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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポート

Microsoftブースレポート(PCプラットフォーム編)
北欧神話MMORPG「Mythica」、マルチプレイが強化された「Halo」など全6タイトルを出展

会期:5月14日~16日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 今年もSouthホール最大のスペースを確保してE3に望んだMicrosoftは、Xbox6割、PC4割ほどの比重で、最新ゲームを大々的に出展していた。PCプラットフォームでは、MMORPGからRTS、FPS、シミュレータと実にバラエティに富んだ6タイトルを出展。今年は毎年ラスベガスにて開催されていたプライベートイベントが中止となったこともあり、E3初公開のタイトルが目白押しで、非常にパワフルな内容だった。


■ Xboxで初のミリオンタイトル「Halo」にPC版が登場

 今年のラインナップは、「Train Simulator 2」、「Flight Simulator 2004: A Century of Flight」、「Mythica」、「Halo」、「Age of Mythology: The Titans」、「Rise of Nations」の6タイトル。前3本が完全初出E3初公開で、「Halo」はXboxからの移植、「The Titans」は「Age of Mythology」のアドオン、そして発売を目前に控えた「Rise of Nations」はE3再登場となる。

 このうちスポーツ系のSFアクションシューティング「Halo」は、Xbox向けの続編の発表と、他の初出タイトルの影に隠れて今ひとつ目立たない存在だが、実際に触れてみるとその衝撃度は抜群で、「Halo」が持つポテンシャルの大きさを改めて実感させられた。マルチプレイのチューニング如何では、ひょっとするといきなりスポーツ系FPSの頂点に躍り出るかもしれない。

 PC版「Halo」は、もともとハイクオリティのXbox版をベースに、さらにチューンナップを施したものに仕上がっている。見た目上のもっとも大きな変更点は解像度が可変なところ。高解像度テクスチャで構成されたリアルなSF世界を、PCモニタでじっくり堪能できるのは嬉しい限りだ。ただ、現時点では激戦時にパフォーマンスが低下する場面も見られ、このあたりは現在調整中だという。

 また、本質的な部分での大きな違いは、マルチプレイモードが簡単に遊べるようになったことだ。Xbox版のように、面倒なハードウェアセッティングもいらず、画面分割による狭苦しいゲームプレイも強要されずに、TCP/IPもしくはLANでさくっと16人対戦が楽しめる。これは大きい。

 ゲームモードなどはXbox版と変わらないわけだが、実際にその対戦模様を見ていると、シングルが充実していてさらにこんな激しい対戦が堪能できるFPSが存在したのかと、感心することしきりだ。「Halo」はPC版の登場によってその実力を十二分に発揮したといえそうである。

 ちなみにマルチプレイマップは新しく6枚を追加し、全15マップを用意。「Halo」のウリである乗り物や銃器も新しいものが追加され、Xbox版をやり込んだユーザーにも訴求力のある内容になっている。Direct Xは9を採用し、ビデオカードはNVIDIAもしくはATIの現行モデルを推奨と、かなり高いマシンスペックが要求されることが予想されるが、発売が楽しみなタイトルだ。

【Halo】
乗り物に搭乗しての戦闘が楽しい「Halo」。PC版ではマルチプレイが大いに盛り上がりそうだ。北米の発売時期は今夏。テキスト自体はすでに日本語化されているだけに、日本語版の登場もはやそうだ


■ 北欧神話MMORPG「Mythica」とは?

ミッションの様子。手前にいるヴァルキリー風の女キャラはHuntress。奥のマグマ地帯の描写、ゆっくり動く雲、ときおり差し込める光。まさに北欧神話の世界
 さて、「Train Simulator 2」と「Flight Simulator 2004: A Century of Flight」の2大シミュレータタイトルについては別稿にて詳しくお伝えするとして、ここでは残るタイトルをざざっとご紹介しておく。

 今回初公開された「Mythica」は、北欧神話を正面から扱ったハイファンタジーMMORPG。Microsoft Game Studiosブランドタイトルで、発売は2004年中としている。同社が現在サービス展開しているMMORPG「Ashelon's Call」シリーズとはまったく別の作品だ。

 「Mythica」は、Direct X9レベルのオリジナル3Dエンジンを採用し、「Ashelon's Call 2」に勝るとも劣らないフォトリアリスティックなグラフィックと、アクションゲーム顔負けのダイナミックな戦闘シーンが魅力的。現時点では、一応プレイアブルながらまだフィールドマップが数枚にミッションをいくつか実装している程度というコンセプトレベルの内容で、細部の作り込みはまだこれからという印象だ。

 同作が最大のウリとしているのは、数ある神話の中でももっとも攻撃的かつ重厚な北欧神話を、プレーヤー自らが神の一員としてその世界を仮想体験できるという、斬新なゲームコンセプトにある。世界はVanaheim、Nidavellir、Asgard、Midgard、Jotunheimの5つの世界にわかれ、プレーヤーはこれら広大なフィールドの中で、複数の神々と共同して巨悪なモンスターを打ち倒したり、他のPCが支配するエリアに侵入し、決戦を繰り広げることになる。わかりやすくいうと、「Mythica」はミッションベース&PvPありの戦闘メインのMMORPGということになる。

 同作が他のMMORPGと本質的に異なるのは、プレーヤーは神であり、NPCである人間達から尊崇を受けるべく、彼らを常に助けなければならないという、敵と戦う動機が明快かつ純粋なところだ。もちろん、フィールドに巣くうモンスターを倒すことで、レベルを上げられるのは事実だが、それそのものは目的のための手段に過ぎず、それだけでは永遠に英雄になれない。

 デモを受けた限りでは、雑魚モンスターは操って偵察に使ったり、魔法でなぎ倒したりする程度の極めて軽い存在になっていて、パーティーを組んで雑魚モンスターを倒し続けてレベル上げをするという単調なゲームプレイは存在しないようだ。

 印象的だったのは、人助けでボスクラスモンスターを倒すミッション。そのエリアは、プレーヤーパーティーと、それに属するNPC、そしてモンスターしか存在しないのだが、とにかくエリアが広大で、敵を引きつけてどうするといった戦術を立てるゆとりがたっぷりある。

 プレーヤーはまず武装した村人に話しかけ、彼の頼みを了承すると10人程度の武装兵が指揮下に入る。坂道を上がった奥にはモンスターがひしめき、さらにその奥には高温で空気がゆらめく溶岩地帯が広がり、その中心に柱が浮かんでいる。これを魔法で破壊することで、ターゲットであるFire Giantsが出現する。

 指揮官であるプレーヤーは、部隊を突っ込ませてもいいし、丘に登って投石機で攻撃したり、魔法攻撃してもいい。攻撃を加えて柱をマグマ地帯に沈めると、Fire Giantsが出現する。Fire Giantsは鎌を持った大型キャラで、攻撃を受けると大きく後ろに吹き飛ばされる。Fire Giantsを倒すと、石造りの遺跡の中心に剣が浮かび上がり、これを取るとクエスト達成となる。戦闘していた人々は一斉にプレーヤーのほうを向き、ひざまずいてあがめてくれる。ちょっと異様な光景だが、神話世界と考えれば納得がいく。ともかく独創性に置いては他の追随を許さないMMORPGだ。

【Mythica】
開発状況を示すようにイメージカットのみとなっている。開発はまだまだこれからの作品だ


■ 時空を超えたテクノロジーを擁する新勢力アトランティス
~「Age of Mythology: The Titans」

これがアトランティス最高位のゴッドパワー「Vortex」。建物や木々が歪む描写は、3Dゲームならではのもの。威力も抜群だ
 「Age of Mythology: The Titans」は、新文明アトランティスの追加を初めとした数々の新要素を盛り込んだアドオンディスク。デモでは、アトランティスの特徴をひととおり見ることができたので、ご紹介しておきたい。

 今回新しく追加される4つめの文化圏アトランティスは、「Age of Empires: Rise of Rome」におけるローマや「Age of Empires II: The Conquerors」におけるスペインなどとはまったく次元の異なる新勢力で、いかにもAoMらしい内容となっている。

 まずアトランティスの村人は、駄馬とセットになっていて、資源集積所との往復を必要としない。建物を建てることで周囲に色味の異なる草葉がじわじわ生えてくる。この草葉がある部分は、他勢力は建物を建てることができない仕組み。草葉が見えれば、アトランティスがその近くまで勢力を伸ばしていることになる。

 ユニットの移動は、Sky Passageを介することで最大30ユニットまで一度にテレポートすることが可能。他3勢力の城塞に相当するPalaceは「Time Shift」能力を備え、視界のある先に建物そのものを移動させることができる。

 最高位ゴッドパワー「Vortex」は、特定の位置に四次元のひずみを生み出し、その周囲のオブジェクトをなぎ払うと同時に、マップ上の全味方ユニットをその地点にテレポートさせ、最終決戦を行なうことができるというもの。さらに、細かい条件は不明ながら、Wanderを建造するのと同じスタイルでTitans Gateを建設し、HP8000という最大最強の神話ユニットTitanを呼び出すことができる。Titanの一撃は範囲効果を持っていて、数発で建物数棟が破壊されてしまう。ただし、移動速度は遅いため、対ユニット戦には向かなそうだ。

 といった具合に強烈なパワーを誇るアトランティスだが、ウィークポイントは、ユニットの生産コストが高く、時代の進化に時間が掛かるところ。超大器晩成型の新勢力だ。ちなみにキャンペーンの時代設定は本編終了の10年後。ギリシャの指導者はアーカントスの息子カスターにかわり、継続性のあるストーリーとなっているようだ。発売時期は今秋。日本での発売も確実のようだ。

【Age of Mythology: The Titans】
ゲートからTitanを呼び出しているシーンが確認できる。ちなみにマルチプレイではTitanは全勢力が呼び出すことができるということだ。

【Train Simulator 2】
フルモデルチェンジした「Train Simulator 2」。詳細は続報をお待ち頂きたい。北米で2003年秋発売予定

【Flight Simulator 2004: A Century of Flight】
FSシリーズ最新作にしてアメリカ航空史100周年記念作品。こちらも詳細は続報で。北米で7月発売予定

【Rise of Nations】
すでにマスターアップし、あとは発売を迎えるのみとなった3DRTS「Rise of Nations」。日本での発売は6月13日

□Microsoft Game Studiosのホームページ
http://www.microsoft.com/games/

(2003年5月15日)

[Reported by 中村聖司]


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