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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】映画の圧倒的な戦いを再現する |
会場:Los Angeles Convention Center
多くの人気タイトルを出展、変わらぬ人気を誇るElectronic Arts (以下、EA)。今回も中央に大きなモニターを設置し、つぎつぎとタイトルを紹介。片側にスポーツコーナーを設定し、定番ともいえる配置で来場者を迎えていた。
今回EAが出展したPCタイトルは「The Lord of the Rings: The Battle for Middle earth」、「Medal of Honor Pacific Assault」、「The Sims 2」、「Battlefield 2」、「Black & White 2」の5本。「Medal of Honor Pacific Assault」、「The Sims 2」以外はすべてクローズドブースで開発途中のバージョンの展示にとどまり、発売目前の完成品が多いコンシューマタイトルの展示とはひと味違った印象だ。
「Battlefield 2」、「Black & White 2」については、より詳細な情報を別ページで取り上げたい。
「The Lord of the Rings: The Battle for Middle earth」は、クローズドブースの来場者が驚きの声をあげて迎えたタイトル。映画「The Lord of the Rings」3部作を題材に、闇の力と光の勢力の戦いを描く。映画でのクライマックスシーンである「合戦」シーンを再現させることも可能なリアルタイムストラテジーである。
今回はデモプレイとして、闇の勢力側が人間達を蹴散らす戦いを見せてくれた。「コマンド アンド コンカー」シリーズを手掛けたスタッフが構築したというシステムは、大規模なオーク、トロール、そして象の混成部隊をストレスなく描画、配置を可能にしている。
まずは森の中での戦い。資源という要素はまだ実装されていないのか、陣地をクリックするだけで、建物が建造される。知能が低いが強力なトロールがオークに引っ張られ、戦場に参加する「トロールの飼育場」や、角を持つ醜悪な獣を肉に変える“食肉場”など、オークや混沌の勢力の「生活」を想起させる建物が確認できた。
次は部隊の進軍。銀色の鎧に身を包んだ人間の軍隊が、混沌の軍勢を阻もうと立ちふさがる。戦士達と同数のオークでは、あっという間に取り囲まれ、切り刻まれてしまう。しかし、トロールが戦場に到着すると、明らかに戦士達の間に「動揺」がかけぬけるのが、兵士達の様子で確認できるのだ。
人間の倍もあろうかという背丈の灰色の肌をした怪物は、近くにある木を引っこ抜いて、人間達を薙ぎ払う。戦士達はトロルにさわってもいないのに、盾をかまえ大きく後ずさる。これではたとえ数の上で力が強くても、戦いに勝てそうにない。
こういった「志気」というパラメータは本作の大事な要素で、これを使うことで、有利にも不利にもなるようだ。上向きの時は調子がいいが、逆境に立たされてしまえば総崩れになってしまうオークなどは、プレイの仕方で如実に性格がでてくるかもしれない。
デモプレイはゴンドールの都ミナス・ティリスでの攻防へ。白く美しい塔が階段状に並ぶ映画そのままの都が3Dグラフィックで再現されており、その偉容は大変な迫力である。そこにぞくぞくと押し寄せてくる混沌の軍勢。建物の中では兵士達がひしめき合い、敵を待ち受ける。投石機や梯子が押し寄せてくるのを、ローハンの騎士達が必死に防ぐが、力及ばず、城門も破られてしまう。
映画では断片的にさまざまなシーンが続くが、ゲームシーンでは好きな場所を、好きなだけで見ることができる。カメラが近づくとリアルな大きさになる動くミニチュアを眺めている楽しさは、原作に思い入れがある人たちには、より一層くるものがある。
「ここでオリジナル要素をいれてみましょう」というスタッフの声と共に投入されたのは、炎をまとった悪魔、「指輪物語」でも屈指の強大なモンスター「バルログ」である。その力と、人間に与える恐怖はトロールの比ではない。彼が歩くだけで人間の軍団はちりぢりになり、あっという間に彼がはく炎の息に消し炭と化し、全滅させられてしまった。もし映画でもミナス・ティリスにバルログが登場していたらどんなことになるか? ゲームはその答えを確かな形で見せつけてくれた。よくできたゲームのモデリングがあればこそ生まれるリアリティだ。
ゲームでは、光の勢力の他に、帝王サウロン側の勢力と、サルーマンの立場でプレイできるようだ。サウロンの力を利用しようとして破滅してしまったサルーマン。怪優クリストファー・リーが演じたために、人気を集めたサルーマンが、“史実”をひっくり返し、世界に覇を唱えられるとしたら……。
リアルタイムストラテジーでありながら、難易度は抑えめにしてあるという。ゲームのイメージを崩さないリアルな世界で、“if”を楽しめるソフトとなってくれそうだ。米国での発売は2004年秋の予定。
【スクリーンショット】 | ||
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巨大な象。第3部で一番インパクトのあったクリーチャー | 数対数の戦い。地形も戦略上重要に | 全体マップ。ミドルアースを俯瞰できる |
城門なども、精緻にモデリングされる | 台軍団を形成して戦う高揚感は独特なものだ |
硬派なFPSファンに人気を博していた「Medal of Honor Pacific Assault」 |
グラフィックは独自に開発されたエンジン。光と影の描写をくっきりと表現、銃のマズルフラッシュや、木の板の質感などをリアルに描画している。また、ダメージ表現にも味がある。攻撃を受けると一瞬視界が灰色になり焦点がぼやける。ダメージを受けすぎると物音も聞こえず、視界は灰色に染まっていく。このフィルタ効果には独特の臨場感がある。
映像のみならず、敵AIも賢い。体験できるバージョンは比較的難易度が高く、気を抜くとゲームオーバーになってしまい再挑戦をさせられるのだが、プレーヤーが微妙に前進するルートを変えても、敵は陣形を流動的に変化させ、こちらを包囲しようとしてくる。しかも、きちんと障害物に隠れながら、である。
「Medal of Honor」というタイトルに筆者は、ダメージ覚悟で敵のど真ん中につっこみ、敵をなぎ倒すような戦いが可能というイメージがあった。本作のじわじわと自分を包囲してくる「守勢に立たされる戦い」の感触は、正直意外だった。
また、この作品にはシリーズ定番の「体力を完全回復させる水筒」がない。プレーヤーはチームのメディック(看護兵)を呼んで治療をしてもらわないと体力が回復できない。戦争のヒーローであった今までの主人公とはまったく違う存在なのだ。さらに、チームの存在は非常に重要で、メディックが敵の攻撃にさらされないように、常に気を配るのが賢い戦い方だという。
PC版からPS2版へ、さらに「ライジング サン」へと作品のテイストや、スタッフを変えながら続けられている「Medal of Honor」シリーズ。今回は今まで以上にイメージを一新した作品となった。こちらの米国登場も2004年秋予定。オンラインは16~32人での対戦を想定しているそうだ。
【スクリーンショット】 | ||
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銃剣攻撃など、PS2版を思わせる攻撃も | 砲台について攻撃するなど、演出も多彩だ | 光の表現など、動いているものはより美しかった |
仲間達との連携が、今作の特徴である | 考証を重ねられた装備品などにも注目したい |
「The Sims 2」は、男女年齢を問わず注目を集めていた |
開発の難航ぶりを証明するかのように、今回も映像出展が中心で、プレイアブルなバージョンは出展されなかった。しかし、「The Sims 2」というゲームは、自分ならではの分身を生みだし、こつこつとお金を貯めて家具を足したり、人間関係を構築していくゲーム。
さらに今作では親から子へと関係を広げていき、「時代」さえも体験できる作品ということで、会場での試遊には適さないかもしれない。“おいしい”シーンを抜き出して紹介するというムービーは、ユーザーにきちんとイメージを伝えられる手法といえるだろう。
そのシーンというのがすさまじい。舞台は上流階級を思わせるプールのある豪邸。プールサイド近くの個室で、1組の男女がいちゃいちゃしている。愛情表現の濃密さは今作での大きな特徴で、膝の上にのせてキスをする仕草もかなりの熱烈ぶりである。ここに入ってきてしまう、ひとりの女の子。どうやら彼女は男性にお熱だったらしく、そのシーンを見せつけられて、酷く落胆してしまう。
ここまでは今までのゲームでもあったシーン、傷心の女の子は自分の友人に男の恋人の話をする。その表情から、悪口を言っているのはあきらか。すると女の子と、友人の友好度がアップしたのである。
いちゃいちゃした男女がやってくる。面白くない女の子は、恋人にけんかをふっかける。男の恋人は乱暴に女の子を突き飛ばす、よよよと泣き崩れる女の子。それを見ていた女の子の友人が、男の恋人に近寄り、猛烈なパンチを浴びせたのである! 昼メロも真っ青のハードなシーン。男がぽかんとプールサイドに突っ立っているのが、より一層リアリティをもたらしている。
このシーンは来場者には大ウケ。女性の注目度が高いタイトルだけに、こういったドラマが入ってくるのはユーザーの要望を満たす結果であるといえるだろう。さまざまな要素が絡み合い、ユニークなドラマを生んでいくのが本作の楽しさ。さらに親から子へと世代交代までするのだから、「渡る世間は鬼ばかり」ばりの世界すら生み出せるかもしれない。プレイした人のレポートを読むだけでも楽しそうなタイトルである。
【Battlefield 2】 | ||
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発売時期は未定。100人以上の対戦を実現するという。現用兵器を使って、リアルな現代戦が楽しめる |
【Black & White 2】 | ||
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プレイヤーは神となり、勢力を拡大していく。神の代理人となる「クリーチャー」との交流など、革新的な要素を多く含むシミュレーション。発売時期は未定。 |
(2004年5月14日)
[Reported by 勝田哲也]
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