チュンソフト、怖さの中の美しさを描く「かまいたちの夜2」 |
価格:6,800円
前回の舞台は雪山のペンションだったが、今回の舞台は絶海の孤島「三日月島」とガラリと変わっている。プレーヤーは前回の事件から1年半後に三日月島で起こるわらべ唄にまつわる連続殺人事件を解決していくこととなる。基本システムは変わりないが、雰囲気を盛り上げるため新しい数々の演出が施されている。
チュンソフトの代表取締役、中村光一氏は発表会で「『かまいたちの夜』は一番人気のあった作品で、125万本というセールス記録を持っている。今回、脚本家の我孫子武丸氏の脚本を見てすごいものができ上がってきた。これをすごい映像で実現するのであれば、プレイステーション 2しかないし、ターゲットの年齢層にも合うと考えた」と、PS2で制作したことの経緯を説明。
今回の世界観はかなり“和風”を意識して制作されている。監督を担当した落合信也氏は「“和風”のものを表現しようとすると、どうしてもドロドロしたものになってしまう。それでは面白くないので、スタイリッシュに、シャープに表現した。怖さの中に美しさを表現できたと思う」とコメント。これは公開されたオープニングムービーにも現われていた。オープニングは浜崎あゆみのビデオクリップなどの制作を手がけた武藤眞志氏。幻想的で少しホラー要素が強い仕上がりとなっている。
中村氏は「前作をプレイした人が“2”をプレイしたときに納得するような正常進化した作品にしたかった」ということで、人物は従来どおりシルエットとなっている。ただ、前作のようにぺたっと張り付いているだけではなく、微妙に3D化されており立体的な表現となっている。この3Dと2Dの微妙な融合は背景でも採用されており、建物が3Dで構築されていて、表現方法にうまく取り込まれているシーンなども公開されていた。さらに湖で水が揺らめく場面などでは背景にループムービーが使用されており、リアルで、美しい映像を実現している。
個人的な感想としては、前作が比較的ミステリー、サスペンスと言った要素が前面に押し出されていたが、今回は伝奇的な要素が色濃く、ホラー的な雰囲気が濃くなっている。もちろんこれは断片的な映像からの印象なので多岐に分岐するシナリオの一部だとは思われるが、前作とは多少違った雰囲気となるかもしれない。
【スクリーンショット】 | ||
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ここで公開された画像は比較的明るめの画像が揃っているが、和風ホラーっぽいシーンももちろんたくさん用意されている。人物はやはりシルエットだが、単純にシルエットなだけではなく、ほんの少し立体的になっている |
シナリオを担当した我孫子武丸氏も発表会に出席。我孫子氏は「登場人物は馴染みがあるので変更せず、シチュエーションを変更させることとなった」と舞台が変わったことについて説明。今回脚本を担当したのは一人ではなく、田中啓文氏、牧野修氏の3人で担当している。我孫子氏は「3人でシナリオを作成したことで自分の中にはない伝奇的な要素が引き出されバリエーションが増え、ボリュームも増えている。これが映像と音にも結びついている」と語った。
音楽はテーマ曲 (オープニングとエンディング) を雅楽で有名な東儀秀樹氏が担当。発表会では篳篥 (ひちりき) を使ったライブも行なわれた。東儀氏は「ゲーム音楽は担当したことがなかったので、どれくらいのクオリティがゲーム音楽に必要なのかわからなかったし、全くの未知数だった。ゲームの中で音楽は主役であってはならないと思うので、サブで盛り上げるのも面白いと思ったし、自分の知らない自分を見てみたいと思った」と音楽を引き受けたときの心境を語った。オープニングはかなりおどろおどろしい雰囲気だが、エンディングに流れる曲は一転やさしい雰囲気の曲となる。これは「題材からかなり恐怖感を要求されたが、音楽は最後は人に優しくなくてはならないと思っているので、エンディングはホッと安心できる音楽にしてみた」とコメントした。
このほかにも音楽にパッパラー河合氏が参加していたり、CG制作協力にあの「ガジェット」でマルチメディア世代にはおなじみの庄野晴彦氏が参加しているなど豪華なクリエイター人も魅力的だ。
会場にはソニー・コンピュータエンタテインメントの会長を務める丸山茂雄氏が来場しており、挨拶を行なった。丸山氏は「移植などはあったが、チュンソフトの本当のオリジナル作品は今回が初めてとなるので、大変待ち遠しい作品だった」と同作品を歓迎。「映画や音楽は完成形が見えてくるが、ゲームについては僕には完成形が見えない。これだけのものをまとめた中村氏はすごいと思う。感動した」と絶賛した。
GBA版の「かまいたちの夜~アドバンス~」 |
これらのゲームをクリアすると現われるパスワードを今後公開されるプレミアムサイトで入力することで、マイレージポイントが得られポイントを蓄積することで、特典が得られるという。また、プレミアムサイトではゲームには未収録のストーリーが楽しめたりするという。
「かまいたちの夜」は4月1日から携帯コンテンツとしてもすでに配信中で、J-フォンのJ-SH51ではSDカードにゲームをダウンロードできるという。また、J-K51はステレオサウンドに対応している。これらのコンテンツは月額300円で利用することができる。
ゲームに関連するCD、本などのメディアもこのサイトを中心に繋がっていくという。
さらにチュンソフトは、ネットワークゲームやコミックをFlashで配信していく株式会社ワンクリックを設立。「風来のシレン~月影村の怪物~インターネット版」を4月28日から配信するほか、フラッシュコミックを配信する「Norazo」を4月下旬からスタートさせる。ここでは週間単位でコミックを配信していくのだという。
「風来のシレン~月影村の怪物~インターネット版」は週替わりで新しいダンジョンを楽しめる「今週の穴」や、ダンジョンで力つきても助けてもらえるシステム「風来救助隊」といったシステムが追加されている。
新会社「ワンクリック」のロゴ | Flashで制作されているPC版「かまいたちの夜 FLASH」 |
4月28日からダウンロード販売が開始される予定の「風来のシレン~月影村の怪物~インターネット版」 | ワンクリックのサイトではFlashで制作されたコミックも楽しむことができる |
□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.co.jp/
□「かまいたちの夜2」のページ
http://www.kama2.jp/
(2002年4月3日)
[Reported by 船津稔]
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