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Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート

Ubi Softブースレポート アクションアドベンチャー編
バイオレンス路線の「Prince of Persia 2」、原点回帰の「Myst IV」ほか

会期:5月12日~14日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 Ubi Softブースレポート2本目は、ミリタリーFPS以外のタイトルを見ていきたい。注目の新作はいずれも人気シリーズの最新作である「Prince of Persia 2」と「Myst IV Revelation」、そして完全新作の「Notorious Die to Drive」の3タイトル。そのいずれもがUbisoft MontrealとUbisoft Pariという高い実績を持つ自社開発チームの手で開発されており、同社はもはや完全に総合ゲームメーカーへと転換した印象がある。それではさっそく新作の内容を見ていきたい。


■ 神に死刑宣告されたプリンスの新たな死闘を描く「Prince of Persia 2」

「Prince of Persia 2」のヒロインはパンクメタルを意識したアダルトな女性。180度の路線変更といっていい
暗い業を背負って、モンスターを倒し続けるプリンス。彼に明るい未来はあるのか
 Ubisoft Montrealが手がけた前作「Prince of Persia」は、Jordan Mechner原作のアクションゲームを15年ぶりに最新の3D技術で蘇らせたアクションアドベンチャー。前作はSCEの「Ico」にヒントを貰ったという、屋内における謎解きおよびアドベンチャーに重点が置かれていた作りだったが、「Prince of Persia」の後の物語を描いた「Prince of Persia 2」は、徹底してアクション重視の内容になっている。これは前作をプレイしたユーザーの声を反映させた結果だという。

 前作でサブタイトルにも使われていた重要アイテム「Sand of Time(時の砂)」。主人公プリンスは、時の砂を駆使することで、時間を巻き戻したり、時の進みを緩くしたりなど、神のみが持つ力を使うことが可能だった。「Prince of Persia 2」は、時の守護神がそのことを知り、プリンスに対して死刑を宣告するところからスタートする。

 そこでプリンスは過去に遡り、時の砂の存在そのものを無かったことにしてしまおうと画策する。今回のプリンスは死刑囚の身であり、目的を達成しなければ神に殺されてしまう。「Prince of Persia 2」では、彼の焦りや苛立ちをゲームデザインに投影している。つまり、敵を回避して進むのではなく、サーベルと抜群の運動能力を駆使しして、正面突破を計っていく。今回は、現在と過去を行き来するダークファンタジーが舞台となっている。

 今回のプリンスは、前作における見目麗しきヒーローの姿から一変して、長髪に無精髭を伸ばし、サーベルを常に手に携えるという風貌。同社によればアダルト向けのアクションとして、Mature指定の残虐描写を含む剣劇アクションが中心となる。ゲームエンジンは前作と同じということだが、前作のファンタジー系から、リアル系のビジュアルに一変している。

 事の発端となった時の砂は今回も使用可能だが、効果が若干変わっている。自分のみ常態で、周囲の時間の進みが遅くなるといういわゆるバレットタイムが使えるようになっていて、通常では絶対に間に合わないような時限式のトラップを突破するのに役立つ。

 ひととおりデモを受けた限りでは、とにかく戦闘シーンが多いのが印象に残った。とにかく敵の数が多く、サーベルを振り回さなければ圧倒いうまに取り囲まれてしまうほど。バク転、側転、三角飛びなど、シリーズならではのアラビアンアクションの表現にも磨きが掛かっており、簡単なコマンドで華麗なアクションが繰り出せる。

 ステージの最後には待っていましたとばかりに巨大なモンスターが登場し、プリンスを苦しめる。シリーズ初登場の巨大モンスターは、通常攻撃は通用せず、足を数回切りつけて、膝を付けさせた瞬間に背中に飛び乗り、モンスターの脊髄付近を滅多突きにするといった、連続アクションも必要となる。前作に比べ、ずいぶん「鬼武者」寄りになっている印象だが、全体のクオリティは高い。アクションアドベンチャーの新定番になりそうな印象だ。

【Prince of Persia 2】
プリンスは現在と過去を行き来しつつ、時の砂が誕生した場所を目指していく。レーティングはペンディングだが、Mature指定になるのは間違いなさそうだ。発売プラットフォームは、PC、PS2、Xbox、GC。発売時期は2004年第4四半期が予定されている


■ グラフィック、ゲームシステムの両面で原点回帰を計る「Myst IV Revelation」

遠景が少しぼんやりしているのがわかるだろうか。これが被写界深度シミュレーション。遠景にポインタをあわせると、奥がくっきり見え、手前がぼやける
 アドベンチャーゲーム界を代表する人気シリーズといっていい「Myst」シリーズ。初代「Myst」のクリエイターたちが手がけた「Uru: Ages Beyond Myst」を挟んで、3年ぶりの新作となるのが「Myst IV Revelation」だ。開発元は、同社屈指の開発スタジオであるUbisoft Montreal。シリーズ初の自社開発タイトルとなる。

 「Myst IV Revelation」の最大の特徴は、「Myst」シリーズにおける実験的タイトルである「Uru: Ages Beyond Myst」でのチャレンジを凍結し、「Myst III」以来となる旧来のスタイルに戻したことだ。グラフィックスはフル3Dから、プリレンダーとなり、Quick Time VRライクな360度世界になっている。

 半ば時代に逆行したとも思える仕様を採用したことにより、インタラクティブ性は若干低下したのは事実だが、同シリーズの持ち味であるファンタジー世界への密着度はすこぶる向上している。また、プリレンダーグラフィックスといっても、「Myst III」のように単にテクスチャとして貼り付けて、稼働オブジェクトを埋め込んだだけというレベルから、新しい試みをいくつか導入しているため、古くささはみじんも感じさせない。

 ひとつは、マウスポインタによるアクションのバリエーションを増やし、世界との密着感を高めているところ。一例を挙げると、叩く、押す、つまむ、引く、本のページをめくるといった操作がクリックやドラッグ操作で簡単に行なえる。これにともない稼働オブジェクトの数も増えており、たとえば水面に触れてみたり、小動物をなでてみたりといった謎解きとは直接関係ない(関係あるかもしれないが)遊びの要素がふんだんに盛り込まれている。

 もうひとつは、プリレンダーグラフィックスに、特殊なビジュアルエフェクトを埋め込んでいるところ。デモで確認できたのは、水面に触れると波紋が広がったり、遠景を映したシーンでは被写界深度シミュレーションを行なっていて、ポインタがフォーカスの役目を果たし、遠くにポインタをあわせれば手前がぼやけるといった現象が発生する。

 デモを見ていてプリレンダーグラフィックスの良さを実感させられたのは、イベントとしてたびたび挿入されるプリレンダームービーが完全にシームレスに再生されるところ。このストレスフリーな連続感はファンタジー世界に浸りたい人には素晴らしいメリットとなりそうだ。

【Myst IV Revelation】
原点回帰を計り鮮やかに生まれ変わった「Myst IV Revelation」。発売プラットフォームはPCのみで、ハイブリッド仕様のDVDメディアで提供される。発売時期は2004年第3四半期が予定されている


■ 「GTA III」のお株を奪うユニークなバイオレンスカーアクション「Notorious: Die to Drive」

レースに勝つためには、当然の事ながら敵を倒さなければならない。最終目的は1位でレースを終えることだが、上位だとその分狙われやすい
 今回Ubisoftの中で、もっともユニークなタイトルと言えるのが「Notorious: Die to Drive」だ。完全新規のタイトルで、ゲームジャンルは「Grand Theft Auto III」以来急成長を遂げつつあるストリートカルチャー路線のバイオレンスアクション。開発元は「XIII(サーティーン)」の開発として知られるUbisoft Parisが担当している。

 「Notorious: Die to Drive」は、ロサンゼルス郊外を模した架空の都市に暮らす車好きのチンピラとなり、非合法のレースに参加して賞金を稼ぎ、裏世界でのし上がっていくというカーチェイスアクション。

 このレースでは何をやってもよく、極端な話ライバルを殺害してもかまわない。武器はバット、ピストル、マシンガンと何でもありで、左のアナログスティックで車を操縦しつつ、右のアナログスティックで銃器を操り、ライバルを物理的に蹴落としていくという、ゲームならではの非合法レースが展開される。

 ロス風の架空都市に張り巡らされた16のコースを舞台に、倉庫裏や下水道、廃港などをひた走る。賞金を稼いで新たなパーツを購入し、さらに上のレースの入賞を狙っていく。ストリートカルチャーを強烈に意識し、BGMはラップ系。現在著名なラップミュージシャンとライセンス交渉中だという。

 「GTA III」のように広大な街を舞台にストリートギャングを働くといったことはできず、レースとレースを挟んでストーリーが展開していくという流れになる。といってもレースではごく当たり前に銃撃戦が展開され、油断していると後ろからガンガン狙われる。そのほか、金網を倒しながら進んだり、廃屋の壁をぶち破ったり、過度なまでに荒っぽさを強調させたゲームデザインとなっている。日本はともかく北米では確実に受けそうなタイトルだ。

【Notorious: Die to Drive】
スナイパーライフル、バズーカ、マシンガンなどなど、殺傷力抜群のウェポンが揃っている。発売プラットフォームはPS2およびXboxで、発売時期は2005年第1四半期が予定されている

【Silent Hunter 3】
潜水艦戦シミュレータの代表格であるSSIの「Silent Hunter」シリーズ最新作「Silent Hunter 3」。これも自社開発となり開発元はUbisoft Rumaniaが担当。DirectX 9世代の3Dエンジンを採用し、かつてないリアルな潜水艦戦を堪能できる。今回はクルーに対して命令でき、このシステムによる協力プレイも可能。発売プラットフォームはPCのみ。発売時期は2004年第3四半期が予定されている

【The Settlers: Heritage of Kings】
入植をテーマにしたRTS「The Settlers」シリーズ最新作「The Settlers: Heritage of Kings」。開発はBlue Byteで、シリーズ5作目にして初のフル3Dエンジンを採用。天候の変化、それによるユニット達への影響をリアルタイムに再現するなど、3Dエンジンならではの試みに挑戦している。発売プラットフォームはPCで、発売時期は2004年第4四半期が予定されている

□Ubi Softのホームページ
http://www.ubi.com/

(2004年5月15日)

[Reported by 中村聖司]


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