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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】

「Metroid Prime2: Echoes」
任天堂ラウンドテーブル(記者会見)レポート

会期:5月12日~14日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 任天堂株式会社がニンテンドーゲームキューブタイトルとしてE3で初公開した「Metroid Prime2: Echoes(以下2)」。任天堂とRETRO STUDIOのコラボレーションによってファーストパーソン3Dタイトルとして生まれ変わった前作は海外市場でも絶大な人気を獲得している。今回、任天堂スタッフ、そしてRETRO STUDIOSのスタッフによるラウンドテーブルが開催された。

 その内容は、「2」のゲーム内容から、開発エピソードまでと幅広いものとなった。

■ 大事だったスタッフのコミュニケーション

左より、坂本氏、田邊氏、大谷氏の任天堂スタッフ
 出席したのは任天堂から企画開発本部・坂本賀勇氏、田邊賢輔氏、大谷 明氏、RETRO STUDIOSからは同社CEOのMicheal Keibaugh氏、シニアプロデューサーのBryan Walker氏、ゲームディレクターのMark Pacini氏。

 まずあいさつにたった坂本氏は、初代「メトロイド」から開発に関わってきた中で、シリーズの最新作としてはGBA「メトロイドゼロミッション」となり6作を数えるが、常に新しいことにチャレンジしてきた同シリーズの中でも「2」の前作にあたる「メトロイドプライム」が非常に革新的なチャレンジだったという。

 続いてプロデュースを担当する田邊氏は元、情報開発部に所属。宮本氏の下でライセンシータイトルの監修を手がけていた。64版「スターウォーズ シャドウ・オブ・エンパイア」より海外スタッフと仕事をはじめ、「メトロイドプライム」からRETRO STUDIOSとタッグを組み、プロデュースを担当。「メトロイド」という作品の北米での人気に、「プライム」ではプレッシャーもかかったというが、好評だったこともあり「2」ではさらにプレッシャーがかかったと語った。

 田邊氏は海外スタッフとゲームを制作するにあたって、文化、考え方、常識の違いで苦労も多いが、「プライム」に関しては、西洋と東洋の考え方がうまく融合した形で出ていると続けた。コンセプトを決定する際に、2Dであった「メトロイド」を3Dに転換するにあたって、かなり懐疑的な意見が聞こえてきていたが、RETROの高い技術力、そして「メトロイド」に対する愛情によって、「プライム」発売後にはそういった意見を払拭できたのではないかという。「2」に関しては、RETROスタッフの努力によって、前作以上にエキサイティングな作品に仕上がっていると太鼓判を押した。

 コラボレーションの一端として、任天堂、RETROのスタッフは、京都とテキサスをお互いに訪問するだけでなく、ビデオ会議を頻繁に行なって意思の疎通を図った。ただ、英語ができるスタッフがあまりいなく、田邊氏と大谷氏はいろいろ苦労があったようだ。

 田邊氏と同様に前作からプロジェクトに参加している大谷氏は、ディレクターよりのコ・プロデューサーという立場で、ゲーム仕様を企画、そしてプランをまとめるという役割を担っていた。テレビ会議やメールでのやり取りだけではコミュニケーションが不足するということで、1カ月~2カ月おきにテキサスを訪問、ミーティングを行なっているそうだ。

 大谷氏もコラボレートに関して、文化や考え方の違いをまず感じたという。会議においても、お互いの意見がぶつかることはあったが、目指しているところは「面白いゲームを作る」という点で共通しているだけあって、最終的にはお互いのプランのいいところを突き詰めていくという作業ができたと語った。今では大谷氏にとってはテキサスは第2の故郷として、ステーキやバーベキューはおふくろの味になっている、と笑いを誘った。

 続いてRETROスタッフの紹介が行なわれた。Micheal Keibaugh氏は、Nitendo Of Americaに17年勤務した後、RETRO STUDIOSを設立。会社では営業的役割も担当し、スタジオでの仕事の管理もこなす。任天堂とのコラボレーションは「夢のような話です」と語っていたのが印象的だった。

 Bryan Walker氏は開発のコーディネーターとして、クオリティとスケジュールのコントロールを担当。Mark Pacini氏は、前作「プライム」ではリードデザイナーを担当し、今作ではゲームディレクターを担当している。Mark氏はストーリーやゲームのフューチャーなど、企画面を担当しつつ、スタッフに伝達し、できるだけゲームクオリティを向上するという役割を担っている。Mark氏は、自身の仕事について「うまく行っているときは楽しい」とちょっと本音をのぞかせていた。

■ 新キャラ「ダークサムス」は面白い存在

最左は相互通訳を行なったNintendo Of Americaのスタッフ。続いてRETRO STUDIOSのCEOのMicheal Keibaugh氏、Bryan Walker氏、Mark Pacini氏
 続いて、Mark氏からゲームの詳細についての解説が行なわれた。

 今作のストーリーは、サムスが、銀河連邦からの依頼で行方不明になった銀河連邦の兵士たちの探索である惑星に到着するところから始まる。しかし、その惑星で行なわれている戦争の渦中に巻き込まれてしまうのだ。この惑星は過去の災いによって2つの勢力に分かれていた。お互いの種族は生き残りをかけて戦争を行なっている。歴代シリーズではスペースパイレーツを相手にしていたサムスだが、今作の敵は彼らではない。ライト、ダークワールドに分かれているこの惑星のライトワールドに降り立ったサムスは、ライトワールドのルメノスという種族は、イングというダーク種族に押されていた。そのルメノスはサムスに救援を申し込む。サムスはライト、ダークそれぞれのワールドを行き来することになる。

 スペースパイレーツはフェゾン(前作に登場)を採るために惑星に来たが、フェゾンはダークワールドのみに生存する。スペースパイレーツはフェゾンを回収するためにダークワールドに次々に突入するが、生還したものはいないという。

 「2」ではウェポンシステムが変更になっている。ストーリーが進むことで、ルメノスから新たな武器を手に入れることになるが、ライトワールドでもらった武器はダークワールドでその進化を発揮する。典型的なのがライドビームとダークビームで、お互いの属性に反する敵に対して効果を発揮するといういうものだ。

 さらに、ライトビームのチャージビームはショットガンのように散開する。ダークビームのチャージビームは相手の動きを封じてしまう。2つのビームの威力は通常ショットとは比較にならない高威力になっている反面、それぞれに弾数制限がある。なぜこうなったかというと、プレーヤーに武器を使い分けてほしいという開発陣の思いからだ。ただ、敵の数を調整し、楽しく遊んでもらえるようにチューニングを行なっているという。

 ビームの切り替えは、パズル要素にも関連する。ダークビームはドアを閉じたり物を消しさったりできるし、ライトビームはドアを開けたり、物をつけたりできる。2つの世界は鏡のように生き写しになった構造になっており、行き来はポータルを経由してのみ行なえる。

 Mark氏によれば、「プライム」のE3版に比べ、「2」は遊べる要素をたくさん盛り込んだという。モーフボールパズルも難しいものまで入っている。モーフボール形態によるスクリューアタック(壁に囲まれた場所で壁から壁へと飛び移るように移動する)、2種の新しいバイザー、そして新キャラ「ダークサムス」の存在も特徴だ。

 「ダークサムス」はミステリアスな存在として描かれ、独自の目的で行動している。ライト、ダークの両世界に加えて、「2」のフィールドにおいてユニークな立場になるだろう。Mark氏は歴代「メトロイド」のボスは巨大キャラばかり作ってきたので、「ダークサムス」の演出には苦労したという。これが、ポリゴン数の増加やエフェクトの強化、そして2つの世界といった要素とともに「2」における新たなチャレンジとなっている。

 また、対戦モードに関して、今回はモーフボールによる対戦が行なえることが新要素になっているが、Mark氏は“モーフボールゲーム”にならないように調整を行なう必要があった、と苦労を述べた。逃げるためだけでなく、モーフボールでも武器になるように、パワーボールとデスボールというアイテムを投入した。また、モーフボールでしか使えない「モーフボールキャノン」もユニークだ。これはいわゆる大砲の弾になって、モーフボールを打ち出すカタパルトのようなもの。

 これら、単なるFPSではない「メトロイドらしいもの」を取り入れて開発されているという「2」。この会見でも両社の関係は非常に良好な印象として見るものに伝わったはずだ。願わくば「2」が日本でも早く遊べるようになってもらいたいものだ。

(C) Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【5月11日】Electronic Entertainment Expo 2004 記事リンク集
http://watch.impress.co.jp/docs/20040511/e3link.htm

(2004年5月16日)

[Reported by 佐伯憲司]


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