GameJam2プラットフォーム別出展作レポート その2

GBA/PC編 子供たちも大満足の良作が盛りだくさん
「グレイテストナイン」、「The Pinball of The Dead」など

3月30日、31日開催

会場:東京国際フォーラム

 GameJam2でプレイステーション 2、ニンテンドーゲームキューブ、Xboxの3大コンソール機以外で、ひときわ目立っていたのがゲームボーイアドバンス向けのゲームソフトだ。今回、発売済みのものを含めGBAだけで8タイトルを出展し、子供を始めとした多くの来場者を集めていた。本稿ではGameJam2で初登場した4タイトルを見ていこう。

 今回、セガのGBAタイトルばかりを集中的にプレイして感じたのは、セガの携帯ゲーム機に対する取り組み方のおもしろさ。具体的には、いくつかのメーカーが行なっている「携帯ゲーム機で遊ぶのに適したライトゲーム」というものはひとつも存在せず、すべて全力で遊べてしまえるタイトルばかりが揃っている。プレイして思わず「PS2やGCで出せばいいのに……」と考えてしまったが、これは金銭的、空間的に余裕のある大人の理屈。

 以下、推測になるが、セガはGBAを携帯ゲーム機とは見ておらず、子供に人気のあるコンソール機といったふうな第4のハードとして捉えているのではないだろうか。実際、会場でもGBAコーナーは子供たちに完全に占拠されており、我々少数の大人どもが試遊している間も、子供たちは「早く終れよー」という攻撃的なオーラを絶えず放っていた。セガはこのエネルギッシュな市場を真剣に考えている。そんな印象がした。


■ ケーブル対戦可能な超本格野球ゲーム
 ~「GREATEST NINE グレイテストナイン」

 粒ぞろいのGBAタイトルの中でも特にイチオシが「GREATEST NINE グレイテストナイン」だ。セガサターンで発売された同名タイトルの最新作で、そっくりそのままの印象でGBAに移植している。GBA版のウリは、通信ケーブルを使用した通信対戦と2002年度データの収録、そして美しいグラフィックとリアルなゲーム性だ。

 ゲームモードは、オープン戦やペナント、トーナメントなどがあり、選手育成モードなどは含んでいない。なによりプレイして驚くのは、セガサターンレベルの野球ゲームをGBAでバキバキにプレイできることだ。インターフェイスもよく考えられていて、バッティングはAボタン押しっぱなしで構え、カーソルでバッティングポイントを動かし、最後にAを離すとスイングするという方式。ピッチングはカーソルキーで球種を定め、Aで投げるだけ。あとはLで走塁、Rで帰塁と、一瞬でマスターできる操作体系だ。

 選手はすべて実名で登場するだけでなく、有名選手についてはバッターボックスに立つ際のクセや投球のモーションなどもアニメーション処理で丁寧に再現しており、プレイ感は上々。ゲーム画面は疑似3Dだが、カーブやスライダーはぐわんと曲がり、ストレートの伸び具合もいい感じだった。発売時期は夏頃で価格は未定となっている。

しっかり遊べる「GREATEST NINE グレイテストナイン」。リアル系の作りなのでバッティング感覚になれるまで時間が掛かる。かと思ったら子供たちはびしばしクリーンヒットを飛ばしていた。恐るべき飲み込みの早さだ

Original Game (C)SEGA CORPORATION
(C)Smilebit/SEGA CORPORATION,2002


■ ゾンビが画面内を暴れ回るホラーアクションピンボール
 ~「The Pinball of The Dead」

 「The Pinball of The Dead」は、ガンシューティングの名作として知られる「The House of The Dead」の世界観をモチーフにしたピンボールゲーム。実在のピンボールをカチッと再現したという雰囲気ではなく、EAの「アドベンチャーピンボール」を彷彿とさせる自由な尺度で描かれた作品だ。

 盤上には大小のゾンビの群れが絶えず徘徊しており、これを銀のボール(「銀製」というところが重要)使って倒しまくっていく。倒されたゾンビは緑色の血煙を吹いて消え去り、勢いよく撃ち出して立て続けにゾンビを撃破すると気分爽快だ。ただし、ピンボールゲームなので、全員倒すとボーナスとともにまた全員復活し、このきりのなさがいかにもゾンビらしくていい。もちろん、ゾンビ以外にもステージ上にはさまざまなギミックが設けられ、飽きさせない作りになっている。

 本作に用意されているステージは3つ。「Movement」は暴走した実験体が反乱を起こした狂信者の研究施設、「Wondering」はゾンビに占拠された廃墟と化した街、「Cemtery」は埋葬された死者が復活を遂げた墓地をそれぞれ舞台にしている。いずれのステージにも最終的にはボスキャラが登場するというから楽しみだ。発売時期は2002年夏、価格は4,800円となっている。

グラフィックはGBA版だけにしておくのは惜しいほどよく描き込まれている。今回遊んでみた限りでは難易度はやや高めだった

子供たちに一番人気だった「The Pinball of The Dead」。ゲームの明快さとゾンビを撃破する際の心地よさが高評価の理由だろうか

(C)WOW ENTERTAINMENT INC / SEGA CORPORATION,2002


■ 既存のJリーグクラブを育成できるGBA版「サカつく」
 ~「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! アドバンス(仮)」

 サッカークラブ経営&育成シミュレーションゲーム「サカつく」のGBA版。最大の特徴は、実在するクラブチームを運営できるところ。これまではオリジナルチームの運営を行なってきたが、GBA版ではJ1もしくはJ2に在籍する28クラブの中から1チーム選択して経営&育成を行なっていくことになる。直接的というか、わかりやすいというか、大人にも子供にも訴求力のある仕様といえる。

 また、GBA版では経営者という以上に監督としての行動をクローズアップし、オリジナル監督は登場しないという。これにより、チームの采配はすべてプレーヤーが行なうことになるが、監督にも「名声」、「経験」といったパラメータを用意し、成長させることも可能だという。選手データは2002年3月2日時点の最新のものを採用。発売時期、価格ともに未定となっている。

まだあまり完成度は高くないようで、試合のシーンなどは見られなかった。今後の進展に期待したい

Original Game (C)SEGA CORPORATION
(C)Smilebit/SEGA CORPORATION,2002


■ 通信ケーブルで「つないでトレード」がユニーク
 ~「プロ野球チームをつくろう! アドバンス」

 ドリームキャストのプロ野球チーム育成シミュレーション「やきゅつく」のGBA版。 プレーヤーはプロ野球チームのオーナーとなり、経営者として監督として球団を日本一に導いていくのが目的。ゲームはセリーグもしくはパリーグに7つ目の球団を設立するところから始まる。ドラフトやFA、トレードといった人事コマンドで優秀な戦力を集めてチームを強化していくことがチームを勝利に導くカギとなる。

 GBA版は本家ドリームキャスト版に比べて経営要素を簡略化し、秘書の指示に従って勧めていくだけで簡単にプロ野球チームを経営&育成していくことができる。基本的なことを設定していくだけで次々にスケジュールをこなしていけるテンポの良さが印象的だった。

 GBA版オリジナルの要素として、通信ケーブルに対応している。友人と選手を交換できる「つないでトレード」やチームデータを交換して対戦することなどが可能なようだ。発売時期は2002年夏を予定し、価格は未定となっている。

画面構成はかなりシンプル。明らかに子供をターゲットにした経営シミュレーションゲームだ

Original Game (C)SEGA CORPORATION
(C)Smilebit/SEGA CORPORATION,2002


■ ちょっと寂しかったPCゲームエリア
最大4人のネット対戦に対応した「Power Smash」などを出展

寂しい印象だったPCエリア。次回は「D&D」シリーズや「アドバンスド大戦略」シリーズなど、PCらしさ全開のラインナップを望みたいところだ
 一方、PCゲーム関連の出展は、当初予定されていた「サカつく」の出展が見送られたこともあって、かなり控えめの印象だった。PCゲームに出展されていたタイトルは「ファンタシースターオンライン」、「タイピングスペースハリアー」、「Power Smash」の3タイトルだけだった。

 初出展の「Power Smash」は、以前「DEMO&PATCH」のコーナーで紹介した「Virtur Tennis」の日本語バージョン。もちろん、本家は「Power Smash」のほうだ。英語バージョンのDemo版の公開を知って、急遽公開を決めたという。コンソール版との違いは、グラフィックの強化とネットワーク対戦への対応。ネットワークは、インターネットもしくはLANによる最大4人対戦(ダブルスの場合)が可能。さらに、解像度の変更もできるなど、PCのメリットを最大限活かした大幅な拡張が魅力的だ。

 またPS2エリアには、PS2とDCとに相互接続されたPC版「ぐるぐる温泉2 PC(仮)」も出展されていた。ウィンドウ表示固定で、まだまだ開発途上の印象。OSはWindows XPで動作していた。フルスクリーン表示への対応や接続方法、課金体制などは一切未定ということだった。

 製品版では、PC上から手軽にDC/PS2版「ぐるぐる温泉」シリーズのユーザーやDC版「サクラ大戦オンライン」のユーザーとおしゃべりやミニゲームが楽しめるようになるという。完成が楽しみだ。

「ぐるぐる温泉」コーナーでは、PS2、DC、PCを繋いで3人プレイをデモしていた。見た目はすべて同じだが、中央に位置するのが「ぐるぐる温泉2 PC(仮)」だ

スピード感あふれるゲーム性でプロテニスの醍醐味を味わえる「Power Smash」。コンソールではすでに2が出ているが、ネットワーク対戦ができるのは今のところPC版のみだ

豊富なパーツで構成されたプレーヤーキャラクタになりきってみんなでチャットやミニゲームが楽しめる「ぐるぐる温泉2 PC(仮)」。

(C)OVERWORKS/SEGA,2002

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□GameJam2の公式ページ
http://sega.jp/gamejam2/

(2002年3月30日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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