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東京国際CG映像祭に
ゲームクリエイター多数登場
「F-ZERO GC/AC(仮称)」最新映像公開!!

10月30日 開催

会場:読売ホール

「エースコンバット3 エレクトロスフィア」や「サイバーサイクルズ」など、懐かしい映像も上映された
 10月26日から開催中の東京国際映画祭。その中でCGだけを扱った東京国際CG映像祭(TIGRAF)が28~30日の期間で開催され、30日には、「ゲームスペシャル」として、株式会社ナムコ、株式会社セガ、株式会社カプコンのクリエイター陣によるプレゼンテーションが行なわれた。

 まず、プレゼンテーションIとして、株式会社ナムコの河野一聡氏、中村勲氏が登場。河野氏は家庭用「エースコンバット」の、中村氏はナムコレースゲームの歴史から触れ、ゲームCGの進化、そしてゲームならではのCG制作のポイントなどを語った。

 印象的だったのは、両者ともプロジェクトページを公開、デザイン作業のノウハウの一部を実際に使われた資料や映像など、わかりやすい形で解説したところ。「AC04」のビジュアルコンセプトや資料、各ステージのビジュアル指定など、まさに生のデータが公開されるのは珍しい。「MotoGP」のほうも、スタッフがコースのエリアを分割して実地で撮影した映像などが共有されている様子がはっきりとわかる資料とともにプレゼンが進行した。

 さらに、河野氏からは「エースコンバット」最新作となる「ACES」が開発中であることが明らかにされた。また、中村氏からは「リッジレーサーの血を受け継ぐ、しかし今までと違うレースゲーム(おそらく、E3で発表された『新リッジレーサー(仮)』だと思われる)を製作中」であることも明らかにされた。また、「MotoGP3」のオープニングムービーはPS2をゲーム本編とは異なる使い方(詳細は秘密)で利用した映像を生成していることも明かしてくれた。
【ナムコ】
CTカンパニー CTクリエイターグループ所属の河野一聡氏によるPS2「エースコンバット04」のプレゼン。最後に新作PS2「ACES(エースコンバット#5)のプロジェクトロゴ(ゲームロゴではない)が公開され、開発中であることが明らかにされた。ラストは「ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~」のムービーで締めくくられた
CTカンパニープロデューサー・中村勲氏によるレースゲームのプレゼンテーション。開発中のPS2「MotoGP3」から、カワサキが20年ぶりにMotoGPに送り込んだブランニューマシン「Ninja ZX-RR」を早くも制作、実機映像で公開した

こちらも「Daytona USA」や「バーチャレーシング」、「スカッドレース」などの懐かしく貴重な映像が上映
 プレゼンテーションIIは株式会社セガの執行役員で、アミューズメントビジョン代表取締役の名越稔洋氏がプレゼンテーションを行なった。氏も多数の作品に関わってきたセガのレースゲームの歴史に触れながら、日本では初公開となる、セガと任天堂のコラボレーションで制作されている「F-ZERO GC/AC(仮称)」の最新映像も公開。E3からさらに進んだ「完成度50%以上」というクオリティのものが上映された。

 名越氏は、「今は過渡期にあるのでは」とゲーム映像に関してコメント。「ある時点でもうこのレベルでいいのでは? と思こともあるが、ゲームにおいて大切なのは動きだと思う。レースゲームは速くないといけない。スピード感を大切に作っている」とレースゲームで重要視しているポイントを語ってくれた。また、「レースゲームは(敵車を)避けるところから始まっている。これはシューティングゲームなどと共通するところからのスタートで、ようやく最近、『うまく敵車を利用すればさらに速く走れる』ゲームが出てきた」と語り、「『F-ZERO』もリズムを大切にしている。コースも『こう走ると気持ちいい』という点を注意して作っているし、気持ちよければみんな気に入ってくれる」とも語った。

 さらに、名越氏に加え、「SEGA GT2002」を手がけた株式会社ワウ エンターテイメントの今枝賢一氏、「アウトモデリスタ」を手がけた株式会社カプコンの須藤克洋氏を迎えたスペシャル・シンポジウムを展開。

 ユーザーインターフェースなどにも話が及び、名越氏は「スタートからボタンを連打していればレースが始まるようなシンプルなものほど美しいと思う」といった、制作側の気配りなども紹介した。

 今枝氏は「『SEGA GT』をシミュレーターというのはナンセンス。速く見せるために、ドライバーズビューにはダイヤ形の透明ポリゴンを置き、リアルタイムに背景をレンダリングさせるなどしてスピード感を演出したり、いろいろ手を加えている。シミュレータとして作ったら、ハンドリングは今の標準コントローラでは操作できない。そういった意味で、いろいろといい意味でのウソを入れてある」と開発秘話を披露。

 また、須藤氏は「カプコンには『対極の発想』というものがある。セガやナムコのレースゲームを見て、カプコンらしさとは何かを考えたとき、『チューニングしたマシンを人に見せて自慢させたい』というコンセプトを考え、『アウトモデリスタ』を作った」、「ネットワークも、『ネットの中でどんなことをさせたい?』というところを考えながら作った」と自身の作品のコンセプトを語ってくれた。

【セガ】
アミューズメントビジョンの名越氏によるプレゼンテーションで注目されたのはやはり「F-ZERO」。ダッシュゾーンで加速すると派手なエフェクトが印象的だった。また、チューブ状の内側を走るコースと、外側を走るコースなど、仮想現実ならではのオリジナルコースが披露された。右はスペシャル・シンポジウムに参加した今枝氏(左)、名越氏(中央)、須藤氏(右)
【「F-ZERO GC/AC(仮称)】
(C)2002 Nintendo
(C)AMUSEMENT VISION / SEGA,2002

 そしてラストを飾るプレゼンテーションIIIは、カプコンの「鬼武者」シリーズや「ロックマン」シリーズを手がける同社執行役員 第二開発部 部長の稲船敬二氏が登場。「SIGGRAPH」で最優秀賞を受賞した「鬼武者」、そして「鬼武者2」のオープニング映像を挟みながら、開発エピソードを軽妙なトークで展開。「『2』の主演を幾人かの芸能人にオファーを出したとき、『映画ならいいですよ』、『映画を作るときに声をかけてください』と言われて落ち込んだ。ハリウッドの映画監督は日本のゲームやアニメに対してリスペクトしてくれ、よく研究していいところは取り込んでいる。映画は芸術に近いものと捉えられているが、ゲームももっと認識を高めていきたい。映画とゲームはある種ライバル関係ではあるが、お互い手を取り合っていかないと」と自らの海外での体験を交えながら、ゲームに対する熱い思いを語っていた。

 また、現在制作している「鬼武者3」に関しては、「まだ詳細は明らかにできないが、海外市場を強く意識して制作している。アメリカ、ヨーロッパのカプコンのスタッフに映像を見せたが、非常にいい評価を得ている。前作までのプレーヤーが『え?』とか『え~?』と思ってもらうような、想像しているものとは違うものになっていると思う。前作までの「本格感」からはずれていく方向に振っている。詳細は近々発表できると思います」とコメントがあった。

【カプコン】
「『鬼武者3』をお見せできなくてすいません」と語っていた稲船氏。ゲーム、そしてクリエイターに対する認識を向上させたいという強い意識が感じられるプレゼンテーションだった。TIGRAFのゼネラル・プロデューサー河原敏文氏(右写真左)からのアンコールを受け、「鬼武者2」のオープニングが再度上映され、TIGRAFの幕が下ろされた

 登場したクリエイターに共通することは、「ゲームの映像はゲーム性との密接な関係によって生まれる」ことを強調していた点。ハードウェアの進化は重要なファクターだが、プレゼンテーションIIでの言葉を借りれば「『何を見せたいのか』、『何を遊ばせたいのか』を考え、ごまかすところはごまかす(名越氏や須藤氏が『そこが我々のSFXなんです』と語った言葉が印象的だった)」というゲーム映像の根本的発想は、やはりインタラクティブを前提としたゲームにはあたりまえの発想といえるのではなかろうか。ハードウェアの進化によって映像との親和性が高まっている今だからこそ、さまざまな制約を乗り越え、あるときは上手に利用しながら「ゲームの映像とはなんたるか」を必死にあがいて、作りあげている現場の声が、「TIGRAF」のプレゼンにはわかりやすい形で集約されていたのではなかろうか。

□東京国際映画祭のホームページ
http://www.tiff-jp.net/
□東京国際CG映像祭ラインナップ紹介ページ
http://www.tiff-jp.net/press/release4_2.html#04
□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□アミューズメントビジョンのホームページ
http://www.amusementvision.com/
□ワウエンタテイメントのホームページ
http://www.wow-ent.co.jp/
□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【10月2日】東京国際CG映像祭にナムコ、セガ、カプコンが参加
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021002/cg.htm

(2002年10月30日)

[Reported by 佐伯憲司]


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