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Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート

第3世代のMMORPG「Vanguard: Saga of Heroes」プレビュー
EQ2やWoWのさらに上を狙うハイファンタジーMMORPG

会期:5月12日~14日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 今回、MicrosoftがWindowsタイトルの中で唯一プライベートブースでのみ見せていたのが、今年3月に正式発表されたMMORPG「Vanguard: Saga of Heroes」だ。Microsoftのゲーム開発プラットフォームXNAで開発され、開発は3D MMORPGの元祖である「Ever Quest」のクリエイターが担当、世界唯一の第3世代のMMORPGを謳うなど、抜群の話題性を備えたタイトルだが、実際どのようなゲームになるのか。今回、会場でプレイアブルαバージョンを見ることができたので、その内容をご紹介しよう。


■ Unrealエンジンを採用したエピックスケールのMMORPG

デモを行なってくれたBrad McQuaid氏とJeff Butler氏。「Ever Quest」の共同開発者であり、現在「Vanguard: Saga of Heroes」の開発に携わっている
リアルスケールで描かれたグラフィックス。水面の環境マッピングも自然で美しい
失われたテクノロジーを秘めた古代遺跡。石碑などには実在する古代言語などが使われるという
 「Vanguard: Saga of Heroes」は、欧米にとって普遍的だが、曖昧模糊とした存在であるハイファンタジー世界を描いたMMORPG。ハイファンタジーとは、ローカルルールを適用したファンタジーと差別化する意味合いで使われる用語で、わかりやすくいうと「指輪物語」でその存在が示され、「Dungeons & Dragons」で定義化された世界がハイファンタジーということになる。

 これは既存のMMORPGで言えば、「Ever Quest」、「Ultima Online」、「Dark Age of Camelot」あたりがハイファンタジーMMORPGになる。同社では、これらのMMORPGを第1次世代と定義づけ、現在話題になっている「Ever Quest 2」や「World of Warcraft」を第2世代、その次の世代のハイファンタジーMMORPGとして「Vanguard」を位置づけている。

 「Vanguard」のゲームの目的は非常に明快で、ハイファンタジー世界におけるファンタジー体験そのものにある。つまり、運営側が制御不能なほどに途方もなく広い世界(もちろん実際には完全に制御されるが)、自由度の高いゲームデザイン、そしてファンタジー体験に必要不可欠なダンジョンや謎解き、モンスターなどを用意して、自由にプレイしてもらうというものだ。

 一例を挙げると、今回デモで見た大陸は、タテヨコ20kmの広さがあるというが、これはあくまで世界の中の大陸のひとつに過ぎない。その大陸に点在する城塞には250以上の家屋が設置され、そのすべてに住人がいて、悩みや問題、相談事、使命などを抱えている。プレーヤーら一行がその街にたどり着いたとき、そこで何をするかは完全に自分の裁量にまかせられている。

 ゲームエンジンはUnrealエンジンをカスタマイズしたものを採用。エリア切り替えなどは一切なく、視界の届く限り遠くを見渡すことができる。プレーヤーは街から街へ冒険する際は、街に最低ひとつ設置されている見張り台や塔などのランドマークを目指しながら歩いていくことになる。

 ここで注力されているのが空気感の表現で、具体的な手法は教えてもらえなかったが、陽光や空の表現や、パターンではなくひとつひとつ独立したテクスチャ処理、どこまで寄ってもアラが見えないバンプマッピング処理された各種オブジェクトの存在などにより、あたかもコンピューターグラフィックスをバンバン取り入れたハリウッド映画のような実写感を伴う映像を実現している。ある意味、この部分こそが同作最大のウリといっていい。

 大陸、森林、街、塔といった存在はすべてリアルスケールで描かれており、MMORPGではごく当たり前のように行なわれているパターン処理を一切排除し、岸壁や煉瓦壁、草原地帯などはひとつひとつ丁寧に処理されている。これにより、それらオブジェクトのバンプマッピング表現が、どこまで近づいても高精細、デコボコ感が維持されている。このライブ感は実に素晴らしい。

「Vanguard」には多くの人々(NPC)が住む街が数多く用意される。これは「Ever Quest」でデッドタウン化した街がいくつもあった反省に基づくもので、いずれも賑わった街になるという。街路や家の壁に施された高精細のバンプマッピング表現にも注目したい

時間や天候によってガラリと雰囲気が変わる。周囲に植えられている木は1本1本パターンが異なるのに注目。このこだわりは凄い


■ マイハウス、マイシップも所有可能 まずはレンタルハウスから

 一方、キャラクタについては、「ヒューマン、ドワーフ、エルフなどはいる」というに留まり、具体的なデザインはこれから調整していくものと見られる。ただ、「Dungeons & Dragons」や「Ever Quest」シリーズとの類似を避けるため、ある程度は独自仕様も盛り込まれる模様だ。

 移動手段は馬、船など。これらを自ら所有することも可能という。職業に関してはスキル性になっていて、戦闘重視のキャラクタにもできるし、生産中心のキャラクタ、あるいはその両方を目指すキャラクタなど、自由度の高い成長システムを採用。デモでは鉱山を見ることができたが、Miningスキルがあればここで各種鉱石を掘ることができるようだ。ただし、ここにはモンスターが生息しており、安全に掘るためには護衛か、自ら強くなる必要があるようだ。

 ちなみに街に存在する家屋はすべてNPCが所有しており、中に入って会話をしたり、クエストを受けたりすることはできるが、所有することはできないという。プレーヤーに対してはレンタルハウスを設け、当分はそこを拠点に少しずつ生活エリアを広げていくことになるようだ。最終的には家も建設可能というが詳しくは未定という。

 冒険については、完全にシームレスになっているフィールドとダンジョンが中心となる。「Dark Age of Camelot」や「World of Warcraft」が実現している水中エリアについても、実装を予定しているという。ひょっとすると泳いで大陸を渡ることができるのかもしれない。

 今回見ることができたバージョンは、開発期間18カ月のスニークプレビュー版で、開発元Sigil Games OnlineのCEO Brad McQuaid氏は、MMORPGの開発には通常3、4年かかると発言していただけに、「Vanguard」の正式リリース時期は2006年から2007年ぐらいになるものと予想できる。史上空前のファンタジー世界を構築する「Vanguard」。今後要注目のタイトルだ。

多くのモンスターが巣くうダンジョン。高い天井が印象的。この奥にはどのようなモンスターが潜んでいるのだろうか

□Microsoftのホームページ
http://www.microsoft.com/games/default.aspx
□Sigil Games Onlineのホームページ
http://www.sigilgames.com/
□「Vanguard: Saga of Heroes」のホームページ
http://www.vanguardsoh.com/

(2004年5月14日)

[Reported by 中村聖司]


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