コーエーが贈る2大ネットワークゲームの全貌を探る
「信長の野望 Online」、「三國志 Battlefield」詳報

4月17日発表

 ついにベールを脱いだコーエーの2大ネットワークゲーム「信長の野望 Online」と「三國志 Battlefield」。本稿では、発表会で判明したゲーム概要をざっくりご紹介する。ただし、ネットワークゲームはその性質上、発表からβテストを経て発売までにたびたび姿を変えるため、以下に紹介する内容はすべて今後変更される可能性があることをあらかじめご了承いただきたい。


■ さまざまな視点から戦国時代を仮想体験できる新「信長ワールド」
~「信長の野望 Online」

 今回の発表でもっとも注目を集めたのは同社初のMMORPG(Massive Multiplay Online RPG)「信長の野望 Online」だ。ゲームシティが提供する3,000人が同時接続可能なサーバーを利用して、16世紀の戦国日本をモチーフとした仮想世界でもうひとつの人生を楽しむオンラインRPGである。発売時期は秋を予定し、夏頃にオープンβテストを予定している。

 ゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウ氏の紹介を受けて、盛大な拍手で迎えられたプロデューサー松原氏は、「信長の野望 Online」最大の特色について「仮想戦国世界でもうひとつの人生を楽しむ」ことにあるとコメントした。舞台は人々が行き交う「城下町」、豊かな自然に囲まれた「フィールド」、魔物が生息する「ダンジョン」、勢力同士が合戦を繰り広げる「合戦場」の4つから構成され、世界全体の大きさは甲信越、東北、北陸、近畿地域の21カ国(14大名)。サービス運営後に徐々に国を広げ、最終的には日本全国をサポートするという。

 プレーヤーが就ける職業は、侍、僧侶、神主、陰陽師、忍者、鍛冶屋、薬師(くすし)の7種類。職業によってまったく違った生活を送ることができるという。たとえば、侍なら地元勢力に仕官し、武功を立てて立身出世を目指したり、浪人として日本全土を巡り、莫大な富やアイテムを得ることも可能。あるいは、仮想戦国時代の裏世界である魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界を解き明かすといったプレイスタイルも可能という。

 そこで重要になるのが「徒党」というパーティーシステム。徒党は一度限りのグループシステムではなく、「Ultima Online」におけるギルドに近い要素で、情報をサーバー側に記録でき、必要な時に仲間を呼び出して徒党を組むことができる。また、たびたび徒党を組んで仲間との相性を高め、親密度を増すことにより、特殊攻撃が可能になったり、異なるイベントが発生したりするという。

 戦闘シーンはリアルタイムに処理され、独自のカメラワークによるドラマティックなバトルを楽しめるという。発表会で上映されたゲーム映像では、徒党の戦闘シーンで戦闘の途中でいきなり陰陽師らしき女性にカメラがフォーカスし、彼女の詠唱と同時にカメラ視点が敵に移り、敵が業火の炎に焼き尽くされるところが見られた。

 戦闘システムとカメラシステムの詳細は不明ながら、これがたびたび繰り返されるとうるさそうな印象がした。たとえば、私がその徒党に加わっている忍者なら、そのシーンを眺める変わりに敵をひとりでも倒したい。これは慣れの問題か、それともこれが新しいムーブメントになるのか。ともあれ、戦闘システムについてはβテスト終了まで待つ必要がありそうだ。

 さて、「『信長の野望 Online』では、リアルタイムで情勢が変化する。たとえば、日々行なわれる大名同士の合戦により、勢力図が大きく変わり、その結果そこで生活を送る住民たちにも大きな影響を及ぼすという。具体的には明らかにされなかったが、侍のプレーヤーはそれが立身出世の足がかりとなり、鍛冶屋や薬師のプレーヤーは、城下町により多くの人々が訪れて繁盛するといったことになるのだろうか。

 松原氏はこの点について、「信長の野望 Online」はRPGだが、シミュレーションゲームの要素も取り入れている」という。これはつまり、太閤秀吉のように時流に乗ってぐんぐん立身出世できたり、まじめに働いているのにどうも不幸が続くといった、人々の幸不幸も人生のひとこまとして描くということなのだろう。これは実に楽しみな要素だ。

 なお、発表会で流された映像は、侍のプレーヤーが尾張那古野の城下町からスタートし、街ゆく人々と交流を結び、徒党を組んでダンジョンへ行き、そこで戦闘を行なうといった内容だった。まだ城下町からダンジョンまでシームレスに繋がったものではなく、ダイジェスト版だったが、城下町の活気具合やフィールドの雰囲気は正真正銘の日本の戦国時代で、ぐいぐい引き込まれてしまった。

 その一方で、念仏か何かの読経が聞こえ、ダンジョンに巣くうおぞましさ満点のモンスターなど、日本史の闇をえぐるような描写も気になった。「信長の野望」シリーズが欧米市場から撤退してすでに久しいが、ニンジャ、サムライ、オンミョージが大好きな欧米人にも受けそうな作品といえそうだ。

左から順番に城下町、フィールド、ダンジョン。城下町にはPC(Player Character)のほか、各種アイテムを売ったり、生活を送ったりするNPC(Non Player Character)などで賑わっている。ちなみに彼ら7人組の徒党の名前は「無双の七本槍」というらしい

戦闘シーンの様子。まだ戦闘中のメニューなどは表示されていない。標準で高いグラフィック処理能力を誇るプレイステーション 2ならではの派手な戦闘シーンになりそうだ


■ 日本、韓国、台湾で同時展開する“大規模な”リアルタイムストラテジー
~「三國志 Battlefield」

 「三國志 Battlefield」は、日本、韓国、台湾の東アジア3カ国で同時リリースされるWindows向けのネットワークゲーム。プレーヤーは三國志時代における君主や太守となり、遙か彼方に割拠する他のユーザーを軍事的に粉砕することを目的としたリアルタイムストラテジーだ。最終目的は中国全土の統一にある。発売時期は夏を予定し、7月中旬よりオープンβテストが開始される予定となっている。

 発表会では、オープニングムービーとして使用されるらしい大規模な合戦シーンを豪壮に描いたプリレンダームービーが流され、同作プロデューサーの上野氏によるゲーム説明とゲーム映像の紹介があった。グラフィックはマシンに対する負担を減らすためか2Dを採用。パッと見では、「信長の野望 嵐世紀」の合戦シーンに近い印象だった。

 「三國志 Battlefield」がウリとしているのは、先に挙げた3カ国同時展開による国際大会の開催とActive Logistics Control Engine(動的兵站制御エンジン)と名付けられた新しい兵站システム、そして最大8人というデファクトスタンダードを軽々とぶち破る多人数プレイの3つに集約される。以下、それぞれの概要について紹介しよう。

 3カ国同時展開は、「三國志」シリーズが東アジア方面で高い人気を誇り、同時に韓国と台湾がネットワークゲーム先進国であることから実現した同社初の試み。各国の成績上位者による国際大会を定期的に行なっていくという。といっても、多国籍用のロビーが常時用意されるわけではなく、通常は自国ユーザー同士での対戦となるということだ。

 ちなみにゲームクライアントは多国語対応となっており、簡易メッセージ機能を利用すれば、自国語を使ったコミュニケーションも可能。各国での売り上げやユーザーの要望次第では3カ国のユーザーが利用できるロビーが開設される可能性は十分にある。

 Active Logistics Control Engineは、内政の簡略化、兵站概念の実装、それによる戦術に深化という3つの要素を同時に実現するシステムの名称。内政を簡略化する一方で、戦術、妖術、行軍術、水軍術、兵器術といった各種テクノロジーを開発する「太学(だいがく)」システムを搭載。「三國志 Battlefield」はテクノロジーの研究開発によるバラエティに富んだ戦闘を楽しむゲームになりそうだ。

 最後の多人数プレイについてはまだ未知数の部分が多い。「三國志 Battlefield」には、中国全土を舞台にした「三国鼎立」のような長期決戦マップと、「官渡の戦い」のような局所的な戦闘を扱った短期決戦マップの2種類を用意するという。この考え方は同社の「三國志 Internet」と同じで、基本的には「三國志 Battlefield」は、「三國志 Internet」をRTS化したスーパーバージョンと見ていい。

 そこで気になるのが最大参加人数で、正式発表はまだながら、予定では20人以上を目指しているというから凄い。プレイ時間は、短期決戦マップが1ゲームあたり30分程度、長期決戦マップで2~3時間程度。最終的にどうなるのかは未定だが、大いに期待したいところだ。

 なお、ゲームサーバーは引き続きゲームシティが担当する。アカウント、ロビー、イベント、課金などの管理のほか、国際大会を運営も行なうということだが、現在サービスが行なわれている「信長の野望 Internet」シリーズ、「三國志 Internet」シリーズが、「三國志 Battlefield」のリリース後どうなるのかについては未定ということだ。また続報が入り次第お伝えしたい。

フィールドと武将たちのビジュアル以外はまだまだ仮のものといった感じのゲーム画面。 「太学(だいがく)」システムの活用が勝敗をわけることになりそうだ。デモムービーでは 軍勢の動きはやけにゆっくりとしていたが、行軍学を研究開発すれば高速で動けたりするようになるのだろうか

オープニングムービーとして使用されるらしいプリレンダームービー。相変わらずクオリティが高い

(C)2002 KOEI Co.,Ltd.

□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「信長の野望 Online」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/nob_online/
□「三國志 Battlefield」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/san_bf/
□「ネットエンターテインメント」
http://www.gamecity.ne.jp/net/
□関連情報
【2002年4月17日】コーエー、ネットワークゲームを強力に推進 PS2「信長の野望 Online」、WIN「三國志 Battlefield」を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020417/koei.htm

(2002年4月17日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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