|
Electronic Entertainment Expo 2003現地レポート「AGE OF EMPIRES」のリードデザイナが放つリアルタイムストラテジー最新作「EMPIRES:Dawn of the Modern World」 |
STAINLESS STEEL STUDIOSのゲームデザイナRick Goodman氏 |
Rick Goodman氏は「AGE OF EMPIRES(AOE)」のリードデザイナを務めた人物として知られ、その後、AOE制作元であるEnsemble
Studiosを離れ、のちにSTAINLESS STUDIOSにて「EMPIRE EARTH」の開発に着手、2001年には同作を発表した。
その後、Ensemble
StudiosのBruce Shelley氏は「AGE OF」シリーズを制作、Goodman氏は「EMPIRE」シリーズを制作……という構図になっている。
今回、発表されたのはGoodman氏の最新作。その名も「EMPIRES:Dawn of the Modern World」(以下EMPIRES)だ。今回も実在する文明同士の戦いをゲーム化した作品となっており、ファンの期待を裏切らない構成。前作「EMPIRE EARTH」は過去から未来までの50万年もの人類史を描いた壮大な作品であったが、あまりにも時代変化が突飛すぎ、この部分が一部のプレーヤーには受け入れてもらえない、という事態も発生した。
Goodman氏によれば「あの作品にはあの作品ならではの良さはあったと思う。しかし、今回は人類文明の歴史のうちもっとも人気の高い時代に絞り、そしてリアルな側面から描いて見ることにした。」とのことで、前作の「EMPIRE EARTH」の続編ではなく、新作という位置付けになる。
「EMPIRES」で描かれる時代は10世紀から20世紀の第二次世界大戦まで。前作のようには“欲張らず”、「戦争と混乱」の人類史のみにスポットライトをあてた格好になっている。登場する時代は中世時代、火薬時代、皇帝の時代、第一次大戦時代、第二次大戦時代など。登場する文明はイングランド(英国)、ジャーマン(独国)、チャイナ(中国)、コリア(韓国)、アメリカなど。これ以外に登場する文明は、順を追って公開していくとのこと。
そして今作は各文明の進化に、人類史に実在した特性の違いをアグレッシブに設定しているのがおもしろい。たとえばイングランドは火薬時代に最強の海軍を持つことができ、ドイツは第二次大戦時代に強力な歩兵を持つことができる。また、中国は火薬時代を西欧よりもだいぶ早くに迎えられる特性を持つ。「EMPIRES」では、こうしたアグレッシブな文明特性の違いを兵ユニットの種類にも適用している。
「AGE OF」シリーズなどでは各文明にユニット名こそ違うが、剣士系、騎士系といった基本的なユニットの種類は共通であった。その中でフランスは騎士が強い…といったパラメータ的に文明特性が与えられていたわけだが、EMPIRESでは、別のゲームから登場してきたような、他の文明にはあり得ない個性的なユニットが多数登場し、異種格闘技のような、展開の予測不能なバトルが楽しめるのだという。
たとえば、中世のイングランドは、腐った牛の死体を投げて敵陣に伝染病を蔓延させる、いわば中世のバイオ兵器ともいえるユニットが登場する。また、ドイツは第二次大戦時に、他文明に先行して大陸弾道弾V2ロケットを発射できる。ちなみに念のために言っておくと、これらは歴史上、実在した兵器なのだ。
「EMPIRES」は、ある意味、各文明ごとの歴史の“if”を体験できる、「シミュレーション」ゲームとしても楽しむことができそうだ。
現在はゲームバランスの調整に注力しているとのこと |
ゲームモードは、実在する歴史上の人物になって自軍を指揮しつつ、実在の戦史を体験していくキャンペーンモードと、インターネット経由で対戦が楽しめるマルチプレーヤーモードの双方を搭載する。
グラフィックエンジンは「EMPIRE EARTH」から一新。完全オリジナル開発の新エンジンで、マルチパスレンダリング技術とプログラマブルシェーダ技術を積極的に取り入れたものになっている。各ユニットのアクションはボーンスキニングによって制御され、背景には法線マップを適用したディテールの細かい凹凸描写がなされ、さらに各ユニットの影は一個一個がシャドウマップで生成される。
ビジュアルクオリティはリアルタイムストラテジーゲームとしては現状では最高レベルに達しているといえ、各ユニットの目に視点を移して画面を見れば3Dアクションアドベンチャーゲームと見間違えてしまいそうなほどだ。
プラットフォームはPCのみ。欧米での発売は2003年秋。発売時期は未定だが、日本版の発売も予定されている。
1個1個のユニットに落ちている影に注目 | |
海面への映り込みはマルチパスレンダリングによるもの |
話をしてくれたのはTroikaGamesのリード・アニメータMark Bremerkamp氏 |
■ 「Vampire:The Masquerade-Bloodlines」
~HalfLife2エンジン採用のFPS型RPG
「Vampire:The Masquerade-Bloodlines」(以下Vampire)は、WhiteWolf社のTRPG「Vampire:The Masquerade」をコンピュータゲーム化した作品。
プレーヤーは7種族のうち1種族を選択、オリジナル・プレーヤーキャラクタを制作して、現代のロサンゼルス最強のバンパイアとなることを目指す。それぞれの種族は、その種族特有の能力と習性を持っており、これを活用することで人間を“貶(おとし)め”たり、敵対種族に対しての戦いを挑むことになる。バンパイア能力は1種族当たり最大12種があり、そのなかには超人的な移動スピード、筋力、跳躍力、透明化、マインドコントロールなどが含まれる。
基本的なゲームスタイルは「一人称シューティング(FPS)」だが、実は3人称視点にも随時切り替えが可能となっている。ピストル、ショットガン、マシンガンといった銃器の他、バンパイアが持つ特殊能力による攻撃も随時可能で、銃撃と超能力を組み合わせたコンビネーション攻撃が見た目にも鮮やか、爽快だ。
ストーリーはプレーヤーの行動で分岐侵攻していくマルチストーリー型式。 各クエストも解法は一通りではなく、プレーヤーキャラクタの能力を活かして、自分なりの方法で挑めばいい。プレーヤーの行動はゲーム世界に「噂」としてNPCを介して広まり、ストーリーはノンリンニアに進行していく。
出てくるキャラクタがすべて敵というわけではなく、罪もない一般市民も暮らしている。ロサンゼルスの街に住むそうしたNPC達は、それぞれ自分の目的を持って生活しており、プレーヤーの行動がゲーム世界に住むNPC達に影響を与えていくシステムになっている。マルチプレーヤーモードもあり、チームベースの対戦が楽しめる。
ゲームエンジンは話題沸騰の「HalfLife2」エンジンを採用。ゲームの開発は「ARCANUM」を制作したTroikaGames社。プラットフォームはPCのみ。欧米での発売時期は2004年春を予定。
典型的なRPGシステムを採用しているので、敵を倒すことで稼いだ経験値が一定量に達するとマイキャラはレベルアップしていく。とはいえ、普段のゲームプレイは完全なアクションシューティングゲームという感じだ |
[Reported by トライゼット西川善司]
|