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★PS2/GC/Xboxゲームレビュー★
■シリーズの楽しさを受け継ぐアクションゲーム
今作「ソニック ヒーローズ」は、新機軸として“チームアクション”を採用。今までにも、テイルスと協力したプレイや、他のキャラクタの能力を使いこなした多彩なアクションなどが楽しめた作品もあった。しかし、今作はそこからもう一歩踏み込み、より「協力」する楽しさを体験できる作品になっている。 ソニック、テイルス、ナックルズの3人に加え、シャドウ、ルージュ、オメガの「チーム・ダーク」。エミー、クリーム、ビッグの「チーム・ローズ」。といった、今までにシリーズに出てきたキャラクタが総出演。さらにメガドライブのスーパー32Xというハードで発売された名作アクションゲーム「カオティクス」から、エスピオ、チャーミー、ベクターの3人が時を超えて出演している。熱心なセガサポーター、ソニックチームサポーター感涙のオールスターキャストなのである。 アニメ作品でソニックを知ったというような低年齢層のユーザーも充分キャラクタを楽しむことができる。ゲーム中、とにかくキャラクタはしゃべりまくる。台詞ひとつひとつでキャラが立っていて、筆者は特にテイルスの健気さと、いつもは余裕を見せているルージュのふとしたところでのぞく必死ぶりがツボにはまってしまった。キャラクタを大事にしているゲームならではの多彩な「引き出し」が楽しめる作品でもある。 ソニックシリーズ、さらには「ナイツ」等のソニックチームの作品に共通する硬派なアクションゲームという側面をもった作品である。ゲームを楽しむうちに、自分の“ゲームのウデ”が、上昇していく感触を楽しんで欲しい。 ■キャラクタの能力を活かして進め セリフによる描写はもちろんのこと、本作でユーザーをキャラクタに惹きつけさせるのは、やはり「アクション」に他ならない。ジャンプをしたときのクルッと回転する仕草、走る仕草などなど、各キャラクタにはそれぞれ独特のキャラクタパターンが使用されていて、強い感情移入と、キャラクタを操る楽しさをもたらしてくれる。 ひとつのチームは、それぞれ「スピードタイプ」、「フライタイプ」、「パワータイプ」という役割がある。チーム・ソニックなら、スピードのソニック、フライのテイルス、パワーのナックルズ、というわけだ。 スピードタイプは非常に速く走り、フライタイプは他のキャラクタを引っ張り上げて高く飛び上がり、パワータイプは敵を攻撃できるほか、岩や壁を壊せる。例えば、空中にいる敵の場合、フライタイプの攻撃「サンダーシュート」で、敵をしびれさせ落下させ、パワータイプの攻撃で倒す、というのが基本的な戦術になる。使うキャラクタを瞬時に切り替えて戦っていくのである。 それぞれのタイプはまた“フォーメーション”があり、リングを取るときや、仕掛けを作動させるときなどにフォーメーションを切り替えると効率が良くなる。ステージと密接に関係している上に、プレーヤー自身が模索する楽しさがある。 さらに、まだまだキャラクタの能力は多彩で、さまざまなアクションができる。スピードタイプはリングの道を通ったり、ホーミングジャンプで足場のないところを移動したりできる。パワータイプは仕掛けを作動することができ、さらに足下の床を崩したり、下から風を受けることで滑空もできる。 キャラクタのアクションは非常に多く、初心者は迷ってしまうかもしれないが、「ヒントリング」というものがステージ各所に設置されていて、教えてくれる。慣れてくれば、仕掛けを見ただけで的確にフォーメーションを切り替えて、進んでいけるようになる。 各チームのアクションもまた、非常に魅力的だ。操作方法、レスポンスは共通ながら、各キャラクタの個性がその感触を全く別なものにしている。ソニックが“足”を使って巻き起こす竜巻を、「チーム・ローズ」のエミーなら、ピコピコハンマーを使って起こす。ナックルズ達が手をつないで滑空するアクションは、「チーム・カオティクス」では、ベクターが風船ガムをふくらませ風を受け、他の2人はそれにしがみつくというアクションになっている。 同じ“攻撃”、というアクションでも、それぞれのキャラクタ独自のものが用意されていて、楽しい。ただ、各チームによって微妙に操作や感触が違う場合もある。ひとつのチームのストーリーを楽しんでから次に、という攻略の方が楽であり、キャラクタの個性もより楽しめるだろう。 各チームには「チームブラスト」という必殺技が用意されている。リングを取ったり敵を倒すことで上昇するゲージを使用して発動、各チームにはそれぞれド派手なアニメーションが用意されている。効果は、一定範囲内の敵の全滅させるほか、さまざまな追加効果がある。リングを100枚そろえることで1upできるため、倒した敵がリングパネルとなるチーム・カオティクスの技は非常に強力だ。 チーム・ダークの技は、周囲の時間を止めてしまう。足場が崩れるところを素早く通らなくてはいけない場所があるのだが、こういう場面で、とても効果的だ。アクションゲームで、敵を全滅させるボム的なこのチームブラストは、使うのを忘れてしまいがちである。しかし、うまく使いこなすことで“かっこいい”プレイが可能である。また、ボス戦にも有効なのだ。
■“驚き”を与えてくれるステージの数々 カラフルで、美しい3Dグラフィックで描き出されたステージは初代ソニックで、ユーザーを驚かした衝撃そのまま、現在でも、本作を見た人の心を激しく揺さぶるだろう。「ソニックアドベンチャー」から表現はさらに進化。3D空間を高速に駆け抜けていく、“疾走感”と、危険な場所を踏破していく爽快感がこみ上げてくるその感覚は、本作ならではのものだ。 各ステージの“イメージ”は、2つのステージと、ボスステージで構成されている。青い海と、緑のはえる島、南国風のイメージで、シリーズを通した“ソニックのステージ”のイメージそのままの、「シーサイドヒル」と「オーシャンパレス」。ラスベガスのような華やかなネオンきらめく「カジノパーク」と「ビンゴハイウェイ」。ここでは、ピンボールの球になったり、ルーレット台で戦うこととなる。「ハングキャッスル」と「ミスティックマンション」はオバケ屋敷というか、幽霊が出てくる古城がイメージとなっている。 各ステージは3Dで描き起こされており、さまざまなところに「驚き」がある。「グランドメトロポリス」の広大な都市空間、「レールキャニオン」の空中にわたされたレールの上を延々と走っていく、怖さと気持ちよさ。2Dでは表現できない実在感のあるステージがプレーヤーの目の前に展開する。 今作では、特に「高さ」の表現が秀逸。基本的に足場が不安定な場所が多く、落下の可能性があるというデメリットは確かにあるものの、胃に圧迫感を感じてしまう遊園地のジェットコースターのような「落下感覚」をとてもリアルに再現している。 「ハングキャッスル」は、今作で最もユニークな場所で、仕掛けに触れると、重力が逆転する。そうなると、天井が床になるのである。まるでだまし絵のようにさっき通った道が、全く別な顔を覗かせる。3D空間ならではの、説得力とケレン味を併せ持つ場所である。 テーマを同じにした2つのステージを越えると、ボスとの戦いになる。本作の悪役は、シリーズを踏襲したエッグマン(ストーリーを進めていくと意外な展開もあるのだが)。彼の繰り出す、巨大なメカに戦いを挑んでいくこととなる。とにかく、効率のいいダメージの与え方を探すのが重要だ。 また、エッグマンとの対決の他に、他チームとの対戦も待っている。これは、対戦ゲームそのままで、相手をはじき飛ばしたりと、他のプレイとはちょっと違った感触が楽しめる。1Pの時はCPUキャラの動きなどが、いささか大味な感もあるが、2Pプレイでの戦いは、白熱したものになりそうだ。 各ステージは、挑戦するチームによって構成が微妙に異なる。特に、チーム・ローズのステージは、チーム・ソニックの2/3ほどの長さになっていて、初心者を意識した構成になっている。チーム・ダークは、反対に、ソニックのものより少し難しい。 チーム・カオティクスだけは、他のチームと違い、ステージの走破だけが目的ではなく、ステージに隠されたものを見つけだしたり、敵を全部倒すなどの“ミッション”をクリアしなくてはならないのだ。うまくいけば早く終わるし、困難なミッションもある。他のチームとは違うルールでステージを眺めることになる。
■“魅せる”プレイを目指して 本作は、簡単なゲームではない。さらに、特にカメラの操作に不満がある。視点を移動するための操作もきちんとフォローされているが、不具合も多く感じた。足場が見えないのにそこに着地しなくてはならない、それでいて踏み外したら即1ミスと、特にプレイを始めたばかりの頃や、ステージに初めて挑戦したときなどに、苛立ちを感じてしまった。 特に視点に関しては、つまらないところでミスをしてしまうこともあって、ある程度の緊張感が、常にただよう。ちょっと大変だなあとも思っていたのである。しかし、しかしである、友人の前でプレイしたとき、私のこのゲームの感想は、一変するのだ。 「すごい!」とか言われるのである。本当にすごいのは、このゲームの演出と、キャラクタの動きなのだが、ギャラリーにはわからない。結構試行錯誤したり、足場がわからなくて不安になったりしているのだが、それは見ている友人には伝わらない。まるで、筆者自身が物凄い超絶プレイをしているかのように、感心してくれるのである。 これは、ソニックシーリーズのみならず、「ジェットセットラジオ」や、「Kunoichi -忍-」といったセガのアクションゲームに共通するテイストである。ギャラリーも楽しめるゲーム……このソニックチーム、ひいてはセガのゲームの血脈を確かに感じさせる楽しさを持ったゲームなのだ。 より早く、よりかっこよく、一度クリアステージは、「チャレンジモード」で何度も挑戦が可能だ。本作はゴールに至るまでいくつかのルートが分岐している場合もあり、それを探すのが楽しみなのであるが、クリアしていない状態では、ミスがこわくてできなかった。しかし、チャレンジモードならば違う。ミスを恐れず、様々な試行錯誤をすることで、突き詰めることが可能となるだろう。 やりこみ要素のひとつとして、「ボーナスチャレンジ」、そして「エメラルドチャレンジ」というふたつのスペシャルステージも用意されている。これもシリーズの伝統を受け継ぐ、仕掛けではあるが、高得点を得ること、さらにカオスエメラルドを7つそろえることは、結構な努力が必要となるだろう。 難易度は、「高すぎない」ことも、強調しておきたい。アクションが本当に苦手、という人にはちょっとオススメできないが、このゲームは、プレイを重ねるほど好きになっていくゲームである。絶対的な壁にぶちあたり、投げ出すほどに難しくも、理不尽にもできていない。地形と視点の不具合も、最も危険度が少ない方法を編み出せるはずである。 そして、極めることが好きなプレーヤーには、さらなる高みがまっている。本作は誰でも同じようにプレイをしていくのではない、優れたプレイ技量による、「神プレイ」もまた可能なのだ。ステージのコースレコードを更新しても良いし、1個のリングも取り逃さないプレイを目指しても良い。 流れるようなプレイは、ギャラリーをも魅了する。友人は、そういった魅力のあるゲームを、「アーケードゲームの楽しさを受け継いでいる流れだ」と評した。他の人に見てもらう楽しさを持った、ゲームである。是非、“わかってくれる”友人、恋人の前でプレイして欲しい。彼らを感心させ、プレーヤーを酔わせてくれる新しい世界を実感できるはずだ。
Original Game (C)SEGA (C)SONICTEAM / SEGA, 2003 □セガのホームページ (2004年2月18日) [Reported by 勝田哲也]
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