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任天堂とセガ、「F-ZERO GX/AX」体験取材会を開催
宮本氏、今村氏、名越氏が出席

7月8日 開催



 任天堂株式会社と株式会社セガは、ニンテンドーゲームキューブ用ソフト「F-ZERO GX(GX)」と、そのアーケード版「F-ZERO AX(AX)」の体験取材会を開催した。会見には、任天堂株式会社から宮本茂氏と今村孝矢氏、開発元である株式会社アミューズメントヴィジョン代表取締役の名越稔洋氏が出席した。

 「F-ZERO GX/AX」は、強烈なスピード感が体験できるレースゲーム。GC版が7月25日に発売予定で、AC版が稼動中。さらに増したスピードと爽快感、近未来的な美しさが眩いグラフィック、多数追加されたマシンやコースなど、さまざまな点で進化している。

 本作は任天堂とセガのコラボレーションにより、メモリーカードを介してGCとAC間でデータが相互に利用できるという特徴を持っている。体験取材会でも、メモリーカードによるコンシューマとアーケードの連動に重点を置いたデモンストレーションが行なわれた。

 GX版では「グランプリモード」の順位に応じて与えられる“チケット”を使って新しいマシンやパーツを購入する。AXの場合は、ライセンスカード購入時にカスタムマシンが1機プレゼントされ、その後は順位に応じて与えられるパイロットポイントを貯めて新パーツを獲得していく。AXでメモリーカードだけを使う場合は、AXをプレイするごとにGX用チケットが20枚プレゼントされる。

 メモリーカードを使えば、GXでカスタマイズしたマシンをAXに持ち込んだり、あるいはAXで入手したマシン、パーツ、コースをダウンロードしてGXでプレイすることが可能になる。GX、AXにはそれぞれ専用のマシンやコースが存在し、出現パーツに至ってはGXとAXでは完全に異なる。つまり、メモリーカードを介して双方を行き来することで、遊びの幅がさらに広がるというわけだ。

 なお、GXでは各キャラクタごとに異なるエンディングとムービーが用意されている。その一方で、AX専用キャラクタは……といえば、そのキャラクタをメモリーカードにダウンロードしてGXでプレイすれば、同様に閲覧できる。この事実を知れば、AXをやり込んだ人であれば興味が湧いて当然だろうし、GXをやり込んだ人も座視できないはず。このあたり、両社のコラボレートが上手く作用しているといえる。

ガレージ登録したマシンデータ入りのメモリーカードをAX筐体に差し込めば、登録したマシンがAXでも使える
カスタマイズしたマシンも使用可能。上写真中央のオリジナルエンブレムは今村氏の力作


(C)2003 Nintendo
(C)AMUSEMENT VISION / SEGA,2003


 会見で宮本氏は「プロジェクトが始まった段階で、両社の開発スタッフで色々と楽しい話をした。かなり初期の段階で“このゲーム(F-ZERO)のツボ”を押さえていただいて、あとは本当に“流れるようにできていった”という印象。この先もきっと『F-ZERO』を育てていくのだろうが、今回完成したものを見て“これより凄いものを、どうやって作ったらいいんだろう”というジレンマに陥っている(笑)」とコメントした。

 また「ぼく自身は、うちのスタッフをふくめて現場が“その仕事を気に入ってしてくれているか”というのが一番大事なテーマ。名越さんと色々な話をしていくなかで『F-ZERO』というキーワードが満場一致な感じで決定した。シリーズ作品をプレイしていたことも含め、名越さんのゲーム作りに対する姿勢が『F-ZERO』に向いている。ぼくの心を、そこまで察知してくれなくても! というくらい(笑)。まさかここまで『F-ZERO』の世界が深まるとは思わなかった。素晴らしい作品ができた」という。

 これを受けて名越氏は「いいプレッシャーというか。ユーザー、任天堂さん、宮本さん、今村さん……いずれに対しても恥ずかしくないものを、ということで。色々なプレッシャーがあったおかげで、充実したものができたと思います」とコメントした。

 今回、キャラクタ性が強く打ち出されたことについては「元々、個性的なキャラクタや世界観を持っていたため“彼らはいったいどういう性格をしているんだろう”といった部分をもっと広げたかったし、どうしてもやりたかった」と説明した。

 今村氏は「このプロジェクトが始まったとき、名越氏が『うちらの文化では、レースゲームのなかにキャラクタが出てくるというのは考えられない。プレーヤー=主人公だから』といわれたのが、凄く印象に残っている。こうした部分が気に入っていただけて、その成果がストーリーモードになったというのが嬉しいです」とコメントした。

 また「スーパーファミコンのときは4台しかなくて、ゲーム中にキャラクタも出てこなかったけど、キャラクタを作るのが好きだったものですから。“こんなん(キャラクタを)乗せるイメージで売りましょうよ!”と、パッケージやマニュアルにキャラクタを載せて。「F-ZERO X」のときは、最初8台とかいってたんですけど、30人くらいキャラクタを考えて。結果的にはそういう種を蒔いて、こういうふうに広がってゲームの魅力が増してよかった」と、当時のエピソードを交えつつコメントした。

 こうした点から“本作のセガらしい部分”について質問が及ぶと、名越氏は「ヘンな言いかたかもしれないけど、自分は(F-ZERO)初代からのコアユーザーだったので、気分的には、その瞬間は『任天堂開発部の一員』だったつもり。セガらしさというのはアーケードと連動ができた点であり、あくまでコンテンツ(F-ZEROらしさ)がメイン」だと説明した。

 宮本氏は「ゲームは人が作るもので、会社が政治的にまとめるものではない。そういう質問じゃなかったっけ?」と笑いを取る一方で「その会社に出すとか、そういう感覚はない。名越さんがそうであるように、この業界も“ゲームで育った。ゲームの未来を明るくしたい”というプロデューサーがたくさんいまして。そういう意味で、セガさんを含め色々なところと意気投合して“ゲームありき”というコラボレーションをどんどんやっていきたい」とコメントした。

 「F-ZERO GX/AX」は、メモリーカードを介する遊びとして、ほぼ一通りの要素はすべて実装したという。今作はGBAとの連動は実装されていないが、普及台数を踏まえつつ将来的にはトライしてみたいという。宮本氏からは「すでに次の制作は始まっている」という刺激的なコメントも飛び出した。詳細は明らかにされなかったが、「F-ZERO」シリーズが今後もさらなるひろがりを見せることは間違いないだろう。


□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□アミューズメントヴィジョンのホームページ
http://www.amusementvision.com/
□「F-ZERO GX/AX」オフィシャルサイト
http://f-zero.jp/
□関連情報
【2003年6月21日】次世代ワールドホビーフェア開催。GC「F-ZERO GX」からPS2「蚊2」までこの夏の新作勢揃い
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030621/whf.htm
【2002年3月28日】セガと任天堂、「F-ZERO」を共同開発!「トライフォース」対応ソフト「F-ZERO AC(仮称)」とGCソフト「F-ZERO GC(仮称)を2002年末に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020328/ninten2.htm

(2003年7月8日)

[Reported by 北村孝和]


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