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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポート人生模様に歴史まで感じられる「The SIMS2」を初めとした |
会場:Los Angeles Convention Center
多くのタイトルをさまざまなプラットフォームで展開するElectronic
Arts (以下、EA)。しかしその中で「PCのみのタイトル」というカテゴリーは、映画原作や、スポーツの醍醐味とは多少違った意味合いを持つ、もうひとつのEAの顔、ともいうべきカテゴリーである。高い技術と素材へのこだわりは共通していながらも、ちょっとたけ毛色の違う「熱意」を感じさせる、“職人ぽい”ゲームが多いのだ。
■「家の歴史」が展開する「The SIMS2」
そういったPCタイトルの中でも、非常に注目の高かったタイトルが「The SIMS2」である。日本でも人気の高い「生活シミュレーション」ともいうべきタイトルだが、米国での人気はすさまじい。今回はプライベートルームのみの紹介なのだが、とにかく見学を希望する人が多く、メディアでさえなかなか入れさせてもらえない。ルームは常に満室で、あたらしいシムの動きにギャラリーたちは驚かされ、さらにその新しい情報で、また楽しげに議論を交わしていたりと訪れた人から強い期待感を感じさせられた。
「The SIMS2」の最大の特徴はプレーヤーが生活を見守り、導くこととなるシムたちが「年をとる」ということである。一般公開されたムービーでは、主人公のシムが結婚をし、子供を作り、その子供たち、孫たちが成長していく様をとてもコミカルに描いていた。
プライベートルームではシムの実際の生活をかいま見ることができた。グラフィックはすべて完全に3Dとなっており、細かいところまでこだわった家具、デフォルメされたアメリカンな生活スタイルなど独特のテイストはきちんと継承されており、かつより美しくなっている。
初めてのキス。表情や仕草がより細やかになり、ホームドラマを見ているかのようなシーンが展開する |
キャラクタも3Dで描かれることで、より表現が豊かになった。キャラクタを作成する際のモデルの選択は、たとえば顎のラインなら10種類のうちから選択、というようにとても細かい。顔一つとっても、顎、頬、目の位置など自由に変えられ、モデルがモーフィングする事で効果を確認できる。実際にいじってみると驚くほどに印象が変わるのが面白かった。
こういった設定を行なえるのは第一世代のみで、その子供、孫などは親の遺伝子を受け入れたキャラクタとなる。一回で固定なのではなく、ランダムな要素でさまざまな「交配」のモデリングが選択できる。キャラクタには「宇宙人」などというものもあり、リトルグレイタイプの、ブロンドの髪に鷲鼻を持った子供というキャラクタを作ることも可能だ。
さらにキャラクタの表情や仕草までもパワーアップしている。実際に見ることができたデモンストレーションは、かっこいい兄と肥満気味の弟が、ふたりの美女を相手にするというもの。最初、兄はブロンド美女に言い寄り、いい雰囲気になる。弟もまたブロンドに近づくのだけれど、肩を触ろうとして、はねのけられてしまう。
兄は、今度は黒髪の美女に言い寄る。そしてそれを見たブロンドの女は顔を覆い、とても悲しそうになる。弟はそんな彼女に近づくが、やっぱりダメ。兄と黒髪の女は屋外のジャグジーへ。ブロンド、そして弟もそれに続く。
「Sims」お約束とも言える回転しての一瞬のお着替えシーンで水着にチェンジ、4人でジャグジーにはいる。ところが黒髪と兄の会話は進むのだが、他のふたりは全く盛り上がらない。三度はねのけられた弟はジャグジーを去り、ブロンドもまた、濃厚なキスを交わすふたりに追い立てられてしまう。
部屋に戻ったブロンドの前ではトレーニングマシンをがんばって使っている弟の姿が。息を切らしながらも、懸命に機械で体を鍛える彼の身体に変化が! 「マッタクカンタン!」とばかりに弟は筋肉質に変身。もう貧弱な坊やとは呼ばせない、という状態になった彼にブロンドがほほえみ、ハートが生まれる。
一方、ジャグジーではラブシーンはさらにエスカレート。片方が水に飛び込むともう片方が追いかけて潜り、泡の中からふたりの腕や手足がでてきて、からみあう。ラブシーンが濃厚なのは本シリーズの特徴だが、いままでの肝心な部分は隠してしまう「モザイク」をわざと違う形で表現をしているのがとても面白かった。
ラブシーンが終わり、黒髪の女性はひとりジャグジーで余韻に浸っていると、雨が降ってきた。そして突然彼女に稲妻が! 音にあわてて飛び出した人たちの前には、コントの様に真っ黒焦げのすすだらけ、髪の毛もちりちりになった黒髪の彼女。ブロンドと弟は、それを指さして笑い、兄は悲しげに首を振る。
かなりギャグ指向のホームドラマを見ているようなシーンが展開するのには、非常に感心させられた。キャラクタたちの表情や仕草は実に多彩で、さらに3Dモデルならでは残った演出がとても楽しい。
「The SIMS2」は、ひとりのキャラクタや妻という「横」のつながりから、子や孫という「縦」のつながりを描くことができ、まさに「家の歴史」を楽しむことができるようになりそうな作品だ。こういったテーマは、橋田壽賀子や倉本聰といった脚本家たちが作るドラマを好む日本人に特に興味を持ってもらえる世界なのではないだろうか?
■架空兵器の登場で、ひと味違ったアプローチ
「Battlefield 1942:Secret Weapons of WWII 」
RTSのマップを思わせる広い戦場を舞台に、突撃兵や狙撃兵だけではなく、戦車や装甲車、飛行機、さらに戦艦や空母さえも操り、戦うことができる「Battlefield
1942」。 独特のデフォルメが行なわれた戦場ならではの感触が体験できる作品だ。
ムスタングを迎え撃つ、ドイツのヴィルヴェルヴィント対空戦車。4号戦車の砲塔を換装したものだ |
今回の拡張パック「Battlefield 1942:Secret Weapons of WWII 」では、「奇妙な形」の兵器が多く登場する。ロケットランチャーT34カリオペーを装備したアメリカシャーマン戦車や、ブーメランのような形をした全翼の爆撃機ホートンHO229、建物に設置されたヴァッサール反対空ミサイルなど、第2次大戦当時、実際に使われたり、計画されていた兵器たちである。
ムービーではワイヤーフレームで描かれた設計図の兵器が、装甲をまといながら戦場に出現、次々と活躍する。最後は戦車に追いつめられた歩兵の背中にロケットのバックパックが出現、煙を噴いて空高く舞い上がり、上空からバズーカで戦車を撃破するという、「奇妙な兵器たちの競演」という本作のユニークな切り口を印象づけるものになっている。
会場にはプレイアブルな形で出展、「E3SPETIAT MAP」と名付けられたステージで、10人以上の他のプレーヤーと戦うことができた。特別マップなだけに、非常にサービス精神が旺盛で、「ありえない」というほどに新兵器が戦場のそこかしこに配置され、巨大な臼砲を備え付けた戦車が火を噴き、ロケットランチャーが飛び交い、上空には奇妙な飛行機が通過していく派手で奇妙な戦いを体験できた。
登場兵器なのだが、この感触も面白い。AW-52全翼機はメタリックな塗装のままだから地上からのいい的だし、米国初のジェット機XF-85ゴブリン戦闘機は、スピードが速すぎて非常にじゃじゃ馬、突撃戦車は旋回できずに工兵にやすやすと回り込まれるなど、短所も併せ持つ試作兵器ならではの荒削りな感覚を表現していた。
もちろん、そこはFPSの本場アメリカ、そういった兵器の特徴を捉えて、うまく立ち回るプレーヤーも多かったし、機銃を備えたサイドカーや、地上を掃射できるC-47輸送機(空挺部隊として降下もできる)など効率的な兵器も多数登場して、より多彩な戦闘を演出していた。
□EA GAMES公式ホームページ
http://www.ea.com/eagames/
(2003年5月17日)
[Reported by 勝田哲也]
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