Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

Vivendi Universalブースレポート Blizzard Entertainment編
「Warcraft III: Reign of Chaos」、「World of Warcraft」

会期:5月22日~24日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 Vivendi Universal Gamesのパワーを体現すると同時に北米市場を代表する最有力メーカーBlizzard Entertainmentは、たった2タイトルで圧倒的な存在感を見せていた。ついに完成したファンタジーリアルタイムストラテジー「Warcraft III:Reign of Chaos」、まだまだ完成は先ながら、極めて高いポテンシャルを感じさせてくれたファンタジーMMORPG「World of Warcraft」。2本まとめて紹介しよう。


■ ついに完成! ユニークなRPG風シングルプレイキャンペーンが魅力
~「Warcraft III:Reign of Chaos」

充実したシングルプレイキャンペーン。細部に至るまで良く描き込まれたビジュアルがプレーヤーを魅了してくれる
 発売を今夏に控えた「Warcraft III:Reign of Chaos」は、ほぼ完成したバージョンを出展。βテストのレベルから、またさらに細部のディテールが向上し、ソフトウェア界の巨人Microsoftが総力を挙げてプロモーション展開する最強のライバル「Age of Mythology」を強力に牽制していた。ここまでハイレベルな戦いになるとどちらが一方よりどう優れているといった話はもうまったく無意味で、「RTSファンはどちらもプレイしよう」としか書きようがない。

 さて、最後の出展となる今年のE3では、βテストでは謎に包まれていたシングルプレイキャンペーンを初公開。ブースではHuman AllianceとOrcish Hordeの2種族をプレイアブルで出展していた。「Warcraft III」のシングルプレイキャンペーンは、各種族ごとに別の内容が用意され、全4種族それぞれ8本のステージから構成される。各ステージの間には、高精細なプログラマブルムービーが流され、マルチプレイやマニュアルではわからないバックグラウンドストーリーが展開していく。これら4本のキャンペーンの総和が、「World of Warcraft」のプロローグへと直接結びついていく。すなわち、「World of Warcraft」のバックグランドを理解するためには、「Warcraft III」のシングルプレイキャンペーンのクリアが必要不可欠なわけだ。

 最初に見たHumanキャンペーンでは、家が建ち並ぶ街からスタートする。街道や畑には人々がたむろし、プレーヤー一行が通過すると話しかけてくる。そして場合によってはメインクエストとは別のサブクエストを受けられることもある。これはOptional Questといって、必ずしも受ける必要はないが、クエストを実行することでヒーローのレベルが上げられるほか、アイテムも入手できるなど各種の恩恵が受けられる。クエストの内容は、街を荒らす悪者の一掃など、リアルタイムストラテジーの醍醐味を活かした内容のものが多く、マップ全域にさまざまなクエストが張り巡らせてあるといった感じだ。

 キャンペーンに関してはヒーローの持ち越しが可能で、ステージごとに使うヒーローは変わり、1人の場合もあれば複数の場合もあるという。いずれにしてもキャンペーンにはすべてのヒーローが登場し、敵キャラに関してはキャンペーンのみのオリジナルキャラも多数登場するというから楽しみだ。

 シングルプレイモードはキャンペーンのほか、チュートリアルも用意され、キャンペーンの難易度は3段階で調整でき、キャンペーン途中で難易度を変えることも可能など、初心者対策も万全の印象。「World of Warcraft」に直接繋がる「Warcraft III」のバックグラウンドストーリーが理解できるシングルプレイキャンペーン。これはプレイするしかないだろう。

【Warcraft III:Reign of Chaos】
シングルプレイキャンペーンはユニットを新しく生産できないステージも多く、ヒーローの特殊能力のこまめな利用が重要。クエスト内容は、ゲーム中いつでもポップアップで確認できる


■ 新種族「Dwarf」登場、順調に開発進行中! でも発売は数年先!!
~「World of Warcraft」

Humanは肉体的な限界からスペルキャスター系が多くなりそう。彼ら専用のマジックウェポンも豊富に用意され、肉弾戦も一応可能。その姿は魔法使いというよりD&Dのサイオニシストに近い。とにかくしびれる格好良さだ
こちらはちょっとレアなDwarfのスペルキャスター。このモーションの格好良さ、豊かな白髪の髭を蓄えたDwarfの渋さを見よ!
 昨年のECTSで初公開された、WarcraftワールドをモチーフにしたファンタジーMMORPG「World of Warcraft」。発売は2年先、3年先ともいわれるこの超大作が、今回のE3で初めてプレイアブル出展された。その注目度の高さは発売を目前に控えた「Warcraft III」をも上回る勢いで、完成度もECTSレベルに比べ格段に向上し、順調な開発状況をアピールしていた。

 しかしながら、同社は同作を「Warcraft III」がリリースされBattle.netが大フィーバーするここ1年、2年のうちに発売するつもりはまったくないないようで、本格的な開発はまだまだこれからといった印象だった。この手のタイトルは、細部に触れてもあまり意味はないので、インプレッション中心に紹介していきたい。

 E3バージョンでは、Humans、Taurens、Orcsの3種族に加え、新しくDwarfが公開された。種族の詳細については不明ながら、小さな体の倍ぐらいある巨大なハンマーや斧を抱えて、元気いっぱいにフィールドを駆け回る姿が見られた。また、当初3つ巴だった種族間紛争が、Dwarfの登場によりいったん棚上げされた形になっていたのにも注目したい。最終的にどういった形に仕上がるのか、楽しみなところだ。

 さて、ECTSからの変更点は、Dwarfの登場のほかには、ビジュアルの格段の進化が挙げられる。ECTSレベルでも充分に美しかったグラフィックが、今回早くも強化されていたのには驚きだった。いくつか具体例をあげると、草原地帯には雑草や背の低い照葉樹のほかに、草花を丁寧にブラシ処理で配置し、まるで天界のお花畑のようだった。海岸線には、波に打ち上げられた貝殻類が細かく描かれ、実に自然で美しい。灯台の光にはダイナミックライティング処理が施され、まわりの山脈や大木を鮮やかに光と陰の陰影で染め上げていた。

 システムに関しては、今回初めて大規模な建物やダンジョンの内部を見ることができた。その入る際にも読み込みは一切発生せず、全編シームレスに繋がっている。デモプレイ中、Dead Mineと名付けられた廃坑に入るシーンがあり、細木で支えられた天井の低い廃坑の雰囲気が抜群だった。廃坑は当然のことながら岸壁をくりぬいて作られており、そのでこぼこした造型具合や、中で幾重にも支線を延ばしたまるで迷路のようなつくりが非常に素晴らしかった。なお、支線の奥には宝箱やボスキャラがいたりするなど、そのあたりの仕様はきっちりMMORPGだ。

 あと気づいたのは、他のMMORPGでは一般的になっているキャラの頭に名前の表示がなかったこと。キャラをクリックして初めて名前が頭に表示され、雰囲気を損なうことなくファンタジー世界を満喫できる。ちなみにクリックした際に、名前のカラーがグリーンだと正常の関係、赤だと敵、黄色だと商人ということだ。また、Humanが住むとある街の中心部に「Warcraft III」のTownCenter(街の中心)が建てられていた。「Warcraft III」のTown Centerは、ある程度ディフォルメ化され、俯瞰から眺める形だが、「World of Warcraft」のそれはもちろん内部に入ることができ、人々に話しかけて街のさまざまな機能(詳細は不明)を利用できる。「何はともあれまずはWarcraft IIIをたっぷり楽しんでくれ」。Blizzardはそういっているように感じた。

【World of Warcraft】
対人戦はまだ見ることができなかった。モンスターとの戦闘シーンはかなりバリエーション豊かになっており、とにかくクイックなレスポンスが印象的。このあたりスクウェアの「ファイナルファンタジーXI」とは対照的だ

□Blizzard Entertainmentのホームページ
http://www.blizzard.com/
□Vivendi Universal Gamesのホームページ
http://www.vugames.com/

(2002年5月27日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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