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Korea Amuse World Game Expo 2002現地レポート
オンラインゲーム満載のNEXONブースレポート |
会場:COEX Pacific Hall
ブースレポート1本目は、韓国でNC Soft、Gravityに次いで業界3位のシェアを持つNEXONを見ていく。同社は、前2社のような重厚長大路線は採らず、常に複数の開発ラインを走らせ、定期的にさまざまなタイプのMMORPGを提供していくオンラインゲーム市場の老舗メーカーである。今年のKAMEXでもさまざまなタイプのオンラインゲームを見ることができた。
■ 日常生活をリアルに再現したMMORPG「Mabinogi」
会場では、同作のディレクターDong-Gun Kim氏に直接お話を伺うことができた(名刺にはProject M Directorとある)。同作の基本コンセプトは「楽しく普通の生活をおくる」MMORPG。世界観としては中世ファンタジーを採用しているが、随所に現代的感覚を取り入れ、かつ戦争や争いなどとは無縁の平和な世の中を題材にしている。
街を写したゲーム画面を覗くと、さまざまな装いをしたキャラクタたちが、手ぶらもしくはギターなどを携えてトコトコ歩いている姿が見られた。背の高いキャラクタもいれば、子供にしか見えないキャラクタもいる。ハングルなので何を話しているのかはわからないが、まさしく平和そのものといった光景だ。
同作は、こうした現実世界でもありうる日常生活を徹底的に追及しているところがポイントで、たとえばプレーヤーはキャラクタ作成時に10歳から17歳までの間で年齢を設定できる。キャラクタは、プレイ時間とともに歳を取り、体型が変わっていく。歳の取り方は、サーバー別にプレーヤーが接続していない間もどんどん育っていくリアルタイム方式と、プレイした時間だけ歳を重ねていく遊んだだけ方式の2タイプを用意する予定だという。歳の取り方は、だいたい1週間(168時間)で1歳になるようだ。
また、生活を続けるのに必要不可欠となる食べ物は、日々のメニューによって、キャラクタの成長と体型に影響を与えていくという。ここでスタッフがデバッグモードを使って、スマートな女性キャラをふたまわりほど太らせてくれた。ゲームとはいえ、こうはなりたくないという気がする。体型は飽食や偏食が過ぎると太ることになる。スマートな体型を維持するには、市場で新鮮な食物を手に入れる必要があるという。
ゲーム世界には大人もいれば、子供もいる。キャラクタの年齢によりベース能力値が決まる。18歳を超えると大人になり、そこからは老けることはないという。大人のプレイスタイルはなんとなく想像が付くが、幼い子供は何をして過ごせばいいのか。答えは「学校に通う」こと。
学校に通うことで魔法や料理などの基礎的なスキルを覚えたり、技を磨いたりすることができる。魔法学校をさぼり続けることも可能だが、そうした場合、少年少女が身につけるべき魔法を覚えられず、使えるスキルが限られた状態で背丈だけが伸びることになる。それでは、17歳からスタートすれば、スキルはひととおり覚えているのかというと、やはりそういうことはないようで、今度は図書館の本を使ってスキルを学ぶことになるという。18歳に達すると成人式が行なわれ、最終段階である「大人」になるようだが、要は歳に見合ったプレイスタイルを提供していくということのようだ。
さて、同作のプレイの中心となりそうなのが、豊富な生産活動だ。今回聞いただけでも、洋服のデザイン、音楽の作曲、料理、鍛冶、錬金、薬学などなど、「Ultima Online」を超えるボリュームを予定しており、たとえば洋服などは単純にデザインだけでなく、使用した生地や配色なども加味されて最終的な価格が設定されるという。価格を決めるのは独自AIを備えたNPCだが、この価格がベースになり、一般市場に流れていくことになる。そのバリエーションは「無限」ということだ。
スキルの上げ方も一工夫あり、上げたいスキルを単純に使い続けるだけでなく、別の体験もしていく必要があるという。たとえば料理なら、料理を作り続けるだけでなく、新しい料理を食べてみる。魔法のスキルなら、敵に向けて使うだけでなく、特定の相手の魔法を実際に受けてみるといった具合だ。詳細については不明だが、スキル上げが作業になってしまうことを避けるためのシステムを検討しているということだ。
ところで、聞いていておもしろいと思ったのは、街にいるNPCがプレーヤーキャラクタひとりひとりに対して、蓄積型の評価システムを持っているところ。一見、連作クエストのようだが、これはクエストとは関係なく、日々の会話の展開だったり、お気に入りのプレゼントを渡したりすることで、好感度が上がってくる。好感度が一定以上に達すると、そのNPCは、そのプレーヤーキャラクタの後援者になってくれるという。
後援者になると、そのNPCだけが所持しているスキルが使えるようになるなどのメリットが与えられる。おもしろいのは対象のNPCは人間だけでなく、モンスターにも適用されるところで、敵との属性を合わせたり、好物を与えたりといったテイミングに近い作業を続けることにより、モンスターも後援者になりうるという。
たとえば後援者になってくれたモンスターがドラゴンだった場合、プレーヤーキャラクタは竜のブレスを吐く能力を手に入れるという。これはあくまで究極の話とはいえ、特定のNPCを後援者にすることで、レアな上級スキルが使えるようになるなど、大きなメリットが与えられるのは間違いなさそうだ。
そのほか、楽しみな要素としては、家を所有できるところと、自動生成ダンジョン。家は、1カ月お金を貯めるぐらいの金額で家が所有でき、家の中を自由に装飾することができる。家の種類は、小さな家から2階建て、城まで豊富に用意されるという。一方、自動生成ダンジョンは、プレーヤーのレベルに合ったダンジョンを生成してくれるというもの。その中ではクエストもランダム発生し、何度も繰り返しダンジョン探索が楽しめるようだ。
「Mabinogi」の韓国でのリリース時期は2003年度内を予定し、2003年上半期よりβテストが始まるという。日本での展開は未定だが、ネクソンジャパンも前向きに検討しているという。正式発表の日が楽しみだ。
「Mabinogi」コーナーはブースの中央に設置され、多数のデモ機が設置されていた。ちなみにお姉さんの服装は、コンパニオンスーツではなく、実際のゲームに登場する洋服のコスプレ。ディレクターお気に入りの服だそうだ |
ゲーム内では数多くの書物を読んで、プレーヤーとキャラクタが同時に知識を吸収していくという過程が重要になっている。ときには書物の内容がクエストを解く鍵になることもあるようだ |
同作の感情表現は顔の表情の変化で直接表す。セリフにコマンドを混ぜて顔の表情を変えながら話すことも可能という。また現時点では選択できる種族は人間だけだが、将来的にはエルフとジャイアントも追加していくという |
(C) 2002 Nexon Corporation. All rights reserved.
□NEXONのホームページ
http://www.nexon.com/index.html
□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「Mabinogi」のホームページ(韓国語)
http://www.mabinogi.com/
(2002年12月13日)
[Reported by 中村聖司]
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