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★GCゲームレビュー★

仲間か道具かはプレーヤー次第?
新ピクミンを加えて借金返済の冒険へ

「ピクミン2」

  • ジャンル:AIアクション
  • 発売元:任天堂株式会社
  • 価格:5,800円
  • プラットフォーム:ゲームキューブ
  • 発売日:発売中(4月29日)

 「ホコタテ運送」に勤務するキャプテン・オリマーは、宇宙旅行中に謎の惑星に不時着して、不思議な生物“ピクミン”に出会う。ピクミンたちの助けを借り、オリマーは無事ホコタテ星に戻ることができた。これが前作「ピクミン」のストーリーで、今作はその直後からストーリーが始まる。オリマーがホコタテ星にいない間に、「ホコタテ運送」は新入社員ルーイの大失敗によって倒産の危機に直面していた。オリマーのお土産品に高い金銭的価値があるということが判明し、「ホコタテ運送」を救うべく、社長の命令でお宝回収のためにオリマーとルーイ2人が再び、ピクミンの住む星へと向かうことになった。

 ピクミンに指示を与えてお宝を集め、10,000ポコの借金返済を終わらせることがこのゲームの目的。前作でオリマーが偶然出会ったピクミンたちは、今回もけなげにプレーヤーキャラの後について回り、従順に指示に従ってくれる。前作で登場した「あか」、「あお」、「き」ピクミンのほかに、「しろ」、「むらさき」ピクミンという2種類の新種のピクミンが加わった。また、プレーヤーキャラがオリマーとルーイの2人となり、1人でプレイする際は、2人の操作を随時切り替えることで、多角的にフィールドを攻略できる。そして時間の流れが存在する地上に対して、多くのお宝が眠る地下世界の洞窟には時間の流れが存在せず、じっくり時間を気にせず気の済むまでお宝探しができる。


■ 5種類のピクミンと過ごす航海日誌の始まり

 プレーヤーが操作するのは、ホコタテ運送から借金返済の任を負ってやってきたオリマーとルーイの2人。後をついてくるピクミンに対して、スティックで誘導したり、ボタンを押してピクミンをつかみ、離して投げるという行為でやんわりとピクミンに目的を示唆する。例えば、破壊できる壁に誘導すると壁に取り付いてせっせと破壊し始め、敵対生物に向かってピクミンを投げつけると、取り付いてポコポコと殴りかかるという具合だ。壁を壊したり、敵対生物と戦ったり、橋を架けたり、壁物を運ぶなど、ピクミンに手助けしてもらって広大なエリア、また地下洞窟でお宝を探索していく。

 テレビCMの歌詞のようだが、ピクミンの特徴は以下の通り。

「あか」ピクミン 「あお」ピクミン 「き」ピクミン
火に強く、炎の罠や炎系の攻撃を受けても燃えない。また攻撃力が高いので、敵対生物との戦闘には大量に投入したい頼れる存在 水に強く、溺れないので水のある場所に連れていける。水を移動できるのは「あお」ピクミンだけなので、状況に応じて豊富に蓄えておきたい 電気に強く、電流の流れる鉄格子の扉を破壊したり、電気系の敵対生物を倒すのに欠かせない。また、投げるとほかのピクミンよりも高いところまで飛ばすことが可能
「むらさき」ピクミン 「しろ」ピクミン
体重が他のピクミン10匹分あるかわり、物を運ぶときも10匹分の力を発揮する力持ち。難点は、足が遅いこと 毒に強く、体内に毒を持っており、敵対生物が食べるとダメージを受ける。また、地中に埋められたものを見つける能力も持ち、埋まったものの上を通ると反応して掘り起こし始める。ほかのピクミンも、下の方だけが埋まって上部は見えているものは掘り出せるが、完全に埋もれたものを見つけられるのはしろピクミンだけ。そして足も早い


 ピクミンの住む星には、敵対生物となる大小さまざまな生物が多数存在するほか、炎や電気、毒ガスの罠、水のある地形など、危険が溢れ返っている。そこで、上記のピクミンの特徴をつかんでうまく使い分けることが求められる。中でも電気と溺死には要注意。火、水、毒を受けた直後のピクミンは笛で集合をかければ助けられるが、「き」ピクミン以外のピクミンが電気に触れた場合は一瞬で感電死してしまう。また、浅瀬でおぼれたピクミンは笛で呼べば岸に這い上がって助かるが、高い地形から落ちて水にはまったりするとまず助からない。

 Bボタンで笛を吹いてピクミンや相棒を集合させたり、Xボタンで解散させることができる。ピクミンを解散させると色ごとに集合する特徴があるので、特定の色だけを連れ歩きたいときは、プレーヤーキャラの前方に表示されているカーソルを必要な色のピクミン集団に合わせて、そこだけ召集する。このようにして敵対生物や場面に応じてピクミンを使い分けないと、一瞬にして大量死させてしまうこともある。

解散すると、色ごとにまとまるピクミン。欲しいピクミンの群にカーソルを合わせて短く集合ボタンを押せば、狭い範囲に呼び出しがかけられ、必要な色だけ連れていける 「ブタドックリ」の吹き出す炎で、「むらさき」ピクミンが燃えてしまった! 急いでBボタンで集合させれば、炎を鎮火できる 敵対生物を倒した後、それを運んで勝手に災難に遭っているピクミンの救出に向かった。安全ルートと思っていたら、出現する敵対生物が変わることもあるので気を抜けない


 ピクミンは1匹だけでは“か弱い”存在だが、増やせば同時に100匹まで連れ歩くことができ、人海戦術で敵対生物に殴りかかって巨大な敵対生物とも渡り合える。メインのモードでは少量のピクミンを元手に増やしていくのだが、ピクミンを増やすという行為自体も楽しいものだ。前作では日数制限があったため、ピクミンを増やすことに時間を使いすぎると必要なものを集める時間が減るというジレンマがあったが、今作ではピクミンの増殖に思う存分時間を費やせるのが嬉しい点である。

 「あか」、「あお」、「き」ピクミンの増やし方は、主に地上にある「オニヨン」と呼ばれる母体を使う。倒した敵対生物や、「ペレット」と呼ばれる栄養源をピクミンに運ばせると、自動的に「オニヨン」に運び込み、それらを栄養にして「オニヨン」がピクミンの種を吹き出す。種が着地するとすぐに地中から芽が出るので、Aボタンで引っこ抜くとピクミン誕生となる。ペレットだけでもピクミンを増やせるが、やはりさっさと増殖するなら敵対生物との戦闘は避けて通れないところ。

 「むらさき」、「しろ」ピクミンを増やすには、地下の洞窟内にある「ポンガシグサ」にピクミンを投げ込み、色を変える。「ポンガシグサ」は洞窟にしかなく、一定量を吐き出すと消えてなくなるため、見つけたら出来る限り全部使って「むらさき」、「しろ」ピクミンを作っておきたい。

 特定の敵対生物や配置物を破壊すると大地のエキスが出現し、これを吸うとピクミンは成長して花を頭に咲かせ、移動速度が速くなる。特に足の遅い「むらさき」ピクミンはおいてきぼりにしやすいので、早めに花ピクミンにしてから連れ回った方がいい。あまり距離を引き離しすぎると「フリーピクミン」となってその場にとどまってしまうので、長距離を移動するときは時々立ち止まるなりして間隔を調整しよう。

オニヨンに倒した虫やペレットが運び込まれると、ピクミンの種を吐き出す。ピクミンは100を超えて地上には出られないので、それ以上はオニヨン内で増える 「ポンガシグサ」は洞窟内にしかなく、一定量のピクミンを吐き出すと枯れてしまうため、地上のオニヨンのようにいつでもピクミンを増やせるわけではない カメラは真上視点と斜め視点、3段階のズームがある。真上視点で一番引いて見ることが多いが、斜めで寄って見ると実は背筋を使ってこんなに頑張っているのがわかる


 目的を成し終えたピクミンはその場に佇むか、その付近に敵対生物や破壊可能なもの、運べるものがあると、新たな対象に取り付いていく。フィールドで壁や仕掛けを破壊させたりする時は、一度指示を与えたからといってとても安心して放っておけない。ちょっと傍について見てあげるだけでいいのだが、勝手に倒した敵対生物を運び始めて移動する途中で敵対生物に食われてみたり、付近の敵対生物をサーチしてなぐりに行って食われてみたり、まるで手の掛かる子供を扱っているような感じだ。そんな憎めないピクミンだけに、敵対生物にあっけなく食われたときはとても悲しいし、実にムカッとくる。


■ ピクミンに害なす敵対生物もパワーアップ

 ピクミンの住む星には、ピクミン以外にも大小さまざまな生き物が多数存在し、ピクミンを食いにかかってきたり、ジャンプして踏みつぶそうとしたりする。今作では前作を上回る種類の敵対生物が多数登場するが、中でも生き物と機械が融合したような機械系の敵対生物が増えている。前作でも無慈悲にピクミンを踏みしだく「ダマグモ」が衝撃的だったが、今回は強力な武装を搭載したバージョンアップ版とも言うべき「ダマグモキャノン」が、エネルギー弾でしつこく狙い撃ってきて本当に恐い。恐いと言えば初めて洞窟で遭遇した「タマコキン」が3発のグレネード弾を浴びせてきて、大量のピクミンがさっくり吹っ飛ばされたときも、驚きの余り声を上げて呆然となってしまった。

 どれだけ凶悪な敵対生物と戦うときも、基本操作は投げることと誘導すること。操作は至ってシンプルだが、操作のコツや敵対生物それぞれの動きのパターンがわかってくると、敵対生物の背中や顔にピクミンを投げて安全に素早くダメージを与えたり、死角に移動してこちらの被害を減らしていける。戦闘は意外に奥が深い。

 敵対生物の種類も豊富なら動きもさまざまで、ブルブルと身体を震わせてピクミンをふるい落としてゴーッと炎を吐き掛けてくれたり、ひたすら空気を吐いてピクミンを倒したり、つかんで地面に叩きつけて埋めてしまったり、敵対生物もこちらも双方必死だから、妙にコミカルで笑いを誘う。戦闘シーンそのものを見ているだけでも楽しめる。

ピクミンを吸い込んで体内に囲ってしまう「コマンマン」や、巨体でごろごろ転がって押しつぶしてくる「クイーンチャッピー」、前に飛び出す粘着性の触手で広範囲のピクミンをペロリと飲み込んでしまう「ツブラメケメクジ」など、危険な敵対生物が一杯


 ボスクラスの敵対生物は手に汗握る緊張感があり、登場するときの悲劇的な音楽も危険なくらいハマっている。倒したときには「辛くも生き残った!」という雰囲気の音楽が流れて戦闘を締めくくり、これを聞くと「やったー!」という生き残った喜びに満たされる。

 ピクミンたちの殴る音も小気味良く、小さいため、“ポコポコ”と“プツプツ”の中間のような音が鳴る。敵対生物の身体に大量にとりついて一斉に殴るときは、ザワザワいう感じに聞こえ、味方ながら集団の威力というか恐ろしさを感じた。敵対生物も生きるのに必死だが、ピクミンも必死だ。


■ オリマーとルーイを切り替え戦略的にゲームを進行できる

 オリマーとルーイは、2人一緒にまとまって行動できるほか、ボタンで操作するキャラを切り替えられるので、フィールド上で別々に行動できる。前作でプレーヤーキャラが1人だったのに対して、2カ所で戦略的にピクミンを展開でき、よりサクサク感が増した。

 ただし片方を操作している間、もう片方は操作が効かずその場にじっとしていることになる。一度宇宙船やオニヨンに戻ったピクミンを探索地点に連れ戻す手間を省くため、片方を宇宙船の近くに待機させ、もう片方がフィールドの前線でピクミンにどんどん物資を運ばせる、というのが序盤で使える手。効率よく遠方での作業を進められる。

 運搬途中に敵対生物がいないか確認して、物を運ぶピクミンが通過するより先にルートを確保しておくことも大切な仕込みの作業となる。しかし宇宙船に帰っていくピクミンが行きに通った道を帰りも必ず通るわけではないので、予想外の方向に進み始めたら2手に分かれて片方が露払いし、安全ルートが確保できたら探索地点に残してきたキャラに切り替えれば戻る手間が省ける。

 また、オリマーとルーイは、お宝集めを進めるうちに強くなっていく。お宝の中には宇宙服の耐久力や攻撃力を上げてくれるものがあり、アイテム画面の「探検キット」に追加されていく。炎や電気などを受けても平気になったり、ロケットパンチが出せるようになったり、どんどん使いやすいキャラに仕上がっていく。中でも、ピクミンに宇宙船まで運んでもらえる「快眠アシスタント」が手に入れば、片道を自力で移動しなくて済むうえ、時間の節約ができてとても重宝する。


■ お宝集めに地上と地下を行ったり来たり

 前作では宇宙船のパーツが30個だったのに対して、今回はいくつあるかわからない大量のお宝を探し集めることも楽しみのひとつ。また宇宙船ドルフィン号初号機が、集めたお宝に適当なネーミングしてくれるのだが、これも笑わせてくれる。お宝の中には前述のようなプレーヤーキャラの性能をアップするものや、探索を補助してくれる実利あるものも紛れているので、集めがいがある。

 ピクミンの住む星の地形には、「いつかの時代の地球なんじゃないか?」と想像してしまうような見慣れたものがところどころ散在している。マンホールやタイルなどのほか、落ちているお宝も人間の捨てていったガラクタのようだ。「だとしたら、人はどこへ行ってしまったのだろうか……」という想像も膨らむ。

 ピクミンの住む星には4つのエリアが存在し、「エリアセレクト画面」でどこに着地するかを1日ごとに選択する。それぞれのエリアに地下洞窟がいくつかあり、地上と地下のお宝コンプリートの状況も一目でわかる。

 地上には時間の流れが存在し、夜になると一旦作業を中止してピクミンを集めなければならないが、借金返済に日数の期限はない。前作では1日をムダにしないように何度か練習とリセットを繰り返し、ルートを組み立ててからいざ本番という感じで臨んでセーブしていたが、今回はお宝探しで何の収穫もない1日を過ごしても、それはそれでアリだ。

 寄り道要素がたくさんあるので、お宝収集と関係ないことにも熱中できる。ピクミンを増やすことはもちろん、花ピクミンにすることに徹したり、今作初登場の「ゲキカラスプレー」や「ゲキニガスプレー」の材料を集めまくったり、同じ洞窟に何度も潜って「むらさき」、「しろ」ピクミンを増やしたり、楽しめる要素があちこちに散りばめられている。

地上と地下を行き来して、まずはお宝を集めて借金を返済していく お宝の回収が完了するとコンプリートの旗が立って、非常にわかりやすい 地上では夜になると地表から飛び立たち、残されたピクミンは死亡してしまう

 比較的のんびりできる地上世界に対して、いいバランスで緊張感を与えるのが地下世界。お宝がたくさん埋もれた地下洞窟では時間は進まないが、オニヨンがないため地上のようにピクミンを増やせない。あらかじめ多めのピクミンを連れていった方が安全だ。

 1フロアごとに降りる穴を見つけて降りていき、最終階では多くの場合ボスクラスの敵対生物が待ち受けているので、「FINNAL FLOOR」の表示が出たら身を引き締めて先に進もう。ただ、ボスを必ず倒さなければ最終フロアから出られないということはない。むしろ他のフロアはスタート地点から穴にたどり着くまでに障害物が多いのに対し、最終フロアでは地上へ脱出できる「間欠泉」が間近にあることが多い。最下層まで進んできてピクミンが減りすぎなら、一旦地上で体勢を立て直して改めて潜ればいい。ボスはお宝を飲み込んでいるが、必ずしもボスを含む全てのお宝を手に入れなくても、目標の返済金額は充分満たせる。

 ただ、お宝集めにはやめられない魅力があるので、全部集めたい、洞窟コンプリートもしたい! というのが人情だろう。

 地上への戻り方の中で1番ベストと思われるのは、盛り上がった岩から吹き上げる「間欠泉」に飛び込んで戻る方法。途中で行き倒れたり、スタートボタンで地上に戻る選択肢を選んだ場合、回収したお宝は全てパーになる。

 地下世界はフロアを降りるごとにセーブさせるので、大量のピクミンがやられてしまったため、そのフロアをやり直したいというような場合は、リセットすればフロアに降り立ったときの状態から始められる。ただ、個人的にはフロア間でオートセーブされるのは「ちょっとなぁ」という感じだ。前作で日数制限のルールが染みついた身としては、ちょっとでもムダを省いて進めていきたいという思いがあるため、「試しに調べられるところまで洞窟内を調べてみよう」と、洞窟に足を踏み入れると、そこでセーブされてしまって前の時点のセーブデータには戻れない。洞窟のルールが飲み込めていない最初は、よくこれをやってしまい、それほど困らないのだが、正直「しまった!」という感じだった。

 また、洞窟ではピクミンの節約方法として、プレーヤーキャラで直接敵対生物に殴りに行くという手段も有効だ。時間の概念がないことを利用して、丁寧に隙を見つけてじっくり時間をかけてパンチを入れていけばピクミンの節約になる。ただしプレーヤーキャラの体力回復はできないので、無理すると墓穴を掘ってしまう。

パンチで倒すのはむごい気もするが、筆者は気に入っている(ヒドイだろうか?)。だがオリマー達の体力を減らすのはいただけないのでお勧めはしない 地下世界では、オニヨンや宇宙船ではなく探査ポッドが集めたものを吸い込む。倒した原生生物は微量のお金になり、ピクミンの種にはならない。洞窟コンプリートを達成しても、また「ポンガシグサ」を求めていつでも入ることが可能だ



■ 本編以外のモードも充実

 今作で新しく追加された2人用の「2Pバトル」モードは、本編と同じく選択肢としてタイトル画面にあり、最初から遊ぶことができる対戦モード。このほか、本編を進めていくと解禁される「チャレンジモード」が用意されている。

・「2Pバトル」

 上下分割になった画面で、上の画面がオリマー(1Pプレーヤー)、下の画面がルーイ(2Pプレーヤー)の視点となり、それぞれがピクミンを操りビー玉を取り合うというゲーム内容になっている。相手の陣地の傍に落ちている相手側のビー玉を回収するか、フィールド上の黄色のビー玉を4つ取れば勝ちとなる。探索を進めていくうちに、突如相手と遭遇するのはハラハラもので、遭遇するやいなやピクミン同士の激しいバトルとなり、相手ピクミンに近付くと相手のピクミンが取り付いて殴ってくるのもそこはかとなく恐ろしい(体力は減らない)。

 また、落ちているチェリーをピクミンに回収させるとルーレットが出現して回り始め、出た目によって害虫を相手陣地に発生させたり、自分に有利なことを起こしたりするランダム要素が用意されており、対戦を盛り上げてくれる。

 対戦に使うフィールドは10種類の専用コースが用意されていて、敵対生物が大量に配置されているものや、お互いの陣地が遠く離れていてなかなか遭遇できないもの、迷路状で自分の陣地に戻るにもひと苦労のものなど特徴がいろいろ。コース選択画面で「ハンデ設定」ができ、最初に投入するピクミンの数を5~50に変更することも可能なので、親子のガチンコバトルもできそうだ。

・「チャレンジモード」

 前作にも「チャレンジモード」が存在したが、本作のそれは全く異なる内容になっている。前作では地上エリアのマップを使い、日没までに何匹のピクミンを増やせるかを競ったが、今回は洞窟で「カギ」を回収すると次のフロアへ続く「穴」、もしくは「間欠泉」が出現し、制限時間内に脱出できればコースクリアというルール。

 本編で見慣れた地下洞窟の風景だが、こちらも専用マップのようだ。全部で30種類と、数は多いが全体的に1コースに対してフロア数が少なめになっている。1つの洞窟をクリアするのに時間がかからないので、手軽に何度も繰り返しチャレンジできるのがいい。選べるのは最初は5コースで、クリアするごとに先のコースが解禁されていく。コース選択画面に細かい情報が表示され、投入できるピクミンの数や種類、フロア階数、持ち込める「ゲキカラ・ゲキニガスプレー」の数などが確認できる。

 まったり進められる本編の洞窟とは違い、このモードは時間に追われるシビアなプレイが楽しめる、前作に近いテイストになっている。多くの場合は敵対生物が「カギ」を飲み込んでいて、まずこれを探し出さなければならない。お宝が大量に配置されているので、それを回収して稼いでみたり、クリアタイムを競ったり、連れ込んだピクミン全員を生還させる(クリアマークの花の色が変わる)など、いろいろチャレンジのしがいがある。

 またこのモードは、上下に分割した画面で2人で協力プレイができるのも嬉しい。「2Pバトル」同様、上の画面がオリマー(1Pプレーヤー)、下の画面がルーイ(2Pプレーヤー)の視点となって、「カギ」を見つけたり、敵対生物を倒すなどの分担作業を協力して行なえる。本編では1人で2キャラを操作を切り替えてまるでコマとして扱うような感じだったが、「チャレンジモード」の協力プレイはオリマーとルーイが助け合う正真正銘の2人協力プレイ。本編とは全く違う楽しみがあるので是非遊んでみてほしい。

2Pバトルモードと、1人プレイ中の「チャレンジモード」、協力プレイ中の「チャレンジモード」。上下に分かれた画面で、オリマーとルーイを別々のプレーヤーが操作できるのはこれらのモードならでは


■ ピクミンに思うこと

 ピクミンに対して、最初は「目のデカい、さつま芋とも、らっきょうともつかぬ生き物」という程度の見方しかしていなかった筆者だが、体長約2cmのピクミンたちの箱庭のような世界を体験するうちに、どんどん情が移っていくのを実感したのが前作をプレイしたときのこと。プレーヤーキャラであるオリマーたちはあまりに非力で、地形の障害物を取り除くにも、お宝を運ぶにも、様々な場面でピクミンの助けを借りなければどうにもならない。それでいてピクミンが頼りになる存在かというと、ちょっぴりそうでもないところがミソ。ハラハラさせて手を焼かせてくれるその存在は、厄介者とおちゃめのギリギリのラインだ。

 そんなピクミンが食われる様はとても壮絶で、見た目が残酷ということではなく、むしろ敵対生物キャラの茶目っ気あるデザインのためかその様子はコミカルですらあるのだが、心にズシッと響くものがある。「ピクミン」というゲームには、自分の中の「残酷」と「慈愛」の相反する感情の狭間を行き来させるなにかがあり、それが“危ない”面白さにつながっているように思う。

 今作ではそこがより強調され、プレーヤーの心のより深いところにピクミンの存在感がぐいぐい入り込んでくる。そのなかでも筆者の中では「しろ」ピクミンの存在が大きい。「しろ」ピクミンに対する感覚を一言でいうと、「こいつは何かヤバイ」である。

 まず登場シーンが恐い。あっけらかんとしたメインの3色や、四股を踏んで登場する「むらさき」ピクミンの健康優良児ぶりに比べ、赤目で宇宙人っぽくてどこか虚ろな「しろ」ピクミンが、「ピ……ク……ミン!」とボイスを発しながら首の角度を変え、極めつけに毒を「プハッ」と吐く登場シーンは、「うわぁ何だコイツ」という感じで、危険なイメージがみなぎっている。

 衝撃的なことに、体内に毒を持つ「しろ」ピクミンは、わざと敵対生物に食わせるという方法で敵対生物にダメージを与えることができてしまう。これは前作には無かった、ピクミンを愛でるプレーヤーに鋭く迫る究極の選択肢となる。

 もちろん最初は実践するなど思いもしなかったが、ある洞窟で「しろ」ピクミンを作る「シロポンガシグサ」がいくつかあり、次のフロアにボスがいた。あたかも「『しろ』ピクミンを食わせてね」と言わんばかりのシチュエーションだったのだが、「いやいや、それはできん」と、「あか」ピクミンを揃えて戦いを挑んだ。だが戦局は思わしくなく、「冷静に考えろ……さっき作った『しろ』ピクミンを食わせれば被害は最小で済む!」と内なる悪魔の声が聞こえ、もう1人の自分が「だめだ……、そんなことはできない!」と言い張っているまさにその目の前で、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開、「ハワー」と言いながら凄まじい勢いで、「あか」ピクミンが天に召されたことがあった。その直後にはゲームをリセットし、次のプレイで即座に「しろ」ピクミンだけより分け、心中で「ゴメン」と言いながら究極の方法を選択してした自分がいた。しかも投げた的が外れて、けなげに殴りに行っているしろピクミンに集合をかけ直し、丁寧に敵対生物の口元に運び直したりもした。ああっ……。

 それ以来である。5種類の混合集団を連れて走っていると、1番足の速い「しろ」ピクミンが真後ろにびっしり付いてくるのだが、これを意識して見てしまうとちょっと心拍数が上がる。追われて逃げているような錯覚が……恐いんです、「しろ」ピクミン。決して嫌いじゃないんだけれど……。

 また、ゲームの電源を入れると「nintendo」とロゴが表示され、そこに様々な種類のピクミンが振ってきた後、タイトル画面に移行するのだが、毎回振ってくる種類はランダム(恐らく)になっているようだ。ある時、「き」ピクミンを大量死させてリセットした直後のこの画面で、1列ずらりと「き」ピクミンだけが並んだことがあった。まるで非難のまなざしを送られているよう……それがここ最近の「ピクミン2」のプレイ中、最も恐かったエピソードの1つに挙げられる。また1度ではなく何度かそういう偶然が重なり、「これは仕組まれたワナなのか、それとも偶然?」と真剣に考えてしまった。これこそ、「ゲームの中のピクミンを死なせることに罪悪感を抱いている証拠」、「そこまで自分にとってピクミンの存在感が大きい証拠」だとは後で思ったことだ。

 ピクミンがこんなにがリアルな質感を持つのは、ピクミンと歩き回る世界が構築しているフィールドのディティールにも要因があるといえるだろう。植木鉢の置かれた誰かの庭のような場所、雪だるまの置かれた白銀の世界、タイルのある誰さびれたシャワールーム、どこもありえないのにリアルさを感じさせてくれる。CGの美しさも必見で、特に水のある場所がすごく綺麗なので、透き通った小石などは、是非アップにして眺めてもらいたい。地上では、時間に伴って陽が暮れていくのもすごく爽やかで気持ちよくなれるし、初めての土地を探索するのは園児を引率した先生になって遠足に来たような気分だ。また、オリマーやルーイ、社長といったプレーヤーキャラの作り込みにも力が入っている。借金返済後、星に取り残されて消息不明になってしまうルーイに対して、何も知らない故郷のおばあちゃんから何度もメールが舞い込み、挙げ句の果てにつくだ煮が送られてきたりなど、「そんなところまで笑わせてくれるのか」と感心してしまった。

 本作の笑いのツボが筆者にはやたらとハマるようで、ルーイが行方不明になった後、社長にプレーヤーキャラが変わったときも爆笑した。オリマーへ切り替えた場合、キャラを切り替えると低い男性の声で「オーリマー!」と流れるが、社長に限っては声高に関西風で「シャチョー!」というセリフが流れる始末である(集合を掛ける笛も、社長だけ車のクラクションみたいな音になっている)。しばらくこの1ネタだけで笑い続け、収まった頃に遊びに来た友達がやはりこれで笑ってる姿を見て吹き出していたりした。そんないろいろな人が引っかかるであろう「笑い」がしたたかに詰め込まれていることも、サービス精神の旺盛さを感じさせてくれる。

 というわけで、「2」は、前作「ピクミン」を知らない人でも、操作やルールがシンプルで、すぐ馴染めると思われ、収集癖があったりやりこみ派プレーヤーにはかなりのボリュームで楽しませてくれる仕掛けもある。あまり時間がなくピクミンとさらっと遊びたい人も、1日単位でちょっとずつ進めていける。

 筆者は現状、お宝コンプを目指し奮闘中で、残された最後1つの洞窟のボスの倒し方がわからなくて詰まっている。人に聞けばすぐなのだろうと思うが、もったいないのであれこれ試行錯誤してみるつもりだ。クリアできたらアイテムコンプを目指したり、短い日数を目指してまたイチからやり直してみたいな、とも思っている。

「お宝一覧」や、「生物図鑑」など、コンプリート要素はいろいろある。お宝を集めるのも楽しいが、今作で加えられた生物図鑑も手が込んでいる。憎いやつらについて詳しくなれそうだ


(C)2004 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「ピクミン2」のページ
http://www.nintendo.co.jp/ngc/gpvj/

(2004年6月1日)

[Reported by 河本茉澄]


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