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スクウェア・エニックス、平成16年3月期中間決算説明会を開催
PSP参入については明らかにせず

11月20日 開催

中間決算の説明から簡単な中期計画の説明まで1時間におよぶ説明を行なった和田洋一代表取締役社長
 株式会社スクウェア・エニックスは、11月20日に平成16年3月期中間決算短信を発表するとともに、決算説明会を報道陣、アナリストに対して行なった。衝撃の合併記者会見から約1年となるが、公開された資料の前年同期の欄には両社の数字が併記される形となっていた。

 平成15年9月中間期の売上高は197億3,000万円で、営業利益が23億3,100万円、経常利益が18億9,900万円。一概に比較することはできないが、前年同期の両社の各数値を合算した数値より若干ではあるが低い数字となっている。通期の連結業績予想としては売上高が560億円、経常利益が140億円、当期純利益が81億円と予想している。すでに様々な形で明らかになっているとおり、主力商品のひとつである「ファイナルファンタジーXII」の発売予定が来期にずれ込んでいるため、若干修正されている。

 今期発売されたソフトの販売本数も発表された。「ファイナルファンタジーXI (ジラートの幻影、オールインワンパックなど)」がプレイステーション 2とPCで29万本、半熟英雄vs3Dが18万本、「ファイナルファンタジー クリスタル クロニクル」が36万本、「新約 聖剣伝説」が28万本、「ドラッグ オン ドラグーン」が24万本、そしてテレビに繋げるだけで遊べるゲームハード一体型の体感ゲーム「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」が12万個などとなっている。また、ゲームボーイアドバンスで発売されたばかりの「スライムもりもり ドラゴンクエスト 衝撃のしっぽ団」は現状では26万本の出荷となっている。

 説明を行なった和田洋一代表取締役社長は今後の展開として、日本市場、北米市場、欧州市場、アジアの4地域に分けてそれぞれ強化。同程度の機能を持たしていきたい意向だという。本多副社長も「それぞれの地域によって文化が違うので、 (ネットワークゲームなどでも) こちらで作っても各地域で育て上げることが望ましい」と発言。2004年3月期の通期販売計画としては、日本の470万本に対して北米で「FINAL FANTASY X-2」が発売されることもあって逆転し510万本となっている。また、欧州地域への期待度が高く300万本を見込んでいる。ちなみに北米版「FINAL FANTASY X-2」の受注はすでにミリオンを突破。それもかなり短期間で突破したとあって「勢いはある」とコメントしている。

 今回の決算説明ではゲーム事業よりもむしろネットワーク事業、そしてモバイル・コンテンツ事業への期待感が前面に押し出された形となった。MMORPG「FINAL FANTASY XI」が北米で発売されたばかりだが、Windows版の出荷が約20万本となっており、「クリスマス商戦に向けてもう少しプッシュするつもり (和田社長)」といった状況だという。時差の関係か、日本のユーザーと北米のユーザーが一気にサーバーに集中することがないということで、同時アクセス数が11万人から13万人といった状況となっているようだ。オンライン事業の収益については、パッケージでの収益と会費での収益が約半々から会費での収益が若干多い状況だとしている。

 今後の方針としては、コンテンツの強化により多角的に展開していきたい意向を改めて強調した。和田社長曰く「マルチプラットフォームではなく、各プラットフォームがネットワークで繋がることで、どこからでもコンテンツにアクセスできるようなシステムが形成できる。顧客がどのプラットフォームからアクセスしてきても、そこにはスクウェア・エニックスのコンテンツがあり、楽しめるシステムを作り上げる」とコメント。つまりヒットコンテンツを持っていれば、プラットフォームは関係なくどこからでも商売に繋げることができるということだ。

 そうなると、デジタルコンテンツの利点のひとつであるデータの利用も活きてくる。和田氏は「『ファイナルファンタジーXII』の発表会でもやっていたが、1,400ポリゴンのフェイシャルアニメーションが、もう少し携帯電話が進化することでのかってくる。そういったことまで考えながら開発することで再利用しやすくなる」としている。さらに過去を振り返りながら「これまでファイナルファンタジーシリーズで、ムービーが追加されたらそれだけ投資金額がかかっていたが、でもそれが利益に結びついていなかった。それは今はない」とし、利益構造に結びつけるゲーム制作を心がけていると説明した。

 先日行なわれたコーエーの決算発表では、ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯端末「PSP」への参入が発表されたが、今回の発表会でもPSPに関する質問が和田社長に飛んだ。和田氏は個人的な見解と断わりながら「ゲームボーイアドバンスとは全然違うものと考えている。バッティングはしないと思う」と襟川コーエー代表取締役会長と同様の考えであることを明かした。和田氏は続けて「そういった意味からGBAのソフトをPSPに移植などといったことは、それぞれのハードの機能を使っていないということになるのであり得ない」と解説。しかしPSP用ソフトの制作が進んでいるかどうかについては「開発が進んでいるかどうかは言えない」と口を閉ざした。

恒例となった販売本数の公開。「ファイナルファンタジー・クリスタル クロニクル」が好調だ 2004年3月期の通期事業計画の連結と単体でまとめたもの。前年同期はまだ合併前であったため併記という形になっている 2004年3月期の通期事業計画を各セグメントごとに書かれたもの
各地域における販売計画本数。北米地域が強いが、思った以上にPAL地域に力が注がれているのがわかる 最も力の入っている分野のひとつであるオンラインゲーム事業。PlayOnline会員数の推移と「クロスゲート」の会員数を明示 合併の記者会見時に説明された、コンテンツの重要性を再度説明


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□平成16年3月期中間決算短信 (PDF形式)
http://ir.square-enix.co.jp/j/viewer.cgi?mode=view_file&target=0402-200311200000-01.pdf
□中間決算説明会スライド資料 (PDF形式)
http://ir.square-enix.co.jp/j/viewer.cgi?mode=view_file&target=0404-200311201401-01.pdf
□関連情報
【2003年11月26日】【速報】スクウェアとエニックスが合併
新社名は株式会社スクウェア・エニックスを予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021126/square.htm
【2003年11月26日】スクウェア・エニックス経営陣都内で会見
「成長を継続していくための攻めの合併」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021126/es.htm
【2003年11月29日】スクウェア・エニックス、戦略説明会を開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021129/es.htm

(2003年11月20日)

[Reported by 船津稔]


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