを敵にヒットさせるごとに増えていく。ゲージは最大3段階までストックでき、段階(レベル)に比例して攻撃力が高くなる。「スーパーショット」の攻撃力は、メインショットとは一切関係がない。

 これに対して「フォーメーション攻撃」は、メインショットのパワーアップ状態に比例して攻撃力が高くなる仕組み。「II」のほうが若干ややこしいが、敵の出現に応じて計画的に使っていくことができれば「今使うともったいないのかな……って、いつ使えばいいんだよ!」といったストレスを感じなくてすむ。ただ、計画性がなく脊髄反射だけで生きている筆者のようなタイプは、「I」のように1段階以上パワーアップしていればいつでも使えるシステムのほうが健やかにプレイできるような気がする。どちらが得か? と問われれば、正解は聞くまでもないのだが……。

「I」のフォーメーション攻撃。上画像のP-51「シールドフォーメーション」は敵弾が消せるという全機種のなかでも際立った特長を持つ 「II」のスーパーショット。レベル3の攻撃力は絶大だが、計画的に効率よくいきたい人はゲージの溜まり具合を考えながら使うべし ボムは機体ごとに性能が異なる。種類によっては緊急回避に使いにくいものがあり、その場合は先読みなど計画性をもって使うのがベスト



■ とっつきやすさ ~撃って壊す! 本能に根ざしたSTGの魅力を堪能~

気軽に遊びたい人も、とことんやりたい人も楽しめるのが「STRIKERS」シリーズの良さではないだろうか
 近年のシューティングゲームは、妙に凝った操作系やルール的な制約が付け加えられたものも少なくないが、「STRIKERS」シリーズは、シューティング本来の楽しさである「敵を撃って破壊する爽快感」が誰にでもすぐ味わえるという点で、非常に優れている。

 溜め撃ちこそ「I」と「II」で若干システムが異なるが、それ以外はほとんど一緒。各ステージ開始時に表示されるのは、そのステージに登場するボスキャラクタの重厚なグラフィックのみ。それが終われば、ポンと戦場に放り込まれる潔さ。あとは、出てくる敵を片っ端から撃ち壊していくだけ。ハイスコアを狙うなら、隠しボーナスやアイテムの金塊を逃さずゲットしていくといった楽しみが用意されている。アイテムの金塊は、一定のタイミングで変化する光沢の具合によって得点が変化する。非常にきめ細かい操作が要求されるぶん、ステージを通して成功したときのカタルシスは何物にも代えがたい。

 「そんなややこしいこと、できねーよ!」という人は、もちろん無理にやらなくていい。絶対にやらなければならないのは、出現する敵、さらにはステージの最後に登場する巨大かつ多彩な変形と攻撃パターンをもつボスキャラクタを倒すこと。ファンの間で“彩京弾”と呼ばれる高速弾などの非情な攻撃に曝されつつ見事1周目をクリアした人には、コンティニュー不可で難易度が飛躍的にアップした地獄の2周目が待っている。とにもかくにも、自分の力量が及ぶところまで存分に戦い、力尽きたらゲームオーバー。

 力が尽きるから、満足したともいえるし、していないともいえる。序盤ステージの出現がランダムで難易度が(比較的)低いということもあり、シューティングに不慣れな人でも「ここまでいけた」、「なんかできちゃった」、「次はもうちょいイケそう」といった感覚を味あわせてくれる“定番”シューティングゲーム。それが筆者の「STRIKERS」シリーズに対する印象だ。

 その裏づけというわけではないが、リリースから約7年が経過しているにも関わらず、全国各地のアミューズメント施設で「II」が元気に稼動している姿を少なからず見かける(さすがに「I」は少ない)。筆者の地元にあるゲームセンターでも根強い人気があり、定期的に入れ替わる新作をしりめに、いまだ撤去される気配がない。ゲームを作った人ではないにも関わらず(下手の横好きではあるが)いちシューティングゲームファンとして、こんな光景が、なんだか妙に嬉しかったりする。いつかは撤去されるのだろうが、なぜかそんな日が来ることを微塵も信じていない自分。

 「あいたたた。こいつ痛いわー。大丈夫?」と揶揄されるかもしれないが、何年かして、仮に撤去されたとしても、そこで「STRIKERS」シリーズを遊んでいた人に「以前、あそこに置いてあったシューティング、面白かったっすよねー」と問い掛ければ「ああ、良かったよねー」と必ず返事をしてくれるんじゃないだろうか。そんなポエムさえ脳裏に浮かんでしまうほど、良くできたシューティングゲームだと思っている。

こうして改めて画面を眺めてみると「ちょい温故知新が入りつつあるかな?」とも思えてしまうが、いったんプレイを開始すると、そんな気持ちはどこかにすっ飛んでしまう。このとっつきやすさ、遊びやすさは、つくづく“素晴らしい”と思ってしまう。いつでも安心して帰ってこれる場所、といったら大げさか



■ 世間的には旧作。価格が割高な印象は否めない

筆者のような人間が発売日に即購入するのは、もはや“業”としか言いようがないが、それ以外の人たちは……ねぇ。現在の仕様では「DVDで力尽きた」といわれても反論できない気がする
 さて、「STRIKERS」シリーズの良さをひとしきり吐露させていただいたあとは、肝心のPS2版について、少しだけ触れておきたいことがある。これから述べることは、かつて現役で「STRIKERS」シリーズをプレイしていた人、あるいは稼動直後に株式会社アトラスから発売されていたコンシューマ版を購入した人たちの大半が、恐らくは同じ感想を抱いているはず。ぶっちゃけてしまえば“苦言”というやつだ。

 PS2版は、一般世間的にいえば'95年と'97年にリリースされたシューティングゲームを“カップリング”して再販したに過ぎない。もっと正確にいえば、アーケード版の稼動後にリリースされた“プレイステーション版”がベースになっている。ベースになっているというか、ほぼ“そのまんま”PS2で稼動するようコンバートされただけに見える。筆者はPS版とセガサターン版「I」と「II」をそれぞれ所有しているが、メニュー周りやグラフィックパターンなどから、これはほぼ間違いないものと推察される。

 近年、PSやPS2の新作は、半年~1年程度の期間をおいて“廉価版”がリリースされるのが通例となってきている。PSは過去の作品をベスト版として再販されるケースがほとんどで、コンシューマ版の「STRIKERS」は、PS版「I」こそ再販されていないが、「II」は株式会社サクセスから「SuperLite 1500シリーズ」として1,575円(税込)で再販されている。パッケージこそ簡素だが、中身は削られることなく(当然追加もなく)収録されている。

 そこにきて、本作である。PS版「I」と「II」が1枚のディスクに収録されている以外は、こちらもなんら手が加えられている気配がない。衰退いちじるしいシューティングゲーム業界だから「再販されるだけでも御の字」かもしれないが、それにつけても6,090円という新品価格でこの内容は、“無味乾燥”すぎやしないだろうか。“コレクション”と銘打つなら、せめて当時の資料くらいは付加してしかるべきだと思うのだが、それすらない。凄腕プレーヤーによるスーパープレイが収録された初回特典のDVDは確かに魅力的だが、それも初回プレスが掃けてしまったら、どうなるのか。次からは本当に「DVDなし」になるのか? だとしたら、実質的にPS版「I」と「II」に対して6,090円の対価を払うユーザーが、どれだけいるのだろうか。

 パッケージ裏の一番上に記されている“往年のアーケードゲームの名作をもう一度!”というキャッチが真意であるなら、本作のどんなところが名作であると考えているのだろうか。「往年の名作」と「旧作」は紙一重で、ただお題目的に唱えるなら、本来備わっているであろう真実も、パッケージを手に取った新規ユーザーに伝わるはずがない。新規ユーザーにもアピールしたいならお買い得感を打ち出してアプローチする方法も十分アリかと思われるが。

 筆者が、なぜこれほどまでに苦言を呈しているか。それは「STRIKERS」シリーズが“まぎれもない名作”だと思っているからだ。仮に「STRIKERS」シリースを知らない人が本作を買ったとして、それを見て損をしたなどと微塵も思ったりはしない。中身は間違いなく素晴らしいシューティングゲームであり、初回特典のDVDも向上心を激しく刺激する(あるいはため息がもれる)映像がたっぷり詰め込まれている。

 だからこそ、である。古今東西のシューティングゲームファンをガッカリさせないため、さらには新規ユーザーの興味を喚起するうえでも、本シリーズに対してはなおさら“細部まで丁寧にプロデュースしていただきたい”と願ってやまないのだ。ゲーム自体はしっかりしてるのに、外側がプレハブの安普請というのはいただけない。豪華絢爛でなくてもいいから、手を抜くことなく質実剛健で力強くガン! とアピールしていただきたい。“往年の名作”なら、相応しい遇しかたというものがあるはずで、「Vol.2」、「Vol.3」にはそのあたりを期待したい。

(C)TAITO CORP.2004
(C)X-nauts/PSIKYO

□タイトーのホームページ
http://www.taito.co.jp/
□クロスノーツのホームページ
http://www.x-nauts.com/
□製品情報
http://www.taito.co.jp/d3/cp/strikers1945/
□関連情報
【7月23日】タイトー、PS2「STRIKERS 1945」に「スーパープレイDVD」を同梱。「彩京シューティングコレクション」Vol.2、Vol.3も発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040723/taito.htm
【4月23日】タイトー、往年のアーケードゲームの名作が帰ってきた! PS2「彩京シューティングコレクションVol.1 STRIKERS 1945 I&II」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040423/taito.htm

(2004年8月20日)

[Reported by 豊臣和孝]


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