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【2004 International CESレポート】
MicrosoftブースでWindows Embeddedベースのゲーム機を発見 |
会場:Las Vegas Convention Centerなど
米国ラスベガスで開催中の家電製品の展示会「2004 International CES (以下CES 2004)」。北米におけるゲーム関連のイベントとして、世界最大規模で開催されるE3が存在しているため、基本的にCESではゲーム業界はこれといったアクションを起こさないのが常だ。しかし今年は、CES会期中に「Digital Game Summit」というゲーム関連のカンファレンスイベントが用意され、さらに「Cyber X Games」というゲーム大会も開かれることになっており、ゲーム関連の話題が例年に比べて豊富だ。しかも、CES 2004の会場でも、いくつかの最新ゲーム機を発見することができた。
もちろん、最新ゲーム機といっても、SCEや任天堂、米Microsoftなどの大手家庭用ゲーム機メーカーが開発した次世代ゲーム機ではない。中小ベンダーが開発したオリジナルゲーム機である。ただし、それらが展示されていたのはMicrosoftブース。なぜXboxを発売しているMicrosoftのブースに、Microsoft以外のメーカーが開発したゲーム機が並んでいるのか。それは、それらゲーム機がすべてWindows Embeddedという、Windowsをベースとする組み込み用OSを利用して作られているからだ。では、どういったゲーム機が展示されていたのか見ていくことにしよう。
● デジカメ機能、GPS機能などを搭載する携帯ゲーム機「GAMETRAC」
「GAMETRAC」は、携帯型のゲーム機だ。Windows CEをベースとする組み込み用OS「Windows CE .NET」を利用して作られている。発売時期は3月から4月頃で、価格はまだ確定していないそうだ。
本体サイズは、ゲームボーイアドバンスとほぼ同等で、やや周辺部に丸みを持たせたデザインとなっている。画面は2.8インチのTFT液晶、左に方向キー、右に4個のボタン、奥の側面に2個のボタンが用意されている。400MHz動作のARM9コアのCPU、64bitグラフィックチップを搭載し、高速な処理が可能としている。また、欧米で普及しているGSM方式の携帯電話網を利用するパケットデータ通信サービス「GPRS」に対応しており、ネットワーク対戦も可能だそうだ。通信機能としてはBluetoothにも対応しており、Bluetoothを利用した対戦、PCや携帯電話とBluetoothで接続して音楽ファイルや画像ファイルを共有する、といったことが可能となっている。本体裏面にはCCDが用意され、デジタルカメラとしても利用可能。さらに、GPS機能も用意されており、地図上に現在位置を表示するのはもちろん、GPS機能を利用したゲームも楽しめるとされている。
他にも、MP3再生機能、MPEG-4形式の動画ファイルの再生も可能。さらにはGPRSネットワーク機能を利用したインスタントメッセージング機能など、単なる携帯ゲーム機にとどまらない機能てんこ盛りの携帯ゲーム機となっている。こういった様々な機能が簡単に実現できているのも、Windows CE .NETベースで作られているからだろう。
対応ゲームは、カートリッジで提供されるのではなく、基本的にGPRSを利用してネットワーク配信されるそうだ。ダウンロードしたゲームは、本体に用意されているMMC/SDカードスロットに取り付けたメモリーカードに保存する。また、MP3やMPEG-4データ、デジカメ機能で撮影した画像データなどもMMC/SDメモリーカードに保存することになる。
展示されていたデモ機では「DOOM」が動作していたが、さすがに全く問題のないスピードで動作していた。これなら、「トゥームレイダー」もサクサクと動くと言っていいだろう。ただ、「DOOM」クラスのゲームはもはやパワーを必要とするゲームとは言えないため、携帯ゲーム機とはいえ、そのポテンシャルを見るにはやや役不足のタイトルといえる。どの程度の能力を備えているのか、今後の情報を待ってまた紹介したいと思う。
● “幻”だったPCベースのゲーム機「Phantom」、ついに実機を確認
昨年半ば頃に突如登場した、PCベースのゲーム機「Phantom」。PCがベースとなっており、光学式ドライブは搭載せずに対応ゲームは全てネットワーク配信によって提供される。その特異なシステムで一時期大いに話題となった。2003年年11月に米ラスベガスで開催された「COMDEX Las Vegas 2003」で実機が公開されるという情報がPhantomの公式ページに掲載されていたのだが、実際にCOMDEXの会場でPhantomが公開されることはなく、そのまま存在自体が忘れ去られかけていた。しかし、CES 2004でついに実機が公開されることになったわけだ。
Phantomの実機を見た感想は、かなり大きい、という印象だ。目測だが、Xboxとほぼ同じか、やや小さい程度といった大きさだ。また、重量も結構あり、こちらもXboxと同等レベルの重さであった。
光学式ドライブを搭載しないため、本体前面は非常にすっきりとしている。電源を入れると、本体前面にPhantomのロゴが青く浮かび上がる。また、本体裏面には各種端子が用意されている。まず、ビデオ出力は3ピンのコンポーネント、Sビデオ、コンポジットビデオの3種類を用意。また、アナログ音声出力端子は2チャンネルだが、光音声出力端子経由ではドルビーデジタル5.1チャンネルサウンドをサポート。本体にはRF方式のワイヤレスモジュールが内蔵され、ワイヤレスタイプのコントローラと、キーボード、マウスが付属する。本体背面にはUSB 2.0端子が4個用意されているが、こちらはコントローラの増設用と考えていいだろう。さらに、10BASE-T/100BASE-TX対応のLANコネクタ、ケーブルモデム接続用のコネクタも用意されている。
入手したカタログに記載されている本体スペックは、CPUがAMD Athlon XP 3200+、グラフィックチップがNVIDIAのNV36(GeForce FX 5700相当)、チップセットはnForce2 Ultra 400。搭載HDDは320GB。OSはWindows XP Embeddedだ。ちなみに、本体スペックは発表以来コロコロ変わっているため、これが最終決定というわけではないかもしれない。ただ、このスペックで400ドルほどという価格は、PCとして考えるとかなり魅力的といえる。とは言っても、ゲーム機として考えると、この価格はかなり高いと言わざるを得ないだろう。
さて、展示されていたPhantomは、電源が入り、本体前面のPhantomロゴが青く光っていたものの、ディスプレイに接続されているわけではなく、コントローラの類も用意されていなかった。つまり、単純に本体を展示していただけだったのだ。実際にゲームをプレイすることもできず、しかも係員も付いていないため、詳しい話も聞けなかった。そのため、実機を目の前にしていながら、やはりまだ“幻”の領域から抜け出せない、そういった印象だ。
MicrosoftのWindows Embeddedコーナーには、この2つのゲーム機以外に、もう1種類のゲーム機が展示されていた。それは、Digital Interactive Systems Corporationが開発した「DISCover」というテクノロジーを採用したゲーム機のプロトタイプだ。このDISCoverテクノロジーを採用した家庭用ゲーム機は、アメリカのDVDプレーヤーメーカーであるApex Digitalから「ApeXtreme」という名前で発売されることになっている。このゲーム機に関しては、別記事で紹介したいと思う。
□2004 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
(2004年1月10日)
[Reported by 平澤寿康]
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