Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

Xbox向けオンラインサービス「Xbox Live」の詳細が発表される
北米・日本・欧州で2002年秋に開始予定

2002年5月20日(現地時間)

会場:Los Angeles The Orpheum Theatre

■ Xbox向けオンラインサービスの正式名称は「Xbox Live」

  5月22日のE3 2002開幕に先立ち、米MicrosoftがLos AngelesダウンタウンのThe Orpheum Theatreにおいてプレス向けのカンファレンスを開催した。そして、注目されていたXbox向けのオンラインサービスについての詳細が、Xboxプラットフォーム担当ゼネラルマネージャーのJ Allard氏によって発表された。Xbox向けオンラインサービスの正式名称は「Xbox Live」で、北米、日本、欧州において2002年秋のサービス開始を予定している。

 Xbox Liveの最大の特徴と言えるのが、常時接続のブロードバンド環境に特化したオンラインサービスという点だ。アナログモデムを利用するような、いわゆるナローバンド環境は完全に切り捨てている。これは、ADSLを中心としたブロードバンド環境が一気に浸透しつつある日本では大きな問題とはならないかもしれないが、アメリカでは日本ほどブロードバンド環境が普及しておらず、かなり思い切った戦略と言える。この点はMicrosoftも認識しているようだが、北米のXboxユーザーの約半数がすでに常時接続のブロードバンド環境に接続しているというデータを根拠に、この戦略でも全く問題がないと言い切っていた。もちろん、ブロードバンド環境を利用することによって、フルスピードでオンラインゲームをプレイできることになり、特にゲーム環境に妥協したくないコアゲーマーにとっては、この選択は大いに歓迎できるだろう。

 Xbox Liveでは、米国ワシントン州のシアトルとトゥクウィラ、東京、ロンドンの世界4カ所にデータセンターが設置され、ユーザー管理や課金システム、ホスティング、ネットワークシステムなど、ネットワークサービスに必要となるシステムを全てMicrosoftが一元管理するという点も特徴のひとつだ。これによって、Xbox Liveにユーザー登録すれば、全てのネットワーク対応ゲームを、ひとつのユーザーID(Xbox LiveのユーザーIDは「ゲーマータグ」と呼ばれる)で利用できるのはもちろん、世界的に統一性の高いオンラインゲーム環境が提供される。Xbox Liveにログインし対戦相手を見つけてプレイするというスタイルが、全てのゲームで、かつ全世界で確立されることになる。

 こういったスタイルを採用しているのは、ユーザーに対しても、ゲームの開発メーカーに対しても、シームレスで統一性があり、操作が簡単なネットワークゲーム環境を提供できるからだ。ユーザーにとっては、ゲームごとに異なるオンラインサービスに登録しなければならなかったり、ゲームごとに異なるユーザーIDを利用しなければならない、といった作業から解放される。また開発メーカーにとっては、開発したオンラインゲーム専用のサーバーを用意したり、ユーザー管理、課金システムの構築や維持、といった作業から解放される。ユーザーはゲームの違いを意識することなく簡単にオンラインゲームを楽しめ、またゲーム開発会社は純粋にオンラインゲームの開発に集中できることになるわけで、ユーザーやメーカー双方にとってメリットのあるシステムと言えるだろう。

 Xbox Liveで提供されるサービスとしては、単にオンラインゲームを楽しめるだけではなく、Xbox内蔵ハードディスクへのコンテンツダウンロードサービスも当然提供されることになっている。その多くは、ゲームの追加シナリオや追加キャラクタなどが中心になると思われるが、それ以外にも様々なコンテンツサービスの提供が期待できる。

 ところで、Xbox Liveでのユーザー間のコミュニケーションは、基本的に「Xboxボイスコミュニケータ」を利用した音声チャットによって行なわれることになる。全てのオンライン対応ゲームがXboxボイスコミュニケータ対応となり、音声チャットによってオンラインプレイが可能となるそうだ。Xboxボイスコミュニケータ自体は、当初より周辺機器としてラインアップされていたが、今回ようやく具体的な利用方法が示されることになったわけだ。

 ちなみにXboxボイスコミュニケータは、Xbox Live開始時期に提供が予定されているスターターキットに同梱される。北米地区で発売されるスターターキットには、このXboxボイスコミュニケータに加え、1年間のXbox Liveの利用料(おそらくネットワークシステムの利用料で、オンラインゲームの利用料は含まれないものと思われる)と、オンライン・レーシングゲーム「ReVolt」がセットとなり、49.95ドルで発売されるそうだ。日本で発売されるスターターキットの詳細についてはまだ発表されていないが、このスターターキットの価格は基本的にソフト1本分を基準としているそうで、日本ではおそらく6,800円程度の価格で発売されることになるだろう。また、セットになるオンラインゲームについても、日本では変更される可能性が高いと思われる。

 Xbox Liveのサービス開始時期は今年の秋が予定されているが、夏頃より北米・日本・欧州を対象として、10万人規模のベータテストが実施される。今回カンファレンスが行なわれた会場にはベータテストの登録用端末が用意され、登録可能だった。おそらく今後Xboxオフィシャルサイト上でもベータテストの登録が可能になると思われるため、興味のある人はXboxオフィシャルサイトをこまめにチェックしておこう。また、今回のカンファレンスでは、利用料金などに関する詳細な情報は公表されなかったが、このあたりはE3開幕後に取材を通して、できる限り解明していきたいと思う。

Xboxプラットフォーム担当ゼネラルマネージャーのJ Allard氏。オンラインサービス「Xbox Live」は2002年秋にサービス開始予定と発表した 会場で流された、Xbox Liveを利用したネットワークゲームのデモ映像。NFL Feverを、2,200マイル離れた場所にいる人とプレイしている様子だ
中裕司氏やPeter Molyneux氏など、世界的に有名なゲームクリエイターたちがXbox Liveの優位性についてコメントするビデオが流された。クリエイターにとってもXbox Liveに魅力を感じる部分がかなり多いようだ
北米向けのXbox Liveスターターキットは、Xboxボイスコミュニケータとオンライン・レーシングゲーム「ReVolt」がセットになり、1年間のXbox Live利用料も含まれて49.95ドルで発売される予定 Xboxボイスコミュニケータは、Xbox Live対応ソフトの全てで利用可能となり、音声チャットでユーザー間のコミュニケーションが取れる(写真は昨年の東京ゲームショウ2001秋のもの)
会場に設置されていた、Xbox Liveのベータテスト登録用端末。今後はXboxオフィシャルサイトでも登録が可能になると思われる。ベータテストは今年夏に日本も含め10万人規模で行なわれる予定 カンファレンスの会場となった、ロサンゼルスのダウンタウンに位置するThe Orpheum Theatre。アメリカでのXbox人気を反映してか、会場は大勢の人で溢れ、非常に熱気に溢れていた 会場の外には、内部にXbox試遊機が設置されたり、新作ゲームの画像がプリントされたSRVが多数横付けされていた

■ 年内に発売されるXbox Live対応タイトルは6タイトル

 今回発表されたXbox Live対応予定タイトルのうち、Xbox Liveローンチタイトルとして予定されているものは下に示した計6タイトルだ(リリース資料では5タイトルだが、発表会では6タイトルが紹介された)。また、これら以外に、すでに60以上のゲーム開発メーカーがXbox Live対応ゲームの開発を決定し、さらに2003年末までに少なくとも50以上のXbox Live対応ゲームの発売が予定されている。主なXbox Live対応ゲームも下に示したとおりだが、「ファンタシースターオンライン」や「Star Wars Galaxies」、「HALO」の次回作など、日本でもヒットが期待できるタイトルがいくつか見受けられる。

 ただ、現時点でのXbox Live対応ソフトは、やはり北米向けのものが中心で、日本市場で受け入れられるものはかなり少ないように感じられた。今回のカンファレンス冒頭に、Microsoftのゲーム事業担当上級副社長兼Chief Xbox OfficerのRobbie Bach氏が、「日本市場は非常に大変だと考えていたがその通りだった。日本では“忍耐が美徳だ”と言われているが、まさにその通りだ」とコメントし、会場の笑いを誘っていたが、今回発表されたXbox Live対応タイトルを見る限りでは、ネットワークゲームに関しても同様の忍耐を味わうことになるかもしれない。日本市場に受け入れられるタイトルを数多くそろえることができない限り、日本においてXboxが置かれている現状を打破することは難しいだろう。

 とは言っても、これからはオンラインゲームが家庭用ゲーム機のトレンドとなっていくことは間違いなく、そうなると、Xbox Liveのシステム自体は他の家庭用ゲーム機に十分勝る部分となってくるはず。そうなると、あとは魅力的なオンラインゲームをどれだけそろえられるかにかかってくる。そして、その対応によっては、日本でもXboxが一気にブレイクする可能性は十分に出てくる。もちろん、Microsoft自体も日本市場をあきらめたわけではないはずだ。そういった意味では、Microsoftの今後の奮起を期待したいところである。

○現在予定されているXbox Live対応ローンチタイトル

  • Unreal Championship (Infograms)
  • Phantasy Star Online (Sega of America, Inc)
  • MechAssult (Microsoft Game Studios)
  • Whacked! (Microsoft Game Studios)
  • NFL Fever 2003 (Microsoft Game Studios)
  • Midtown Madness 3 (Microsoft Game Studios)
Unreal Championship (Infograms) MechAssult (Microsoft Game Studios) Whacked! (Microsoft Game Studios)
NFL Fever 2003 (Microsoft Game Studios) Midtown Madness 3 (Microsoft Game Studios)

○2003年末までに発売予定の主なXbox Live対応タイトル

  • Shaun Palmer's Pro Snowboarder 2 (Activision, Inc.)
  • Tom Clancy's Ghost Recon (Ubi Soft)
  • Tom Clancy's Six Ravenshield (Ubi Soft)
  • XIII (Ubi Soft)
  • Sega Sports NFL 2K3 (Sega of America, Inc)
  • Sega Sports NBA 2K3 (Sega of America, Inc)
  • Star Wars Galaxies (LucasArts Entertainment Company)
  • Counterstrike (Value Software , Microsoft Game Studios)
  • HALO次回作
  • RalliSport Challenge次回作
  • Amped次回作
  • Project Gotham Racing次回作
□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/

(2002年5月20日)

[Reported by 平澤寿康 photo by 矢作 晃 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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