【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

★PS2ゲームレビュー★

歴代トランスフォーマーたちが繰り広げる
クロスオーバーアクション
「トランスフォーマー」



 「世界の男性3人にひとりが持つと言われる(公式サイトより)」大人気の変形ロボット玩具「トランスフォーマー」をゲーム化。3Dフィールド上で特殊能力「トランスフォーム(変形)」を駆使しながら戦うアクションゲームで、仲間とフォーメーションを組みながら敵対勢力のトランスフォーマーを撃退することが目的。ストーリーモードは、サイバトロン、デストロンのいずれか一方のルートを選択可能。それぞれオリジナルシナリオが楽しめる。


■ テレビマガジン「トランスフォーマー手帳」を持っている大人たちへ

 ロボット形態から、トレーラーやピストルなどに変形する超ロボット生命体トランスフォーマー。シリーズの初登場は'85年で、当時小学生だった筆者の周囲でも瞬く間にトランスフォーマーブームが広がっていった。玩具はもちろん、アニメのオンエアは毎回チェック、テレビマガジンなどの情報誌も定期的に購入していたクチである。

 今回レビューを行なう「トランスフォーマー」を楽しむコツは、過去を懐かしむ想い入れのフィルターがプレーヤーサイドに備わっていることが最重要ポイント。「トランスフォーマー? 久しぶりにコンボイ総司令官たちに会いたいな」と思った読者は、このレビューを読み終えると同時に、ゲーム販売店に走ったほうがいいだろう。

 約100体の歴代トランスフォーマー戦士が登場するPS2「トランスフォーマー」は、シリーズの持つ雰囲気、キャラクタ性という部分にのみ着目すれば、原作のイメージを損なうことなくゲーム化に成功しているタイトルといえるからだ。

レビューではゲーム性やグラフィックに触れるの定石だが、ゲームによっては「いかにユーザーの童心を震わせてくれるか?」という評価も必要なのではないだろうか。本作は、そんな気持ちにさせてくれるタイトルである



■ トランスフォームシステムが活きたアクションパート

 サイバトロン・デストロンの2ルートからどちらかをチョイスすると、プレーヤーキャラクタは2名のパートナーキャラクタを従えて3Dフィールドに出撃する。マップはいくつかのセクションに区切られており、最終セクションはボスクラスのトランスフォーマーと対決することになる。

パートナーキャラのフォーメーションは、プレーヤーキャラを中心に変更可能。たとえば後衛の外側に配置すると、AIの思考が射撃優先へと変化する
 ロボット形態時は、移動、ジャンプ、パンチ、キック、射撃、ガードと多彩なアクションが可能。敵のアルゴリズムはプレーヤーキャラに対する肉弾攻撃がメインで、自然と接近戦が多くなる。

 そのため、プレイ中はパンチとキックを使用する割合が増えるのだが、このゲームは全キャラクタともにパンチとキックのリーチがとても短い。コンボも、3D対戦格闘のコマンド入力のようにレバーとボタンを絡めたものではなく、原則としてボタン連打。このため、接近戦時は「格闘ボタンを連打して、先に当てた者勝ち」という大味なシチュエーションが頻発する。

 ガードから敵の攻撃の隙に割り込もうとしても、複数の敵から攻撃されていると逆に反撃をくらってしまうことがある。さらに、ガード不能な背面からの攻撃や射撃を絡められると、プレーヤーが攻撃するターンが回ってこないまま大ダメージという悪循環に陥ってしまう。

 テクニックの上達に関わらず、プレーヤー側が一方的にダメージを被る状況が多いため、ロボット形態時のアクションはフラストレーションが溜まりやすいと言えるだろう。

メガトロン様がローキックをペチペチと連打する姿には涙を禁じえない。トランスフォーム後の能力に期待 スパークコンボは、ゲージを消費することで敵ひとりをロックしてコンボが入力できる技
合体攻撃はキャラクタふたりでスパークコンボを仕掛ける。ただし“偶然出る”ことがほとんどで、狙って出すのは難しい 壁を背にした状況になると、カメラとオブジェクトが衝突して非常に混沌とした画面になってしまうのも問題だ


少し古いたとえになるが「ダブルドラゴン」というアクションゲームのひじ打ちハメに近い感覚。ダメージ効率は悪いが、ダウン後に追い討ちするなどしてカバー
 そこで上手く使いこなしたいのが、ボタンの特殊入力による技と“トランスフォーム”だ。特殊入力は、方向キーを押しながらパンチまたはキック。筆者がもっとも使えると判断したのは、方向キーを後ろに入力しながらの回し蹴り(キャラクタによっては足払い)。

 この技は判定の発生が早く、攻撃範囲が広く(真後ろでなければ後方もカバー!)、技の終了間際まで判定が残る。この性質を利用して、まず敵が近づいてきたなら問答無用で回し蹴りで吹き飛ばす。そして、敵の起き上がりに再び回し蹴りを重ねておけば、ボスキャラ以外のCPUキャラはガードせずにくらってくれる。

 体力とは別に設定されている「エネルギー」を消費するが、□ボタンによるトランスフォーム(変形)は強力な攻撃。車や航空機に変形することで、180度攻撃と移動のスタイルが極端に変化する。各個体の特徴が色濃く反映される部分だ。

 車両系や航空機系の挙動は、さすがにレースゲームやフライトシム級とまではいかないが「トランスフォーマーらしい」動きを見せる。「全戦士を集めて、全てのトランスフォーム攻撃を仲間にしてみたい」といったプレーヤーのモチベーション向上に繋がることだろう。

サイバトロンの総司令官「コンボイ」のトランスフォームはトレーラー。△ボタンで猛スピードの体当たり、○ボタンで周囲への砲撃が可能
破壊大帝「メガトロン」のトランスフォームはピストル。変形後の融合カノン砲は、ボスキャラクタすら3~4発で破壊できるパワーを持つ
残念ながら雑魚キャラはトランスフォームできない。キックバックがバッタに変身できないなんて(笑)! 巨大なトランスフォーマー戦士も多数登場するため、ステージごとに期待感が高まる



■ 多彩なアイテム、エネルゴンキューブでキャラクタを強化

アイテムはプレーヤーキャラしか取得できない。ただし、下手に取りに動くと射撃や格闘で大ダメージを受けることも……
 敵トランスフォーマーを撃破すると、各種アイテム、キャラクタの強化に必要なエネルゴンキューブが出現する。リペアとサプライは、それぞれ味方全員のHPとEP(エネルギー)を回復するアイテム。リペアとサプライの出現頻度は高いので、いかにこれらを回収するかがステージクリアを左右するといっても過言ではない。

サイバトロンのアイテム回収役(=プレーヤーキャラ)は、ハウンドなどの小型車両がオススメ。コンボイ御大は当たり判定が大き過ぎてイマイチ
 サイバトロン軍は、スタートした時点でコンボイ、マイスター、ホイルジャックなどの車両系トランスフォーマーが多いので、車にトランスフォームして高機動力を武器にアイテムを回収しながら戦うのが賢い立ち回り方。逆にデストロン軍は、トリプルチェンジャーのブリッツウイング(戦車)が仲間になるまでアイテムの確保が難しいのが辛いところだ。

 また、コンテナの中にはアイテムボックスが隠されていることもある。これらを入手すると、キャノン砲やシールドなど一部武装が変更可能。プレイ中にコンテナを気にする余裕はないかもしれないが、敵と距離を空けることができたらコンテナも破壊したほうがいいだろう。

 トランスフォーマーたちの生命力の源ともいうべきエネルゴンキューブは、ステージクリア後のインターミッションでのトランスフォーマーの強化に使用する。集めたエネルゴンキューブを一定量支払うことで、武器やトランスフォーマー自体を成長させることができる。

「Machine Production」はHP、エネルギーの最大値を上昇させる改造で、最大9段階までアップ可能 「Equipment Upgrade」は、射撃などに使う銃火器を強化する。こちらも9段階まで改造可能だ


 こうした強化はやり込みがいのある要素だが、惜しいことに、2周目に突入すると1周目の強化がすべてリセットされてしまう。「自軍の全トランスフォーマーを最強にする!」という目標達成は不可能に近いと思われるが「ボス戦で限界まで雑魚敵を出現させて、エネルゴンキューブを稼ぐ」という極まった遊び方はできそうだ。


■ TVシリーズのままの世界感がシナリオパートで爆発!

 このゲームのマニュアルを一読したところ、次のような興味深い一文があった。

 「ゲーム中のキャラクターのメッセージに一部乱暴な表現がありますが、原作に沿って再現しているためですので、御了承ください。」

 これはまさしく、全宇宙の支配を目論むデストロン軍団、特に破壊大帝メガトロン様のことであろう。期待通り、シナリオパートのデモでは各キャラクタの名演技が光る。

スタースクリームとメガトロンのだまし合いは原作通り。デストロン軍の歴史とも言うべき内紛が凝縮されているシナリオだ
サイバトロンはひたすら正義という理念の元に行動するシナリオ。コンボイの使命感には感服するしかない


場面転換時のSEもTVシリーズのまま
 実際、ゲーム内のシナリオパートでも、メガトロン様とコンボイ御大のカリスマ性は初代テレビシリーズレベルで抜群に発揮されている。

 ボイスは全編英語だが、味のある字幕が逆に演出効果を高めているといえる。ただ、各キャラクタのモーションのバリエーションが少なめなのは残念ではあるが……。

 各ステージ間のデモの尺は長く、ノースキップだと10分以上続く場合もある。コンボイとロディマスコンボイ、メガトロンとガルバトロンが時空を超えて手を組むシーンもあり、ストーリーの出来は良好。じっくりとトランスフォーマーたちのセリフに耳を傾けたいところである。

ひたすら高笑いするふたり。悪いやつほどよく笑うと言うが……



 サイバトロン、デストロンの2ルートの両方を1周クリアするまでにかかった時間は、約10時間。筆者は難易度ノーマルで挑戦してみたが、全体の難易度は中の上といったところ。これは、最初のプレイでデストロン陣営を選んだ(=メガトロンのパワーでゴリ押し)ということもあるかもしれないが、パートナーを射撃フォーメーションにして回復アイテムを回収していけば、そうそう詰まる場面はないだろう。

 裏を返せば、各ステージの戦闘は特色に乏しいということなのだが、「次に登場するトランスフォーマー戦士は誰だろう?」という期待感と、シナリオの先を見たいという欲求がプレーヤーのモチベーションを刺激してくれる。

 ファン心理を刺激するタイトルであるが、欲を言えばChara Referenceモードの登場キャラクタ説明が少々淡白なのが残念。各キャラクタの武装、体長、登場TVシリーズなどが紹介されないのは、筆者にはボリューム不足のように感じられた。もし次回作があるなら、このあたりもしっかりフォローしていただきたい。

(C)TAKARA CO.,LTD.2003.

□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/
□「トランスフォーマー」公式サイト
http://www.takaratoys.co.jp/TF/
□製品情報
http://www.takaratoys.co.jp/TF/cm/rev/ps202.html

(2003年11月28日)

[Reported by 福田柵太郎]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.