★ GBAゲームレビュー ★

原作ではありえなかった対決も楽しめる
コマンド選択式レースゲーム

「頭文字D AnotherStage」

  • ジャンル:コマンド選択式レースゲーム
  • 発売元:サミー株式会社
  • 価格:5,800円
  • プラットフォーム:ゲームボーイアドバンス
  • 発売日:発売中(4月26日)

【ゲームの内容】
 人気漫画「イニシャルD」のゲームボーイアドバンス用タイトル。漫画でお馴染みのキャラクターや車、コースが登場する。プレーヤーは主人公、藤原拓海と同じく群馬県に住む高校3年生。免許を取りたてで、走ることに夢中になって、ガソリンスタンドでアルバイトを始める。そこで、拓海やイツキ、池谷先輩らと知り合い、最速への情熱に目覚めていく。



 ストーリーモードでは、漫画の中の1キャラに!?

 「頭文字D AnotherStage」のメインとなっているのは、ストーリーに沿ってゲームを進めていくストーリーモード。ストーリーモードでは、日々の生活を通してドライビングテクニックの情報を仕入れ、車をパワーアップさせ、腕を磨いて高みを目指し、「プロジェクトD3人目のドライバー」を目指す。

 ゲームを開始すると、まず最初に乗りたい車を選択する。車は純正パーツのみで構成されているため、これを少しずつチューンナップさせていく。ゲームは1日単位で進んでいき、昼はアルバイト先のガソリンスタンドで過ごし、夜になったらガレージに戻り、どこかへ出掛けてバトルを行なう、という流れになっている。

樹や池谷といった原作でお馴染みのキャラクタも登場
 
パーツはよりポイントの高いパーツの方が効果がある
 ガソリンスタンドでは、店長や同学年の拓海、樹、池谷先輩らと会話する中で、ドラテクやチューニングに関する知識や他の走り屋の情報などを教えてもらうことができる。中でも走り方に関する情報はメモしておくと、バトルで役に立つ。
 また、店長に話しかければチューニングに必要なカスタムパーツを入手することができるが、これにはチューニングポイントが必要。チューニングポイントは、バトルをすることで加算されていく。

 また、プレイをし始めの頃は、池谷先輩にのみこちらからバトルを申し込むことができる。すんなり勝てなくても最初のうちは池谷先輩に何度もバトルを申し込み、高いパーツが買えるまでチューニングポイントを溜めるといいだろう。
 チューニングポイントはバトルに負けてもある程度は手に入る。しかし、やはり勝ったほうがたくさんのポイントが入手可能で、車を早く強化していける。また、より強いキャラクタとバトルした方が多くのチューニングポイントがもらえる。キャラクタによっては、負けても池谷先輩に勝つより多くのポイントがもらえることもある。

 バトルで何度もトライしてコースを覚えてくると、どこのコーナーに対してどのドラテクが使えるかということが少しずつわかってくる。それに合わせ、あらかじめ車の位置やブレーキを決めることができるため、より速く走れるようになってくる。

ストーリーを進めるごとに新しい走り屋が登場する
 バトルは、昼間に誰かに申し込んだり、誰かから申し込まれることで夜発生する。もし昼間にバトルを申し込み損ねたり、誰もバトルに誘ってくれなくても、夜になってから携帯電話でバトルに誘うことができる。ストーリーが進んでいくと、様々な走り屋たちから携帯番号を入手することができるので、彼らを電話で誘ってバトルに繰り出すこともできるようになる。

 ストーリーモードでは多くの走り屋が登場するので、漫画を知っていれば尚一層ストーリーを楽しめるだろう。妙義をホームとするナイトキッズのリーダー中里毅や庄司慎吾、碓氷峠最速の真子&沙雪コンビ、赤城レッドサンズの高橋兄弟など、続々キャラクタが身の回りに登場し、藤原拓海とは違うもうひとりの主人公として、話の中に紛れ込んだような感覚が味わえる。自分の腕が上がれば上がるほど、ストーリーに絡んでいけるのも面白い。


 思わず叫び声が出る、コマンド選択バトル

 「イニシャルD=レースゲーム」というイメージから、通常の車を操作するアクション性の高いドライビングゲームを想像してしまいがちだが、「頭文字D AnotherStage」では要所要所で表示されるコマンドを選択することでバトルが進んでいく、コマンド選択式レースゲームになっている。

回転数は高すぎても低すぎてもダメなので、何度も練習してちょうど良い回転数を身につけよう
 
カーブの角度や車の速度、相手との位置などを考えて、正しい選択肢を選んでいこう
 エンジンスタートの最初のみ、メーターを見てボタンで回転数を調節し、バトルスタート。いい具合にベストな回転にはまれば、序盤から相手をリードすることができる。

 レースの流れは、コーナー手前のストレートで、ライン取りのため車体の位置を十字キーで操作し、コーナー進入時のブレーキングの選択、アプローチの選択というのが基本になっている。
 例えば、右に曲がるコーナーだとすると、十字キーで車体を道の左方に寄せてから「ふつうにブレーキング」を行ない、「マシンを適正速度にコントロール!」というメッセージが出たら、「インを抜けてアウトへ」走れば、アウトインアウトとなっていい結果が得られる。

 これに大きく係わってくるのがパラメーター。「タイヤ」、「ブレーキ」、「スピリット」の3つのゲージがある。消耗してくると、「タイヤ」は加減速やコーナリングが失敗しやすくなり、ブレーキはブレーキングに影響し、スピリットはコマンド全般の成功率や効果が低下する。
 選択肢の選択いかんによって、失敗するとムダにタイヤを減らしてしまったり、難しいドラテクを連続で使用すると、スピリットが無くなって最後で技が決められないということになってくる。ムダの無い走りを心掛けることはもちろん、コース全体のバランスを考え、攻める所で攻め、流すところは流すといったさじ加減が重要。

「ドラテク」が決まれば一発逆転も可能。ここぞという時に使っていきたい
 これまで勝ったことのない相手にバトルで勝つと、ストーリーが進んで新しいキャラが出てきたり、走るコースも増えていく。コースは、バトルに勝っていくことでさらに妙義、赤城など、難度の高いコースが走れるようになる。
 加えて、チューニングポイントの他、レベルも上がっていく。レベルが高ければ高いほど、タイヤやブレーキが消耗しにくくなるので、走り込むほどにどんどん走れるようになる。

 また、ガソリンスタンドなどでの会話で入手できる「ドラテク(ドライビングテクニック)」だが、レースと絡んだストーリー展開の中で覚えることもあり、さらに選択肢に幅が増えていく。
 「ドラテク」のなかには使える場所が限定されるものもある。地元の秋名峠などで使える「ツッコミ重視ミゾ落とし」は、妙義に進むと使えないし、また妙義ではコーナーが連続するため、いちいちコーナー手前で車の位置を変更できない場所も多い。
 そこで、新しく覚えたドラテクでいろいろ模索する必要がでてくる。「ゼロカウンタードリフト」や「フェイントモーション」などを組み合わせ、多くのスピリットを消費するからには確実に「ドラテク」を決められるようになろう。

コーナーギリギリで曲がることに成功すれば、より早く走れる
 コーナーでコマンド選択が成功すれば、車が気持ちよくドリフトしたり、ガードレールにギリギリまで寄っている絵が現れ、「よし!!」と思わず心の中でガッツポーズしてしまう。要所をクリアするごとに、せめぎ合いのデッドヒートが絵で見せられる場面でも、かなり熱くなれるだろう。

 ストーリーモードは単なるレースの繰り返しとは違い、バトルを巡る人間ドラマも楽しみだ。話の流れで強引にバトルに突入したりする、走り屋同士の繰り広げるストーリー展開が面白い。原作を知っていれば、にやりとするような馴染みのキャラが多数登場する中に、自分も新キャラとして入り込んだような気分にさせてくれる。


 フリーバトルや通信対戦モードも熱い

全コースで全キャラクタにバトルで勝てるよう挑戦しよう
 
ゴール直前まで結果はわからない。最後のコーナーにすべてを賭けろ!
 フリーバトルモードでは、対戦相手や車、コースを自由に選択してバトルを楽しむことができる。ストーリーモードのセーブデータがあれば、そこで積み上げてきたレベルや覚えたドラテクがフリーバトルにも反映される。また、各セーブファイルのチューンアップした車を選択して、バトルに挑むこともできる。
 ストーリーモードでは相手によってバトルする場所が限定されている場合があるが、フリーバトルモードではそういうこと規制はない。好きな相手と好きなコースで、思う存分腕を試すことができるのだ。

 また通信対戦モードでは、GBA本体を通信ケーブルで繋いでふたりでバトルすることができる。友達同士で持ち寄った車を使い、ガチンコ勝負でレース中の駆け引きを楽しむめる。

 コマンド選択式のバトルは、ただ単にマシンの性能に頼るのでは無く、タイヤやブレーキの消耗、ライン取り、精神的な駆け引きといった戦略的な走り方を再現していて、本気で熱くなれる。蛇足だが、持ち歩いて遊ぶことが多かったので、バトル中に突然ポーズをかけられるのも非常に良かった。
 最速への情熱があるなら、きっと幾多のバトルがその心を更に熱くさせてくれるだろう。



原作/しげの秀一「頭文字D」(講談社刊 『ヤングマガジン』連載)
(C)2001 しげの秀一/講談社・トゥーマックス・オービー企画
(C)Sammy 2002

□サミーのホームページ
http://www.sammy.co.jp/
□製品情報
http://www.sammy.co.jp/product/game/initiald/
□関連情報
【3月1日】サミー、コミックそのままの迫力と興奮をゲームに
GBA「頭文字D AnotherStage」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020301/sammy.htm

(2002年6月27日)

[Reported by 河本真寿美]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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