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「コルムオンライン」CEOインタビュー
キャラワイプ後に開ける「コルムオンライン」の未来とは!?

6月収録

会場:ネットクルー日本支社

 多くのユーザーにとって衝撃となった「コルムオンライン」第2次オープンβサービスの発表。基本的には、新規クライアントで再スタートを図るという、有料化に向けた前向きな内容だが、全キャラクタのリセットおよび既存サーバーの廃止という韓国産MMORPGとしては前例のない措置を執ることも併せて決定された。

 今年の1月にネットクルーが主催した「コルムオンライン」韓国ツアーでKang社長は、有料化にあたってキャラワイプは行なわないということを宣言していただけに、今回の措置は苦渋の決断だったことは想像できるが、長い時間をかけてレベルを上げ、コミュニティを築き上げてきた人には納得できない部分もあるのではないか。今回、2次βテストの開始に先立ち、Kang社長から「来日してインタビューを受けます」というオファーがあったので、この機会に気になる部分をまとめて聞いてきた。


■ キャラワイプ決断の理由について

編集部 まず最初に、2次オープンβサービス実施に至った理由をお聞かせください。

レアアイテムの概念が根本的に変わったのも理由のひとつ
Kang Tai Hyun氏 日本で「コルムオンライン」のオープンβサービスを実施して半年になりますが、まだ完成したゲームではありませんから、ユーザーの方々からゲーム性やバランス面など、さまざまな部分でご指摘を頂いて、ずっと検討を重ねて参りました。

 「コルムオンライン」は、今は無料ですが、最終的には有料化して、ビジネスとして成功させなければなりません。これから長い期間ユーザーに楽しんでもらえるゲームにするにはどうすればいいのかということを考え続けてきて、最終的に出した結論が、新しいクライアントで再度やり直すということでした。

 当然、既存のキャラクタデータは活かすという方向で改良を進めてきましたが、できあがってきたクライアントは、既存のゲームとデータの面で整合性が無く、無理に整合性を取ろうとすると世界がめちゃくちゃになってしまうということでした。

 最終的にどうするかということは社内でもかなりもめました。韓国では、5月から、既存のデータを活かしたサーバーと、新規スタートのサーバーの2種類で再スタートさせたのですが、詳しくは申し上げませんが大変な混乱がありました。日本で同じ失敗は繰り返せないですから、日本での再スタートでは、キャラワイプという決断を致しました。

 なるほど。「どうしようもなかった」というのはよくわかりましたが、しかしユーザーレベルでの発表では、この程度のことであれば必ずしもキャラワイプは必須ではなかったんじゃないかと思ってしまいます。つまり、今回の件に関しては、ユーザーに対しての事前説明が不十分ではないかと思うのですが。

Kang氏 そんなことはないと思ってます。既存のレベル上げの方式と、新クライアントでのレベル上げの方式がまったく変わっています。たとえば、アイテムが重量制になっていたり、スキル体系が大幅に変わっていたりと、要するにゲームが変わっているのです。

荒井秀定氏 私のほうからも少し補足させていただきます。アイテムに関しては、これまで主流だったセットアイテムやエクストリームアイテムがすべて廃止になっています。新旧を照らし合わせて考えると、これを統合することがまず不可能だということです。

 それからスキル体系ですが、これは体系うんぬんよりも、このままキャラクタを持ち越してしまうと、高レベルキャラクタが非常に有利になってしまうという理由が大きいです。どうしてかというと、新しいクライアントではレベルの上がり方が緩やかになっているので、さらに強いキャラクタが生まれてしまうためです。これはまずいだろうということで、キャラワイプを決断いたしました。

 最終的には全ユーザーの利益になる決断だと?

Kang氏 そのとおりです。我々もキャラワイプのデメリットは重々承知しております。それを行なってまで再スタートを切る価値があると判断した結果です。長い時間をかけてレベルを上げて、バトルダンジョンを楽しんでいたユーザーにとっては残念な話ですが、新しいクライアントでは、スキルが多彩多様になって、グラフィックスも美しくなり、そしてゲームが軽くなります。最終的には満足して頂けると確信しております。

 サーバーからクライアントからすべて新しくして再スタートを切るということは、新しいゲームがスタートするということですが、なぜ最初からやり直そうと思ったのでしょうか。

Kang氏 ゲーム性に問題があったと認識しております。たとえば、ユーザーからは、簡単で遊びやすいという評価をいただきましたが、これは裏返せば、簡単すぎてすぐ終わってしまうということです。これでは長期間遊んでもらえるゲームとは言えませんので、新しいクライアントでは、すべての面に置いて複雑多様にすることを心がけました。

 もうひとつはコミュニティ機能が弱かった思ってます。これまではソロでレベル上げが簡単にできましたが、新しいクライアントではパーティーを組む必要があります。たとえば、これまではポーションをいくらでももてたのですが、新しいクライアントでは重量の概念がありますので、大量に持つことはできなくなっています。


■ 2次オープンβサービスの内容について

新しくなったスキルシステム。スキルツリー方式なので、多くのスキルを覚えなければ上級のスキルにアクセスできない
 7月1日から2次オープンβサービスがスタートするわけですが、今後「コルムオンライン」はどのような進化を遂げていくのでしょうか?

Kang氏 βテストというのはそもそも改善を目的として行なわれるものですから、我々も当然新しい企画を考えていきますが、それ以上にユーザーの意見をよく聞いて、それからじっくり方向性を見定めようと考えております。

 そうすると、7月1日に導入される新クライアントは、Kang社長としては完成度としてはどのぐらいだと見ているのでしょうか?

Kang氏 そうですね。まずグラフィックスが綺麗になった。スキルが多様になった。以前よりも楽しくプレイできるゲームになったのは間違いないと思います。

 しかし、サマナーが選択できなかったり、サーバーの数を1つにすると言っておきながら、2つにすると訂正したりなど、外部から見ると準備不足の見切り発車ではないかという気もします。

Kang氏 確かに準備不足の面は否めないと思います。ただ、先ほども言いましたようにβテストは、あくまでもテストであり、今後の方向性を模索する段階ですので、必ずしも準備万全である必要はないという風に考えております。

 今回の新クライアントで、ここを注目して欲しいという要素は何でしょうか?

荒井氏 見て欲しいところは沢山ありますが、個人的にはスキルシステムでしょうか。新スキルに加えて、スキルツリー方式が採用され、使用頻度の少ないスキルがなくなってます。あとはコスチュームでしょうか。日本人の好みを意識してデザインされた多数のコスチュームが新たに取り入れられています。

Kang氏 あとはクラス間のバランスを取りました。たとえば戦士は非常に弱いという指摘が多かったのですが、今回戦士のスキルを大幅に充実させ、十分な強さを持たせました。個人的に気に入っているのは、モンスターのAIです。これまでは単純に冒険者を認知して襲うだけだったのですが、今回はノンアクティブモンスターや、リンクするタイプ、アクティブなタイプなど複数のAIを取り入れました。

 今回実装が見送りとなったサマナーについてはいかがですか?

Kang氏 サマナーは、βテスト開始以来深刻なバグを抱えていたのと、それからサマナーというクラス自体の個性が弱かったため実装を見送りました。結果的に今回は間に合いませんでしたが、これまでに多くのサマナーから要望を聞いて開発に着手しております。

 バグを取り除くことはもちろんですが、どう個性を出していくかということに関しても検討を重ねております。サマナーの皆さんに安心して頂きたいのは、サマナーは無くなったわけではなく、現在改良を施している段階であるということです。

 実装はいつぐらいになるんでしょうか?

Kang氏 まだ多くが企画段階ですから、数カ月は待って頂くことになるかと思います。期待して楽しみにしていてください。

 第6のクラスが実装される予定はあるのでしょうか?

Kang氏 その予定はありません。βテストでは、まず4つのクラスとサマナーの調整を行なっていきます。

 クラスごとに男女が選べるようになると嬉しいのですが。

Kang氏 現時点ではその予定はないのですけど、個人的には選択の余地を与えるべきだと思っております。いずれは選択できるように働きかけていく考えです。

【新コスチューム:ファイター】

【新コスチューム:レンジャー】

【新コスチューム:プリースト】

【新コスチューム:ソーサレス】


■ 将来的にはクエストダンジョンや国家戦を導入

重量制限があるため、キャラクタひとりの戦力が制限されることになる。パーティープレイが重要になりそうだ
 話は変わりますが、今年1月に社長にインタビューした際に、日本オリジナルのマップ、ダンジョン、最終的には日本オリジナルの職業も追加すると明るい展望を話されましたが、こうした構想は、今後実装されると期待していいのでしょうか?

Kang氏 現在はまだそうした国別のオリジナル要素の拡充の段階ではなく、ゲームの根本的な要素を見直している段階です。すべてを段階的に実装していくということは現時点では明確にできませんが、今後ゲームが安定してきたら、拡張要素のひとつとしてローカライズされるということはありえると思います。

 結論としては、引き続き期待してください、という感じでしょうか。

Kang氏 そう考えて頂いて結構です。我々はわずか数カ月で今回の新しいクライアントを開発しました。この開発力を評価して頂きたいと思っております。

 日本で運営を開始して早半年が経過したわけですが、これまでの日本運営についてどのような評価をしていますか?

Kang氏 運営を開始してから、数多くのユーザーから意見をいただいて、時には痛い思いもし、時には勉強しながら、これまでやってきました。今回の新バージョンがそれらを反映した結果であるという風に評価しております。

 最近日本法人も設立されましたが、運営面で何か変化はありましたか?

Kang氏 実際のスタートは来週の火曜日ですから、今はまだ準備期間ですが、日本法人を設立した理由は、MMORPGの運営に必要不可欠な、ユーザーの意見を聞いて、それを開発側に受け渡すという作業を、ユーザーに身近な形で行なえるようにすることでした。今回雇ったスタッフもすべて「コルムオンライン」の熱心なユーザーですし、我々がユーザーの意見をいかに大事にしているかということがわかっていただけると思います。

 現状ですと、日本法人イコール日本人GMということですが。

Kang氏 それは、その直前の状況で判断することであって、現時点でははっきりお約束することはできません。

 そうすると、「コルムオンライン」のオープンβテストは、有料化に向けての序章期間というよりは、本当の意味でテストなわけですね。キャラクタのデータ保全は約束できないけども皆さん協力してください、というような。

Kang氏 そうですね。いいゲームにするためのテストです。今回のキャラワイプも我々は間違ってなかったと確信していますし、ユーザーの皆さんも後で良かったと思って頂けると思っております。

 有料化の時期についてはいかがですか。当初の構想では7月1日が有料化だったという風に聞いておりますが。

Kang氏 それは「コルムオンライン」の運営が落ち着いてからとしか現段階では申し上げられません。ただ、有料化して、ビジネスとして軌道に乗せないと、より多くの要素を追加しにくいということもありますので、一刻も早い安定的運営を目指して頑張っていきたいと考えております。

 先のお話では、いろいろ企画段階であるということでしたが、具体的にどのようなものなのか教えて頂けませんか?

Kang氏 ひとつは、クエストを行なうクエストダンジョン、それから水中ダンジョンといったダンジョンのバリエーションですね。バトルダンジョンも今後拡張して、国家戦や世界戦などを実現していきたいと考えております。

 それでは最後にユーザーに対してメッセージをお願いします。

Kang氏 今回、2次βテストと称して、キャラクタワイプということを決断いたしました。これは悩んだ末の決断ですが、この背景にはユーザーの皆さんに満足頂けるゲームにしたいという願いと、ユーザーの意見を反映させた結果です。今は不満かもしれませんが、将来的にはきっと満足して頂けるものと確信しております。引き続き「コルムオンライン」をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。


(C) NETCLUE CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

□ネットクルーのホームページ
http://www.netclue.co.kr/
□「コルムオンライン」のページ
http://www.corum.jp/
□「第2次オープンβテストに関するお知らせ」のページ
http://www.corum.jp/news/notice_read.asp?Gubun=1&Coidx=419
□関連情報
【6月9日】Netclue、「コルムオンライン」第2次オープンβテスト概要発表
新サーバーに伴うキャラクタデータの移行はなし
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040609/corum.htm
【2003年12月22日】ネットクルー、「コルムオンライン」のオープンβテストを1月1日より実施
ダンジョンを獲り合う異色3DMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031222/corum.htm

(2004年7月1日)

[Reported by 中村聖司]


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