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Origin Systems Senior Producer Rick Hall氏インタビュー |
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会場:San Francisco W Hotel
「Ultima X: Odyssey」のイベント終了後、開発チームへのインタビューが行なわれた。非常に限られた時間でのインタビューとなったが、同作に対するクリエイターの構想の一端を知ることができ、有意義な内容になった。弊誌では「Ultima X: Odyssey」開発チームの実質的なトップであるSenior ProducerのRick Hall氏に話を伺った。
■ UXOのバックグラウンドについて Richard Garriott氏の構想は取り入れられている!?
編集部(以下、編) まず最初にUXOのバックグラウンドストーリーについて教えてください
Rick Hall氏(以下、Rick) UXOは「Ultima IX: Ascension」の直後という設定になっている。「Ultima IX: Ascension」は、最終的にアバタールがアセンション(昇天)してガーディアンと一緒になるが、そこで死んだのではなく、別の世界に一緒に行ってしまったんだ。そこで再開された戦いによりアバタールが再び危機に瀕してしまう。アバタールは、かつて旅をしたブリタニア世界をモチーフにした仮想世界をつくり、そこで多くの冒険者たちが多くの徳を学び、その結果アバタールに上り詰めることができれば、ガーディアンの野望を阻止することができると考えた。これがUXOの基本的なバックグラウンドだ。
編 このバックグラウンドは、いつの時点で決まったものなのでしょうか? 「Ultima IX」の開発終了後? それともUXO開発チームが結成されてから?
Rick いやそれほど前(「Ultima IX」は'99年発売)の話ではない。基本ストーリーが定まったのはちょうどいまから1年半前の話だ。時期的には「Ultima Online 2」のキャンセル(開発中止)のタイミングとほぼ同じだ。
編 なるほど。それではRichard Garriott氏がOriginを辞めてから構想が固まったということになりますが、同氏がまだ所属している際に「Ultima X」の構想についていくつか話をしていたと思います。このあたりの構想は今回のUXOに含まれているのでしょうか?
Rick もちろん、彼とはよく話をしたし、彼の影響は今なお強いが、実際にUXOの開発がスタートしてから、彼からのインプットはまったくない。仮に彼にUXOのゲーム内容について尋ねてもまったく知らないはずだ。
■ UXOのエンディングとは!? 「Ultima Online」との関連について
編 UXOはシリーズ初のMMORPGということになりますが、いわゆるエンディングというものは用意されているのでしょうか?
Rick 先ほども話したが、8つの徳をすべてマスターし、9人目のキャラクタを作成し、アバタールへと昇華した時点で、ストーリー上は一応クリアということになる。しかし、それでゲーム世界から縁が切れるわけではないし、そのままゲームプレイを継続することができる。
編 先ほどはガーディアンを倒すのが目的ということでしたが、ということは、アバタールと化したハイレベルプレーヤーを集めてガーディアンを倒すというファイナルクエストはあるのですか?
Rick UXOはMMORPGなので、明確にその世界の終わりを示すような、たとえば、ガーディアンの死であったり、アバタールの死というものをゲーム内で実現化するつもりはない。「Ultima」世界におけるアバタールとガーディアンの存在は、世界の2極を示す、自然界の法則のひとつのようなものだから、彼らの意志がゲーム内の要素に変化を加えることはあっても、彼らそのものを消滅させることはできない。
編 発表会では「Ultima Online」は「Ultima」シリーズの外伝的エピソードとして、UXOリリース後も平行してサービスを続けていくということでしたが、両作品に関連性はあるのでしょうか?
Rick シスタープロダクト(姉妹製品)ではあるが、ゲーム世界も違うし、システムも異なる。キャラクタの移行やアイテムの移行など、直接的な形での関わりというものは考えていない。
編 なるほど、それでは「Ultima Online」とUXOで、同時多発的にUltima世界ならではのファンサービス的なイベントが発生したりといったことはなく、まったく別のプロダクトとして完全に割り切ったサービス展開を行なっていくということですか?
Rick それはおもしろいアイデアだ。その可能性はもちろんある。おそらくその手の要望は双方のファンから数多く寄せられることが予想される。UXOは柔軟なクエストシステムを取り入れているから、そうしたアイデアも実現に移しやすい。そうしたイベントが実現に移される可能性は十分にあるよ。
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現在公開されている野外フィールド。フィールド数は街やダンジョンを含め55を予定。1エリアは端から端まで走って10分以上かかる広さがある。広大な3D世界となりそうだ |
■ UXOの将来的な構想について 拡張パックの内容
編 「Ultima IX: Ascension」で3部作は一応の集結を見たわけですが、新章となるUXOでは今後どのような展開を予定しているのですか?
Rick 「Ultima IX: Ascension」は明確な形で終了を迎えたわけだから、今回ふたたびシリーズを続けていくにあたり、すぐ終わらせたり、終わりが見える形にはしたくない。現時点でいえるのは、ずっとサービスを続けていくためにエキスパンションは定期的に出していくということだ。
編 それは従来のトリロジー的なスタイルではなく、終わりのない展開になるということですか。
Rick そういうことになる。最初のエキスパンションについては、フィードバックフォーラムでも話したように、生産要素の導入とハウジングシステムが中心になる。そしてひょっとすると、反Virtue的なシナリオ、Chaos陣営の導入もあるかもしれない。
編 それは非常に楽しみです。ただ、できればハウジングはUXO本編にあらかじめ入れておいてほしいところですが。
Rick UXO本編にハウジング要素を入れなかった理由のひとつは、しっかり開発してクオリティの高い機能として導入したいという考えがあるためだ。必要な機能としては、自宅のカスタマイズが自由にできること、これは「Ultima Online: Age of Shadow」で導入されたハウジングツールの人気が非常に高いため、UXOでは最初から導入する必要があると考えた。もうひとつは、ゲームと家との関係を可能な限り密接にしたいと考えたためだ。これは現時点では必ずしも実装を確約できないが、たとえば、大きな家を建てて、そこに多くの人々を住まわせてひとつのコミュニティを形成させる。もしくは鍛冶屋として公開し、そこにベンダーを置いて多くの人にサービスを提供するなど。いずれにしてもエステート(私有地)に関してはたっぷり自由度を持たせるつもりだよ。
編 なるほど、それでは生産要素についてはどのようになるのでしょうか?
Rick UXOの開発がまだ終了していないので、詳細については決まっていない。ただ、我々が考えているのは、それ自体が豊富なゲーム性を持ち、楽しんで取り組めるようにしたいということだ。1万回クリックしないと何もできないようなものにはしたくない。生産要素についてはインタラクティブでおもしろいものにするつもりだよ。
編 それでは当然ランバージャックのようなリソース収集要素も同時に盛り込まれる?
Rick ランバージャックの仕様については決まっていないが、生産するためにはリソースが必要になるので、リソースを集める手段は取り入れることになるだろう。
編 木や鉱石などさまざまなリソースがありますが、それらの収集エリアというのはどうなるのでしょうか?
Rick プライベートエリアになるだろう。というのは、リソース集めるときには、他の人がすべて取ってしまって自分の分がなかったり問題が多いためだ。
■ UXOの徳システムやPvPなど細かい仕様について
編 先ほどのフィードバックフォーラムでは、プレーヤーはまずチュートリアルをプレイすることになるというお話でしたが、チュートリアルについて具体的に教えてください。
Rick 今回、会場で見せることもできたのだが、それ自体はエキサイティングではないので公開を見送った。システムそのものはクエストシステムを使っていて、1本道で強制プレイではなく、インタラクティブになっていて、自分が知りたい、覚えたい要素だけを選んでプレイすることができる。
たとえば、ユーザーインターフェイスの使い方、ステータスの上げ方、アビリティの使い方など、それぞれにクエストNPCを用意している。これをひととおりクリアすると、徳システムも獲得でき、旅に出るための準備が整うはずだ。
編 クエストをクリアすると報酬として特定の徳ポイントが得られるということは理解できたのですが、徳が下がるということはないのですか?
Rick UXOでは、徳が下がるということはない。というのはプレーヤーのすべての選択肢に間違いはないようになっているからだ。いずれを選んでも何らかの徳が獲得できる。
編 それでは、敵から逃亡したり、アイテムをルートしたり、死亡したりなど、これまで徳低下の対象になっていた行動を取ってもまったく問題ないということですか?
Rick それらは確かに我々から見て徳に反する行動かもしれないが、それをシステム側で正確に判断することは不可能に近い。たとえば、敵から離れたのは実際には仲間を呼ぶためかもしれないし、アイテムを取ったのは友人のために確保しておいたのかもしれない。こうした理由から徳を下げるということは今回考えていない。
編 UXOはレベル制を採用していて、それ以外にもPATHシステム、徳システム、スペシャルアビリティと複数の成長システムが存在しています。何にポイントを割り振っていくのかなど、最初から多くのことに頭を悩ませなくてはならない。「Ultima Online」はスキルシステムだけで、これに比べるとUXOはずいぶんハイレベル向けの印象を持ったのですが、この点についてどのように考えていますか?
Rick UXOは複数の成長システムを取り入れ、成長過程にも無限のバリエーションを用意しているのは事実だが、これを難しく考えてしまうのは、初めて見たからで、実際にしばらくプレイしてみれば明快なシステムだということがわかると思うよ。
編 最後の質問になりますが、PvPシステムを実装した理由について教えてください。
Rick それは簡単だ。実際にプレイしてみればわかるが、楽しいからだ。どんなに優れたモンスターAIを導入しても対人戦の楽しさにはかなわない。今回は「Ultima Online」のPKのように不同意での不意打ちというのはないし、双方の同意に基づいて行われる。舞台もパブリックエリアだけでなく、プライベートエリアを利用して集団戦もできるなど、まったく新しいシステムになっている。楽しめるはずだよ。
編 ありがとうございました。
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ダンジョン入り口とムーンゲート、ダンジョン内部の様子。ムーンゲートは各地に設置され、一度使ったムーンゲートはいつでも戻ることができる。UXOでは、移動手段は徒歩とムーンゲートのみということなので、移動魔法やルーンシステム、ライディングアビリティが導入されるまで、ムーンゲートにはしばらくお世話になりそうだ |
(C) 2003 Electronic Arts Inc. All rights reserved.
□Electronic Artsのホームページ
http://www.ea.com/
□「Ultima X: Odyssey」のホームページ
http://www.uxo.jp/
□関連情報
【2003年8月23日】Originが放つ3DMMORPG「Ultima X: Odyssey」詳報
MMORPG界の台風の目となりうる新システムの数々に注目!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030823/uxo2.htm
【2003年8月22日】EA、シリーズ最新作「Ultima X: Odyssey」を正式発表
MMORPGとして生まれ変わるUltimaシリーズ第10弾
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030822/uxo.htm
(2003年8月23日)
[Reported by 中村聖司]
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