【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

EA、「Ultima X: Odyssey」プレスカンファレンスを開催
βテスト開始は第4四半期、正式サービスは春以降

11月18日開催

会場:エレクトロニック・アーツ本社

 エレクトロニック・アーツ株式会社は、本日本社会議室において、8月にEAの子会社Origin Systemsがサンフランシスコにて正式発表したMMORPG「Ultima X: Odyssey」(以下、UXO)のプレスカンファレンスを開催した。国内プレスを対象にした発表会は今回が初めてで、ようやくMMORPGとしての仕様が確定し、βテストへの道のりが見えてきたことが伺える。発表内容は、サンフランシスコ発表の差分が中心で、発表以降、情報を追いかけてきた「ウルティマ」ファンにとっては実りの多い発表会となった。

「Ultima X: Odyssey」の最新スクリーンショット
 同作は、8月の発表に合わせて公式サイトをオープンし、こまめに情報を更新するなどして、「ウルティマ」ファンを中心にしたエンドユーザーレベルでの話題作りに務めてきたが、今回、ようやくゲームの仕様が固まってきたことから、国内プレスのみを対象にしたカンファレンスが開催される運びとなった。

 先述したように、プレスカンファレンスはUXOの概要はすっ飛ばして、一足飛びに8月から現在までの開発状況の紹介から始まった。弊誌でも同作の概要について繰り返し記述することはしないので、詳細については過去記事を参照して頂きたい。

 さて、プレスカンファレンスは、同社会議室内に設置されたビデオ会議システムを使ってリアルタイムで行なわれた。朝9時スタートという異例の時間設定もサンフランシスコの時差に対応してのもの。いかにもEAらしい発表会だが、今回のUXOや「ウルティマオンライン」といったオンラインタイトルを扱うオンライン事業部では、ミーティング等で日常的に利用しているという。

 テレビに映し出された映像の向こうには同作シニアプロデューサーのリック・ホールと、リードデザイナーのジョナサン・ハンナが並び、司会進行役はオンライン事業部を統括するバイスプレジデントである正田純二氏が務めた。


■ 全クエストはプライベートエリアのみで実施

画面中央がリードデザイナーのジョナサン・ハンナ、その右がシニアプロデューサーのリック・ホール
エレクトロニック・アーツのバイスプレジデント正田純二氏。EAのPC部門とオンライン部門を統括している
 まず、UXOの開発の進捗状況については、8月の発表会で行なわれたユーザーミーティングで出された意見や内部的なフィードバックを元に、βテスト向けの調整を行なっているという。具体的には、インターフェイスの修正、バトルシステムのリファイン、パーティーやギルドといったシステムの調整などが中心という。8月の発表時点では、ファンタジー仕立てのFPSの域を出ていなかったが、細部が詰められたことにより、ようやく「ウルティマ」をモチーフにしたMMORPGとしての体裁が整えられてきたようだ。

 8月時点からどう改良されたかについての細かい話は省くが、バトルシステムやインターフェイスについては、全体的により直感的に、よりシームレスに事が行なえるような改良が施されており、また一段とアクション性が高まった印象だ。

 気になるβテスト開始時期については、当初のクリスマスシーズンから大きく後ろにずれ込み1月から3月開始とした。これはフィードバックの内容を反映させると同時に、βテスト開始時点ですべての仕様を盛り込むためという。このため、正式サービス開始時期も今期中から、春以降へと延期となった。

 クエストシステムもずいぶん具体性を帯びてきた。8月時点では、クエストの発生先は「適当なNPC」としていたが、これをアバタール自身と変更し、プレーヤーが彼に召喚され、彼の意志の元にクエストを達成するというストーリー上の位置づけが明確化された。

 また、すべてのクエストは、UXOの注目要素のひとつであるプライベートエリアでのみ行なわれるとした。さらにすべてのクエストに対し、難易度に応じて、30分~1時間程度のタイマーを設け、それを超えると失敗となるという時限式クエストシステムであることが明らかにされた。

 クエストをプライベートエリアのみでやるというのは、いまだかつてないスタイルだが、デメリットよりメリットの方が大きいと考え、実装を決めたという。念のために捕捉しておくと、クエストを受けたり、パーティーを組んでレベル上げを行なうのは、パブリックエリアで、対するプライベートエリアは、パブリックエリアと似た構造をしているが、第三者の冒険者は存在せず、プレーヤーとその仲間およびモンスターのみが存在するエリアのことを指す。

 必然的にクエストの内容は、「○○を3つ持って来て」といったおつかいクエストは存在せず、常に生きるか死ぬかの非常にチャレンジングな内容のみになることが予想される。ちなみにタイムアップもしくは全滅でクエストは失敗となるが、街のジプシーからクエストを「買う」ことで、再び同じクエストに挑戦できるようだ。


■ 8人分の徳を極めることでアバタールへの道が拓けるアセンションシステム

プレーヤーが選択できる種族のひとつガーゴイル。9人のキャラクタを育てる過程で全種族でプレイすることになりそうだ
 8月の発表で、MMOファンにある意味もっとも衝撃を与えたのがアセンションシステムだ。これは1stキャラクタをヒーローとし、2nd以降のキャラクタをフォロワーとする自己完結型の成長システムで、最終的にはアバタールに昇華できるところが魅力となっている。

 ヒーローがアバタールになるまでの具体的なプロセスは、8人のキャラクタを作成して、それぞれに異なる徳クエストを習得させ、そのパラメータをMAXまで上げること。この時点でフォロワー(従者)は正式なディサイプル(弟子)となり、ヒーローの新たな力を解放するトリガーの役割を果たす。  さらにディサイプルひとりのレベルを100まで上げ、アセンションクエストと呼ばれる特別なクエストを達成することで、その都度ヒーローのレベル上限が5つ上がる。ヒーローのレベルは、理論的には145まで上げられ、8人の弟子を従えたアバタールが最強のキャラクタということになる。

 UXOは、アクション要素が高いMMORPGなので、レベル145&弟子8人のアバタールキャラが絶対最強ということにはならないが、ハイクラスのDuelプレーヤーや、ギルドメンバーはそうしたユーザーで埋め尽くされることが容易に想像できる。

 のみならず、ラスト8人目のアセンションクエストには、ガーディアンとの最終決戦が描かれたりするなど、「ウルティマ」第10作目のストーリー上、避けて通れない重要なエピソードも盛り込まれており、「ライトユーザーに厳しいMMORPG」という発表時点のインプレッションは、今回の発表会でもまったく変わらない。

 同社では、UXOの発表時点で、「ウルティマオンライン」と並行して運営していく方針を明らかにしており、内容的にも意図的に異質になるように心がけているという。いずれにしても「ウルティマオンライン」が楽しめたから、UXOも引き続き楽しめるとは軽く考えない方がいいだろう。UXOは、現状見えている限りではバリバリのハードコアユーザー向けMMORPGだ。

美しい3Dグラフィックを実現。やはりUnrealエンジンを採用し、ビジュアルに力を注げたことが大きく作用しているようだ


■ DuelやGuild Warの勝敗をサーバー管理する新たなPvPシステム

 今回、初公開となったのがPvPシステムだ。PvPシステムは、大別して1対1のDuelと、「ウルティマオンライン」同様のギルド間抗争を描いたGuild Warの2種類が用意されている。PKについては、当初の発表どおり、ゲームに与える影響がメリットよりデメリットのほうが大きいとして、不採用となっている。

 UXOのPvPシステムでもっとも特徴的なのが、自動記録型のレーティングシステム。各キャラクタ、各ギルドとも1,000ポイントスタートで、勝敗が決まると、相手のレートに対応して、その都度自分のレートが変動し、公式サイトに反映されるというシステム。

 Duelの場合は、まずDuel希望を出し、それを受けたユーザーがプレーヤーの元に飛び、その場で戦いが行なわれる。パブリックエリアなので、第三者は自由に観戦できるものの、手助けは一切出来ない。ただし、野外の場合はモンスターに襲われるという仕組み。PKではないので、敗者の持ち物を奪うといった行為はできないが、システム側からレートに応じて宝が貰えるようだ。

 一方、Guild Warの場合は、「ウルティマオンライン」と同様に事前登録制になっていて、双方の合意の元に行なわれる。「ウルティマオンライン」と異なるのは、恒常的ではないという点と、敵ギルドの死体から荷物が奪えない点、それから明確な形で勝敗が付けられるという点だ。

 試合前は、マップはどこにするか、何人まで参加できるのか、何人死者が出た時点で勝負が決まるのかといったルールを設定できる。そしてDuelと同じように、勝利ギルドには宝が渡され、レーティングに反映される。非常によくできたシステムだ。

 ユニークなのは、DuelおよびGuild Warに関して、第三者が賭をできるところ。賭の詳細は不明ながら、バトルが苦手なユーザーでも気軽にPvPの興奮が味わえるものを目指しているようだ。

派手なエフェクトで演出されたバトルシーン。今回ディフェンスのルールが簡略化されたり、アビリティを組み合わせて発動させるコンボの概念などが明らかにされた


■ 行くたびに売り物が異なるショップキーパー

ショップでは手に入らないインテリジェントアイテム。高級品ほどレベル上限が高くなるようだ
 今回、街に点在するショップキーパー(商人)の仕様も明らかにされた。UXOのショップキーパーはレベル1から100までのアイテムを幅広く扱うNPCとなっており、「ウルティマオンライン」と同様に在庫の概念があるだけでなく、品不足に対応して、新たに別の売り物を加えるという珍しいシステムを導入している。

 それではショップキーパーから購入できる売り物だけで十分かというと、もちろんそうではない。ショップの売り物は、いわゆるノーマル品のみで、使うたびに消耗し、いつかは壊れてしまう。このあたりの仕様は「ウルティマオンライン」と同じようだ。

 一方、使うたびにEXPを獲得し、プレーヤーと共に成長していくインテリジェントアイテムや、徳ポイントを消費して性能を強化できる徳アイテムといった、いわゆるマジックアイテムは永久品扱いとなっており、性能的なメリットも大きい。

 これらのアイテムはショップキーパーからは購入できず、モンスターからのドロップのみとなる。ちなみにこうしたマジックアイテムをショップキーパーに売っても、再び店頭に並ぶことはなく、ユーザー同士でのトレード販売のみになる模様だ。

(C) 2003 Electronic Arts Inc. All rights reserved.

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://japan.ea.com/
□「Ultima X: Odyssey」のホームページ
http://www.uxo.jp/
□関連情報
【8月23日】Origin Systems Senior Producer Rick Hall氏インタビュー
「Ultima X: Odyssey」のバックグラウンドと今後の構想を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030823/uxo3.htm
【8月23日】Originが放つ3DMMORPG「Ultima X: Odyssey」詳報
MMORPG界の台風の目となりうる新システムの数々に注目!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030823/uxo2.htm
【8月22日】EA、シリーズ最新作「Ultima X: Odyssey」を正式発表
MMORPGとして生まれ変わるUltimaシリーズ第10弾
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030822/uxo.htm

(2003年11月18日)

[Reported by 中村聖司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.