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Eidos本社取材レポート
スニーク系RTSの大作「Commandos 3」プレビュー

8月26日収録(現地時間)

会場:Wimbledon Bridge House

 ヨーロッパ最大規模のゲームトレードショウEuropean Computer Trade Show(ECTS) 2003が、今年もロンドンのアールズコートにおいて開催される。名実ともに世界最大規模のゲームトレードショウであるE3に比べ、その規模は小さく、大手を含めメーカーの出入りも激しい。ヨーロッパゲーム市場の複雑さを感じさせると同時に、毎年、新進のヨーロッパ系メーカーと出会える数少ない機会のひとつでもある。

 中でも英最大手のゲームパブリッシャーEidos(8月よりEidos Interactiveから社名変更)は、このところ毎年ECTSの出展を見送っている。理由はいろいろあるが、比較的大きなものとしては、8月初旬にヨーロッパのトレーダー向けに社内で説明会を開催していることが挙げられる。ECTSは関係者限定のトレードショウであるため、繰り返しは避けるというわけだ。

 その一方で、併催のPlaystation Experience(現地時間の8月28日より開催)は一般入場も可能なため、同社も大々的に出展を行なう。とはいえ、こちらはプレイステーション 2作品のみ。というわけで、今回はPCの新作情報を取材するためにEidos本社にお邪魔した。Playstation Experience開催直前で社内は閑散としており、スタッフも出払っているような状態だったが、ヨーロッパで9月27日に発売が予定されている新作PCタイトル「Commandos 3」の最新情報を入手してきたのでたっぷりご紹介しよう。

8月を機に社名ロゴが代わり新体制となったEidos。受付にはララ・クロフトのモデルが着ていたコスチュームが飾られていた


■ 任務遂行型RTSの傑作「Commandos」とは!?

グラフィックエンジンは前作のものがベースとなっているが、雪の表現、爆発炎上したバスの炎の表現など、全体の描写力はまた一段と高まっている
 まず、「Commandos」シリーズについて簡単におさらいしておきたい。基本的なゲーム内容は、第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、一騎当千の特殊技能を備えた複数の隊員を操作して、ナチスドイツを相手にした特殊任務を遂行していくというもの。ゲームジャンルはリアルタイムストラテジーだが、生産的な要素はいっさいなく、1人でも死亡するとその時点でゲームオーバーとなる。こうしたFPS的なゲーム要素を、RTSで再現したところに多くの魅力が見いだせる作品である。

 開発元はスペインのデベロッパーPyro Studiosで、ゲームの難易度は全般的に高めながら、練り込まれたゲーム性と骨太のキャンペーンシナリオにより、1作目、2作目ともにヨーロッパでミリオンセラーを達成し、人気シリーズとしての地位を確立している。特に前作に関しては、実寸で計算するとゆうに1km四方はありそうな広大なマップを、3~5時間かけてクリアするという、重厚長大の極みのようなゲームデザインを採用していた。

 これは一部で熱狂的に支持される一方で、「難しすぎる」、「クリアまでに時間がかかりすぎる」といった批判の声も数多く聞かれ、そうしたユーザーの意見をもとに、新しいコンセプトで作り直されたのが「Commandos 3」である。今年のE3では出展は見送られていたが、開発は順調に進んでいたようで、ヨーロッパでははやくも9月26日に発売となる。

 ローカライズは、英語のほか、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語など、ヨーロッパの各言語が進められており、今のところ日本語の予定はないという。アイドス・インタラクティブからも具体的なアナウンスはない。が、今後、韓国語版、中国語版は確実に出るだろうし、ユーザーの反応次第では前作同様、日本語版発売の可能性は十分に考えられる。


■ 従来のテイストを残しつつ、ゲームとしての完成度を高めた「Commandos 3」

フル3Dで表現された屋内マップ。前作同様、自由に視点をスライドして、見やすい位置からキャラクタを操作することができる。屋内はオブジェクトの多さ、そのディテールに注目
上下の画面は同じ建物ではないが、スターリングラードでは、途中の爆撃イベントを挟み、直前まで完全形をなしていた建物が、次のステージではがれきの山と化しているということもある
 シリーズ3作目となる「Commandos 3」は、従来作のように、第二次世界大戦のヨーロッパを舞台とし、おなじみのメンバーが顔をそろえる。グラフィックエンジンも前作の3Dエンジンをバージョンアップしたものを採用しており、パッと見た感じの印象は前作とそれほど変わりない。

 ただし、実際のゲームプレイは、格段にユーザーフレンドリーになっており、シームレスに挿入されるリアルタイムイベントもクオリティが高く、ゲームへの没入感はいよいよ高まっている。前作は1本のシナリオがあまりに長かったため、1回クリアするので精一杯だったが、今回は1度だけでなく、2度、3度繰り返して遊びたくなるような、ある意味ライトな方向に軌道修正されている。

 また、詳しくは後述するが、マルチプレイモードについに対戦モードが導入される。シングルプレイマップを戦場に、Commandos対Commandosという夢の対決がついに実現する。今回ひととおりデモを受けた印象としては、前作と「Commandos 3」は、見た目はやや近いが、まったく別のゲームというものだ。ファンなら100%満足できる内容だろう。

 さて、今回のキャンペーンシナリオは、従来のように1本の長いキャンペーンではなく、今回はスターリングラード、ノルマンディ、セントラルヨーロッパの3本で構成されている。それぞれ3本、3本、6本のシナリオで構成され、ステージとステージの間に30秒ほどのリアルタイムムービーを挟み、マップ読み込みのためのわずかなローディング時間を除けば、全編シームレスに展開していく。このあたりの処理も前作に比べずいぶん洗練された印象だ。

 各ステージは、それほど広くなく、前作の半分以下の大きさにおさえられている。そのかわり、家屋や下水道、河川、地下室などは、前作を遙かに上回るディテールで丁寧に描かれ、より深みのあるゲームプレイが堪能できる。目的までの解法が複数用意されているのは従来作と同じだが、マップが制限されているため、解法そのものを見つけやすくなっている。

 ちなみにスターリングラードとノルマンディは、タイトルでだいたい内容が想像できるように、スターリングラード攻防戦とノルマンディ上陸作戦というヨーロッパ戦線における2大戦闘において、局地的な破壊工作活動に従事していくことになる。

 スターリングラードの最初のミッションでは、豪雪のスターリングラード中央広場を舞台に、単独で侵入したスナイパーを操り、20名のソ連兵が全滅する前に、ナチスドイツのスナイパーを狙撃するという、映画「スターリングラード」を彷彿とさせる内容になっている。

 敵は、動くオブジェクトをすべて狙撃していく凄腕のスナイパーと、銃で武装した複数のドイツ兵。スタート地点から動かなければ、やられることはないが、ソ連兵がどんどんと倒されてしまう(ソ連兵の残り数が制限時間の役割を果たしている)。敵スナイパーの位置はわかっており、あとは狙撃するだけなのだが、射線を確保しようと匍匐前進を行なうと、そのそばを敵スナイパーのスコープの視界を示すターゲットカーソルがにらみをきかせるといった具合でなかなか難しい。解法さえわかれば、運がよければ数分でクリアできるようだが、こうしたショートシナリオはこれまでまったくなかっただけに非常に新鮮だった。

 敵スナイパーの狙撃に成功すると、ナチスドイツによる無差別爆撃がはじまり、街が破壊され、パラシュートで降下猟兵部隊が続々と降下し、戦車まで出てくる。こちらはグリーンベレーとサパー(破壊工作兵)の2人が建物から顔を出し、さてどうやって撃退しようという展開になる。緊張感を持続させるスマートな流れだ。

 一方、ノルマンディでは、ノルマンディ地方に展開するナチスドイツの装甲車両の破壊工作、湾内施設の破壊などの下準備を行なった上で、最終的に舞台の実質的な主人公グリーンベレー自ら、上陸艇に乗り込み、ビーチでの激戦を体験することになる。ビーチでは鉄条網を乗り越え、機関銃部隊を突破して、最奥にある湾岸砲を破壊するのが目的だが、さしもの主人公も見つかると一瞬でやられてしまう。このステージでは、部下の連合軍兵を直接操作できる。彼らとの連携作戦が必要不可欠なようだ。

スターリングラードのイベントシーン。大編隊による爆撃が行なわれ、その後、ナチスドイツ兵が空挺降下してくる。画面のスクロールも非常にスムーズで、エフェクト表現もさまざまなパーティクルが多用され、なかなかダイナミックだ


■ ナチスが盗んだ名画を追う「セントラルヨーロッパ」がアツい!

ドイツの片田舎らしき街の様子。実はここに盗まれた名画が集められているらしい
今作の白眉といえる暴走機関車シーン。静止画では止まっているように見えるが、実は機関車は高速で走行している。画面はシーフが窓づたいに横移動しているところだ
 「Commandos」シリーズの愉しさは、大戦史の裏側を覗くようなマニアックなシナリオにあるが、そうした楽しみが凝縮されているのが6ステージからなるロングキャンペーン「セントラルヨーロッパ」だ。

 シチュエーションは、大戦末期にナチスドイツが戦費確保のため、ヨーロッパ中から名画を集めようとしているというもので、あらゆる手段を駆使してそれを止めるというのがプレーヤーの任務だ。キャンペーンはフランスとドイツの国境からスタートし、ベルリンに向かう機関車を軸にハラハラドキドキのシナリオが展開する。

 斥候兵の制服を盗んで検問を突破したり、荷物担ぎに紛れ込んで司令室に侵入したりなど、前作までのプレイスタイルがそのまま踏襲されているのもいいが、高速で走る機関車に乗り込み、最後尾から先頭までたどり着き車両を止めるといったドラマチックなものまで実にシナリオが練り込まれている。グリーンベレー、スナイパー、サパー、エンジニア、スパイ、シーフというスタッフ全員の技能が試されるキャンペーンでもある。

 絵画を傷つける、傷つけられるとその時点でゲームオーバーというルール設定もユニーク。いつもなら大規模な破壊工作でまとめて片づけるところを、隠密活動に徹しなければならない。難易度はそれなりに高そうな印象だったが、日本でも大いに受けそうな内容だ。

 最後にマルチプレイについて触れておきたい。同シリーズのマルチプレイは、これまでキャラクタごとにプレーヤーを割り振る協力プレイのみだったが、今回はその機能は除外され、新たに対戦をベースにしたマルチプレイモードが搭載される。

 マップはキャンペーンマップを利用し、最大参加人数は12人。Commandos 6人対Commandos 6人という夢の対決が可能になる。Commandos以外にも、連合軍の一般兵を操ることも可能で、こちらは数の上では若干有利になるが、能力の面でやや劣ることになる。連合軍の場合、ライフル兵、バズーカ兵など兵装別にポイントを消費して部隊編成することになるようだ。

 チームは最大4チームまで編成可能で、レッド、グリーン、ブルー、イエローに別れてチーム戦も楽しめる。対戦モードは、CTF(Capture The Flag)、デスマッチなどが用意され、ポイントや時間制限など、オプションルールも充実している。

 具体的な対戦方法は、キャンペーンマップの適当な場所に、チーム別にSpawnエリアを設定して、そこから出現し、あとは自由に行動して対戦するというもの。視界やタバコトラップなどの扱いがどうなるのかは不明だが、ナチスドイツ兵はいっさい登場せず、敵の制服を盗んで偽装するテクニックはさすがに利用できないようだ。

 GameSpyのテクノロジーを使ったサーバーブラウザも内蔵しており、気軽に全世界のユーザーと対戦することも可能となっている。同作のマルチプレイを体験することはできなかったが、シングルプレイの内容から推測すると、RTSよりむしろFPSのスタイルに近い内容になるものと思われる。日本語版の発売が不明確なのが残念だが、この秋イチオシのRTSといえそうだ。

□Eidosのホームページ
http://www.eidos.com/
□Pyro Studiosのホームページ
http://www.pyrostudios.com/

(2003年8月27日)

[Reported by 中村聖司]


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