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Gravity本社訪問レポート
開発やサポートと同規模の海外向けスタッフを擁し、
世界に「ラグナロクオンライン」を提供



本社ビル一階の「カプラセンター」。グッズも入手でき、ユーザー自身がイベントを開催することもできる場所だ
 世界のプレーヤーが一堂に会し、世界一の座を競った「Ragnarok World Championship 2004」。この大会が終了した次の日、今大会を主催したGravityは日本を始めとした各国のプレスを本社に招いた。

 Gravity本社ビルは、ソウルの「アックジョン」と呼ばれる地域にある。日本で言えば、青山や代官山のような、ちょっとおしゃれな雰囲気のところだという。目の前には、中学校がある。

 本社ビル1階は、テーブルとイスが並ぶオープンカフェのようなスペースになっている。この場所は「カプラセンター」という場所で、一般の人たちも気軽に利用できるという。左手にはPCが並び、インターネットの他、「ラグナロクオンライン」が楽しめる。

 右手は大きなスペースで、「ラグナロクオンライン」のグッズを展示、販売している。ペーパークラフトや、フィギュア、ポリンのぬいぐるみ、ノート、さらには「毛布」まであるという。ここは、世界で一番早く「ラグナロクオンライン」の新製品グッズが販売されるところ。ファンが購入に来ることも多く、売れ筋はやはりフィギュア、ぬいぐるみとのこと。韓国でしか販売されていないグッズを求めて、日本のファンもここを訪れることがあるという。

 一階にはさらにステージがある。ここでは、コスプレが楽しめる衣装や、ポリンの着ぐるみを無料で貸しだしてもらえ、撮影をすることができるという。「ラグナロクオンライン」を提供している会社のイベントスペースということで、韓国のギルドはこの場所を積極的に利用しているという。

 イベントスペースの利用には予約が必要で、特に夏休みの土日は、現在予約が一杯になっているという。一度に、20~10人、だいたい1ギルド程度のファンが利用するとのこと。韓国のユーザーは、オフ会を積極的に開催する傾向があるが、コスプレ撮影会もできて、その場でPCを使ってみんなで一緒にプレイをすることも、買い物も、歓談も楽しむことができる。

 このスペースの規模は、韓国内で最大のものであり、人気の高さもうなずけるものがある。ファンの要望をかなえた場所といえるだろう。ソフトドリンクも販売していて、食べ物の持ち込みは自由、学校帰りの人が気軽に立ち寄って時間を過ごすこともできる。さらにここにはPS2や、Xbox、カラオケまであり、ちょっとしたアミューズメント施設といった場所だ。

 本社ビルとのことで、時には熱狂的なファンが、ゲームのルール等に関して直接意見しに来ることもあり、その場合には、勤務しているユーザー担当のGMなどが対応することもあるという。

ここでしか入手できないグッズの他に、衣装を着てステージを借り切ることも


 続いて我々が案内された場所は、最上階である6階。ここは開発を担当するフロアで、アップデートで実装されるさまざまなプログラムやデータを開発し、テストしているという。他に、ホームページの運営チームなどがこのフロアに勤務しているという。

 現在、2Dのキャラクタ開発では、伝承システム(日本名では「転生システム」)を担当、スクリプトチームは新しいクエストを作り出しているという。3Dチームは、ゲフェンの4階に当たる場所、「ゲフェニア」を作成しているとのことだ。

 また、フェイヨンの街の「再開発」も計画されているとのこと。日本のスタッフの協力を得て作られた新しい街アマツの出来が非常に良く、日本色豊かな場所になったため、「ソウルをイメージして作られたフェイヨンも、韓国の特色をもっと感じられるようにしてほしい」という国内のファンの要望が、非常に高まったとのことだ。

 その参考にしているということもあるのだろうか? 開発室でスタッフのPCにはアマツのマップが表示されているものが多かった。残念ながら、開発中の画面は見ることができなかった。また、後述する「ROSE ONLINE」の画面も確認できた。

 筆者は、何度か他の開発者のスペースを見学させてもらったことがあるのだが、この開発室でも、PCの周りに、フィギュアやプラモデルを所狭しと並べている開発者がいて、「どの国でも変わらないんだなあ」という感想を持った。置いてあるグッズはアメコミのフィギュアだけでなく、ガンダムの最近のプラモデルや、スーパーロボット関係のグッズなど、「日本の最新」と、まったく変わらないラインナップだった。ジャンプなど、日本の漫画をそのまま読んでいる人もいて、日本に強い興味を持つ人も多いようだ。


6階の開発室。ここで「ラグナロクオンライン」は日々、生まれ変わっているのである

運営を担当する5階。GMをはじめ、多くのスタッフが、安定したサービスを目指し、ユーザーをサポート
 5階は、「運営」を主に担当しているとのこと。35名のGMがユーザーに対応、8名がハッキング対策、25名がユーザーサポート、といったように、多くの人数で、安定したサービス提供を目指しているという。開発と同規模のサポートスタッフを集め、運営に注力する姿勢は、MMORPGのメーカーならではだ。

 4階は海外への対応を行なっている人々の職場。通路には各国の「同時接続者数」が掲示された世界地図があった。ちなみに、日本の数字は約10万で、韓国は約3万ほど。これに対し、台湾・香港エリアは約34万。この地図でもダントツに多い数字であり、「Ragnarok World Championship 2004」での優勝を裏付けるような人気の高さだった。

 この地図の掲示は1週間に1度更新されるという。地図には東南アジア、ヨーロッパの他に、これから提供するブラジルの表記も確認できた。世界に拡がっていく「ラグナロクオンライン」をまさに象徴する地図であり、この地図がスタッフの発奮を促すのであろう。

 4階には、日本のガンホーと同じように、海外で「ラグナロクオンライン」を運営しているスタッフに向けての、データーベース管理や、運営プログラムのアップデート、さらにスクリプトの翻訳など、多くの部署がある。どの部署にも語学に堪能なスタッフが勤務しているという。

 日本のメディアを案内してくれた海外マーケティング部 アジアビジネスグループマネージャーの中谷亜紀子さんの職場である「海外マーケティング部」もこのフロア。中国や、台湾など、他のさまざまな国との交渉を行なうそのブースは、企業のオフィスを思わせる雰囲気もあって、他の開発部然としたところとはちょっと違う空気があった。

 海外マーケティング部のスタッフは、説明会でも大きく活躍。スタッフが話す韓国語を、順番に各担当者がそれぞれの言語に訳し、発表をする。なによりも、世界の強豪が集った「Ragnarok World Championship 2004」自体も、彼らなくしては進行しなかっただろう。

 このオフィスを初め、4階には空席がいくつかあった。そのスペースは、「これから」のものなのである。海外に向けて「ラグナロクオンライン」が発展し、国が増え、新たなスタッフが参加をする。4階はGravityが「世界に向けて発展をする」会社であることを、強く印象づけるフロアであった。

 今回、案内されたフロアはここまで。ちなみに、3階は会長の金正津氏のオフィスと、「次回作」の開発を行なっている場所、2階はモバイル関係のフロアとのことだ。


ユーザー数が表示される地図。数字は先週の月曜日とのこと 4階は、海外に向けて、語学が堪能なスタッフが集結している 海外マーケティング部の中谷さん。「RWC」では、選手のサポートも

 この後に開かれた昼食会では、会長の金正津氏がテーブルに同席していただけたため、話をうかがうことができた。「Ragnarok World Championship 2004」の開催に関しては、「スーパーコンサートも含めた数字だが、7万人もの来場者を集めることができた。反省点も見つかったが、成功したということに関して、満足している」とのこと。

金会長との昼食会。さまざまな質問にお答えいただいた
 韓国チームの初戦敗退に関しては、国内で予選を大きく取り上げたことで、情報が露出しすぎて、そのために各国に対策をとられてしまったのではないか? とコメント。金会長の話によれば、優勝した台湾チームは、出場したメンバー達は、20日ほど寝食を共にした「強化合宿」をすることで、実力を磨いていたという。

 韓国チームで同様のことができるか? という質問には、「メンバー達の学業や仕事といった面で、考えなくてはいけない。お金や場所はフォローすることができるが、「時間」を提供することは難しい」とお答えいただいた。

 「Ragnarok World Championship」の次回の開催地は? という質問には、「やはり日本で開催したい。アメリカという選択肢もあるが、日本と比べると、国土が広いため交通の問題や、人を集めることが難しい。優勝した台湾も候補のひとつだ」とのこと。
 
 金会長は、「MMORPGは、なによりもプレーヤー達との『コミュニティー』に1番注力していきたい。このコンセプトを変えずに、今後、さまざまなことを考えていきたい」と語った。

 また、韓国国内で、「ラグナロクオンライン」以外のコンシューマーに向けたタイトルを準備中とのことだ。さらに、東京ゲームショウでもGravityとして、新たなタイトルを出展するとのこと。それが、後述する「ROSE ONLINE」か、それとも別な“隠し球”が用意されているのか? 今後の情報に期待したい。



■Gravityの新タイトル「ROSE ONLINE」

 今回、この会社見学と共にプレゼンテーションが行なわれた「ROSE ONLINE」。ゲームベンチャーであるTrigerr Softが開発を行ない、Gravityがパブリッシャーを担当する。

 ゲームは、7つの星をめぐる、オリジナルな世界観を持つ。ムービーでは、バギーや飛空挺、さらには蒸気機関で動くロボットなどが登場。蝶の羽を持ち、空を飛ぶ魔法使いの姿も確認でき、頭身の低い、可愛いキャラクタが活躍するライトな雰囲気を持ったMMORPGだ。

 本作のセールスポイントは1,200以上のアイテム。デモで現れた男の子は、鎧だけではなく韓服なども着用。獣の頭蓋骨のような兜など、モデリングやテクスチャがが非常に細かく、街の建物の雰囲気など期待をもてる出来映えだ。武器も2刀流の日本刀から、トゲつき棍棒、爪型武器と多彩で、スキルを使った必殺技も確認できた。

 デモプレイではただ街を歩き、モンスターを殴っているだけだったが、韓国内では既にクローズドβテストが始まっており、最大同時接続者数は2万人を数えたという。Gravityのホームページでは、まだ公式ページも確認できないタイトルなだけに、人気の高さには驚かされる。8~9月頃にオープンβ開始とのことで、情報の開示にも期待したい。  


□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr

(2004年7月20日)

[Reported by 勝田哲也]


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