Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

任天堂の誇る巨人達をラインナップしたE3出展作を公開
「マリオ」と「ゼルダ」は宮本氏がみずからデモプレイ

5月21日(現地時間)

会場:Biltmore Hotel

 E3開幕を翌日に控え、任天堂の米国法人「Nintendo of America(NOA)」のメディア向けブリーフィングが、昨年と同じBiltmore Hotelで開催された。メディア向けとはいえ、Xbox、プレイステーション 2という他のコンソールのブリーフィングに比べて、来場者の熱狂度が優に1ランクは高いのが特徴。昨年と同様に、メトロイド、マリオ、そしてゼルダという人気キャラクタがスクリーンに登場するたび、歓声が飛び交う活気あふれるブリーフィングとなった。


■ 注目の「スーパーマリオサンシャイン」と「ゼルダの伝説」を公開

ワイヤレスコントローラ「WaveBird(ウェーブバード)」を手にして登場した任天堂の宮本茂情報開発本部長
 言わずもがなではあるが、今回のE3におけるNintendo of America(以下、NOA)の出展タイトルで最も注目されているのが「Super Mario Sunshine」と「The Legend of Zelda」という、宮本茂氏が手がける2タイトルであることは間違いない。その宮本氏は、ブリーフィングの中盤にワイヤレスコントローラ「WaveBird(ウェーブバード)」を手にして会場の後方から登場した。ステージに向かう間もスクリーン上の「マリオ」を操作しながらの登壇となった。

 「スーパーマリオサンシャイン(Super Mario Sunshine)」のデモプレイは、そのまま宮本氏が行なった。背中の「ポンプ(仮称)」とジャンプで、自由自在にマリオを操る。ポンプは、今回の目的のひとつでもある島の汚れをキレイにする用途のほかにマリオ自身の移動にも使えるようで、水流を使って宙に飛び上がったりホバリングしてみたり、池に浮かんだ大きな葉の上に乗った時は、水平に噴射して葉ごと動かすなど推進装置のような使い方もされていた。また、腹這いで島の汚れにのってしまったマリオが起きあがると服が汚れているなどハイスペック機ならではの要素も多分に含まれているようである。

 宮本氏によれば、世界の広さとしては前作にあたるニンテンドウ64対応の「スーパーマリオ64」とほぼ同等だが、マリオができることが格段に増えている(自由度が高い、アクションが多い)ので、プレーヤーにとってのゲームの規模は何倍にも大きく感じるという。

 続いて「今日は皆さんがいつも話題にしてくれる僕の小さな友だちも紹介します」とコメントして「ゼルダの伝説(The Legend of Zelda)」のビデオ映像を公開。さらにデモプレイを披露した。映像では、トゥーンシェーディングされたリンクが、段差を乗り越えるときに「よっ!」というように小さな声を上げるたび、会場内でも小さなどよめきがあがった。宮本氏のプレイはタイマツを使った謎解きや、戦闘、樽の移動などをコメントを交えながら行なわれたが、うっかり先に進むために必要な剣を取るのを忘れてしまったようで、「ホントはここで剣をとらなくちゃいけないんですけど、見あたりませんねぇ」と苦笑混じりにデモプレイの終了となった。

 なお米国における「Super Mario Sunshine」の発売日は8月26日(日本国内はすでに7月19日と発表済み)、「The Legend of Zelda」は、2003年の2月を予定しているという(日本では2002年後半)。米国での価格はいずれも49.95ドルで、国内価格は6,800円となっている。

 なおこれら2タイトルは、展示会場の任天堂ブースがオープン次第、実際にプレイをしてインプレッションを掲載する予定である。

【スーパーマリオサンシャイン (Super Mario Sunshine) 】
【ゼルダの伝説 (The Legend of Zelda) 】


■ オンラインゲームは「コネクティビティの一形態に過ぎない」

岩田氏はコネクティビティの楽しさを強調するとともに、オンラインゲームはその一形態に過ぎないと、過熱するオンラインゲーム指向を懸念した
 任天堂の取締役経営企画室室長である岩田聡氏からは、同社の考える「繋がる楽しさ = コネクティビティ(Connectivity)」についての説明があった。日本市場における「どうぶつの森+」の成功例などを交えながら、オンラインゲームを含めた、コネクティビティに対する同社の認識を改めて解説している。

 同氏によれば「ここしばらくは“繋がる”ということにおいて、その一形態についてだけ熱心に話されていると思っている。それはオンラインというテーマだ。任天堂としても可能性があるという点には同感する」とのこと。そのうえで、初代ファミコン向けのモデムを'88年から提供するなど、14年ものあいださまざまなアプローチを続けていることを例にあげ、大きな課題を乗り越える努力を惜しまなかったと述べた。

 その大きな課題のひとつは「オンラインは、今すぐ誰にでもゲームを楽しめる環境にあるのかということ」。そしてもうひとつが、「実際に利益が出せるものなのか」ということになる。先日発表のあったとおり、任天堂はゲームキューブ向けにブロードバンドアダプタとモデムアダプタを発売。サードパーティのオンラインゲーム開発のサポートを開始した。サードパーティが発売するソフトで、オンラインから得られる利益については、ライセンス料をとらない方針にするという。

 しかし、一部のゲーマーにしか手の届かないところにあるオンラインより、すべてのゲーマーに手の届くコネクティビティを優先するという姿勢は崩さない。昨年はその概念だけを説明したが、今年「どうぶつの森+」というソフトでその成果を紹介した。今後はセガ、スクウェアからこうしたコネクティビティを持つソフトが登場し、さらにElectoronic Artsから“ハリーポッター”をテーマにした同様のソフトも登場予定という。

 こうしたコネクティビティの楽しさを実証するように、宮本氏が言うところの世界で最も小さいネットワークゲーム、ゲームボーイアドバンス版の「The Legend of Zelda GBA」を使ったデモプレイも披露された。デモプレイに参加したのは宮本氏に加えて、カプコンの岡本吉起氏、アミューズメントビジョンの名越稔洋氏、ナムコの原口洋一氏という面々である。

オンラインゲームのふたつの課題「いますぐ、誰にでもゲームが楽しめるのか?」、「収益性はどうなのか」 オンラインゲームを開発するサードパーティへのサポートのひとつ「オンラインによる収益からは、ライセンス料をとらない」 これから登場するコネクティビティ。傾きセンサーの搭載、GBAのコントローラー化、ゲームキューブからGBAへのダウンロード、Game Eye(プレーヤーのフェイスイメージの取り込み)
宮本氏に加えて、ナムコの原口洋一氏、アミューズメントビジョンの名越稔洋氏、カプコンの岡本吉起氏が「The Legend of Zelda GBA」をプレイ 宮本氏いわく、世界で最も小さいネットワークゲームを4台のゲームボーイアドバンスをリンクケーブルで繋いでプレイ中

 今回こうした形ではあるが、E3のブリーフィングでサードパーティのクリエイターをステージへと招き入れられることは任天堂としては極めて珍しい。このプレイの後、名越氏のコメントとともに「F-ZERO」のビデオ映像が初めて公開された。また同様にサードパーティのタイトルとして、「Resident Evil 0(Biohazzard 0)も、ゲームキューブで動作しているビデオ映像が初めて公開された。

【F-ZERO ビデオ映像】
【Resident Evil 0 ビデオ映像】


■ ハイティーン層にもアピールできる「メトロイド プライム」

北米における任天堂マーケティングの新しい顔、ピーター・マクドゥガル副社長
 ブリーフィング全体を総括していたのは、北米における任天堂のマーケティングの顔でもあったピーター・メイン氏の退任後、マーケティング担当の副社長に就任したピーター・マクドゥガル氏。昨年の2機種におよぶハードウェア発売によるハード中心のマーケティングから、ソフトを中心としたものへとフォーカスを移し、ソフトウェアナンバーワンのシェアを目指すのが今年の戦略になるという。年末までには150本を超えるタイトルが出荷される見込みだ。

 同氏は、今回のラインナップをE3で考え得る最高のものと自賛。すべてが、100万本単位の出荷を期待できる“ゲーム界の巨人達”と表現した。また、今月の上旬に行なわれたナムコとの提携や、トライフォース・ボードの共同開発におけるセガ、ナムコとの関係などサードパーティ各社との関係強化を強調。

 さらに、弱いと言われていたハイティーン層に対象を絞ったファーストパーティのタイトルとして、レトロスタジオの開発による「メトロイド プライム(Metroid Prime)」、レアによる「スターフォックス・アドベンチャー(Star Fox Adventures)」などを投入し、すべてのユーザーを対象に戦略を組み立てていくことになる。

 なおQ&Aセッションでは、重要なセカンドパーティであるレアとの関係が微妙になっているのではないかという質問が出たが「スターフォックス・アドベンチャー」が順調に進んでいることを例にあげ、これを否定した。また、マリオやゼルダと並ぶ、トップキャラクタ「ポケモン」については、ゲームボーイアドバンス版を、日本では2002年後半に、北米では来年に発売を予定しているという従来通りのコメントにとどまり、なんら新しい情報は公開されなかった。

【メトロイド プライム(Metroid Prime)】
【スターフォックス・アドベンチャー(Star Fox Adventure)】

【ゲームキューブタイトル】
1080:White Storm
Mario Party 4
Disney's Magical Mirror:Starring Micky Mouse
Eternal Darkness:Sanny's Requiem
Wario World
【ゲームボーイアドバンスタイトル】
Game & Watch Gallery 4
Metroid Fusion
KIRBY
The Legend of Zelda GBA
GOLDEN SUN : THE LOST AGE
YOSHI'S ISLAND : SUPER MARIO ADVANCE 4

(C) Nintendo

□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/

(2002年5月22日)

[Reported by Reported by 矢作 晃 / Photo by 平澤康寿 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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