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Korea Amuse World Game Expo 2003現地レポート

古代朝鮮をテーマにした「Kal Online」ほか、
NetMarbleブースレポート

会期:11月20日~24日

会場:韓国・ソウル・COEX Pacific Hall


マスコットキャラクタをはじめ、スタッフみんながサービス精神たっぷり
 多くの開発子会社を持つことで、豊富なコンテンツを提供することを可能にしているNetMarble。豊富なタイトルはもちろん、その派手なパフォーマンスでKAMEXの中でも上位をあらそう「目立った」メーカーだ。

 KAMEXの中央奥に、お城をイメージさせるデザインのカラフルで巨大なブースを設置。各タイトルごとのイメージに沿ったコスプレスタッフがブースの外まで出て、積極的に来場者を呼び込み、入口ではマスコットキャラクタが愛想を振りまく。ブースの中にはなぜか綿菓子屋さんや、似顔絵書きまでいる。さらに大道芸人までくりだしてパフォーマンスまで始めてしまうのだ。

 これだけではない。ブース中央のイベントステージも、ちょっと不思議な空間だ。ダンスユニットや、美人女手品師が登場して、かなり凝った内容のステージまで見せてくれる。はっきり言って、まったくゲームに関係がないが、間違いなく面白い“見せ物”が繰り広げられるのである。

 まさに完全なお祭り状態のブースだが、すでに“いい年”に達しようというひねた大人の筆者は、「ちょっぴり野暮ったいかも……」と、感じてしまったことも確かだ。「ピエロのメイクは東洋人にはちょっとなあ……」とか、「なぜ綿菓子? なぜ手品師?」などと、ツッコミを入れてしまう部分も多かった。

 BoAを起用したCM映像をくり返し流したりして、どこかおしゃれっぽいGravityや、新人アイドルを呼んだneowiz、漆黒の城を模したブースでハードな雰囲気を演出する(でも中では双六ゲームなどをたしなんでいる)NHNとは、明らかにちょっと違うのだ。楽しいものをなんでも詰め込んだ、ごった煮状態なのである。

 しかし、だからこそ、NetMarbleは、KAMEXでもっとも幅広い層の人々に楽しみを提供したということもまた確かだ。来場者もまた、正直に笑え、楽しめる。楽しむのに知識が必要だったり、「センス」で理解できなかったりするものではない、まさにお祭りそのままの素直な楽しさを提供しているメーカーだったのである。

  ブース内も、その雰囲気そのまま、個性的な5つのタイトルをそれぞれの楽しさを活かして展示している。以下、各タイトルの詳細とともに、各コーナーの様子もお伝えしよう。

 ……それでも、それでもである。「綿菓子を売り歩くラインハルト・フォン・ローエングラム卿」は、日本ではちょっと許されないと思うのだが、どうだろうか?

なぜ手品? という疑問はよそに、大きく盛りあがるステージ グッズも大人気。多くの人が、列を作って大きな袋を受け取っていた おいしそうな綿菓子。しかし、まさかこれがあんなことを引き起こそうとは……
男の子はもちろん、小さい子から、女性まで、楽しめる要素をたくさん提供 ピエロもこまめにブース内を回り、お客さんとコミュニケーションをとる 問題のラインハルト様。本来、これをたしなめるべきキルヒアイスといえば……


■韓国ならではのMMORPGを目指した「Kal Online」

 一見、日本のもののようなデザインの鎧を着たキャラクタが目に付く「Kal Online」。しかし、そのキャラクタを拡大させてみると、明らかに日本のものではない。そして、中国のものとも違うことがわかる。キャラクタが身につけているのは、細部まで考証とこだわりを重ねた、“古代朝鮮の戦士の鎧“なのである。

 「Kal Online」は、歴史にこだわりを持つ韓国のプレーヤーに向けて提示された作品。「リネージュII」や、「ラグナロクオンライン」などで作られている、いわゆる“西洋的なファンタジー世界”に対して、全く違う世界、それも「韓国の人でなければ作れない」世界を提示することを第一のアピールポイントとして作られている。

 現在、対象プレーヤー数1万人というクローズドβテストが行なわれていて、ホームページにはプレイに対する議論のほか、文献などの資料にまでこだわることでよりリアルな世界を作り出すための意見も交わされている。

 試遊台でのプレイでは、この「装備」のこだわりが確認できた。古墳時代の青銅剣を思わせる剣があったり、見たことのない形の盾が用意されていたりする。プレーヤーキャラクタの種族は、今のところ人間のみ。現在発表されている職業は、アーチャーであるGoong-Soo、戦士であるMu-Sa、魔法使いのJoo-Sool-Saの3種類である。どの職業も装備を変えることで劇的に外見が変わるのは、アイテムの収集欲を刺激してくれそうだ。

 敵はオークを彷彿とさせる醜いデーモン族。彼らは、さまざまな職業・外見を持つ敵だ。紹介ムービーに登場するデーモンには、大きな坪を抱えていたり、腰の周りに大きな太鼓をつけていて、それを4つの腕でならしながらつっこんでくるといったユニークな敵も確認できた。どこか民話に出てくる怪物を思わせる。

 その世界観に、非常に魅力がある作品である。世界進出があるかなど、今後の展開も気になるタイトルだ。

韓国に伝わる伝統的な遊びを使ったイベント。「Kal Online」らしいチョイスだ 非常に凝った作りの鎧。暑さにも耐えてずっときちんときていた デモ映像。デーモンには大小さまざまな種類がいるようだ
【スクリーンショット】

■戦場までもがレース場? 対戦が楽しい「Wild Rally」

  頻繁に対戦大会を行ない、「Kal Online」に次いで人を集めていた「Wild Rally」。日本での発売も考えているタイトルとのことだ。

 本作の魅力はそのアーケードライクな簡単操作で、はちゃめちゃに楽しいレースが楽しめるところ。アフリカのサバンナ、ジャングル、メキシコの荒野、ヒマラヤの山脈、さらには戦争地帯まで走るところを選ばない。もちろん世界中のプレーヤーと対戦可能で、ブースでも会場内だけではなく、ネットワークでの対戦も楽しめた。

 さらにレースを面白くするために、さまざまな“仕掛け”が用意されているのもユニーク。サバンナではサイがつっこんできてレースの邪魔をするし、山岳地帯は岩が転がり落ちてくる。戦場では砲弾がそこかしこで炸裂する。ストイックにタイムを競うのではなく、アクシデントにあうのも覚悟しながら、楽しく対戦するゲームなのである。

 会社が開発した物理エンジンを効果的に見せるために、ラリーゲームを選んだというだけに、確かな「重力」を感じさせるコースが多く、道なき道を突き進み、車体がガクガクと揺れるところに独特のリアリティーを感じさせる。
 また、ゲームは単純一辺倒なだけではなく、そのコースにあったチューニングをすることで有利にもなる。物理エンジンを活かした、チューニングの効果も体験してほしいとのことだ。

 韓国ではハンドルコントローラの普及はまだ低いとのことだが、このアーケードライクな感覚は、PC房で何人かで対戦するのも楽しそうだ。KAMEXで展示されたタイトルの中では数が少ないジャンルだけに、個人的にも応援したいタイトルだ。

ハンドルコントローラでの迫力のプレイ。PC房に何台も置いてあったら通っちゃうかも たくさんの人が参加した対戦大会。ネットで他の国の人ともプレイできる ヒュンダイ・ラリーカーの上の美女。しどけない座り方が色っぽい
【スクリーンショット】

■ちょっとした“エグ味”も魅力な「Green Village」

 会場前で愛嬌屠り巻いていたまるいぬいぐるみは、この「Green Village」のキャラクタ。本作はMMORPG要素を持ったミニゲーム集ともいえる作品で、非常に取っつきやすく、低年齢層のユーザーにも楽しめる魅力を持っている。韓国では7月より正式サービスを開始、同時接続人数は1万人を越え、会員数では100万人を数えるほどの人気がある。

 プレーヤーはまず、目が大きくまるっこい非常に可愛いペットと、人間型の「アバター」を作成する。このふたつを成長させていくことがゲームの目的だ。ゲームは牧歌的な雰囲気を持つ村が舞台となる。村の画像そのものがマップとなっており、プレーヤーはクリックすることでさまざまな場所に移動できる。

 ゲームは大きく分けてふたつのものがある。ひとつは人間の住んでいる世界をペットで探索、時々あらわれるゴミやアイテムを拾っていくというもの。民家の台所や、牛小屋など、ちょっと古めの懐かしい風景がステージになっていて、縮尺はずいぶん大きく描画されている。人間達にはきづかれないような、小さな世界の物語、というものを演出しているのだ。

 プレーヤーは、この世界で他のプレーヤーと競いながら、ゴミやアイテムを集めていく。うまくとることができたらペットは経験値を得ることができる。これを集めてレベルアップをすることで、移動速度が速くなったり、他のプレーヤーを邪魔できたり有利に戦いを進められるようになる。

 もうひとつはモグラたたきや、対戦型パズルゲーム、といったさまざまなゲームを他のプレーヤーと競うもの。こちらで勝つと、経験値ではなく、ポイントをゲットできる。このポイントを使うことで、ペットやアバターにさまざまなアイテムをつけることができる。最初は無個性なキャラクタが、自分だけのものに外見的にカスタマイズされていくのだ。

 面白いのは、韓国ならではの独特のエグ味。モグラたたきの敵キャラは、一見可愛いが、退治に失敗すると、むき出しの尻をこちらに向け、嘲笑を浮かべる。また、ゴミを受け取り、ポイントに変えてくれるキャラクタは、思いっきり汚い路上生活者だったりと、日本では、ちょっとアウトになってしまいそうな一種の“毒”がそこかしこにちりばめられている。

 キャラクタ達がつけるアクセサリーやアイテムも、キラキラのゴテゴテ。ちょっと日本とは違うセンスだ。また、ユニークな点としてこれらのアイテムは、対戦でポイントを積む他に、実際のお金を使って買うこともできる。現実のお金を使ってゲームを有利に進めることができるのである。

キノコを意識した「Green Village」ブース。このかわいさで終わらないのが魅力だ モグラがこちらに尻を見せつけて笑う。こういうアクの濃さが韓国にはある 会場ではネットで韓国中のプレーヤーと対戦できた。みんなうまい人ばかりだ
【スクリーンショット】

■自分たちのダンジョンを所有できる「CORUM ONLINE」

 「CORUM ONLINE」は、日本でもクローズドβテストが行なわれたMMORPGだ。フィールドでの冒険を廃し、村でのコミュニケーションと、ダンジョンでの戦いに特化するという、斬新なゲームとなっている。

 「ダンジョンを所有し、他のギルド・クランから守ること」というものが本作の最大の目的となる。「Linage」の攻城戦や、「ウルティマオンライン」の派閥戦で行なわれた「陣地を巡る争い」を、より明確な形で提示しているのである。

 プレーヤー達は、まずダンジョンの制圧を目指すことになる。プレーヤー達が所有可能なダンジョンには“ガーディアン”と呼ばれる存在がいて、ダンジョンを制圧し、ガーディアンに認められることで、ダンジョンを所有できることになる。

 ゲームバランス的に、ソロプレイではダンジョンの所有・防御は不可能となっている。このゲームでは、プレーヤーはギルドに所属、もしくは主催をすることで、自らの勢力を広げるべく、仲間と力を合わせて戦っていく“必要”があるのだ。多彩な仮想空間の生活を楽しんでいた初期のMMORPGから、非常に独特な方向へ特化していった作品だといえるだろう。

 必然的に、このゲームではプレーヤー間のつながりが強くなる。それをさらに象徴するのが「クラン」というシステムである。クランは言ってみればID(アカウント)で所属するギルドの上級バージョンで、クランマスターは、所属員が所有している全キャラクタのギルド所属状況を把握できるのである。クランマスターが禁止するギルドには、どのキャラクタでも、所属することもできなくなる。非常に束縛感の強い、“覚悟”が必要なつながりだ。

 「身内にはとことん親密で、敵対者には厳しい。集団で何かを成し遂げたときに、感じる達成感、そのための感情移入は非常に強いものがある」と、NC Softのスタッフは筆者に語ってくれた。「CORUM ONLINE」は、そう言った韓国プレーヤーの気質を、ルールの上からも強烈にバックアップしたシステムと言えるだろう。

 日本でも、さまざまなMMORPGでの戦いの巧者が生まれてきている。戦いを求めるプレーヤー達が、本作でどんな社会を形成し、どう戦っていくか、非常に興味をそそられるテーマである。

看板も含め、架空のファンタジー世界を効果的に演出したブース キャラクタの武器が光ったりと、ゲームは非常に派手で美しい ダンジョンでの戦いのみを行なうという、MMORPGとしては思い切ったゲームである
 
■「銀河英雄伝説 ONLINE」クローズドβテストは2月には始めたい

 ブース中央に、他のタイトルとはちょっと違った未来テイストを発散していた「銀河英雄伝説 ONLINE」コーナー。日本、韓国、中国のユーザーを対象に、「大宇宙戦争」の幕が上がろうとしているのだ。
 ちなみに、「銀河英雄伝説」とは、'82年に日本で発表された小説。非常に多くのファンを獲得し、アニメ化も行なわれた。アニメ版も、声優の故・富山敬氏の最後の名演が光る名作である。

 今回、NetMarbleでは、残念ながら試遊できるバージョンのものは出展されず、映像紹介のみとなった。ファンの注目は非常に高く、腕を組み、真剣な表情で映像を見つめるファンも多かった。

 今回、スタッフの方に「変更があるかもしれない」という条件付きで、スケジュールのお話を伺えた。それによると、2月ぐらいにはクローズドβテストを行ない、3月にはオープンβテストへ移行したい、とのことだ。日本と韓国はほぼ同時、ちょっとだけ日本の開始が早いかもしれないとのこと。将来的には、韓国のユーザーと日本のユーザーがそれぞれ、同盟軍と帝国軍に所属しての、「日韓戦」も楽しめる可能性もあるとのこと。今後の続報に期待したい。

 ブース中央ということもあり、また、コスプレスタッフの方たちは非常に背が高く、格好もいいので、写真を申し込まれる数が他のスタッフに比べて一番多かったようだ。ラインハルト卿は綿菓子片手にどっかに行ってしまうことが多かったので、必然的に留守をつとめるキルヒアイスと、謎の帝国軍女性士官が対応に当たっていることが多かった。

……直毛だけど、赤毛だし、キルヒアイスだったんだと思う。個人的には違うと思うけれど。

SFムードたっぷりのブース。原作ファンを思わせるユーザーが多く訪れた。 迫力の戦闘画面のほか、アニメも挿入されるデモ映像。早くプレイしてみたい ラインハルトが行商にでている間、留守を守るカメラ目線のキルヒアイス
 

□NetMarbleのホームページ
http://www.netmarble.net/
□関連情報
【9月24日】ボーステック、「銀河英雄伝説 VII」を正式発表
シリーズ最新作はMMORPGとして日韓中3カ国展開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030924/ginga.htm

(2003年11月23日)

[Reported by 勝田哲也]


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