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PSX発売! 「DESR-5000」試用レポート

12月13日 発売

価格:79,800円 (DESR-5000)
99,800円 (DESR-7000)


PSXの起動画面
 ソニー株式会社のプレイステーション 2ベースのハードディスク搭載DVDレコーダー「PSX」が12月13日、発売された。160GBのハードディスク搭載モデル「DESR-5000」が79,800円、250GBのハードディスク搭載モデル「DESR-7000」が99,800円。「PSX」はPS2の描画システムである「グラフィックス・シンセサイザ」とCPU「エモーションエンジン」を利用することにより、快適なインターフェイスを実現していると言うふれこみだが、本稿ではゲームプラットフォームとしての「PSX」を検証してみたい。

■ 背面部にあるコントローラソケット。フロントパネルを開けて使用するメモリカードスロット

 まずは外観から確認してみよう。正面にあるのは電源スイッチ、イジェクトボタン、「QUIT GAME」ボタン、「HDD REC」ランプ、「DISC REC」ランプ。それとリモコン受光部となる。フロントカバーを開けると、メモリカードスロットが2つ、USB端子が1つ、メモリースティック(PRO対応)スロットが1つ用意されている。公式リリースの通り、USB端子を2つ使用するデバイスや、マルチタップなどは使用できない。メモリカードとUSB端子を使用する際はフロントカバーを開けた状態になってしまうのは少々残念な気がする。

 次に天面には、後部に本体を縦置きしたとき向けの「HDD ACCESS」ランプ、「HDD REC」ランプ、「DISC REC」ランプ、リモコン受光部の順に並んでいる。「HDD ACCESS」ランプがここにしかないのは少々不安を感じる。縦置きで使用する人ならまだしも、横置きでラックに入れてしまうと、HDD録画時以外でHDDへのアクセスを確認できる方法がなくなってしまう。

 続いて後面に目をやると、電源入力端子、「NETWORK」端子、光デジタル音声出力端子、D1/D2出力端子、AUDIO、S端子(出力1、入力1)、VHF/UHFアンテナ端子、コントローラ端子(2)が並んでいる。縦置き設置のために背面から引っ込んだ位置にあり、カバーによって大半が隠れてしまうため、特に電源入力ケーブル、コントローラ(デュアルショック2など)を接続する際は、このカバーをはずして装着するほうがいいだろう。また、コントローラケーブルが短くなってしまうため、ケーブル長が4mのデュアルショック2(DESR-10)も発売されている。

 ちなみに、PS2では付属品として同梱されているデュアルショック2だが、PSXには付属していない。付属品としては、コンポジットステレオケーブル1本と、アンテナケーブルが1本、リモコン、リモコン用として単3乾電池2本となっている。

 また、デバイス同様、PS、PS2ソフトに関する対応状況は公式HPにて告知されているので、確認してからプレイするようにしたい。

PSX上面。スリムでコンパクトなイメージを与える 正面。フロントカバーを開けたところ 背面のカバーをはずした状態
メモリカードスロットは2つ。その上には電源スイッチ(左)とイジェクトボタン(右) 「QUIT GAME」ボタンと、「HDD REC」、「DISC REC」ランプ
天面後部にのみ「HDD ACCESS」ランプがある USB端子はひとつのみ。その隣にはメモリースティック(PRO対応)スロット
電源ソケットとネットワーク端子、光音声出力とD1/D2端子。PS2にあるAV MULTI端子はない S端子、コンポジットビデオ、ステレオ音声出力/入力が1系統ずつ装備。その隣はVHF/UHF、そしてBSアンテナ入力。出力端子がないのが惜しい
コントローラ端子は縦に2つ カバーを取り付けたところ。プラグは隠れてしまう


■ すべては「ホームメニュー」からスタート

メニューはなかなかスムーズな動きをする。ただし、セレクト可能になるまで多少もたつくことがある
 あらかじめ公開されていたスペックなどを確認してもらえればおわかりだと思うが、PSXはハードウェア的にはPS2アーキテクチャを活用してはいるものの、使い勝手でみればHDD/DVDレコーダー機能とPS2機能は独立したものになっている。

 そればかりか、電源ボタンを押してパワーオンすると、まずはPSXのホームメニュー画面が起動するが、デフォルトのカーソル位置は「テレビ」であり、その右に「ゲーム」があることからも推察できるとおり、「基本はHDD/DVDレコーダーだ」という主張が感じられる。ちなみに、「PlayStation BB UNIT」を装着したPS2ではゲームディスクを起動時にすばやくセットすれば、すぐさま「PlayStation BB Navigator」の起動をキャンセルしてゲームが起動するが、PSXは必ずホームメニューが立ち上がるようになっている。

 ホームメニューのバックグラウンドにはチューナーで選択したTV映像(LINE入力のときはそちら)が敷かれており、アンテナ未接続では砂嵐の強烈な音声とともに画面が多少揺れるハメになる(設定すればキャンセルされる)。購入後電源初投入の際には、アンテナケーブルの接続をきちんと終わらせてから起動するようにしたい。蛇足となるが、PS2と異なり、背面に主電源スイッチがないため、ケーブルを先に本体に接続してからコンセントに接続しないと、すぐに待機電源が入ってしまい、HDDがすぐに動き出してしまうことにも注意したい。

 各メニューの役割などは割愛するが、その操作感はPS2の「PSBB Navigator」以前の「HDDユーティリティ」に似ている。「PSBB Navi 3.0」に慣れた身としては操作レスポンスが気になるところだったが、カーソル移動やボタン入力に対する反応は非常に良好なことが印象に残った。ちなみに電源投入からホームメニュー表示までは18秒(HDDに対応ゲーム4本をインストールした状態。一度メニューが立ち上がった後、画面がリフレッシュされ、ゲームメニューの更新が行なわれる)。ホームメニューから電源オフまでは10秒ほどかかかる。ちなみに、PS2(SCPH-50000)とPSBB UNITの場合、「PSBB Navi」のメニューが表示されるまでには1分少々の時間を要する。ただ、OSが異なるうえ、DVD/HDDドライブが異なることもあり、PS2より新しいPSXのほうがレスポンスに優れていても不思議はない。

 それから、PS2とちょっと違う機能としては、電源オフ時にディスクをスロットに挿入すると自動で本体電源が入る(PS2ならイジェクトボタンを押すことで電源が入る)ことが挙げられる。ディスクのインサート/イジェクトはPS2のドライブトレイのアクションよりレスポンスが若干よく、ディスクの飛び出しも節度が利いている点は非常にいい。ただし、取扱説明書に記載されている横置き/縦置きスタイルを守らないと、ディスクが急に飛び出てしまうこともある。注意したい。

 ただ、ホームメニュー時にディスクを挿入し、認識されるまでは17秒ほどかかる(HDDのアクセスにも時間をとられているようで、HDDに複数のゲームをインストールしているせいもあるだろう)。ディスクを入れることで電源を投入して起動した場合、完全にホームメニューに反映されるまでには22秒を要した(ゲーム起動は「Play Station 2のロゴが表示されるまでを計測しているが、タイトルごとに異なる可能性もある)。それから、ホームメニューのアクセス時(HDDアクセス中)に電源ボタンを押すと「ピピッ」とアラームが鳴り、電源オフはメニューが立ち上がってからとなる。PSXのレコーダー機能がらみの動作中は電源がいきなり落ちないようになっているようだ。また、電源オフには電源ボタンを押してから10回ほどLEDが点滅してから待機状態となる。このあたりはPS2よりややレスポンスに欠けるきらいはあるが、ほぼ同様に使っていけると思われる。

 逆に、HDD録画中に電源ボタンが押されても、録画は何もなかったかのように続く。あくまでPS2機能とHDD/DVDレコーダー機能は分離されているといえるだろう。

PSBBユニット同様、ネットワークの設定はあらかじめ行なっておく必要がある 本体設定。ここでHDDの領域を削除/確保できるが、データを置きっぱなしにしていた場合は注意が必要
メモリーカードユーティリティ。PS2の「ブラウザ」は横に3列並んだ形式で表示されるが、PSXのものは縦に1列に並んでいる 「ゲーム」から「ディスク」を選べばゲームが遊べる。HDD対応ゲームならHDDのデータを選択してもOK(起動にはゲームディスクが必要)

■ 独立したHDD/DVDレコーダー部とPS2部。「QUIT GAME」ボタンには注意!!

 肝心のPS2機能に関しては、あくまでホームメニューの中の1つであり、ゲームプレイは他の機能から独立したものになっている。そのあらわれとして「テレビ」、「ビデオ」といった機能を使用している間はリモコンやデュアルショック2のセレクトボタンを押すことでホームメニューを呼び出せるのだが、ゲームプレイのときだけは、ホームメニューに戻るために、「QUIT GAME」(リモコンでは「ゲーム終了」)ボタンが設定されている。

 この「QUIT GAME」ボタンは、ゲームをプレイする側からいうと、電源ボタンに相当する(PSXにはちゃんと電源ボタンもあるのだが)ものになっている。どういうことかというと、PS2機能よりもHDD/DVDレコーダー機能が優先されており、セーブデータの作成時や、HDD対応ゲームをインストール/アンインストールしている最中でも、このボタンを押すと本体にリセットがかかり、強制的にホームメニューに切り替わってしまう。つまり、ゲームプレイが強制中断されてしまうので、その際に書き込んでいたデータは当然壊れてしまうのだ(メモリーカード、HDDどちらも確認)。これは注意が必要だろう。

 また、初起動時に設定を変更しないかぎり、PS2用のHDD領域として、40GBが確保される(画像や音楽も取り込む領域を確保する)。これはPSBB UNITと同じ容量だが、この領域もホームメニューで任意に削ってしまうことができる。削ってしまった場合はHDDに残してあるデータは全て削除されてしまうほか、ゲームのインストールなどが容量不足となるため行なえなくなる(再確保は当然可能)。ただし、ゲーム領域の確保、削除を行なうときには、HDDに保存してある映像、写真、音楽、ゲームデータはすべて初期化されてしまうので、必ずDVDやメモリカードなど、データを別の媒体に退避してから行なう必要がある。

■ HDD録画しながらネットワークゲームやHDD対応ゲームのプレイが可能

 もうひとつ気になる点としては、HDDを使用するゲームや、ネットワークを使用するゲームをプレイしているとき、HDDを使用した録画がどうなるのか? ということだ。そこで、「テレビ」で地上アナログ放送を録画しながら、カプコンの「バイオハザード アウトブレイク」や、ソニー・コンピュータ・エンタテインメントの「みんなのゴルフオンライン」、「SOCOM:US NAVY SEALs」などをインストール(「SOCOM~」はHDDには対応していない)、ネットワークプレイを行なってみた。

 なお、「PlayStation BB」に関しては、「PSBB Navi」と「ホームメニュー」の違いから「PS BB CHANNEL」の閲覧、コンテンツダウンロードといった一部機能に対応していない。

 いろいろ試してみたが、特にゲームプレイに対して影響が出ることはなかった。また、録画内容が欠けたりなどの不具合も起こらなかった。ゲームプレイだけでなく、feegaのID取得やコンテンツ購入も可能だった(ソフトに決済機能が搭載されているもののみ、PSXでも決済機能が利用できる)。ただ、コーエーの「信長の野望 Online」などをプレイする際には注意が必要なので、公式ページの確認を怠らないようにしたい。

 ただ、スタンドアローンゲームをプレイするとき同様、「QUIT GAME」ボタンでゲームプレイは強制中断されてしまうことには変わりない。リモコンにもこのボタンがあるだけに、不測の事態に備えるためにも、家族でPSXを利用する方などはこの点に関して使用者に告知しておくべきだろう。

 ゲームしながらの録画も可能な「PSX」。実装されていない機能がいくつかあるなど、多少の気になる点はあるものの、PS2と遜色ないゲームプレイが可能であることはPS2の代替機として購入を考えているユーザーには喜ばしいことで、真っ最中の年末商戦での奮闘が期待される。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.psx.sony.co.jp/support/playstation.html(ソフトウェア互換)
http://www.psx.sony.co.jp/support/network_01.html(ネットワーク接続)
http://www.psx.sony.co.jp/support/cybershot.html(サイバーショット対応機種)
□製品情報
http://www.sony.co.jp/psx/
□関連情報
【12月12日】ソニー、「PSX」ゲームソフトの互換性や
ネットワーク接続に関する情報を掲載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031212/psx.htm
【10月7日】ソニー、「PSX」発表。250GBモデルと160GBモデルの2機種
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031007/sony.htm

(2003年12月13日)

[Reported by 佐伯憲司]


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