俺の熱演を観ろ! そして聞け!! |
料金:未定
株式会社ナムコは、制作中の業務用ゲーム「アフレコ!」のプレス向け内見会を開催した。現在の開発度は70%で、稼動時期、1プレイの料金は未定。今回は、そのプレイレポートをお届けしよう。
「アフレコ!」は、その名のとおりアニメや洋画の吹き替えをする声優さんのように、役柄になりきってセリフを吹き込む業務用アフレコゲーム。
ふたり同時プレイが可能で、ゲームモードは「おためし」、「おこのみ」、「チャレンジ」の3つ。プレイしたいタイトルと役柄を選択したら、マイクテストで入力感度を調節。まずはお手本の映像が流れるので、それを見てセリフのタイミングを覚えたら、さっそく収録(アフレコ)開始。そして……収録後に、本作最大の山場が訪れる。
収録した音声は、当然ながら“再生”されなければ意味がない。「アフレコ!」は、今しがた収録したばかりの自分の声を、オリジナル映像とともに再生してくれるのだ。そして、再生された映像を見るのは、プレーヤーだけとは限らない……。
今は仮の姿ともいうべき筐体全景 |
現バージョンで選べるゲームモードは「おこのみ」ということで、まずは「ハクション大魔王」をチョイス。相方(?)はナムコ開発チームの方にお願いした。ちなみに、記者が演じる役は「ハクション大魔王」。シチュエーションは、クシャミをしたカンちゃんが魔王と初遭遇するシーン。子供の頃、夏休みの再放送で良く見たっけなぁ……そんな記憶の糸をたどりながら、何はともあれプレイ開始。
ここで気付いたのは、まず「プレイする」ために“ちょっとした気合”が必要だということ。会場にかなり早めに着いたとはいえ、室内にはすでに10人弱の観客(?)がいる。衆人監視のもと、特定のキャラクタの役を演じる。このシチュエーションが、すでに普通ではないのだ。カラオケ大好き野郎でバンドでライブ経験がある記者でさえ、「どうぞ」とすすめられて、ふたつ返事で「イエース!!」とはさすがに言えなかった。
とはいえ、一度物事を始めたら、途中で照れて止めてしまうほうが絶対に恥ずかしい。後戻りしないためのアイテムともいえる、備え付けの「ヘッドホン」を装着。これで周囲の(笑い)声も完全にシャットアウト、お手本の音声もハッキリと聞こえる。そのまま、ハクション大魔王の言い回しを思い浮かべながら脳内シミュレーションを開始。このあたりはカラオケと一緒で、自分自身の声色を把握しておくと俄然プレイしやすくなるかと思われる。
収録スタート。映像のカンちゃんがくしゃみをする。ナムコ開発チームのかたが、正直かなり上手い。照れたら100%負け犬よ……そう自分に言い聞かせて気合を入れ、「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ~ン!」と頑張ってみる。アフレコの総時間は30秒前後なのだが、ひと声出した瞬間にアタマの中はマッシロで、後はただただ必死。長く感じられた時間が一瞬で過ぎ去ったような、そんな印象を覚える。
はぁ~と溜息をつくと、我に返った瞬間にアフレコの再生が始まる。これが実にクセモノで、冷静になった途端に始まるものだから、一転して照れくさくなるというか「え~もぅやめてよ~」という感じなのだが、当然ながら再生は止まらない。何というか、恥ずかしい。
でも、周囲の人たちが大笑いして見てくれていると、これがとてつもなく嬉しくて、頬がゆるむと同時に自分自身も楽しくなってくるから不思議だ。記者の迷演にあたたかい拍手をしてくれたナムコの方々に照れ笑いを浮かべながら「これ、いいなぁ……面白い!!」と、本作の素晴らしさと可能性を確信する。これは絶対にイケる!!
とはいえ、直後にナムコの方から「もう1回、いかがですか?(笑)」とお誘いを受けるも、「あ……いや、とりあえず撮影の後で」と逃げてしまったあたり、私はまだ「アフレコ!」の魅力に対する確信が100%に達していないのかもしれない。本音をいうとプレイしたかったのだが、ここで「じゃぁ、もう1回」といってしまうと“カラオケでマイクを握ったら離さないタイプみたいで嫌だなぁ”と思ったからだったりする。
マイクが1個しかないのは、ふたりで交互に身体を動かしてプレイしたほうが楽しいから、という理由によるもの。ただし変更される可能性もある | 没入感を高めるための必須アイテムが、このヘッドホン。お手本をチェックするためにも要装着。ふたりぶんしっかりと用意されております | 製品概要を解説するナムコ開発チームの中野さん。この直後、めちゃくちゃ気合の入ったデモプレイを披露。 |
マイク1個を共用するため、現バージョンにおける収録中のプレイスタイルは必然的にこうなる。カップルを想定した場合はほほえましい光景ともいえるが、男ふたりだと悲しいというか寂寥感すら漂ってくるから不思議だ |
さて……何とも露悪趣味なレポートとなってしまったが、「アフレコ!」の魅力が少しでも伝わっただろうか。記者自身は、この“露悪趣味”こそが、本作にとって重要なキーワードになっているような気がしている。
会場では色々な媒体の人が代わるがわるプレイしたわけだが、照れつつも(なかには微塵も照れず)一生懸命にアフレコに興じる人たちの姿がひたすら面白いし、アフレコ再生もとにかく笑いが絶えないのだ。
程度に差こそあれ、アフレコをしているのは素人。朴訥というか、天然の面白さというべきか。すべては計算されていないからこそ発揮される要素であり、仮にプロが「アフレコ!」をプレイしたところで、会場内は「へぇー、さすがだねぇ」と感心こそすれ、笑いはひとつも起きなかっただろう。
こうした点を踏まえると、本作はひとりでもプレイできるが“プレーヤー同士による1対1のかけあい”こそが真髄であり、また必須ともいえる。
冒頭でも触れたが、「アフレコ!」の筐体デザインは仮のもので、製品版は外部から100%丸見えの状態にはならないという。ただし、プリントシール機のように完全におおってしまうかというと、そういう風にもならないようだ。この“完全におおわれない”という点は、記者が感じた“露悪趣味”にも通じるポイントであり、ある意味“核心部分”ともいえそうだ。
「アフレコ!」は、将来的にトレンディドラマ、映画、時代劇といったジャンルの収録も視野にいれて製作が進められている。9月に開催される「アミューズメントマシンショー」に出展される可能性は大きく、本レポートに目を通してピン! ときたら、是非ともナムコブースをチェックしてみることをオススメする。
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□ナムコのホームページ
(7月12日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.namco.co.jp/
(2002年7月12日)
[Reported by 北村孝和]
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