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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」スタッフインタビュー@E3
会場:Los Angeles Convention Center
そこで、現地を訪れていたProject ACESのスタッフ3名にインタビューを行なった。ちなみにお3方ともE3は初体験という。今回のE3バージョンについての話をメインにお話を伺うことにした。会場で上映されているデモを見ながらのインタビューとなった。 ■ フレアを吐いてくる敵も登場する「ACE5」 --まず、E3バージョンのコンセプトからお伺いできますか? 一柳 「ACE5」の発表から本当に長い間、こうして動いているものをなかなか皆さんの前にお見せする機会がなかったので、「ちゃんと作ってますよ」とアピールしたかったのがひとつ。 河野 世界最大規模のE3という数多くの方々にプレイしてもらえるよいチャンスに、タイミングがうまく合ったということもありますね。 菅野 あまりにも出さないと忘れられちゃいますしね(笑)。 --E3バージョンは、最終形からすると何割ぐらいの要素が入っていますか? 河野 遊びとしての仕様は7割ぐらいだと思います。 一柳 平均すると50%ぐらいになると思いますが、ゲームはやはり最終的な細かい調整や作りこみが行なわれて初めてゲームといえるので、材料がそろったから「はいおしまい」というわけではないですね。そういった意味で、E3バージョンは形にはなっていて、皆さんに楽しく遊んでもらっていますが、最終的にはもっと面白いと声を大にしていいたいですね(笑)。 河野 E3版は遊びとしては非常にシンプルで、輸送機を僚機を使って攻撃する、ということで、あれほどシンプルなミッションは本編にはほとんどない。何かしらのギミックがあったりストーリーがあったりとか、本編とはちょっと違うものですね。 菅野 あのミッションというのは実際の敵の配置や物語の進行はまったくE3バージョンとして作ったものなので……非常にプレーンな、素材に近いものといってもいいですね。 一柳 つまり、「ACE5」の完成品というのは、ストーリーに沿ってたくさんのステージを用意しているし、そのステージは全て物語に沿っている。例えば、山岳が必要なところだったら、ストーリー的にも意味があり、そこに遊びが絡めない手はない、という。そうして全面が計算立てられていろんな要素が組み合わさって面白くなるようにできているんだけれど、E3版はとりあえず飛んで敵を倒す、ということを遊んでもらいたい、ということで作られているということです。今回のメインである僚機という存在についても、もっとドラマティックに展開されるはずです。 --製品版がとても楽しみになってきました(笑)。E3バージョンでぜひ見てほしいというところはありますか? 一柳 ストーリー部分はほとんど全面に出ていないので、それ以外の要素は全部見てもらいたい、という感じですね。デモは合間に流れるのではなく、プレイしていないときに流れますし、ネットを通じて配信させてもらっていますので、そちらもぜひ見ていただきたいですね。試遊台は回転率も大事なんで……。 河野 スタッフ側としてはこれはほんの一端という感じなので……。本編にはまだまだいろいろな要素があると思いますよ(笑)。あんまり難しいことを考えずに、バンバン戦ってほしいし、そう戦えるように作ってあります。 菅野 最初はもっと敵が多かったんですよ(笑)。第1弾、第2弾、第3弾……みたいな感じで。家庭で遊ぶにはいいと思うんですが、立った状態で遊んでもらうには、ちょっとボリューム過多になっていました。あと、今回敵もフレアを出してきたりするので……。ちょっと強い敵に入れてあります。 一柳 今回、判断が難しかったです。E3というショウ会場での試遊バージョンとして「ACE5」を紹介する、という目的を満たすためのボリュームはこれぐらいかな、という考えたとき、僚機がいることでかなり増えてしまって……彼らは現時点ではかなり強いので、「攻撃しろ」とやっちゃうとバンバンミサイル撃って敵を倒しにいっちゃうんで……。敵機の耐久力や配置、数なども含めて、このバージョンならではの調整はやはりやらざるを得ませんね。 --フレアを吐いてくる敵というのは特定の編隊にいたりするんですか? 菅野 大型機……ですね。編隊を組んでいるC5とか、それらを護衛する戦闘機群が使ってくるようになってます。かといって全部が全部実際の戦闘機みたいにフレアを吐きまくるようだと、ミサイルがなかなか当たらなくなってしまいますから、こういった場には向かないですよね(笑)。 ■ エンジンを限界までチューニングして実現したグラフィック
菅野 前作のアンケートで、やはり地上に近づいたときの地表の解像度に関して、方向感覚が掴みづらいという意見が多かったんです。今回ハードが変わったわけではないので、いろんな方法を試してみたんですが、リソースの割り振りをさらに細かく調整した結果、さらに解像度が上げられるようになったと。解像度を上げると樹木が必要になったりとか、そういった部分にも対応できるようになったんです。 一柳 「AC04」と「ACE5」でリソースの総量は100で変わらないのですが、その資源をうまく削ってやりくりした結果ですね。でもやるっていってできちゃうかどうかは別の話で……。その100のところに200のものを詰め込んでいるのが今回の「ACE5」なんですよ。 菅野 前作のノウハウもありますし、プログラマとデザイナーの功績ですよね。前作とはスタッフのパート分けは異なりますが、ギリギリのリソースの再配分の結果ですね。 河野 負けず嫌いが多いんですよ(笑)。エフェクトが……といわれるとさらに良くしてやる、とか。全体として評価の低いところは今回絶対取り返す、という。 --同じハードで2作目を作るのは苦労も多いと思いますが……? 一柳 ハードが変わらないので、相当良くしないと喜んでもらえない、というのはあると思います。ただ、うちのスタッフはハードを叩く(直接制御する)ことが好きなスタッフが多いということもグラフィックの向上につながってますね。 菅野 そういう意味では、前作は相当贅沢で、なおかつ無駄のないグラフィックエンジンを使っていたといえます。でも、前作を作った結果、さらにその部分を調節して、いろんな部分の穴を埋めていった結果が出た、という。前作ではこういったところに力を入れていたけれども、あまりわかってもらえなかったところはばっさり切ってしまって、別のところに力を入れてみたりと。 河野 しいて言えば、ほとんど残っていない無駄な部分を削って集めて、それをうまく配置して……という感じで、僕たちにももうわからない部分なんで。 一柳 (プログラマに)どこを変えたの? と聞くと、しいて言えばちょっと、というんですけどね。ちょっとぉ? という。うちのスタッフは向上心の塊みたいなもんですね(笑)。 --開発状況は、これからそろそろ山場という感じでしょうか? 一柳 進行度的には50%ですね。調整、作りこみというものがゲームの生死を分けるので、今、まさにすばらしい食材が並んでいて、それを料理し始めているというところですね。E3に来て、さらにゲームが好きになったというか、E3はゲームが好きになるだろうなと思うショーですよね。とても刺激になりましたね。 河野 ワールドワイドに「ACE5」を作るんだ、といいながらこうして初めてE3に来て、生の反応を見て、実感できましたね。帰ったらすぐに仕事が待ってます(笑)。 菅野 実際に来て見て、ゲームを楽しもうと思って来場している人が多いのかな、と感じました。アイデアのレベルでも参考になることが多いですね。「ACE5」がほかのタイトルと比べてどう見えるのかもわかりましたし。いい刺激になりました。 --がんばってください。本日はどうもありがとうございました。
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□ナムコのホームページ (2004年5月16日) [Reported by 佐伯憲司]
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