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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポート

Lionhead Studios、「Black & White 2」プレビュー
奇才ピーター・モリニューが放つ次世代ゴッドシムを見た!

会期:5月14日~16日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 今年3月にElectronic Artsから正式発表された「Black & White 2」。言わずと知れた英ゲーム界の奇才Peter Molyneux氏率いるLionhead Studiosのシリーズ最新作である。今回、EAのプライベートスペースでテクノロジーデモを受けることができたのでその模様をお伝えしておきたい。


■ 混沌としたエデンの世界を舞台にした「Black & White 2」

デモをしていただいたBlack & White StudiosのリーダーJonty Barnes氏。落ち着いた物腰の切れる英国人といった印象
北欧対ギリシャと名付けられた1枚。エデンを舞台に新しい世界史が紡がれる
クリーチャーも大幅クオリティアップ。ファーシェーディングによるふさふさ感がたまらない
プレーヤーのスペルにより呼び出されたセイレーン。この手の召喚魔法はいくつあるのか楽しみだ
プレーヤーの行ないによりクリーチャーのアライメントも決まる。善行を多く施せば明るい色になり、悪行が多いと魔族一歩手前の凶暴な様相になる
空の表現に注目。「Black & White 2」では高度な天候システムが取り入れられ、雨や雪、霧、もやといった天候表現を実現する
 デモの紹介に入る前に「Black & White」について簡単に紹介しておきたい。「Black & White」は、島に複数存在する神のひとりとして、仮想世界に暮らす人々から信仰を集め、それを源としてミラクルを起こすなどして人々を改心させたり、敵対する人々を神の力によって滅ぼしてしまうという、神様シミュレータ「ゴッドシム」と呼ばれるジャンルのゲームだ。

 クリーチャーと呼ばれる動物神の存在や、人々を助け、ある時は破壊に用いるミラクルの存在。村人を画面一杯に表示させた状態から、一気に島全体を傍観できる高さにまでズームアウトできるエピックスケールのゲームエンジンなど、高度なレベルでアイデアとテクノロジーが融合した数年に一度合えるかどうかの佳作である。

 さて、今回デモを行なってくれたのは「Black & White 2」の開発チームBlack & White StudiosのリーダーJonty Barnes氏。Peter Molyneux氏は、残念ながらスケジュールの都合ですでに帰国の途に着いていた。

 氏のデモは、単に開発中のプログラムを走らせるだけではなく、メモに図示して解説してくれたりして、実に具体的で興味深かったが、肝心のプログラムが現時点ではまだゲームのレベルには達しておらず、新開発のゲームエンジンのパワーと「Black & White 2」の新要素の紹介にとどまった。しかし、それだけでも驚きを連発せざるを得ないところが同作のポテンシャルの高さである。

 「Black & White 2」の世界観は、すでに人類が戦争状態にあるエデンの世界に舞台にしている。前作より時代も少し進み、人々の集落(もはや城塞都市と呼ぶべき規模だが)には、高い石壁が外周をぐるりと取り囲み、一見して中世風の雰囲気をたたえている。建物もギリシャ風、日本風など数種類有り、兵士達も盾や剣を携えている。

 デモではまずミラクルを駆使して壁を引くシーンが見られたが、RTSのそれのように一直線のみではなく、曲線にも対応している。つまり、S字のジェスチャーをすれば、S字型のくねくねした壁ができあがる。こういう遊びの部分が無数に詰め込まれているのが、同シリーズの魅力のひとつである。

 続いて、兵士を動かすデモ。まず神の手アイコンを村人キャプチャーモード(正式名称不明)にして、手の間から「びゅううううう~~」と人間大の竜巻を起こしつつ、村人達を手の中に巻き上げていく。十数人確保したところで村人たちを兵舎の前に落とし込む。すると、村人たちは兵舎の中に入っていき、兵士となって整列する。

 余談だが、複数のオブジェクトを同時に持ち、同時に放つという要素は前作ではできなかった行為だ。「Black & White 2」では、前作においてゲームデザインばかりが先行して、肝心のインターフェースが未消化になっていた部分に関し、全面的に手を加えている。平たく言うと、より遊びやすくなっているのだ。

 話を戻そう。兵士たちは20人程度でひとつのグループを構築しており、彼らに対する指示はグループ単位で行っていく。グループを指揮する村人のそばに旗が差されており、これを掴んで任意の地点に立てかけることでその場所への移動を開始する仕組みだ。

 ここで氏は、複数のグループを互いにリンクさせて、一斉に行動させるデモを行なった。これはグループの旗を先頭の一カ所にまとめれば、その先頭グループを動かすだけで全軍が指揮できるというもので、大軍指揮に欠かせない画期的なシステム。集団戦を採用しても、ガーッとドラッグして複数選択して部隊移動するみたいな、無粋な真似はしないところがいかにも同作らしいところだ。

 続いて、神の手を使っていくつかミラクルを見せてくれた。火のミラクルを使って、山にマグマを振りかけて山のふもとにある村を全壊させたり、地面に花を植えたり、森の木をすべて枯らせたり、はたまた手から数千本の矢を一気にはき出して、地面にいる人々に矢の雨を降らせたり、などなどまさに思ったことはすべてできるといった感じ。ちなみに前作ですこぶる不評だったミラクル発動の際のジェスチャーシステムはなくなるようだ。

 そして新しいスペルも見せてくれた。スペルはミラクルとは完全に別物の扱いのようで、デモで見たのは、敵部隊の目の前にセイレーンを召喚し、チャーム状態にして行動不能にさせるというもの。セイレーンは地面に出現したポータルから出現し、敵部隊を前に踊りのようなものを見せて、また地中に戻っていった。スペルを発動させて現れて消えるまで、数十秒程度のリアルタイムムービーによって処理される。「ファイナルファンタジー」のシヴァ召喚みたいな感じといえばわかりやすいだろうか。

ここでリアルタイム映像はおしまいとなり、あとは開発アプリを走らせて個別のグラフィックデモを見せてくれた。水面の波の表現を距離や時間帯によって自由自在に変えるデモ、山の隆起を自由自在に変えるデモなど、グラフィックエンジンの優秀さを示す内容が中心だったが、もっとも衝撃的だったのは、クリーチャーのデモだ。

 今回もクリーチャーは、プレーヤーを助ける従神として、従属する勢力の切り札、あるいは総司令官として縦横の活躍をしてくれる最重要キャラクタだ。プレーヤーは、今作においても、暇があれば子供のクリーチャーの厳しく指導して、優秀な従神として育てていくことになる。

 グラフィック上のもっとも大きな特徴点は、クリーチャーの皮膚にファーシェーディングを採用し、実写から取り込んだようなすこぶる高いクオリティを実現していることだ。今回も、アライメント(善悪)や体格(貧弱、筋肉質)、体質(やせ形、太り型)といった内部パラメータが用意されており、プレーヤーの行動や指導内容の影響を受けて個性的なクリーチャーに育っていくようだ。

 デモでは、寒がったり、怒ったり、汗をぬぐったりといったモーションを見ることができたが、スクリーンショットにもあるように、このクオリティのクリーチャーがゲーム内でリアルタイムで動き回ることを想像しただけでわくわくしてくる。発売時期は2004年としかわかっていないが、来年度の台風の目になることは間違いない超大作だ。

【城塞】
今回、城壁の要素により、街の輪郭が鮮明化した一方で、規模が格段に大きくなり、市街戦も行なえる模様。雪に覆われたスクリーンショットは北欧の城塞のようだ

【指揮するクリーチャー】
軍団の総司令として部隊を鼓舞するクリーチャーたち。「Black & White 2」ではクリーチャーの役割がより明確化された印象だ

【戦うクリーチャー】
クリーチャーはもちろん戦闘に直接参加することも可能。群がる兵士達を蹴飛ばしたり、こぶしで堅い城壁をぶちこわすなど、凄まじい活躍ぶり。クリーチャーに対する教育は非常に重要になりそうだ

□Electronic Artsのホームページ
http://www.ea.com/
□Lionhead Studiosのホームページ
http://www.lionhead.com/

(2003年5月19日)

[Reported by 中村聖司]


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