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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポートNokiaの携帯ゲーム機「N-Gage」の発売日と価格が発表 |
会場:Los Angeles Convention Center
携帯電話メーカーであるNokiaが開発する、携帯電話を内蔵する携帯ゲーム機「N-Gage」の発売日や価格、本体と同時に発売されるゲームタイトルなどが、E3に合わせて発表された。N-Gageの詳しい仕様については、過去の記事を参照してもらうとして、ここでは新たに発表された内容と、E3会場のNokiaブースにおけるデモの様子などを紹介していこう。
E3開幕前日となる5月13日(現地時間)にNokiaはロサンゼルスで発表会を開き、北米市場においてN-Gageを2003年10月の早い時期に販売を開始する、と発表した。販売価格は$299となる。また、本体と同時に10タイトルのゲームが発売される。ラインナップは、「Tomb Raider」や「Sonic-N」、「MotoGP」など10タイトルが発売され、年内に20タイトル、来年中に100タイトルの登場が予定されている。ソフトの販売価格は$30~$40で、マルチメディアカード(MMC)によって提供される。
N-Gageの特徴は、内蔵する携帯電話機能やBluetooth機能を利用することで、ネットワーク対戦が可能という点だろう。事実、ローンチタイトルであるMotoGPにはマルチプレーヤーモードが用意されており、ブースのデモ機でも対戦プレイが可能だった。しかも、場所を選ばずに対戦プレイが可能で、さらにGSMのサービス圏内であれば、どこでも世界中のプレーヤーと対戦できるという点は、他の携帯ゲーム機に真似のできない特徴である。
一般の携帯ゲーム機では、同じ場所に対戦相手がいて、ゲーム機をケーブルで接続した状態でしか対戦プレイを楽しめない。しかしN-Gageなら、好きな場所・好きな時間に、世界中のプレーヤーを相手にネットワーク対戦が楽しめる。移動する車や電車の中でも対戦プレイが楽しめるわけで、これまでの対戦プレイの常識を大きく覆す仕様と言っていいだろう。
ところで、実際にN-Gageでゲームをプレイしてみたが、感覚的にはiモード端末でiアプリをプレイするのと大きく変わらなかった。iアプリ同様、基本はJavaベースのアプリケーションだが、Tomb Raiderは3Dグラフィックでサクサクと動いていたし、ソニックもかなりのスピードで動き回る。技術的にはかなりすごいと思わせる部分も随所に見られた。
では、このN-Gageが北米市場で受け入れられるだろうか。ゲームのラインナップを見るとビッグネームが揃っているし、ゲームの発売予定もかなりの数が用意されている。しかし、画面の表示領域が1.38inch×1.63inch(日本的に言えば約2.3inch)と非常に小さく、ゲーム中の迫力もあまり感じられない。これは、携帯ゲーム機としてはかなりつらいところだ。
そして、それ以上に価格の面が大きな問題となる可能性が高い。北米市場におけるゲームボーイアドバンスSPの定価が$129であることを考えると、N-Gageの$299という価格はかなり高いと言わざるを得ない。
N-Gageは単なる携帯ゲーム機ではなく、Tri-BandのGMS携帯電話機能も備えている。単体で携帯電話としても利用可能なので、その分だけ金額が高くなっていても不思議ではない。しかし、北米市場でTri-BandのGMS携帯電話機は、安いものなら$100以下で販売されている。となると、ゲームボーイアドバンスSPとTri-BandのGMS携帯電話機を別々に購入するよりも高くなるわけで、価格に敏感な北米ユーザーにどれだけ受け入れられるか、微妙なところだろう。E3のNokiaブースは、ホールの一番奥と目立ちにくい場所に位置していたとはいえ、他のゲームメーカーのブースのような混雑ぶりがなかったというところからも、北米ユーザーの関心度もそれほど高くないように思われる。 ただ、N-Gageの最大の特徴であるネットワーク機能をより前面に出し、他の携帯ゲーム機との差別化が出来るような魅力的なゲームタイトルが出てくるようになれば、違った将来が開けてくるのではないだろうか。
ちなみに、日本での発売については、以前の発表同様、全くの未定となっている。GSMのサービスが行なわれていない日本では、そのままの仕様で発売することは難しいだろう。iモードに対応させて発売することも不可能ではないと思うが、その場合にはiアプリの方が日本人として魅力的なゲームが多くなるはず。そう考えると、N-Gageは日本市場に対してはかなり厳しいと言わざるを得ないだろう。
(2003年5月18日)
[Reported by 平澤寿康]
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