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バイヤーズデイとユーザーデイに分かれた初めての
「東京おもちゃショー2003」
トレンド不在だが、注目商品は続々リリース

6月10日~12日 開催

 毎年、5月頃に開催されていたおもちゃ関連の展示会「東京おもちゃショー」。いつもは関係者のみが参加できるバイヤーズデイと誰でも入ることができるユーザーデイが同時に行なわれていたが、今年からは商談会とユーザーデイを分離。ターゲットを明確にし、展示会を別々に開催することとなった。6月10日に開幕したのは関係者のみ入ることのできるバイヤーズデイだ。

 これまで見てきた「東京おもちゃショー」にくらべ、ターゲットが関係者と言うこともあり、今年発売される商品に絞り込まれているだけにかなりリアリティあふれる展示会となっている。つまり、商品化されるかどうかわからない最新技術を使った開発中の商品といったものはまず展示されておらず、今年手に入る商品がズラリと並べられているだけだ。もちろんここはそういった場なので、逆にユーザーデイとなる「おもちゃみらい博」はおもいっきり夢のある展示を期待したいところだ。

 では、今年のおもちゃのトレンドは? といえば、あまり明確ではない印象だ。一時期のロボット熱は完全に冷め、技術的な進歩がおもちゃまで落ちて来るにはまだまだかかりそうで、まったく新製品が登場しない状況となっている。ちなみにここ数年のトレンドである小型ラジコンは相変わらず多い。

 ビックリするような商品はないが、そんななかでちょっと視点を変えることで面白い商品を生み出しているところはあるので、そういった商品を中心に拾ってみた


■ コナミ

「バトルアクセル」。マシンは5つのパーツから成っており、それぞれ替えることでパワーや機動性などが変わってくる。ユーザーが操作できるのはアクセルとダッシュのみだが、単純ゆえにアクセルのかけ方やダッシュのタイミングなど、熱くなるモノがある
 年々、大きくなっていく印象のコナミのTOY & HOBBY部門だが、今年もこれまでのコナミという枠には留まらない幅広い商品展開を行なっていた。そんな中、弊誌として注目しておきたいのはやはりDigiQ関連商品と、今年新しく登場する「バトルアクセル」のふたつだろう。

 「バトルアクセル」はその名の通り“アクセル”と“ブースト”のふたつのボタンを駆使してマシンをぶつけ合って戦うトイ。マシンは5つのパーツから成っており、それらを付け替えることでマシンを独自にカスタマイズ。アクセルフィールドと呼ばれるすり鉢場のフィールドで、マシンを走らせ相手のマシンを外にはじき出したり真ん中のへこんだところに入れ、走行不能にさせれば勝ちとなる。

 先ほど書いたようにコントローラにはアクセルとブーストしかない。この単純な操作体系の中、いかに相手の後ろを取り、どのタイミングでブーストをかけて相手を弾き飛ばすのかといった戦術が、なかなか熱くさせてくれる。そこにパーツの乗せ換えといった要素が加わるのだから、さらにユーザーの独自性を出せる遊びとなるだろう。

 価格は、マシンとコントローラがセットで1,480円。戦う上で必要となるアクセルフィールドが1,280円とかなり低価格に設定されている。


 もうひとつ注目なのが、この冬の同社商談会で発表され注目を集めた「iRサウンドシステム」だ。音声出力システムとスピーカーを一体化したもので、背面には4つまで音源カードを差し込むことが可能。マシンのコントロールと連動しており、例えばスロットルを上げればリアルなエンジン音が鳴り響く。さきほど記載した4つのカートリッジとは同時に4台のマシンまで音を再生することができると言うことだ。

 実際会場で「DigiQ Formula」で実演されていたが、エンジン音がリアルなだけではなく、きちんとスピードが上がればシフトアップする様までわかるというこだわり方。これがそれぞれマシンによって違うわけで、それらが連動してここから再生されることを考えれば、「iRサウンドシステム」があるとなしでは、DigiQで遊ぶときの迫力にかなりの差が出ることだろう。

 今回の出展ではDigiQ、戦車、電車、F1以外の新規出展は見られなかった。ただ、たとえば「コンバットDigiQ」ではついに砲塔旋回が可能になったモデルが登場。「DigiQ Formula」の2003年モデルでは、ボディの金型を新しくしよりリアルになったほか、ステアリングの向上、フロントタイヤの硬質ラバー化、パワーアップモーターの搭載などなど各種機能の向上が図られている。つまり、DigiQシリーズはここにきてひとつ次のステップに上がったといえるだろう。

DigiQシリーズとしての大きな展開はこの冬発表された「iRサウンドシステム」実にリアルなサウンドを披露してくれる。このシステムがあるとないでは、迫力にかなりの差がある 2003年モデルは新しい金型から制作されているほか、ステアリング機能の向上やパワーアップモーターを搭載するなどかなり性能がアップしている。さらにRenault F1 Teamも参戦
コンバットDigiQ一番のトピックはなんと言っても砲塔旋回仕様車が加わったこと。パンターG型、T34/85型、タイガーI型、M4シャーマンの4車種が9月に発売される。従来のコントローラに専用ROMをセットすることでプレイ可能。ちなみに砲塔の旋回角度は120度 DigiQトレインでは複線高架レール基本セットや複線高架用対向式ホームセットが登場するほか、885系かもめ、883系ソニック、787系つばめなどの車両が9月頃に発売される予定となっている



■ ラジコン

 相変わらずの注目を集める各種ラジコン。すでに小さいだけでは珍しくないのだが、ここにきてちょっと面白いラジコンが登場してきた。その中の一つが、タカラの携帯電話でチョロQを操作するという「チョロモード」だ。

 携帯で操作すると言っても、iモードなどで操作するといった複雑なことではなく、携帯のボタンを押したときに出る“ピポパ”と鳴る音をつかって操作するのである。携帯のマイク端子に「チョロモード」についている通信ユニットを接続 (特殊な端子の場合、付属のスキャンリンクアダプタでスピーカーに固定することでも操作可能となる) 。この通信ユニットが携帯のピポパという音をデータに変換し車本体に電波で飛ばし車を動かすのである。

 車種は、キューブ、フェアレディZ、マーチ、スカイラインGT-Rとおなじみのものばかりだが、よりコロコロと丸みを帯びた可愛らしいデザインになっている。カラーリングもポップ。数字ボタンを押すことでリアルタイムに車を操作できるほか、あらかじめ動きを登録することで、決まった動きを実現できる「プログラムモード」や、キーワードを入力することで車を操作する「メールモード」など多彩な遊びが用意されている。  特に面白いのが最後のメールモード。例えば、“まる”というキーワードを打ち込むと円を描くように走るなど、メールを打つようにキーワードを打ち込むことで操作するわけだ。キーワードは“まる”のほかにも“はち (ハチの字)”や“なみ”など用意されているようだ。

 充電時間は1分で走行時間は約5分。通信範囲は約1分。周波数帯はそれぞれ固定で、4台まで同時走行が可能となっている (つまり、同じ車種は同時に走ることができない) 。

携帯で操作できるチョロQ……「チョロモード」が登場する。DigiQよりデザイン的には丸っこくさらにデフォルメが進んでいる感じ。とにかく可愛らしい。携帯電話の“ピポパ”といった操作音でどのボタンを押したか判断しデータに変換。電波で車体にデータ送信して操作するという仕様になっている



 もうひとつはリアルな戦車のフィギィアで大ヒット商品となった「WORLD TANK MUSEUM」のRC版「WORLD TANK MUSEUM IRC」。商品名からもわかるとおり赤外線で操作するタイプとなっている。「WORLD TANK MUSEUM」と同じサイズという小さな中にキャタピラと走行システム、赤外線通信システムを収めたのは驚異的。操作は前進とバックターンのみだが、現状ではある程度仕方ないとも言える。ただ、研究開発は行なっているということで、今後さらに複雑な走行が可能となる日が来るかもしれない。

7月に登場するWORLD TANK MUSEUM IRC。サイズは「WORLD TANK MUSEUM」と同じ。横に並べてみても違和感はない。というか、さらに細かいくらいの出来となっている。IRで操作するため、黒いポッチが付いているのが残念なくらいだ。操作は前進とバックターンのみ。コントローラが手榴弾なのが面白い



CCPのブースで展示されていた、「TEAM EDGE R/C」の「UFX」。ベクトロン同様にホバリングさせるなどのラジオコントロールが可能。直径約72センチでかなりの迫力(写真左)。右は弊誌でも紹介したことがあるベクトロンの新作「VECTROID」。かなり小型化されているが、IRで浮上、ホバリングなどが可能 (写真右)

ニッコーのラジコン「アイ・ボート」。2台同時コントロールが可能。水深5cmもあればどこでもボートレースが可能だという エポック社のトヨタ フォークリフトのラジコン。かなりリアルに作られている。もちろん貨物を思い通りに運ぶことが可能



■ バンダイ

「デジコマ」。基本的には普通のコマなのだが、LEDでコマの最高回転数を表示してくれるという優れもの。電池のセットなどいらないので、どこでも遊ぶことができる。最高回転数を競ったり遊び方は無限に広がる
 バンダイで面白かった商品のひとつは「デジコマ」。ただのコマなのだが、回すとLEDが光り、コマの最高回転数を表示するのだ。最高回転数が上がれば自動的にアップし、落ちても最高回転数を記録しており最高回転数を表示し続ける。このコマには別に電池をセットする必要はない。ではなぜLEDが光り、最高回転数を表示するのかと言えば、地球の磁力を利用しているわけだ (つまりコマが止まればすべてリセットされる) 。

 コマの持つ機能はこれだけ。逆に言えば、ルールは遊ぶ側が遊ぶたびに自由に決めることができるわけだ。最高回転数を競ってもいいし、何回転以上は合格としてもいい。より幅広い遊びを実現できるというわけである。

 今年の傾向のひとつとして携帯型液晶ゲームの復権があり、カードゲームとの融合や音声入力など機能のリッチ化が進み数々の進展を見せているが、バンダイの「陰陽闘神機」は究極と言っていいぐらいの高機能となっている。

 まず、上下左右斜めの8方向を認識する振り子センサーを内蔵し、空中でコマンドを入力する方式となっている。ゲームとしては登場する敵に対し12秒間にコマンドを入力。コマンドは例の振り子センサーを利用し空中で印を描くようなものが用意されている。簡単な印は威力が弱く、複雑になるほど威力も増す。威力の高いコマンドをイッパツがつんと入力するか、低いコマンドをたくさん入力するか、など戦略も必要となるわけだ。

 敵には五行思想に基づく属性が用意されていて、それにあったコマンドを入力することで戦いが楽になるなどゲーム的な要素もある。ちなみに、ふたり対戦では向かい合ってコマンドを入力しあうことになる。「陰陽闘神機」には赤外線通信機能も入っており、向かい合ってコマンドを入力し、最後に赤外線通信でそのデータを交換。勝ち負けが決定する仕組みとなっている。

 8月に“天の印”が2,980円で発売される (カラーは白と黒) 。今後は“地の印”も発売されるということで、ゲームは広がっていくものと思われる。

同社機体の携帯ゲーム機のひとつ「陰陽闘神機」。この小さいマシンの中に8方向振り子センサーを搭載。空中で印を描くようにコマンドを入力。このコマンド入力がこれまでにない方式なので、十分楽しい。このほかにも赤外線通信など数多くの機能を持つ



■ インターネットで動きが伝わる“ぬいぐるみ”

IP電話とぬいぐるみが合体した製品。インターネットでぬいぐるみの動きを伝えるというアイディアは面白い。ちなみに双方向通信となっているため、こちらで腕を動かすと相手にその動きが伝わり、相手が足を動かせばこちらのぬいぐるみの足が動く
 イワヤ株式会社からは一風変わったぬいぐるみ「IPロボットフォン」が出展されていた。見た目は普通のぬいぐるみなのだが、オシリからはACアダプタとUSBケーブルが出ている。このUSBケーブルをパソコンに接続するとインターネットを通じ、このぬいぐるみの動きを相手に伝えることができるのである。

 たとえば、自分の持っているぬいぐるみの腕を動かすと相手のところにあるぬいぐるみもまったく同じ動きをするわけだ。この商品にはIP電話のソフトウェアも付いており、電話に合わせてぬいぐるみの動きも伝えることができたら……というのが商品コンセプト。ちなみにサーバーは同社の専用サーバーを使用するため、商品に付属のソフトでしかIP電話は利用することができない。対応ソフトはWindows 2000/XPで、Macintosh版の開発予定はないという。

 なお、この技術は東京大学と産学連携によって開発された技術を利用したもの。


■ その他

 このほかにも、色々と注目したい商品がいくつか展示されていたので、写真を中心に紹介していく。

タカラのポピラの新型機、その名も「たいこでポピラ」。そのまんま。叩くのは太鼓だけなので、あまり深みはないが、太鼓はただ叩くだけでも楽しいので、なかなか熱中できる。なお、カセットはイーカラと共通

エポック社の体感ゲームシリーズの最新作のひとつ「東京フレンドパークII」。システム的には“ミニモニ。”を題材に発売されたものと同じ。テレビ番組のゲームをそのまま再現。汗だくになって楽しめる。体感ゲームとしてはこのほかにも卓球のバージョンアップ版が出展されていた
モリガングのブースほか、複数で展示されていた任天堂の「ポケモーション」。8月1日に2,500円で発売される。LEDの仕組まれたバーを振ると残像でポケモンが描かれるというおもちゃ。かなり多くのポケモンが収録されているほか、メッセージや顔文字も収録されている モリガングのゲームボーイアドバンスSP用の収納ポーチ「GBASP専用プレポSP」。入れたまま遊ぶことができる。8月上旬1,480円。用意されているカラーはブラックとブルー
東栄社の「ソーラーカーキット speed-R」。太陽電池を搭載していて走る教材。組み立て式で、主に小学生向きだが、大人でも十分楽しめそうな気がする

タカラの「創造空間 ザ・昭和 TV」。ジオラマの中にセットされた1.5インチの液晶テレビ。シャープ製のデジタルカメラと同じモノだとか。十分映像を楽しめるのだが、むしろ雰囲気を楽しむモノだろう。アンテナ端子とAVケーブルを備えている。ちなみにちゃぶ台の上のお茶碗などのレイアウトは自由。9月末発売予定で価格は19,800円 タカラの「おいで! ワンちゃん」。かなり大きな犬のぬいぐるみ……なだけではなく、音声認識で、手を叩くと近寄ってくる。真っ直ぐだけでなく、斜めにも歩く。けっこうふさふさで可愛らしい。番犬モードも搭載しているが…… エポック社の「ドラえもん テレビパソコン」。知育玩具の一種。本体にコントローラ風のボタンが配置されているのが新しいというか、今時というか。80以上のコンテンツが収録されており、タイピング練習なども可能


□社団法人日本玩具協会のホームページ
http://www.toys.or.jp/mirai/
□関連情報
【6月9日】「おもちゃみらい博/2003 JAPAN TOY SHOW」出展情報を一部公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030609/jts.htm

(2003年6月10日)

[Reported by 船津稔]


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