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★PS2ゲームレビュー★

「機動戦士ガンダムSEED」の世界が手軽に体験できる
「SDガンダム GGENERATTION SEED」

  • ジャンル:ドラマチック・シミュレーション
  • 発売元:株式会社バンダイ
  • 価格:5,800円(税別)
  • プラットフォーム:PS2
  • 発売日:発売中(2月19日)



 '87年に放映された「機動戦士ガンダム」から、シリーズ最新作「機動戦士ガンダムSEED」までを題材にしたシミュレーションゲーム「SDガンダム GGENERATTION SEED」が発売された。

 300体以上のユニットが登場する人気シリーズ「GGENERATTION(Gジェネ)」は、開発・設計で生産ラインを増強し、オリジナルの軍隊を作成できるのが売り。シリーズ最新作の特徴は、「機動戦士ガンダムSEED」のエピソードを再現した「SEEDモード」の実装。本モードは「おまかせ編成」などGジェネシリーズ初心者にも優しい機能が盛り込まれている。

 全50話を15ステージにまとめているため、話の流れが掴みにくい部分もあるが、そのあたりをフォローするために全50話分のあらすじを解説した「SEEDツアーモード」を搭載。SEEDファンにも、SEED未見のプレーヤーにも明解な作りに仕上がっている。

SEEDモードの山場では、原作のドラマティックなシーンがCGムービーとして挿入される。ブーステッドマンたちの操るガンダムとフリーダムのバトルシーンは1分以上のロングサイズ。SDキャラとはいえ迫力は微塵も損なわれていない



■ 徹底的なGジェネシリーズ初心者用ステージ――「SEEDモード」

 世に出たゲームのなかに「初心者向け」と称されたモードはいくつもあるが、この「SDガンダム GGENERATTION SEED」 の「SEEDモード」ほど大胆なビギナー向けの仕様を見たのは久しぶりのような気がする。この「SEEDモード」は、Gジェネシリーズの特徴である「モビルスーツの生産、開発、設計」、「ブリッジクルーやグループの編成」を大胆にもカット。あらかじめ用意されたユニットとパイロットでステージを攻略していくモードだ。

 実際にゲームを始めてみると「SEEDモード」選択からほぼワンボタンでステージに突入可能というお手軽さ。自軍ユニットの初期配置も済んでおり、プレーヤーのやることはユニットの操作(戦闘や帰艦含む)だけ。たとえ新規ユーザーがプレイしても、戸惑うことはないだろう。

 最初にプレイするシチュエーションモードに限定しての話だが、ほとんどのステージは出現する敵ユニットが少なめで、勝利条件は敵戦力の全滅が多い。自軍ユニットを突撃させるだけで撃破できるなど、難度は相当甘く設定されている。マニュアルにも「SEEDから入った新規ユーザーのために用意したモード」とあり、その言葉は確かに間違っていない。新規にGジェネを始める人には、下手なチュートリアルより入りやすいモードといえる。

出撃を選択するだけで、ステージに進むことができる「SEEDモード」 体力全回復アイテムなども落ちており、攻略は楽勝。ゲームオーバーになるほうが難しいかも……

戦闘の手順は、ユニットの射程距離に入った敵機(索敵は必要なし)にカーソルを合わせ、武装を選択するだけでOK。ここで重要になるのがリミットブロック。このリミットブロックは、幅が大きいほど攻撃回数が増えるというシステムで、最大値はキャラクタの性能で異なる。たとえば、ビームライフルはリミットブロックを2消費するので、最大値が4のキャラクタは2回攻撃できるという寸法だ

複数射撃、複数格闘は、選択した攻撃目標と同じ射程に他の敵がいる場合、2体まで同時に攻撃可能な「複射」、「複格」を仕掛けられるコマンド。EN消費が1回分で済むのが大きなメリットだ

同じチームに所属する未行動のモビルスーツと同時攻撃を行なう支援攻撃。この攻撃で敵を撃墜した場合、支援に参加したモビルスーツも経験値を獲得できる。支援攻撃を多用すればモビルスーツが早くレベルアップできる

敵機を撃破することでSAゲージが上昇。SAゲージを消費することで「スペシャルアタック」が使用可能。スペシャルアタック使用時は、パイロットが有名なセリフを喋るカットインアニメーションが挿入される。ファンにとっては非常にシビれる演出。スペシャルアタックで撃破した場合は獲得経験値が2倍になるため、積極的に狙いにいきたくなる

個人的には、クロト、シャニ、オルガのオーバードーズなキレっぷりが何度も鑑賞できて満足。アズラエル、トール、フレイ、ミリアリアといったキーマンにもカットインアニメーションが用意されていれば言うことはなかったのだが……



■ 「SEEDモード」の前に閲覧は必須か?――情報量が膨大な「GALLERY」

 登場人物や登場MSの詳細情報を閲覧できる「GALLERY」。このモードで特筆すべきは、今回の「SEEDモード」を楽しむ上で必要不可欠な「SEEDツアーモード」の存在だ。このモードには「ストーリーイントロダクション」と「キーワードイントロダクション」のふたつのコンテンツがある。

 「ストーリーイントロダクション」は、「機動戦士ガンダムSEED」TV版の各話のダイジェストが閲覧できる。「SEEDモード」は原作を15ステージにまとめているため、「あれ、ディアッカがいつの間にかアークエンジェルにとっ捕まってる」と話の筋が飛んでしまう場面が多々ある。

 こんなときこそ、SEEDの全50話をフォローしている「ストーリーイントロダクション」の出番となるわけだ。各話はタイトル名、2点の画像、あらすじテキスト、次回予告テキストで構成されている。あらすじは800~1,200文字程度にまとめられており、原作を補足するには十分なボリューム。L1、R1のページ送り機能も読みやすくてよい。ただ、サイズの小さい画像しか用意されていないのは残念だ。

これがGALLERYの画面構成。BGMモード、SEEDツアーモードは、ゲーム開始時から全コンテンツが閲覧できる 「ストーリーイントロダクション」は、基本的にテキストベース。欲をいえば「SEEDモード」の各マップが何話から何話までをモチーフにしたものなのか、という追記もあれば完璧だった


基礎用語から専門用語まで余すところなく掲載。情報量の多さには感心するばかりだ
 「キーワードイントロダクション」は、「機動戦士ガンダムSEED」専用の用語集。検索機能はないが、100以上の用語が50音順で収録されており、情報を探すのにそれほど手間はかからない。「フェイズシフト装甲」などの用語は原理なども詳細に説明されているので、「機動戦士ガンダムSEED」の世界観をより深く知ることができる。

 また、一見無駄にも見えるSEED版“トリビア的”知識を得られるのも特徴。たとえば「コーヒー豆」の項目を見ると“コーヒーのブレンドに凝るバルトフェルドが使用していた豆。「ハワイコナ」は、ハワイ原産で、苦味、酸味、甘味、のバランスが取れた豆で…(以下略)”と原作ファンのみならず「へぇ~」と興味をそそられる説明文が面白い。

 「ストーリーイントロダクション」、「キーワードイントロダクション」は「SEEDモード」をクリアしていなくても閲覧できるので、「機動戦士ガンダムSEED」を未見のプレーヤーは、まずこちらで全話の流れをつかむという力技もアリだと思う。

SD機体のポリゴングラフィックとテキストで構成されたモビルスーツプロフィールモード。変形可能なモビルスーツは□ボタンで変形
 「プロフィールモード」はGジェネシリーズでおなじみの、モビルスーツ、戦艦、キャラクタのプロフィールを閲覧できるモード。モビルスーツのプロフィールは、型式番号、機体名、説明テキスト、登場作品がチェックできる。全高、重量、装備などの記載がない点は不満が残るが、そこまでディープな情報を求めなければ無難な出来といえる。

 キャラクタプロフィールは、登場人物たちの生涯を解説したモード。スペシャルアタック使用時のカットイン画像が動画ではない、ボイス集がカテゴライズされていない、など使い勝手の悪さはあるが、解説文はテキスト量も多く「SEEDモード」の人間関係を把握するために重要な役割を果たしている。

ボイス集は○ボタンを押すごとに変化。次回作があれば「攻撃回避時のボイス」、「複数格闘開始時のボイス」のようにボイスのカテゴライズを熱望したいところだ 「シアターモード」はゲーム中で見たイベントムービー、MAP兵器ムービー、カットインムービー、イベントグラフィックを鑑賞可能。「SEEDモード」のイベントムービーは時間が長くクオリティも高い。繰り返しての鑑賞に便利


 このように資料性の高いGALLERYだが、残念なのは、GALLERYをプレイ中に起動できないところ。これは過去のGジェネシリーズから感じていたことだが、ステージ中に新しい登場人物が出てきたはいいが「マニアック過ぎて思い出すことができない」といったう場面が少なからずあると思う。

 こんなとき、GALLERYのプロフィールモードを呼び出して、即座にどのような活躍をしたキャラクタか確認できれば、非常に助かるはず。「SEEDモード」のストーリーも、プレイ中にSEEDツアーモードが起動できれば、遊ぶ人の理解力は相当高まったはずなのに……。


■ オリジナルの軍隊を編成可能なGENERATIONモード

 自分の好きなキャラクタとモビルスーツで自軍を編成できるのが、GENERATIONモード。こちらをプレイした感触は、目新しさこそないものの、Gジェネシリーズらしい老舗的な仕上がりといったところ。Gジェネファンにはおなじみの「開発」、「設計」、「編成」は健在。全ユニットをSEED系列の機体で固めるもよし、さまざまなシリーズから優秀な機体をチョイスするもよしで、そこには無限のバリエーションが存在する。Gジェネシリーズ初体験という人にも、こちらのやり込み要素を極めていただきたい。

【モビルスーツの開発・設計】
出撃させたモビルスーツで敵を撃墜して経験値を積ませると、やがてレベルがACEに到達する。ACE機体は、オペレーションルームの「開発」コマンドで次世代機に進化させられる。たとえば、ブリッツガンダムから派生する開発プランは「プランA:デュエルガンダム」、「プランB:イージスガンダム」、「プランC:フォビドゥンガンダム」の3つ。ACEモビルスーツ同士をかけ合わせてMSを生産する「設計」も可能

【グループ編成】
母艦、モビルスーツ、キャラクタからなる軍隊を、プレーヤー独自の組み合わせで編成可能。射撃値や反応値の低いミリアリアなどのオペレーターをモビルスーツに搭乗させて「こいつ弱ぇ~」という鬼畜な楽しみ方もできる


GENERATIONモードのステージ1「ジャブローに散る」は、アプサラスと08小隊が交戦している場面にシャアが登場
 今作のGENERATIONモードの10ステージは、すべてオリジナルストーリー。登場人物の選択や演出には工夫が感じられるものの、Gジェネシリーズ特有の「全シリーズを追体験する」という良さは少々失われた印象がある。

 過去のGジェネシリーズは、ガンダムシリーズそれぞれのストーリーが忠実にゲームに落とし込まれており、ガンダムの歴史をオリジナルの軍隊で辿るという展開が、遊んでいて実に楽しかった。

 SEEDモードだけでなく、GENERATIONモードもひとつのシリーズにつき10面ほどステージを用意して原作を再現するような作りになっていたら……と筆者は考える。ステージ数は膨大なものになるだろうが、それでもやはり「そうして欲しかった」と思う。

 もしそのような仕様であれば、この「SDガンダム GGENERATTION SEED」は、数あるガンダムゲームの中で数少ない“この1本でガンダムの歴史が辿れる!”という決定版になっていただろう。


 今作をプレイするのにベストなプレーヤーは、ずばり「機動戦士ガンダムSEED」を未見の方々だろう。現在発売中の「GUNDAM SEED DVD COLLECTION」を全巻観れば済む話だが、多忙な現代人に、なかなかそれだけの時間を作りだすことは難しい。SEED世界の速習効果だけを考えるなら、DVDより断然「SDガンダム GGENERATTION SEED」に軍配が上がる。

 この作品から「機動戦士ガンダムSEED」の世界に触れ、DVD、プラモデル、関連書籍などに手を伸ばす……そんなはじめの一歩を踏み出すためのスターターキットとして、手ごろなソフトではないだろうか。3月下旬に「ガンダムSEEDスペシャルエディション 虚空の戦場」の放映も控え、ますますヒートアップするSEEDワールド。SEED初心者の方々は、この番組の放映までを目安に「SDガンダム GGENERATTION SEED」をクリアしてみてはいかがだろうか?

(C)創通エージェンシー・サンライズ
(C)創通エージェンシー・サンライズ・毎日放送
(C) BANDAI 2004

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□製品情報
http://www.bandaigames.channel.or.jp/list/ggseed/
□関連情報
【1月26日】バンダイ、Gジェネ最新作に「ガンダム SEED」参戦。PS2「SDガンダム GGENERATTION SEED」を2月19日に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040126/seed.htm

(2004年3月8日)

[Reported by 福田柵太郎]


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