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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】

Xboxキーマンインタビュー
Microsoft Game StudiosのジェネラルマネージャーShane S. Kim氏に
ファーストパーティータイトルの開発戦略について聞く

5月12日~5月14日(現地時間) 開催

会場:Los Angeles Convention Center

Microsoft Game Studiosのジェネラルマネージャーである、シェーン・S・キム氏。エド・フリーズ氏の後任として現在の職に就任した
 Shane S. Kim(シェーン・S・キム)氏は、Microsoft Game Studiosのジェネラルマネージャーを勤めている。この役職は、今年1月に退社したエド・フリーズ氏が長年就任していた役職で、キム氏はフリーズ氏の後任としてこの役職に就任した。Bungieをはじめ、Microsoft Game Studiosの全開発スタジオの総責任者という立場である。Microsoft Game Studiosのジェネラルマネージャーに就任してからまだ4カ月ほどではあるが、キム氏自身はMicrosoftに入社して14年経つそうだ。

 今回、キム氏には、Microsoft Game Studiosが制作しているゲームの開発状況や、今後の開発プランなどについて話をうかがった。



――Microsoftに入社して14年経つそうですが、これまでどのような仕事をされてきたのですか?

 14年のうち、最初の5年間はプロダクトマネージャーという肩書でマーケティングを担当したり、PCベースのネットワークに関する仕事をしていました。次の2年間は、ワールドワイドのコンシューマ部門の仕事をしていました。その後、Microsoft Game Studiosの開発部門の担当が4年間あり、スタジオ全体のマネージメントの担当を経て、現在のジェネラルマネージャーという役職に就きました。

――Microsoft Game Studiosに関わるようになって、どのようなタイトルを担当されましたか?

 スタジオマネージャーの時には、「Zoo Tycoon」を担当していました。ジェネラルマネージャーに就任してからは、ほぼ全てのゲームということになりますが、中でもBungieの「Halo」シリーズ、スポーツゲーム、Zone StudiosのMSN Gamesなどを担当しています。

――ジェネラルマネージャーに就任されて、どのようなソフトラインナップ戦略を持たれていますか?

 Microsoft Game Studiosは、XboxおよびWindowsゲームのファーストパーティースタジオですから、開発するタイトルは、全てXboxやWindowsにつながるものです。今後は、量よりも質を高めていこうという戦略を考えています。また、Microsoft Game Studiosが、業界で最も優れたタレントを擁する、ベストの開発スタジオになることを目指すつもりです。私は、ベストなコンテンツはベストなアーティストによって開発されると信じています。そのため、ベストなアーティストがMicrosoftで仕事をしてくれるようにしたいと考えています。

――今年から来年にかけて、ファーストパーティータイトルは何種類ぐらい発売する予定でしょうか?

 ブースにも展示されていますが、Xboxタイトルに関しては9タイトル、Windows向けでは2タイトルのソフトを発売する予定で、最終的には15タイトルを出荷できればと考えています。

――今後XNAによる開発環境が整ってくることによって、Microsoft Game Studiosの開発戦略に何か変化はありますか?

 私たちは、Xbox、Windows双方でファーストパーティーという立場にあります。そのため、双方のプラットフォームに質のよいコンテンツを提供する必要があります。確かに、XNAによって、同じタイトルを双方のプラットフォームに簡単に提供できるようになりますが、XNAを単純な共通化のツールとして利用するのではなく、質を高めたゲームを作るためのツールとして利用していきたいと考えています。

日本市場に対する厳しい質問にも、快く答えてくれたキム氏。今後の日本市場に対する努力を期待したい
――Xboxは北米では人気が定着していますが、日本では決して成功しているとは言えない状況です。この状況をのどように打破するお考えでしょうか。

 Microsoftとしては、日本は重要な市場と考えています。そのため、短期間を見るのではなく、長期の計画で考え、これからも投資していくつもりです。現世代において、日本市場におけるマーケティングやコンテンツ、日本のメーカーとの関係、日本のユーザーとの関係などについて、学ぶことが非常に多かったと考えています。とにかく、今後も日本市場に対して責任を果たしていくつもりです。日本のメーカーの方々は、Xboxが日本以外の市場でかなりの成功を収めているということをよくご存知ですし、実際XboxやXbox Liveに対して強い関心を持たれています。また、Microsoftが今後もビジネスを続けていくこともわかっていただけており、今後も日本のメーカーとはいい関係を続けていけると考えています。

――日本市場に対して、ドラスティックな戦略の変更とかは考えられていないのでしょうか?

 特に、これといった大きな戦略の変更を考えているわけではありません。日本市場に関してよく勉強し、日本市場に合った戦略を練り、顧客に求められるよりよいコンテンツを供給することこそが、非常に重要であると考えています。また、マイクロソフトには日本市場に対し強いリーダーシップを発揮できる人材もいます。例えば、ピーター・ムーアは日本市場を担当していましたが、今後も日本市場に対して関わっていきます。また、日本にもリーダーシップを発揮できる人材がいます。彼らの努力によって、将来成功を収められると自信を持っています。

――日本でXboxが苦戦している原因を、会社としての立場ではなく、キムさんご自身としてどのように考えていらっしゃいますか?

 日本市場は、我々が参入するまでに、ソニーや任天堂によってゲーム市場の基板ができあがっていました。そのため、新しく参入した私たちには非常に厳しい市場でした。コンテンツ、マーケティング、セールスなど、全ての分野でもっと高いレベルの戦略が必要で、苦戦の原因を1つに絞ることはできません。日本市場で成功するには、あらゆる分野で努力する必要があるでしょう。

――今後発売されるタイトルの中で、日本市場にとってキーとなるタイトルはどれだとお考えでしょうか?

 Microsoft Game Studiosのタイトルとしては、「Halo 2」だと思います。もちろん、Microsoft Game Studiosで制作している、「Jade Empire」や「Fable」などの他のタイトルもありますし、どれもいいゲームですので、1つに絞るのは忍びないのですが、やはり「Halo 2」でしょう。

――最後に日本のユーザーにコメントをお願いします。

 我々は、今後も日本のユーザーの皆さんに質のよいタイトルを提供していきますので、今後も我々Microsoftを信じてくだされば嬉しいです。



 今回のキム氏へのインタビューで、やはりMicrosoftが現時点ではまだ日本市場に対する戦略を大きく転換することを考えてない、ということがわかった。確かに、日本メーカーが北米市場に対して多数のXbox向けタイトルを発売していることなどを考えると、日本のメーカーとの関係もうまくいっているように見える。

 とはいえ、日本市場のXboxに対する日本メーカーの姿勢に関しては、あまり伝わっていないという印象を受けた。日本メーカーから日本市場に向けてのXboxタイトルの供給がほとんど途絶えてしまっている現状を知ったうえで、今回のようなコメントをされたのであれば、日本市場での成功は絵に描いた餅であると言わざるを得ない。

 あらゆる分野で努力が必要であるという指摘は全くそのとおりだろう。しかし、北米市場などの勢いにばかり目がいっているようでは、日本市場での成功はおぼつかない。日本で成功しようと思ったら、現時点で米国Microsoftが考えているレベルではなく、もっと高いレベルでの努力が必要だといえる。

 また、長年係争関係にあった米Microsoftと米Sun Microsystemsとの間で和解が成立し、包括的な技術提携契約が結ばれたという例(INTERNET Watch記事参照)のような、まさしくドラスティックな変革も必要かもしれない。そして、北米市場での基板が整った今こそ、そのチャンスでもあるだろう。Microsoftがどのように日本市場に力を入れていくのか、今しばらく見守りたいと思う。

□Xboxのホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
□関連情報
【5月11日】Electronic Entertainment Expo 2004 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040511/e3link.htm

(2004年5月16日)

[Reported by 平澤寿康]

GAME Watchホームページ

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