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■ ストーリーと時代背景 ~ロボットものファン垂涎のリアルなバックストーリー 21世紀後半のこと。近い文化圏を持つ国同士が国家連合を形成し、これが大国アメリカ合衆国との対等な政治力、経済力を持ち始めているという、仮想の近未来が「鉄騎」の舞台。 21世紀初頭に目覚ましい進化を遂げたロボトロニクスは、ついに軍事転用され、結果として二足歩行型の機動兵器が誕生する。この機動兵器は「直立した戦車」という意味を持つ「Vertical Tank」略して「VT」と名付けられ、世界の陸軍主力兵器として配備されることとなる。 プレーヤーが扮するは「環太平洋機構」と呼ばれる国家連合組織の精鋭VT部隊、第7特殊機甲師団に配属された無名の新米パイロット。基地配属初日のプレーヤーが、今まさに、これからVT操縦訓練を受けようという時、突然敵襲にあう。フィリピンと尖閣諸島の中間点にある人工島都市「海市島(かいしとう)」が、突如独立を宣言。2080年、環太平洋機構に対しての独立戦争が勃発する。
戦火に包まれていく基地を見て闘志に火のついたプレーヤーは、上官が止めるのも聞かずに、ハンガーで整備中のVTに向かって走り出すのであった……という「この手」の話が好きな人間にとっては「ニヤリ」とせざるをえまい。それどころか、こうした設定を目にした途端、俄然やる気になってしまっているのではないだろうか。
■ ゲームの基本的な流れ ~死んだら登録抹消で初めからやりなおし! ゲームモードは「CAMPAIGN」と「FREE MISSION」のふたつで、メインは「CAMPAIGN」モードの方だ。 「CAMPAIGN」モードを開始すると、まず初めにプレーヤーは名前や生年月日を入力させられる。これを完了するとセーブデータが作成され、以後はこのデータでゲームを進めていくことになる。プレーヤーが扮する主人公キャラのような設定は特になく、アニメ調のビジュアルなども一切ない。ストーリーの語り口は、実に硬派な雰囲気でまとめ上げられており、このあたりも「これまでのロボットもの」とは違った一種独特の雰囲気を醸し出している。 プレーヤーは、与えられた任務をクリアしていくことでゲームを進めていき、進行データの保存はクリア時にのみ自動的に行なわれる。そして、クリアしたミッションのみ「FREE MISSION」モードでプレイできるようになる。よって、ゲーム初期状態では「FREE MISSION」モードはプレイできない。 「CAMPAIGN」モードでは、操縦訓練ミッションのようなものは一切なく、いきなり敵と戦う本編(実戦)がスタートする。敵なしの練習ミッションやVT操縦訓練モードは、ぜひとも欲しかったところだ。まぁ、こうした「初心者プレーヤーを突き放した雰囲気こそ」が良くも悪くも「鉄騎」であり、こうした「突き放し感」を一番感じさせてくれるのが「ゲームオーバーシステム」だろう。 自分が操縦するVTが撃破された場合、コクピット内に火が回り焼け死ぬまでに脱出ボタンを押さないと死亡したことになり“セーブデータが消滅”する。わかりやすく言う必要もないとは思うが、要は「もう一度ゲームを最初からやり直す」ということだ。 脱出ボタンを押すタイミングはそれほどシビアではなく、それほどビクつくことはないと思うが、やっかいなのが誤操作だ。被弾した際、当たり所が悪いとコクピット内に火が回ることがあるのだが、この時のビジュアルが撃破されたときに似ているため、パニックに陥って脱出ボタンを押してしまうことがあるのだ。だが、脱出が必要なときには脱出ボタンが赤く点滅するし、消火が可能なコクピット内火事はEXTINGUISHER(消火器)ボタンが緑色で点滅する。「鉄騎」では、状況を正確に判断する冷静さも求められるのである。 「では、危なくなったら脱出すればいいのか。慣れれば簡単そう」と思った人もいるかもしれないが、いろいろとシビアな「鉄騎」だけに、ゲームオーバーの条件はもうひとつある。 プレーヤーはミッションをクリアするごとに補給ポイントというスコアを獲得でき、これがゲーム内における金銭的な役割を果たす。新たな機体の購入、作戦行動途中にヘリとランデブーして行なう補給物資の確保までも、このポイントと引き替えに行なわねばならない。 無事に脱出できた場合でも(誤脱出してしまった場合も含む)、それまで乗っていた機体は破棄されてしまうため、再びそのミッションに挑むには新たな機体を購入しなければならなくなる。何度も同じミッションで失敗していると、いずれポイントが底をつくことになるわけだ。新機体が購入できなくなった時点でミッションへの挑戦権が失われ後方勤務に左遷となり、ここでもゲームオーバーとなる。つまり、セーブデータが削除されてしまうのだ。つまり、ひとつのミッションで行き詰まっていると、いずれゲームオーバー(=初めからやり直し)になってしまうということだ。 のちのちのミッションだと、性能の高い機体でないとクリアが困難なものもあるため、ポイントが残っていても「実質的に行き詰まり」というケースが出てくる。それまでのミッション達成履歴や選ぶ機体にもよるが、大体5~8回挑戦してクリアできないと「セーブデータ消滅 → やりなおし」という状況に陥る。 非常にシビアなゲームシステムだが「CAMPAIGN」モード開始時にゲームの難易度を「ROOKIE(初心者)」、「NORMAL(通常)」から選択が可能となっている。ただし、ROOKIEモードは配備請求ポイントは高く、戦功ポイントは低く設定されている。このことからやり直しやすいが、階級は上がりにくくなっている。ただ、基本的なミッション内容には変わりがない。そのため「敵へ攻撃を命中させること」、「敵の攻撃を回避すること」といった基本動作ができないようでは、結局はゲームオーバーをくり返し、やり直しに陥ることになる。
普段アクション系のゲームをやり慣れていない人は「やりなおし」は絶対避けられないし、アクションゲームが苦手な人は、おそらく最終ミッションのクリアどころか到達すら難しいだろう。その意味では「鉄騎」は、最近の国産ゲームにしては数少ない「プレーヤーを選ぶゲーム」といってもいいかもしれない。
■ 専用コントローラーの設置を考える ~全長88cmの特大コントローラーとペダルコントローラー 40個のスイッチと、左右2本のジョイスティックが実装された専用コントローラーに、足元には3つのペダルが実装されたペダルコントローラを置くという、非常にゴージャスかつ複雑な操作系が、この「鉄騎」というゲームの最大の特徴だ。 この操作系を目の当たりにしただけでカジュアルゲーマーは臆してしまいそうだが、もともと「鉄騎」という作品は、ゲームを超越した“兵器のシミュレータ的なプレイ感”を演出することが基本コンセプトだけに、この操作系は必要不可欠な要素だったという。 専用コントローラーは左、右、中央と3つのユニットに分割された状態で梱包されており、設置する前に組み立てなければならない。組み立てといっても難しいものではなく、3つのユニットをハーネスで相互に接続し、さらにジョイント部品をネジ留めするだけだ。ネジは六角レンチで締めるタイプで、レンチはコントローラー底面に付属している。ボタンを光らせる電源はXbox本体から供給されるため、バッテリー等は不要となっている。 「鉄騎は」Xbox本体付属のジョイパッドでは一切操作ができないため、プレイするには是が非でもこのスティックコントローラとフットコントローラーを設置しなければならない。専用コントローラーは、組み立てると全長88cm、奥行き26cmにもなり、小振りなパソコンデスクでははみ出てしまうほどだ。 ゲーム中は両スティックに力をかけて動かすことを考えると、どうしても幅1mほどのテーブルが必要になる。床に置いて……というアイディアは“×”。フットコントローラーを床に設置する以上、どうしてもプレーヤーは「椅子座り」になる必要があるためだ。 また、ペダルの設置も一筋縄ではいかない。鉄騎のフットコントローラーのペダルは、一般的なレースゲーム用のフットコントローラのペダルよりもストロークが深めで、最大踏み込み状態にするためには、かなり踏み込まなければならない。つまり、レースゲーム用フットコントローラよりも意識的にプレーヤー寄りに設置しないと踏み込めないのである(足が長ければ別)。具体的には、膝を立てた状態で踏み込める位置に設置しなければならず、膝があたらない程度の高さを持ったテーブルを用意する必要がある。
さらに細かいことを言えば、フットコントローラはサイズ幅30cm、奥行き22cmと大きいため、脚が中央に設置されているタイプのテーブルではフットコントローラとテーブルの脚が干渉してしまう可能性もある。「鉄騎」コントローラの理想の操縦姿勢は、いわばトラックやバスの運転席に近いという感じだろうか。乗用車の運転のように背もたれに支えられた姿勢では、プレイするのは難しいと言うことだ。
■ 鉄騎はこうして“操縦”する ミッションが開始されると、プレーヤーはVTの起動操作から始めなければならない。繰り返しになるが、本作に操縦訓練ミッションはなく、第1ミッションから実戦であるため、最初は操縦マニュアルを片手にプレイすることになるだろう。なお、鉄騎オフィシャルサイトには、この起動シーケンスがブラウザで楽しめる体験版が公開されているので、興味のある人は一度トライしてみるといい。 起動操作は、コクピットハッチの開閉ボタンを押すことから始める。コクピットハッチを閉じたら、エンジン始動ボタンを押す。すると、VT制御OSが起動して、システム全体のセルフチェックが行なわれる。このあたりの「リアリティの演出」は、かつての人気TVアニメ「パトレイバー」などを彷彿させる。 OSの起動が終わったら、5つのトグルスイッチを倒して、生命維持装置、GPS、燃料制御システムの始動を行なう。これが完了するとゲージが表示され、VTの腕部や脚部にパワーが行き渡ることをパイロットに伝えてくる。パワーが全可動部に行き渡ったのを確認して、やっとスタートボタンを押すことでVTが操縦可能となる。 なんだか面倒くさそうだが、ボタンを押していくたびに返ってくる音のレスポンスと、実際に各ボタンに仕込まれているLEDの点滅に、プレーヤーは「やる気」にさせられる。その後、どんな無様なやられ方が待っていようが、この起動操作を行なっている瞬間だけは、各プレーヤーは誰もが「アムロ・レイ」や「キリコ・キュービィ」の気分で自己陶酔に浸れるのだ。 操作可能になった状態のVTを歩行させるのが、右端のペダル。アナログ操作で、深く踏み込むとより大きなパワーが駆動部に伝達されるシステムは自動車と同じ。中央のペダルはブレーキに対応。二足歩行でブレーキという概念は、少々謎めいていると思うのだが。 コントローラ部左端のレバーは変速システム操作用で、1速から5速までのギアチェンジが行なえる。1速が最もトルクに優れ、5速が最高速に優れたギアに対応。ニュートラルと後退(リバース)ギアもあり、移動システムは自動車のものをそのまま踏襲しているといった感じだ。 自動車のハンドルに相当するのは左側のローテーションレバーで、これは左右2方向スティックとなっている。「倒した方向にハンドルが切れる」というイメージだ。 フットコントローラ、左端のペダルはスライドステップペダルで、踏み込むとローテーションレバーの入力方向へダッシュ動作(スライドステップ)が一瞬だけ行なえる。左にローテーションレバーを切った状態でスライドステップ動作を行なうと左へ、右だとその逆に右へ、そして左スティックの入力方向がニュートラル時には前方向(リバースギア時には後方向)にステップ移動する。 このスライドステップという動作は、設定的にはアクチュエータを大電力で強制駆動させる特殊行動ということになっており、いつでも何度でも使えるわけではない。バッテリーに蓄積された電力がゼロになってしまうと、再充電されるまではスライドステップは行なえないという制限があるのだ。 ローテーションレバーに取り付けられているサイトチェンジスティック (8方向ハットスイッチ) は視点移動制御用。サイトチェンジスティックはクリッカブルで、押し込むと視点はニュートラルにリセットされる。 特徴的なのは、この視点移動はあくまで「視界を制御するだけ」ということ。照準の移動はこのサイトチェンジスティックでは行なえず、エイミングレバーで視界制御とは別に操作しなければならない。やろうと思えば(ガンダムで言うところのニュータイプ的な)見えていない敵に照準を合わせることも可能なのだ。この視界制御、照準制御が独立している操作系は、良くも悪くもこの鉄騎というゲームの操作性をプロフェッショナル指向にしている。 その照準移動に使用するエイミングレバーは、全方位に入力可能なアナログスティックだが、中央に戻ろうとするスプリングテンションがかけられていないのが一風変わっている。これは、前述したように鉄騎の照準システムが視界と連動しておらず、明確なニュートラル位置というものが存在しないためだ。鉄騎におけるエイミングレバーの役割は、感覚的には方向入力というよりもマウス操作に近いポインティングデバイス的な意味合いが持たされているのである。
エイミングレバーには武器発射ボタンがふたつ実装されており、ひとつがメイン武器発射制御、もうひとつがサブ武器発射制御用になっている。さらにはロックオンボタンがあり、照準を特定の敵に合わせてこれを押すと、以降砲身がその敵を追うようになる。
■ コントローラの出来映えを厳しくチェック! さて、19,800円もするゲームだけに、このコントローラーはその対価に見合ったものなのかという部分を気にする人もいると思う。30個以上のゲームコントローラーを所有する自称ゲーコンマニアの筆者が独断で評価させてもらうと、いろんな意味で「第一世代」ということもあってか、コントローラの完成度は個人的には70点といった感触だ。 まず、二足歩行ロボットなのに直観的な横移動(FPSでいうところのSIDE-STEPやSTRAFE動作)ができないという点が気にかかる。砲身を回転させて前移動することで便宜上の横移動はできるが直観的ではないし、正面を向いた状態から完全な横移動を行なうには4輪車のように向きを回転せねばならないのは「戦車に取って変わることになった二足機動兵器」という設定を自己否定している。 これは、ローテーションレバー (左スティック) にトリガボタンを付けてトリガを押した状態では、遅くても横移動(カニ歩き)ができるような操作系を実装すべきだったと思う。エイミングレバー (右スティック) は特に問題なしだが、視界を機体正面だけでなく照準方向へもリセットできる操作系が欲しかった。これがあれば、難解な独立した視界および照準操作系も幾分か容易になったと思う。 ボタンについては、LEDによる自発光機構は大歓迎だが、せっかく発光するのだからボタン側に機能名を書いてほしかった。「鉄騎」をプロジェクタ環境でプレイしている筆者のような「AVマニアでゲーマー」や、雰囲気を出すために電気を消してプレイしている「なりきりゲーマー」も多いと思うが、そうしたユーザーにとって今のボタンの自発光の仕組みから、もうひと工夫ほしかった。 発光するボタンは透明プラスチック製のボタンのみで、機能名はパネルフレーム側に印刷されているため、暗闇でプレイしているとなんのボタンが光っているのか分からない。操作系において自動車を模倣したのであれば、コンパネ類のデザインも自動車を見習うべきだったのではないだろうか。 各ボタンはせっかく数段階の明るさで光るよう設計されているのだから、自動車のコンパネのように、ボタンに機能名を印刷し、さらに通常時、暗く常時点灯させることによってボタンの位置と機能名を明確にプレーヤーに伝えるのが理想形だと思う。 そして、専用コントローラでもっとも気になったのが変速レバーの質感。残念ながら非常に安っぽい。上下のスライド操作時のクリック感が乏しく、ちゃんと規定の変速レベルに入らず、曖昧なポジションになってしまうことが多いのだ。コスト面で難しいとは思うが、スプリング等を駆使したクイックシフト感のあるものに改善して欲しい。さらに欲をいえば、変速レバーにもボタンを付けて、急激なシフトダウン時にニュートラルやリバースに入らないようにすべきだったと思う。
また、現在のギア速インジケータがランプ点灯するのだが、やはりこれまたランプ自体は透明でギア値はフレームに書かれているために自発光の意味がない。ゲームシステム側をこれだけシビアにしたのであれば、あとちょっとだけ煮詰めて、プレーヤーの能力を最大限に発揮できるようなコントローラーを望みたかったところだ。
■ 3Dゲームファンのための鉄騎のグラフィックス講座 ここからは「グラフィックス面」に切り込んでみたいと思う。 その戦争の雰囲気を出すのに活躍したのが、Xboxのグラフィックスチップ「XGPU」のプログラマブルシェーダ機能で、「鉄騎」ではこれを活用して「機外カメラから捉えたノイジーな映像」を表現することに成功。PS2では実現できなかった「戦場の臨場感」をものにした。コクピット内の計器類のグラフィックスと、メインカメラ映像の質感の違いが明確なのは、このテクノロジーによるものだ。 これについて疑問に思った人は、Xboxをコンポジットビデオ(黄色いビデオ端子)ケーブルで接続していないだろうか。この“戦場シェーダ”ともいうべき独特のビジュアルを堪能するためには、最低でもSビデオケーブル、できればコンポーネントビデオケーブル、D端子ケーブル、RGB端子ケーブルを利用して欲しいと思う。 とはいえ、ならば鉄騎のグラフィックスは現行3Dゲーム最高峰かというと、残念ながらそうとも言えない。ゲームエンジンの設計がクラシックなためか、実は粗(あら)も多いのだ。そのひとつが背景で、描画域限界領域から向こうが全く描かれず、クリッピングされてしまっている点だ。 たとえば、自機を直進させていると、描画限界域に突然ビルが出現する。本来ならば小さいビルが近づくに連れて大きく見えてこなければならないのが、ある点を境に突然描画されて現われるのだ。これは、最近の3Dゲームエンジンではあたりまえとなりつつある動的なLOD(Level of Detail)システムを実装していないためだろう。 もう一点は、木々などの地面配置オブジェクトにビルボード・システムを使用している点。ビルボードとは、視点に対して常に正面を向いて描画される一枚絵(スプライトのようなもの)のこと。 「鉄騎」では、市街地だけでなく、荒野や平原などを舞台にしたシーンも多いのだが、そこに生えている木々がすべてこのビルボードで描かれている。このため、すべての植物が常にアイコンのように自機に対して正面に向いて立っており、その光景はやや異様。背の低い建物と列んで立っているシーンなどでは、建物はポリゴンベースの立体なのに、脇生えている木々が2Dベースのビルボードであるため、違和感があるのだ。
「ただの背景だから…」ということなのだろうが、ミッションによっては視点を下に向けて地表を探索するものもあり、この時にはすべてのプレーヤーが、このビジュアルの不自然さを目の当たりにしてしまう。「動的LODの非実装」と「ビルボード表現の木々」というのは、比較的実現しやすい3Dグラフィックス表現であり「戦場のリアリティ」をウリとする「鉄騎」という作品においては、アンバランスだと感じぜざるをえない。
■ 迫力の5.1chサラウンドサウンド Xboxのサウンド機能を初めとする周辺機能をつかさどるMCPXは、リアルタイム5.1ch出力機能を持つが、マジメに5.1ch出力に対応しているソフトはそれほど多くはない。そんな中で「鉄騎」のサウンドは、完全な5.1chサラウンド出力に対応しており、現行のXboxゲームタイトルの中でもトップレベルの完成度に到達している。「鉄騎」というゲームのハイクオリティなプレイ感覚は“サウンドのおかげ”といってもいいかもしれない。 「鉄騎」の5.1chサラウンドは、360°全周における音像定位に対応しており、前から後ろに飛び抜ける砲弾の飛来音や、真横方向で巻き起こる爆発音などが緻密に再生される。VTの動作が遅いため、敵弾の飛来音を聞いてからの回避行動はまず間に合わないのだが、「鉄騎」の基本コンセプトである「戦場の臨場感」の再現には、そのグラフィックス以上に貢献していることは間違いない。 逆に、通常の白赤アナログケーブルを接続するステレオサウンドでは、全周サウンドを2chに凝縮して再生されてしまうため、非常にチープな音響になってしまう。極論じみた言い方だが「鉄騎」をプレイするには5.1chシステムは不可欠だといっていい。
5.1chシステムには、ヘッドフォンタイプのバーチャルシステムがあるが、これはあまりお勧めできない。鉄騎のサウンドでは、サブウーファで再生される120Hz以下のLFE(Low Frequency Effects)チャンネルの重要度が高く、ヘッドフォンシステムではこの再生パワーがどうしても不足気味になるからだ。小口径スピーカーの安価なシステムでもいいから、サブウーファを含んだリアル5.1chシステムでの再生を強く奨励したい。
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□カプコンのホームページ (2002年10月24日) [Reported by トライゼット西川善司]
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