【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート

Ubi Softブースレポート ミリタリーFPS編
スピルバーグも視察に訪れたWWII FPS「Brothers In Arms」に注目

会期:5月12日~14日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 世界をまたに駆けて展開するフランス大手Ubi Softは、今年も10タイトル以上の新作を出展し、その存在感をアピールしていた。今年も「Splinter Cell 3」を筆頭に、注目作が目白押しだ。まず1本目のレポートでは、ミリタリーアクションに絞って出展タイトルを紹介していく。2本目では「Myst IV Revelation」、「Prince of Persia 2」など、大作アドベンチャーを紹介していくので、こちらもお見逃し無く。


■ 兵士13人の8日間の激闘を人間味豊かに描いたFPS「Brothers In Arms」

仮設テントの中でデモを行なっていた。司会進行役は、「Brothers In Arms」の監修を担当した軍歴30年の退役軍人
銃弾が飛び交う中、強行突破を計る我が小隊。全員転ばないように足下を見ているところにリアリティを感じさせる
8名の隊員と合流したところ。全員個性的な面構えをしている。最終的には13人になる
 Ubi Softといえば、Redstorm Entertainmentの買収以降、Tom Clancyシリーズの発売元、転じてミリタリーアクションの旗手として確固たる地位を築き上げてきた。これは単に買収によって築かれたものではなく、優秀な開発力の確保、ハードウェアベンダーとの良好な関係維持、商機を逃さないためのマーケットリサーチなど、Ubi本体の努力のたまものといっていい。

 ミリタリー関連では、何といってもTom Clancyシリーズが豊富なラインナップで圧倒的な存在感を示しているが、昨年度は、ドイツCriteckとパートナーシップ契約を結び「Far Cry」をリリースするなど、徐々に多角化もスタートしている。

 そうした中、ミリタリー関連で今年最大のチャレンジが、米Gearbox Softwareが現在開発しているアクションシューティング「Brothers In Arms」だ。第2次世界大戦を題材に、ノルマンディ上陸作戦以降の実話を元にした戦闘体験を丹念に描いたミリタリーアクションだ。

 同作はスティーブン・スピルバーグ監督の映画「プライベートライアン」や「バンドオブブラザーズ」から強く影響を受けており、そこで描かれるのは、兵士間の連帯感や友情、命の大切さなどだという。ちなみにE3初日にスピルバーグ監督がUbiブースを訪れ、同作を視察していったという。「プライベートライアン」風の感動体験をゲームで再現しようという試みは、スピルバーグ監督でなくとも大いに気になるところだろう。

 ゲームは、ノルマンディー上陸作戦の前日、本格的な上陸作戦に先駆けて北フランスへの侵入を計る空挺部隊の輸送シーンからスタートする。ところが彼らの乗った輸送機は、降下地点に到着し、降下直前というところで被弾して墜落してしまう。墜落直前に全員パラシュートを開き、地上への着陸には成功するが、その直後、火だるまの輸送機が突っ込んできて意識がとぎれてしまう。

 プレーヤーは隊を率いる長マット・ベイカー軍曹として、自らの身を守りつつ、北フランス一帯に散ってしまった12人の隊員を捜し、任務の遂行に向けて尽力していかなければならない、というのが基本的なバックグラウンドストーリーとなる。

 同作のおもしろさは、ノルマンディからベルリンへといった長期的なプランをゲーム化したわけではなく、わずか8日間という限られた時間を濃縮してゲーム化しているところ。プレーヤーは最初は1人きりだが、各地で捕虜となった部下を救出するたびに戦闘の規模が拡大していく。最終的には13人という集団で、ドイツ軍を相手に激戦を繰り広げていくことになる。

 グラフィックスに関しては、使用している3Dエンジンは「内緒」ということだが、当時の北フランスの空気感まで再現したビジュアルは抜群にいい。中でもビジュアルに躍動感を与えているのが、フェイシャルアニメーションで、ゲームに登場するキャラクタは顔の向き、瞳、口を自由自在に動かす。

 隊員達と会話を交わすと、まず隊長に気づき、視線を合わせて喋り始める。会話が終わると視線をそらすが、こちらが見つめたままだと、再び視線を合わせ「どうしたんですか? 隊長」と問いかけてくる。こうした人間くさいやりとりがゲームに抜群の新鮮味をもたらしている。

 ゲームの操作は、基本的に主人公の1人称視点を中心に展開される。部下の操作は基本的、移動地点を指し示すだけ。ただし、AIは非常に優秀で、基本的に「死なないように」行動してくれる。これは敵も同じで、基本的に見えない敵と交戦していくことになる。どちらも身の安全を確保しながら戦うので、自然と戦いは膠着状態に陥る。この状況を打破するのが、プレーヤーの役割だ。

 つまり、部隊命令でダイナミックに部隊を指揮し、陽動作戦を交えつつ、側面から、あるいは裏から攻めていく。敵もなかなか姿を見せないので、苦戦を強いられるが、じりじり追いつめていく感覚が、見ていて非常に新鮮だった。小隊規模の戦いでこれほど激戦が繰り広げられるFPSは、まず間違いなく同作が初だろう。

 個人的には「Medal of Honor」、「Call of Duty」に続く、新世代のミリタリーFPSの決定版になるという確かな感触を持った。発売プラットフォームはPC、PS2、Xboxで、発売時期は10月から11月。発売が非常に楽しみなタイトルだ。

【Brothers In Arms】
北フランスの空気感まで再現したグラフィックスが素晴らしい。遠くでは別の隊が戦いを繰り広げており、煙が立ち上っているのが確認できる。時折、遊軍機が爆撃を敢行したりなど、戦場の雰囲気をよく表現している

【Far Cry: Instincts】
昨年PC向けに発売されたCryteckの「Far Cry」のXbox版。開発はUbisoft Montrreal Studiosが担当しており、ベースはPC版と同じながら、罠が仕掛けられたり、家の下に潜り込めたりなど、新しいゲーム性を追加している。Xbox Liveによる最大16人対戦に対応。欧米での発売時期は2004年第4四半期が予定されている

【Tom Clancy's Ghost Recon 2】
欧米でXbox版が大ヒットした「Tom Clancy's Ghost Recon」シリーズ最新作。開発元はUbisoft Shanghaiで、北朝鮮の脅威に対してGhostチームが対抗していく。今回はコンソール版でもプレイしやすいように3人称視点を採用。3Dエンジンも新開発し、物理エンジンにHavok2も取り入れ、破壊可能なオブジェクトを増やすなどゲームデザインも一新している。発売プラットフォームは、PC、PS2、Xbox、GCで、欧米での発売時期は2004年第3四半期

【Tom Clancy's Rainbow Six 3: Black Allow】
Tom Clancyシリーズのフラッグシップタイトル「Rainbow Six」の最新作「Rainbow Six 3: Black Allow」。もともとはPCでデビューしたシリーズだが、今回はXbox専用の完全新作。インターフェイスを一新し、Xbox Liveでクラン対抗戦なども可能となっている。欧米での発売時期は2004年第3四半期が予定されている

【Tom Clancy's Splinter Cell: Pandora Tomorrow】
PCおよびXboxで発売された「Splinter Cell: Pandora Tomorrow」のPS2およびGC移植版。基本的に完全移植で、オンライン対戦にも対応。開発はUbisoft Parisが担当している。欧米での発売時期は2004年第3四半期が予定されている

□Ubi Softのホームページ
http://www.ubi.com/

(2004年5月15日)

[Reported by 中村聖司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.