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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポートVUGブースレポート Sierra Entertainment編 |
会場:Los Angeles Convention Center
世界最大規模のタイトルを擁する北米最大手Vivendi Universal Games(VUG)は、今年もUniversal Interactive、Sierra Entertainment、Blizzard Entertainmentの御三家を中心に、多数の新作タイトルを出展していた。ブースでは互い違いに4つのモニタを設置したコンパクトなデモ機をブース内に散らし、各ブランドの一押しタイトルを一段高いエリアで扱うという2段階の出展方式を採っていた。
他メーカーならもっと大きな扱いになるタイトルを、1、2台だけでさりげなく出展していたりするところがVUGの恐ろしいところで、自然、期待作のデモ機の前は、絶えず人混みであふれていた。出展社はパートナーメーカー含め10社以上、タイトル数は50を軽く超える。VUG全体でのブースレポートは無謀なので、今年もブランドごとに見ていきたい。まずはSierra Entertainmentから。
■ 「Medal of Honor」の2015が放つベトナム戦争FPS「Men of Valor」
ジャングル地帯の雰囲気が良く出たスクリーンショット |
「Men of Valor: The Vietnam War」は、ブース内に設置された野戦テントの中で短いリアルタイムデモを公開。今回動作していたのはPC版ではなくXbox版だったが、プレイアブルバージョンを使っていて、手応えの感じられる内容だった。また開発も順調に進んでいることを感じさせてくれた。
デモはヘリに搭乗しているシーンからはじまり、眼下に広がるジャングル地帯に機関砲を送り込んでいた戦友が倒れ、急遽プレーヤーが銃手を担当することに。ヘリは、川縁の村を舐めるように進み、そこに潜むベトナム兵達や補給トラックを家屋ごとロケット弾や機銃で狙い撃ちしていく。米軍が圧倒的有利と思われたが、激戦のさなかに地対空ミサイルが命中し、撃墜されてしまう。わずかな装備だけでジャングルの中に取り残されてしまったプレーヤー小隊。「Men of Valor: The Vietnam War」はこうした状況下で幕を開ける。
グラフィックエンジンは最新のUnrealエンジンを採用。デモを見た限りではビジュアル面で、Quake IIIエンジンを採用した「Medal of Honor」よりも格段に進化したという印象は受けない。ジャングルも森の奥が抜けてしまっていて臨場感はいまひとつ。ただし、ヘリから見た眼下の映像は、本家本元筋である「Delta Force: Black Hawk Down」に匹敵するディテールで、これからの作り込み次第ではいくらでも進化しそうな印象。グラフィックの評価は一時保留といった印象。
ゲーム内容は、基本的には「Medal of Honor」と同じで、一小隊を率いて仲間と協同してジャングルの奥へ奥へと進んでいく。敵のベトナム兵はかなり優秀な火力を持っていて、初っぱなからロケット弾で攻撃してくる。プレーヤーのいた木造の家屋が激しく振動し、机の上に置かれていたコップや皿といったオブジェクトが床にこぼれてしまう。
味方AIも格段に進化しており、屋内にいる敵の死角からそろそろと近寄り、チャンスを見計らって手榴弾を投げて身を潜めるといった一連の行動をスムーズにやってのけていた。添え物に過ぎなかった「Medal of Honor」に比べるとプレーヤーの仕事は比較的楽になりそうな印象だ。
また、リアルタイムイベントが大迫力で、これがおそらく同作の魅力になりそう。デモで見られたのは、上空にヘリが現れて、ミサイルで敵の輸送トラックを破壊するシーンと、森に潜むベトナム兵を戦闘爆撃機のミサイル攻撃で森ごと焼き払うシーンの2つ。完全リアルタイム処理で、イベント前と後では戦況が一変するところがおもしろい。どちらも部隊が苦戦に陥った状況下で発生し、イベントとしては非常にうまい。まだ荒削りだが、「Medal of Honor」以上にドラマチックな体験が味わえそうな作品だ。発売プラットフォームはPCおよびXboxで、発売時期は2004年としている。
【Men of Valor: The Vietnam War】 | ||
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今度はベトナムで小隊ミッションが堪能できる。マルチプレイについては現在はまだ検討中ということだ |
■ CSのシステムで濃密なシングルプレイが堪能できる「Counter-Strike: Condition Zero」
ようやく完成形が見えてきた「Counter-Strike: Condition Zero」 |
「Counter-Strike: Condition Zero」は、「Half-Life」のマルチプレイMODとしてFPS界の頂点まで上り詰めた「Counter-Strike」(以下、CS)の設定をベースにしたシングルプレイキャンペーンが堪能できるアクションシューティング。CSのシステムでキャンペーンが楽しめること、そしてBOTを相手にいくらでもひとりでマルチプレイの練習ができるというところがウリである。
「Counter-Strike: Condition Zero」は、CSのように無料のMODとしては公開されず、単体起動可能なパッケージとして販売される。言うまでもなく「Half-Life」そのものはプレイできず、CSCZのシングルとマルチのみがプレイできる。
先にマルチプレイについて触れておくと、CSCZに搭載されるマルチプレイモードは、CSの現行バージョンに変わり、今後CS対戦の中心になるようなものではなく、最終的にCS本体と融合することを前提とした、CS+αといったものとなっている。CS本体のバージョンアップスケジュールにも寄るが、当面のうちはCSCZとCSは別々に対戦が行われることになるようだ。
というのはCSCZはグラフィックの面で、CS本編から格段に進化しているため、CSCZと現行のCS 1.5との互換性はないからだ。しかし、CSCZで盛り込まれる新要素を、CSの最新バージョンに包含して無料公開する方針のため、将来的にCSCZとユーザーとCSユーザーとの相互対戦は約束されている。というよりCSCZクライアントでも、CSの対戦ができるといったほうが表現として正確だろう。
CSCZのメインとなるシングルプレイキャンペーンは、最初から最後までストーリーが繋がったものではなく、舞台、シチュエーション別に19のミッションそれぞれが独立して存在している。舞台はアジア、ヨーロッパ、ロシア、アメリカなどほぼ世界全域をカバーし、シチュエーションは銀行強盗からテロリスト本部への強襲、爆発物の解体などさまざま。カウンターテロ部隊として縦横無尽の活躍をしていくことになる。
1つのミッションは、最効率で進んで15分、長くて1時間程度で、全体として15時間程度のボリュームがあるようだ。CS未経験者のために操作を一から学べるトレーニングモード、そして難易度設定機能も完備し、CSスターターとしての役割も果たす。なお、CSのようなチームベースの対戦では特に重要となるコンピュータAIの動きは、デモを見ている限りではなかなか鋭く、対人戦に近い感覚でプレイすることができる。
エンジンはCSから引き続き「Half-Life」エンジンを採用し、雨や霧といった天候の変化の要素を新たに盛り込んでいる。同作は世界中に数百万のプレイ人口を擁するCSをベースにした強力なタイトルだが、逆にいうとそれ以上でも以下ないというところが、「Half-Life 2」や「Far Cry」に比べて弱いところともいえる。目立たないがしっかり遊べる。そんな作品になりそうだ。
【Counter-Strike: Condition Zero】 | ||
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グラフィック面での衝撃はないが、システム面でこれほど安心感のあるタイトルもない。日本でも大いに受けそうな作品だ |
【Metal Arms: Glitch in The System】 | ||
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個人的にお勧めのロボットアクションゲーム。登場人物皆ロボットという架空のロボット世界を舞台にしており、子供にも喜ばれそうなコミカルかつユーモラスな雰囲気になっている。ロボットのパーツの動きが細かく、敵のロボットにハッキングして、敵と会話したりすることも可能。発売プラットフォームはPS2、GC、Xboxで、北米で11月発売予定 |
【Hobbit】 | ||
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「Hobbit」はトールキンの原作小説をベースにしたアクションアドベンチャー。対象年齢は10~15歳と低めで、全体的に可愛らしいつくり。発売プラットフォームはPS2、GC、Xbox。北米での発売時期は9月 |
□Vivendi Universal Gamesのホームページ
http://www.vugames.com/
□Sierra Entertainmentのホームページ
http://www.sierra.com/
(2003年5月17日)
[Reported by 中村聖司]
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