ナムコ、家庭用ゲームソフト事業で任天堂と業務提携 「スターフォックス」の新作はナムコと共同開発
5月8日 発表
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「スターフォックス」シリーズの最新作はナムコと共同制作となる (C)NINTENDO |
株式会社ナムコと任天堂株式会社はニンテンドーゲームキューブ用のソフトの制作および販売に関して業務提携を行なうと発表した。
主な内容は3点。ひとつはナムコが今後「ミスタードリラーシリーズ」、「テイルズシリーズ」など新作を続々とゲームキューブ、ゲームボーイアドバンス向けに制作していく。ふたつめは「スターフォックス」シリーズ最新作をナムコと共同で開発する。三点目は10月以降にナムコから発売されるゲームキューブ、ゲームボーイアドバンス用ソフトはナムコからの委託に基づき任天堂が販売を行なう。
発表会場では、ナムコの中村雅哉会長と任天堂の山内溥会長の共同メッセージとして「これまで長い間、ナムコと任天堂はゲーム業界を牽引してきた。今回タッグを組むことで業界が活性化すればとおもう。これらの作品は日本の日本の文化、財産となるでしょう。これから生み出されるエンターテイメントの世界にご期待下さい」と発表された。これまでライバルとして競い合ってきた両社トップの共同声明は、ひとつの転換期を迎えていることを感じさせる。
発表会の壇上に立ったナムコの常務執行役員CTカンパニープレジデントの原口洋一氏は、ゲームキューブについて「コンパクトなハードのデザインからストレスを感じさせないロード時間、そしてソフト開発が簡単に行なえるような随所の工夫がなされている」など絶賛。今回の「スターフォックス」の共同開発にいたる経過については「昨年から本格的にゲームキューブ用ソフトの開発に入ったが、技術交流を繰り返すうちにどちらともなく共同開発を行なおうという話になった」と説明した。
また原口氏は今後予定されているゲームキューブ、ゲームボーイアドバンス用ソフトを一挙に紹介した。
【ニンテンドーゲームキューブ用ソフト】
- 新ミスタードリラー (タイトル未定)
2002年11月発売予定
地面をどんどん掘り進んでいくアクションパズルシリーズの最新作。ドリラーの世界がテーマパークとなって、さまざまなアトラクションやイベントが起こるのだという。
- ソウルキャリバーII (仮称)
2003年1月発売予定
ワールドワイドで270万枚販売した武器格闘「ソウル」シリーズの最新作
- 3Dレースゲーム (タイトル未定)
2003年3月発売予定
「リッジシリーズ」の進化形となる作品。シリーズで初めて実車を使用する
- スターフォックス (仮称)
2003年4月発売予定
任天堂の人気キャラクタ「スターフォックス」が登場するシューティングアドベンチャー。任天堂とナムコの共同開発となる。業務用基板「トライフォース」への展開も検討中
- テイルズシリーズ (タイトル未定)
2003年7月発売予定
人気RPGシリーズ「テイルズ」シリーズ最新作。「デスティニー」シリーズの最新作はプレイステーションプラットフォームで発売される予定。「ファンタジア」を受け継いだ作品となる予定
- 新RPG (タイトル未定)
2003年12月発売予定
まったく新しいシリーズとして制作される本格ファンタジーRPG大作。壮大な自然環境描写と新しいバトルシステム、多彩なキャラクタ……といった断片的な情報しか公開されていない。ゲームキューブでしか発売されない予定。原口氏によれば「『テイルズ』、『ゼノサーガ』につづくRPGシリーズとして育てていきたい」という
【ゲームボーイアドバンス用ソフト】
- ファミリーテニスアドバンス
2002年6月14日発売予定
最大4人まで参加できる「エキビジョン」モードなどを搭載したテニスゲーム
- ファミスタアドバンス
2002年6月28日発売予定
オリジナル選手を育成する「分身くん」モードや1カートリッジ対戦の「ファミスタ盤」モードなどを搭載した野球ゲーム
- ミスタードリラーエース ふしぎなパクテリア
2002年8月発売予定
発掘の楽しみや謎の生命体「パクテリア」の育成など新要素を収録。ゲームキューブ版の「新ミスタードリラー (タイトル未定)」と連動を予定している
- 風のクロノアG2
2002年8月発売予定
アクションパズル「風のクロノア」シリーズの最新作
- テイルズオブザワールド なりきりダンジョンII
2002年10月発売予定
「テイルズ」の「なりきりダンジョン」シリーズ第2弾。コスプレRPG
- 風のクロノア アクションRPG (タイトル未定)
2002年11月発売予定
シリーズ初のRPG
- ことばのパズル もじぴったん (仮称)
2002年12月発売予定
アーケードで稼働中のこれまでにないパズルゲーム
- テイルズオブファンタジア
2002年12月発売予定
「テイルズ」シリーズ第1作をゲームボーイアドバンスに移植。スーパーファミコン版をベースに追加シナリオやおまけモードを収録
【「テイルズシリーズ (タイトル未定)」スクリーンショット】 |
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会場で公開されたニンテンドーゲームキューブ用の「テイルズシリーズ (タイトル未定)」の映像。暖かみのある雰囲気に仕上がっている。砂漠や海、坑道、雪が舞い散る冬の街中などどういったストーリーが展開されるのか楽しみな1作だ |
【「ミスタードリラー」スクリーンショット】 |
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左の写真がニンテンドーゲームキューブ用「新ミスタードリラー (タイトル未定)」、真ん中と右の写真がゲームボーイアドバンス用「ミスタードリラーエース」。両方のゲームはリンクさせるのだという |
続いて壇上に立ったのはナムコで「エースコンバット」シリーズの制作を手がけてきたCTカンパニープロデューサー塩澤敦氏。同氏は「これまで『エースコンバット』シリーズでリアリティを追求してきた。今後もリアリティの追求は続けるつもりだが、それゆえにやりたくてもできないことがたくさんでてきた。たとえば、戦闘機と列車で競争したり、戦闘機に人が立ち向かっていくといったアクションの面白さを表現できなかった。そのたびに『スターフォックス』みたいなことができたらなぁと思っていた」とゲーム制作者としての想いを語った。
そんな中、「エースコンバット」の世界観にスターフォックスを登場させてみてはどうかといった提案を行なったところ、任天堂側が快諾。トントン拍子にここまで話が進んだのだという。塩澤氏は「快活なアクション映画のようなシューティングゲームに仕上げたい」と抱負を語った。
この挨拶を受ける形で壇上にあがったのが、任天堂の取締役で情報開発本部長の宮本茂氏。宮本氏は「我々がシミュレーションを作るときは“テレビを見ているような”シミュレーションを制作しようとするが、なかなか難しい。リアリティを追求すれば受け入れる側を狭めてしまうし、逆にすればリアリティを求める人が満足しない。我々は『エースコンバット』のリアルに憧れていた」と応えた。宮本氏はナムコの印象について「ライバルとして競い合ったり、『パックマン』にはまったり……いろいろあった。ある時などは任天堂を辞めてナムコに行けないかと考えたことがある」と笑いながら語っていた。
「スターフォックス (仮称)」に関しては、セガが「F-ZERO」を手がけるようにトライフォースでの展開を含めたところで話が進んでいる。宮本茂氏は「アーケードで『スターフォックス』のドッグファイトが楽しめるのかと思うとワクワクする」とコメントしている。
一方、ナムコの塩澤氏は「任天堂と仕事をすることで、子供から大人まで家族で楽しめるゲーム作りのノウハウを身につけたい」と任天堂とのコラボレーションでの成果を期待していた。宮本茂氏は「ゲームが好きな人にとって喜んでもらえるプロジェクトになって欲しい」とコメント。ちなみに「F-ZERO」、「スターフォックス」とコラボレーションが続くが、宮本氏によればこのほかのプランも現在進行中なのだという。
「スターフォックス」の制作の役割分担は、任天堂からキャラクタなどが出され、ナムコがシステムやエンジンを制作することになる。
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ナムコの常務執行役員CTカンパニープレジデントの原口洋一氏。「非常に開発しやすいハードウェア」とゲームキューブを絶賛 |
「エースコンバット」シリーズの制作を手がけてきたCTカンパニープロデューサー塩澤敦氏。「リアルを追求してきたが、これまでできなかったことに挑戦したい」と熱く語った |
任天堂の取締役で、情報開発本部長の宮本茂氏。他社とのコラボレーションについて「チームを信頼しておまかせする。ビジネスは後からついてくる」と
作品中心であることを強調 |
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ナムコの塩澤氏と共に壇上に立つ宮本氏。塩澤氏は「ゲーム史における事件だ」とコメント |
左は任天堂の取締役で業務本部長の波多野信治氏。「ナムコのソフトはクオリティが高い。それを販売することは意義のあることだ」 |
「スターフォックスGC」というロゴだけがプロジェクターに映し出された |
(C) NAMCO LTD.
□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□ニュースリリース (PDF形式)
http://www.namco.co.jp/home/pr/2002b/48-006.pdf
□関連情報
【4月22日】ナムコ、戦略発表会を開催。全領域でネットワークゲームを推進
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020422/namco.htm
(2002年5月8日)
[Reported by 船津稔]
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