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前作とは比較にならない“手の込んだ”世界を!
ピーター・モリニュー氏が提示する新たな神話世界
「Black & White 2」プレビュー&インタビュー

会期:5月12日~14日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 プレーヤーは神となり、いくつもの奇跡を通じて世界の住人とつながり、彼らにあがめられることによってより強力な力を獲得する。「ポピュラス」から、今作「Black & White 2」まで一貫してピーター・モリニュー (Peter Molyneux) 氏は作品において、人と神の関係を模索している。ゲームとして世界を構築した上での、「神になった感触」を追求する氏のスタンスは非常にユニークなものであり、だからこそ、多くのファンが彼の「次の提示」を待ち望んでいるのだ。

 今回は、制作チームのHead of StudioであるJonty Barnes氏によるデモプレイの後、Molyneux氏にこの作品に関してのいくつかの質問にお答えいただいた。本稿でもその流れにそっていきたいと思う。



■ 高い文化レベルを持つ住人、洗練されたインターフェイス、
前作からの確かな進化を感じさせる、「Black & White 2」


左より、Peter Molyneux氏、Jonty Barnes氏
 まず、モニターに表示されたのはひとつの島。北の方が雪をかぶり、高い山がそびえている。一見、全体的にひどく険しい山のある、ごつごつした島に見える。しかし、拡大していくことで島の大きさがはっきりしていく。人間が確認できるほどの大きさになったとき、ほんの少しに見えた平原は今や大きく拡がっている。島の各所には、さまざまな人々が作っている集落が見え、前作の中級レベルでも見られなかった大きな島であり、充分な生活空間をもっていることが確認できる。

 デモプレイでは、プレーヤーはその一角を治める神として勢力を広げていく。村は最初の家は倉庫と村の中心しかない素朴なものだったが、Barnes氏によって城壁や学校、採石場などが作られていく。前作の住人達は原始宗教の信者を思わせる文化レベルだったが、「ギリシア風」と名付けられた人々の生活空間には高い文化を感じさせる。島の中腹にある「日本風」の人々の建物も、作りが非常に凝っており、今回の信者達の生活の充実度を伺わせた。

 前作同様、神であるプレーヤーは、手のアイコンを使って、木を引き抜いて植え替えたり、住人を任意の建物に運び仕事に従事させることができる。神そのものが、人間の生活に干渉できるシステムなのだが、前回は木一本、人一人をつかむのが精一杯だった神の手は、握ることで竜巻を発生させ、その竜巻に何本もの木、何人もの人を巻き込むことで、大量輸送が可能になっていた。木や人など、吸い込めるのは1回に1種類だが、前作の何でもひとつしかもてない、繁雑な「作業」が大幅に改善されていた。

 建物の設置に対して、住人達の頭の上にアイコンが出現するのも特徴的だ。街の近くに採石場を作ろうとすると、住人達の頭の上にストレスを示す赤いアイコンが出現。反対に酒場などの娯楽施設を作ると、緑色の好意的なアイコンが表示される。この、住人の気分というのは本作の大事な要素で、生産性を上げるには、村から離れたところに採石場などを建造させ、さらに村と作業場の間に酒場を配置することで、住人達の気分を上昇させ、作業効率を一定に保つといったテクニックもあるという。

 住人達の気分は、自分がどんな神になりたいかにも関わっていく。恐怖で世界を統治する神になりたいというのならば、住人達にストレスを与え続け、戦いに駆り立てるという手もあるとのことだ。島にすむ住人達もこれらの気持ちによって動いている。家も建てられないような、文化の低い、ストレスをためた人々は豊かな村に襲いかかってくる。反対に文化レベルの高い温厚な人々は、よりレベルの高い地域にすすんで移住して来るとのことだ。

 いくら文化の高い、安寧な村を作り、広げたいと思っていても、他の人々との戦いは避けられないようで、Barnes氏は、守備隊と侵略者達との戦いを見せてくれた。村に兵隊を育成させる学校を作り兵士を増やし、旗のアイコンをドラッグすることで軍隊を誘導、いくつかの部隊による攻撃で侵入者を撃退していた。これらのシーンはAoKなどを思わせる、RTSのような戦闘シーン。塔に兵士達を入れることで、上から矢をいかけられたり、城壁を張り巡らせることで村の防御力を上げることもできるようだ。

 無事兵士達を撃退してから、「こうやって完成度の高い村を作るのも楽しいけど、たまには壊すのも楽しいよ」といって、石を城壁にぶつけて見せてくれた。「バキッ」という小気味いい音を建てて割れる城壁。さらにその城壁を持って振り回すとそれに当たった壁がぱきぱきと割れる。これらは本作のために新しく作り上げられた物理エンジンによってリアリティーを与えられているとのことで、説明の通り、実に自然な壊れ方、吹っ飛び方をしてくれる。また、昼夜の変化など、描画エンジンも前作とは全く違う新しいもので、より自然な表現を可能にしているという。

 次に見せてくれたのが、本来は神の力が高くなければできない「地震」そして、「火山の隆起」という恐ろしい奇跡。村人達が熱狂的な踊りを繰り返し、その勢いが最大に高まったとき、神の塔から鋭い光の矢が天に上り、神が指定した一角に降り注ぐ。激しい音を立てて、起こる地震。さらに火山の隆起の場合は、あたりにある物を完全に消し去ってしまった。これらは迫力のあるムービーと、臨場感のある音楽で大変興奮させられる映像だった。また、現在はまだできていないが、雪山に火山を出現させると、あたりの雪は熱のために溶けてしまうというような表現も考えているとのことだ。

 今回のデモプレイでは、神の「基本的な力」の紹介が中心で、ユーザーが期待を寄せている、神の僕である「クリーチャー」とのふれあいは見ることができなかった。Barnes氏は膨大なデザイナーノートも手にとって、企画は次々に実装されており、完成度は上がっているとのことで、今回はあまり見ることができなかったクリーチャーに対する興味も強く喚起させられた。

【デモプレイの模様】
デモプレイの舞台となった島。引いた視点のため、小さく見えるが、かなり大きなところである 採石場を建てようとすると表示される赤いストレスマーク。ストレスを減らせる酒場など、さまざまなものがあるようだ 日本を思わせる瓦屋根、穏和な人々が多く住むところとのこと
   
優雅なカーブを描く城壁。フリーハンドで描くことができる 軍団を率いる旗。人々の動きは、RTSを思わせる 神の奇跡を実施させる神殿。強くならなければ建てられない
地震のデモ。緑の光が降り注ぎ、標的にされた街は一瞬で廃墟に
   
こちらは火山の隆起。神の奇跡が起こる前に、神殿では熱狂的に祈る信者の姿が。島の形を変えてしまうほどの奇跡だ



■ 「世界そのものに影響を与える神が描きたかった」
Molyneux氏の語る、前作との相違点


Peter Molyneux氏は非常にもの柔らかな雰囲気を持った方で、日本人の私たちのために、ゆっくりとわかりやすい言葉を選んで、お答えしてくれた
 Barnes氏の説明の後、Peter Molyneux氏にいくつかの質問にお答えいただいた。

編 今作と前作はどんなところが違いますか?

Molyneux氏 とにかく、前作とまったく違うものにしよう、というのが今回の作品の出発点です。クリーチャーや世界に対して、できる限りのディテールを追求しています。前作とは比較にならないほど、「手の込んだ」世界を構築していますよ。今作では、プレーヤーに今まで見たこともないような美しい街を作ってもらいたいですね。人々が幸せに暮らせるように導いてほしい。

 しかし、いい街を作るのも楽しいですが、最強の軍隊を作って、破壊の限りを作るのもまた楽しいですよ。私自身、「シムシティ」をプレイして、街を壊すことも楽しんでいました。現在、テスターが本作のデモ版をプレイしているのですが、実に残酷な方法を考えつくのでびっくりさせられることがあります。壁に囲まれた中に、人を入れて、上から水を注いでみたり……テスターの人たちははどんな人間なんだろう、なんて心配させられることもありますが(笑)。そういった自由度も含めて、さまざまなことができるゲームにしていきたいと思っています。

編 戦争の表現など、今作では人間に対する表現も飛躍的に高まりましたが、この意図は?

表情豊かなクリーチャー。彼らの仕草はアメリカのコミックを思わせる非常に大げさで、ユニークなものだ
Molyneux氏 感情値など、今作の人間は知性など、飛躍的にさまざまなステータスを持つようになりました。よりリアルな社会形成ができる人間を目指しています。これだけリアルな人たちがきちんとした社会を形成している。だからこそ、ボール状に大岩を丸めて、その巨石を転がして人間をつぶしたりといった遊びも楽しいわけです。

 リアルな世界を前にしたとき、プレーヤーはどんな遊びを「創造」し、発見していくのか? 「Black & White 2」は目の前のプレイだけではなく、そういった“幅”を持たせています。

編 クリーチャーや人間の表現を飛躍的に向上させたということで、ひょっとしたら、クリーチャーがある特定の人間に恋をしてしまったりするようなこともあり得ますか?

Molyneux氏 (笑)さすがに大きさが違いすぎるので、恋愛感情は生まれないでしょうね。戦い好きな邪悪なクリーチャーに育ててしまった場合には、そもそも仲良くなれません。友好的な、クリーチャーは前作同様、人間と一緒に歌を歌ったり、踊ったりしてくれるでしょう。

 本作では、それぞれのプレーヤーが、それぞれの意図で、クリーチャーを教育し、街を作っていけます。プレーヤーの数だけ、プレーヤーの意図だけ、まったく別な世界が構築されるでしょう。プレーヤー達はそれぞれまったく違う経験をできます。このポイントが、私は非常に面白い部分だと思っています。

編 前回は、ひとつの島の状況を変えても、次の島に進むことで、以前の島とのつながりが絶たれてしまったかのように感じました。今作ではどうでしょうか?

Molyneux氏 今回の世界は、大海に8つの島が浮かび、さらに5つのポイントがあります。ひとつの島の状況を変えたことで、他の島の状況も変わってくる。島だけではなく、世界全体に影響を及ぼすと言うことは、特に今作で目指したコンセプトです。プレーヤーは世界を“構築”できるのです。

 島の住人達は、他の島と行き来をし、交易などで互いに影響を及ぼしていきます。他の島の住人達が協力をしてひとつの事件に対応する、といったことも起こるかもしれません。

編 最後に、マルチプレイも楽しめるのでしょうか?

Molyneux氏 現在はソロプレイとして最高の作品を作ることを目指しています。しかし、スタジオではマルチプレイに関する制作もスタートしていまして、この「Black & White 2」が発売されてから、後付で追加要素として出す予定はあります。

ありがとうございました。

【クリーチャー】
ライオン。今回は、5種類のクリーチャーが登場するようだ 表情の違うオオカミ。左は邪悪な性格に成長したもの。歯がとがり、どことなく狼男を思わせる姿に
【スクリーンショット】
   
人々とクリーチャーはさまざまな形で関わりを持っていく。さらには別の神の僕と戦いを繰り広げることも

□Electronic Artsのホームページ
http://www.ea.com/

(2004年5月15日)

[Reported by 勝田哲也]


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