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カプコン、「biohazard4」など
個性の強い大人向け作品を一挙に5タイトル発表

2002年11月14日 発表



挨拶を行なう三上真司第四開発部部長
 株式会社カプコンは比較的作家性の強い、個性的なニンテンドーゲームキューブ用作品5タイトルを一挙に発表した。制作はすべて「バイオハザード」シリーズや「Devil May Cry」などを制作してきた第四開発部。

 発表会の冒頭、壇上に立った第四開発部部長の三上真司氏は「ここ数年、続編などが多くゲームが面白くないと感じていた。今回発表するタイトルは『biohazard4』以外はすべてオリジナルです。普通に考えれば今の時代、オリジナルで勝負するのはバカげていると思われるかもしれない。でも、我々のやってきたことはもともとベンチャービジネスで、純粋にクリエイタの作りたいものを作り、それをみんなに楽しんでもらいたいと思っている。そういった意味合いもあって今回の発表会を企画した」と挨拶。

 この考え方は、「バイオハザード」シリーズをニンテンドーゲームキューブで発売していくと発表した時に語られた話と共通する。今回発表されたタイトルを見ると、いずれも制作者の想いがダイレクトに反映されているため、あくの強い作品が揃っている。それだけにユーザーを選ぶゲームになりそうな気もするが、いずれもワクワクするような魅力的な作品だ。こういった想いは今だからこそ大切だと思うのだが、なかなか貫くのは難しいところ。カプコンにはぜひともがんばって個性的で面白いゲームらしいゲームの制作を続けてもらいたいと思う。


■ 「biohazard4」

 一番最初に紹介されたのが「biohazard4」。1分程度だが、ついに映像が公開された。「始祖ウィルス発祥の地」、「侵食」、「汚染」など気になる言葉がちりばめられた映像はニンテンドーゲームキューブ版「biohazard」と比べてもなんの遜色もない圧倒的迫力だ。主役はレオン・S・ケネディ

 だが、そのエンジンはフルモデルチェンジされており、フルポリゴンで描かれている。このフルポリゴンの映像がプリレンダームービーに匹敵する美しさで表現できるところまできたのだという。
 ついにフルポリゴンで描かれるということだが、カメラはこれまでのように固定なのかどうかが気になるところ。この点についてディレクタの柴田 洋氏は「『バイオハザード コード:ベロニカ』程度のことは当然として、現状では好きなときにプレーヤーの視点でゲームを進めることができるようにしていくつもりでいる」とコメントしてくれた。
 もちろんこれは制作途上のことで、仕様変更になることもあるだろう。ただ、これまでにない「biohazard」を見せてくれそうな期待に溢れるコメントだ。制作者側としては固定カメラだけではなく、一人称視点での恐怖も同時に考慮しながらステージの構成や演出を考えなければならず、制作がかなり難しくなるはずだ。もちろん決定事項ではないが、楽しみなところだ。

 柴田氏は「biohazard4」について「これまでのシリーズに比べてとてつもない極限状態に追い込まれる。そこで、かっこいい男が死ぬほどもがくのがポイント」と説明。この“恐怖”をコントローラを通してユーザーに体験して欲しいのだという。最後に「しがらみを捨てて新しいホラーゲームを作る」と意気込みを語った。発売は“200X”ということで、まだまだ先のことであり制作もこれからだが、やはり強力に楽しみな一作だ。

【biohazard4】
挨拶を行なったのはディレクターの柴田洋氏。エンジンを一新し、フルポリゴンで描かれるという新しいホラー「biohazard4」。公開された映像はまるでムービーのようだったが、すべてゲーム中の画像だという。とにかく圧倒的なグラフィックのクオリティだ



■ 「Dead Phoenix」

 続いて紹介されたのが3Dフライトアクション「Dead Phoenix」。三上氏曰く、「第四開発部としては珍しくファンタジーな世界観」を舞台に描かれる。壇上に上がったディレクタの加藤弘喜氏は「コントローラを触った瞬間に飛んでて気持ちイイと感じるようなゲーム」と説明。

 現代の世界に突如登場した空中古代都市群。彼らは現代に転生したふたりの男を追って来たのだった。ふたりの男のひとりは、その文明を滅ぼそうとした男で、もうひとりは文明を救った英雄フェニックス。

 プレーヤーは空を飛びながら戦うことになる。公開された映像を見た限り、かなりの数の敵が登場するようだが、この作品では共に戦う仲間がいるようで、100人の仲間と共に助け合いながら戦うことになりそうだ。登場する敵も見上げるような巨大な敵が登場する。加藤氏は「スケールの大きなゲーム」ということで、楽しみな作品だ。発売は2003年夏を予定。

【Dead Phoenix】
「コントローラを触った瞬間から風を感じられるようなゲーム」と語ったディレクタの加藤弘喜氏。100人くらいの仲間がプレーヤーの周りを飛ぶという。もし実現すればこれまでにない世界を表現してくれそうだ



■ 「VIEWTIFUL JOE (ビューティフル ジョー)」

 「Devil May Cry」などの制作で知られる神谷英樹ディレクタのVFXアクション「VIEWTIFUL JOE (ビューティフル ジョー)」。アクションゲームでシステム的にそれほど新しくはないが、そのグラフィックと演出でこれまでのゲームにはない楽しさを引き出している作品。そのインパクトは今回発表されたゲームの中でも1、2位を争うだろう。

 プレーヤーは、青年ジョーとなりスーパーヒーローとなって戦う。といっても日本的なそれではなく、絵はアメコミっぽい。ところが登場するスーパーヒーローは、スマートな8頭身キャラではなくコミカルな2頭身キャラ。このミスマッチがなかなか面白い。

 ゲームはいかに美しくアクションを決めるかが目的となる。ただ単に美しく敵を倒すだけではない。アクションボタンのほかに“スロー”ボタンが用意されていて押すとキャラクタの動きがゆっくりになり、まるでSFXを使った映画のような効果が得られる。こういった機能を使いピンチを切り抜け、より美しく敵を倒していくのがポイント。このほかにもアクションをつなげていくとカメラがヒーローに向かってズームし、より強力なアクションが実現でき、カッコイイアクションを引き立たせるような演出もある。さらに“スロー”とは逆に早く動くことができるアクションも用意されるようだ。

 とにかくディレクタの神谷氏の“ヒーロー像”が色濃く反映されているのが特徴。公開された映像で、ジョーがロケットを寸前で避けるシーンがあるのだが、これについて「ヒーローはあくまでも華麗に避けなければならない。やるかやられるかで、防御はない」という思いきりのよさだ。同氏は「カッコ良さを自分で演出できる。すごく熱い想いで作った作品」とコメントしている。

 グラフィックもノリも独特で、好みが分かれるところもあるだろう。だが、この世界観を好きな人はどっぷりはまりこんでしまう危険性もあるほど強力な作品だ。2003年春発売予定。

【VIEWTIFUL JOE (ビューティフル ジョー)】
「ビューティフル」を連発した神谷英樹氏がディレクター。氏のヒーローに対するこだわりが炸裂している作品。なかなか爽快なゲームに仕上がりそうだ



■ 「P.N.03 (ピー エヌ スリー)」

 「P.N.03 (ピー エヌ スリー)」は三上真司氏がディレクタとして制作している作品。アクションを純粋に楽しむ作品として企画されており、グラフィックの描き込みは「biohazard」などに比べるとすっきりしているが、昔のゲームが持つ“燃える”要素を実現しようとしている。

 傭兵の女性が主人公で、敵のロボットをガンガン倒していく。ただ単純にボタンを押していればなんとなく敵を倒せて、先に勧めるゲームではなく、キチンと自分で攻略していかなければ先に進めないのだという。例えば物陰に隠れながら敵の様子をうかがい、隙を見て敵を攻撃するなどの工夫がアクションに求められるという。

 三上氏は「『biohazard』をずっと作っていると、その反動でクールな白をベースにしたグラフィックをやりたくなってくる。グラフィックはシンプルゆえのカッコ良さを目指している」と説明。2003年春の発売が予定されている。

【P.N.03 (ピー エヌ スリー)】
プレイ感覚が「ファミコンテイスト」と説明するのはディレクタの三上真司氏。ステージにはプロデューサーの小林裕幸氏も登場。アクションは単純だが、ただボタンを押すだけではクリアできないという。自分で攻略していくゲームとなりそうだ



■ 「killer7」

 最後に紹介されたのがグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏がディレクタを務め、三上真司氏がプロデューサーを担当するアクションアドベンチャー「killer7」。車椅子に乗った7つの人格を持つ殺し屋の老人「ハーマン・スミス」が主人公。この主人公の人格を適材適所で切換ながらゲームを進めていく。

 敵となるのは“神の手を持つ男、クン・ラン”。彼は特殊な能力を持っており、その手に触れるとそれまで普通だった人が暴徒化してしまう。プレーヤーはフィールドにいる人達と会話し情報を収集しなければならない。それらの人がクン・ランの手により急に暴徒化する可能性もあり、暴徒化するとどんどん倒していくしかない。

 アドベンチャー要素が濃いゲームになりそうだが、アクションもかなりの要素をしめるという。多くの人がいる場所でそれらの人が暴徒化する可能性もあり、かなり派手なアクションも想定されるという。

 須田氏が「濃厚なアクションアドベンチャー」というこの作品。掲載したスクリーンショットを見てもらえばわかるとおり、今回発表された中では最も異色な作品となる。三上氏はこの作品の魅力の一端について「悪 vs 悪のクライムストーリーな点に引かれる」と感想を述べている。発売予定は2003年冬ということでかなり先だが、作り手の顔が見える数少ない作品のひとつとして今後も期待してみていきたい。

【killer7】
最も作家性が強い作品がこの「killer7」。「シルバー事件」などを制作してきたグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏の作品で、ステージへの登場もマスクを被っての登場というすごさ。7人の人格を切り替えてそれぞれの特長を活かしたアクションで危機を乗り越えゲームを進めていくという内容もスゴイが、グラフィックもかなり強力だ


(C)CAPCOM CO., LTD. 2002 ALL RIGHTS RESERVED.

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「『biohazard4』を含む大人向け5タイトル」特設サイト
http://www.capcom.co.jp/gamecube/

(2002年11月14日)

[Reported by 船津稔]


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